平行世界の最弱の龍が重桜に『保護』されました。これより治療を始めます。 作:八意 颯人
嘘だ……
この世界にも艦娘様が……
僕はまだ死にたくない……
また、
「今回の玩具は長持ちしそうね!」
「なのです」
「なら、そいつをフォークで刺す?それとも熱した中華鍋を腹に押し付ける?」
「良いね♪早速やろう♪」
「ハラショー」
止めてくれ……
「さぁ……今度は腕を折ってみましょ♪」
「いや、腕ではなく足にしたら?」
「良いですね、これは気分が高揚します」
「こりゃ殴り心地の良いサンドバッグだね♪多聞丸も喜んでいるよ♪」
助けてくれ……これ以上は……
「パンパカパーン!食らいなさい!」
「へぇ……人間にしてはタフな身体だな……コイツ……」
「水責めにしても死なないのね!ならコイツを餌に鮫釣りをする?」
「面白いでちね!」
止めて下さい!もう僕を沈めないで下さい……
「……貴様は私達『艦娘』の玩具だ……貴様が壊れようと知った事では無いな、此処で寝ていろ!」
「yes!」
「貴方が消えても『榛名』は大丈夫ですので……死んで下さいね♪『大和』さん、お願いします」
「分かりました、では………」
止めてくれ!主砲を向けないで下さい!
「……
頼む!向けないでくれ!!
頼む……
殺される事以外なら何でもやりますので、だから……
「凪ぎ払え!!」
う………
「……うわぁぁぁぁぁ!!」
「キャッ!!だ……大丈夫?凄く
瑞鶴は気絶した勇人を介護していたのか、勇人の絶叫と共に目覚めた事により驚きながら聞くと、勇人は顔面蒼白になり、荒い呼吸をしながら答えた
「……ハァ……ハァ……此処は……」
「指揮官の自室よ……ねぇ、本当に大丈夫?侵入者を見た途端、気絶したけど……」
「ッ!?」
瑞鶴は心配しながら勇人の質問に答えつつ、勇人が何故、自室に居る理由を簡潔に説明しながら質問をすると勇人は昔を思い出したのか、恐怖に脅え、瑞鶴の質問に答えれない状態になっていると三笠と一航戦が部屋に入り、心配した表情で勇人に言った
「……良かった、傷は開いていない様だな」
「指揮官様……御無事でなりよりですわ……」
「指揮官、顔色が優れないが……やはり、あの侵入者は……」
「ッ!?三笠……さんですか?」
勇人は過去を思い出したのか、動揺した状態で三笠を見て『育ての母』と勘違いをしたが、三笠の頭の上に生えている二つの角を見て直ぐに訂正し、三笠に聞くと三笠は「うむ」と肯定し、勇人を落ち着かせる為に素の口調で勇人に聞いた
「……たがら落ち着いて、今『
「……この赤城、必ずや
「オイ馬鹿姉、気持ちは分かるが何物騒な事を言っているんだ!少しは自重しろ!」
加賀は過激な発言をした赤城に一喝すると、瑞鶴は赤城の『艦娘』という言葉を聞き、少し混乱しながら三笠に質問した
「え!?『艦娘』?三笠大先輩!艦娘って?」
事情を知らない瑞鶴は三笠に艦娘について聞くと、三笠は『勇人に酷い事をさせた艦娘達』に強い怒りが込み上げて来るかの様に強く、そして憎しみが籠った口調で瑞鶴に説明した
「……平行世界の『艦女』であり、指揮官を『こんな風にさせた
「なっ!?指揮官って……この世界の人間じゃないの!?私にも説明してください!何故、上城さんが指揮官になった理由を!そして、あの艦娘との関係を!」
「そ……それは……」
「……分かった、上城さんが何故『指揮官になった』のか簡単に説明するが……」
瑞鶴は『勇人が抱えている
「……指揮官、いや上城さんは瀕死の重傷を負った状態で愛宕達に保護されたんだ」
「ッ!?瀕死の重傷!?まさか……セイレーンに!?」
瑞鶴は加賀の言葉に驚きながらも憶測で聞くと、加賀は頭を横に振り、瑞鶴の憶測を否定し、説明を続けた
「……違う、この傷の原因については後で説明するが、保護された上城さんは明石達の懸命な治療により峠を超え、上城さんは……いや指揮官は自身を助けてくれた『
「恩返し……ですか……ッ!?まさか!?指揮官に瀕死の重傷を負わせた原因って……」
瑞鶴は勇人が指揮官に志願した経緯を聞いて納得したが、先程の三笠と加賀の言葉を繋ぎ合わせ、勇人に瀕死の重傷を負わせた
「……ああ、指揮官を『こんな風』にさせたのは他でもない、指揮官の元居た平行世界の艦女『艦娘』が当時、
「……そんな……嘘よ……」
瑞鶴は本来、人類を守るべき艦娘達が行った愚行そして元居た勇人の境遇に絶句し、崩れる様に座り込むと、三笠は経緯の結末を瑞鶴に言った
「だから指揮官を元の世界に帰さず、第二の人生として
「……そうだったのですか……良し!私、決めたよ!」
「決めた?何をだ?」
瑞鶴は三笠の言葉に納得し、覚悟を決めたのか、勇人に強い口調で言った
「上城さん……いえ、指揮官!私達が貴方の元部下である憎き艦娘達に一揆報いる為に必ずセイレーン共々の息の根を止めて見せます!!指揮官が味わった境遇以上の屈辱を
「「なっ!?」」
「ッ!?ず……瑞鶴さん……」
「あら?あの五航戦にしては、この赤城と同じ事を……フフッ、見直したわ……」
「こればかりは『同じ
瑞鶴の強い決意に三笠、加賀、勇人は驚き、赤城は自身の意見と瑞鶴の決意が一致したのか、瑞鶴の事を見直したかの様に微笑み、瑞鶴は気合いを入れ、部屋から出ようとした途端……
グゥ~
「「「………瑞鶴」」」
場の雰囲気を壊す様に情けない音が響き渡り、瑞鶴は赤面し、先程までの威勢の良い表情は消え、恥ずかしそうに言った
「……そう言えば昼御飯、食べ損ねていたんだった……恥ずかしい……」
「……時刻は……1830か……それでは、指揮官の歓迎会をしに食堂へ向かうか!」
瑞鶴は恥ずかしそうに言うと、三笠は腕時計を確認すると、何故か嬉しそうに勇人達に食堂へ行く様に促すと一航戦の二人は三笠の本当の目的を分かっているのか、ニヤニヤと笑いながら言った
「三笠大先輩、飲み過ぎは駄目ですよ♪」
「また暴れたら困るからな♪
「うっ!?わ……分かっておる!後、加賀!我を老婆扱いをするでない!」
三笠は加賀の言葉に少し焦りながらツッコミを入れると勇人は三笠達を見て……
「クスッ……ククク……」
「「「ッ!?指揮官が……」」」
「
……笑ったのだ
赤城達は勇人が本気で笑った事に嬉しそうに言うと勇人は直ぐに何時も通りのオドオドとした表情になり、三笠達に謝罪をした
「すみませんでした!僕みたいな役立たずな人間が……」
勇人は三笠に謝罪すると三笠達は勇人が此処に来てから初めて心の底から笑った表情を見て、嬉しそうに言った
「フフッ、別に気にしていないよ♪それに御主はオドオドした表情より、笑った顔の方が断然、男前よ」
「三笠大先輩の言う通りですわ、指揮官様は笑顔が一番似合いますわ♪この赤城に狂いはありませんわ!」
「姉さんの場合は元から狂っているが……」
「同じく……」
「ッ!?二人共!それ、どういう意味!?」
「「そのまんまの意味
「貴女達ねぇ……泣けますわ」
瑞鶴と加賀は苦笑しながら赤城に言うと、赤城は二人の言葉を聞いて少し不機嫌になりつつ溜め息を吐くと三笠もまた赤城達の会話に苦笑しながら言った
「まぁ……そうと決まれば『善は急げ』と言うし、我らは先に歓迎会の準備を行うから、大体1900位になったら食堂に来てくれないか?」
「分かりました」
「この赤城も残りますわ」
勇人は三笠の言葉を聞いて嬉しそうに了承し、赤城もまた勇人と一緒に居たい為に三笠に言うと、加賀と瑞鶴は赤城に釘を刺す様に忠告を出した
「……襲うなよ」
「指揮官のトラウマを悪化させないでね、赤城先輩……では行きましょ!三笠大先輩」
「ッ!?わ……分かっていますわ」
「……うむ、では頼むぞ」
赤城は二人の忠告を聞き、自身の考えが当たっていたのか、少し焦った様に答えると、三人は『別の意味』で勇人のトラウマが再発しないか心配しつつ、食堂へ向かった
そして勇人は赤城に頭を下げながら自身の気持ちを赤城にぶつけた
「本当にありがとうございます……見ず知らずの僕を……そこまで……」
「フフッ、別に気にしていないですわ……
赤城は微笑みながら勇人に言うと、勇人は何かを決意したのか、先程までのオドオドとした雰囲気から一転し、神妙な表情になり、赤城に言った
そう、それは……
「そうですか……なら『
「ッ!?指揮官様!それを今言う事ではありませんわ!そんな事をしたら……指揮官様が……」
……そう勇人の決意とは、勇人のトラウマの原因となった過去を赤城に告白する事だった
赤城は勇人が再びトラウマに脅える事を恐れているのか、慌てながら言うと勇人は神妙な表情のまま赤城に言った
「いや、此処に世話になるんだ……せめて……」
「……分かりましたわ、ですが無理はしないで欲しいわ」
「分かりました、では……」
勇人の確固たる決意に赤城は負けたのか、溜め息を吐き、勇人に答えると、勇人は深呼吸をし、自身の過去を打ち明けた
勇人の壮絶な過去を……