龍剣物語 ~少年の歩む英雄譚~   作:クロス・アラベル

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こんにちは!クロス・アラベルです!
今回は、ルキア君が家族の愛を知る!
それではどうぞ!


家族の温もり

ギルド本部であるパルテノンに入ってきた1人の少年。

手に持つのは、大量の魔石が入った袋。先程までダンジョンでモンスター狩りをしていた少年は換金のため訪れていた。

「…換金を頼む」

「あいよ」

換金所はパルテノンを入って右手にある。左は受付となっている。因みに受付の方にはクエスト募集の掲示板があり、依頼書を持って受付に渡すとクエストを受けることが出来る。

「……2360ヴァリスだよ」

換金係は金貨2枚と大銀貨3枚、小銀貨6枚を渡してきた。

(一時間籠ってこれか……剣と防具の整備代、食費…諸々いれて……一日二、三時間で最低限は補えるな)

そう考えていた、その時。

「……ルキア君?」

ルキアの前には自身のアドバイザーであるハーフエルフのエイナが立っていた。

 

 

 

「………ルキア君、どういうこと!?まさか私とした約束、忘れたの!?」

今、ルキアはエイナに怒られている最中だ。

換金している所を見ていたようでダンジョンに言ったことが分かったのだろう。

「………」

エイナとした約束。『エイナの許可が降りるまでダンジョンへは行かないこと』。約束して二時間後には破るなどエイナは考えもしなかったのだろう。

「ダンジョンは危険なんだよ!いつ君に牙を剥くか分からないの!イレギュラーもあり得るの!!」

必死にルキアを叱るエイナ。これ程までに怒ったことはない。後ろのエイナの同僚のミィシャがよく理解している。

「……よくエイナをここまで怒らせたねぇ、冒険者君……」

とミィシャは呟いていた。

「ダンジョン初めてで三階層って……無茶にも程があるよ!」

エイナはダンジョンに行ったことと、より下層に行ったことも怒っている。

ルキアは聞き流していたが、次の言葉を無視することができなかった。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!?」

そのエイナの言葉にルキアは冷たく言い放っていた。

「いねぇよ、そんな奴」

「…っ?」

ルキアは生涯孤独。両親もいなければ、兄弟も姉妹もいない。そんなルキアにとって、その言葉は無意味で、無慈悲なものでもあった。

「き、君の家族だって…」

 

「それがいないって言ってるだよッッ‼︎‼︎」

 

「っ⁉︎」

パルテノンに響く怒号。

「そ、それでも、貴方にはファミリアの主神がいらっしゃるでしょう⁉︎」

エイナはそれに驚き戸惑いながらも必死にルキアを諭す。

「……なんだよ、俺の何が分かるって言うんだ。知りもしないくせにゴタゴタうるさいんだよッ‼︎」

感情が爆発する。

「……っ」

ルキアは耐えきれず、パルテノンを出て行った。後ろからのエイナの制止の声を振り切って。

 

 

 

 

「………何をやってるんだ、俺は」

ホームへの帰り道、ルキアは顔を歪めながら呟いた。

「……さっさと帰って寝るか、今日は疲れた」

ルキアはホームの地下室に入り寝ようとしたが、それを遮る声が聞こえた。

「ルキア!」

エオスだ。息を切らして汗をかいている。走ってきたようだ。

「貴方……本当はダンジョンに潜っちゃいけなかったのね?」

「……それがなんだよ」

どうやらエオスは事情を知っているようだ。後の話だと、ファミリア結成の手続きをしようとギルド本部へ行ったところ、エイナに会いルキアがダンジョンに行ったことを言ったところ、自分はダンジョン探索の許可はしていないと言ったらしい。

「……どうしてそんな危険なことをしたの?」

「……お前には関係ないだろ………今日会ったばかりの他人なのに」

「他人じゃないわ!今日会ったばかりであっても、貴方は私の眷属よ!」

「………」

 

「私の………私のたった1人の家族なのよっ‼︎」

 

「…っ」

「貴方がいなくなったら……悲しいじゃない…っ!」

エオスは涙を流しながら訴える。

「たとえ、昨日は他人だったとしても、貴方は私の……家族、なのっ…!」

ルキアはその言葉に、戸惑う。ルキアの感じたことの無い、温かい感情が彼を包む。

「……俺は…俺は禁忌だ。傷つけられても当然の……存在なんだぞ⁉︎なのにっ、なんで…っ⁉︎」

そして、エオスはルキアに優しくこう言った。

「あの時、私は貴方に手を差し伸べた。そして……貴方はそれを受け入れて、手を取った……それだけでいいじゃない」

「……っ‼︎」

ルキアの目からはとめどなく涙が、溢れた。ルキアは崩れ落ち、嗚咽を漏らす。

「…っ!」

ルキアが上を向くと、エオスは涙を流しながらも微笑みながら言った。

「大丈夫、私は貴方の家族だから……」

「〜〜っ‼︎」

エオスはルキアが泣き止むまでルキアを抱きしめ、頭を撫でるのだった。

「……いい子、いい子………私が、そばに居るから…」

生涯孤独のルキアに大切な家族が出来た瞬間だった。

 

 

ルキア・クラネル

Lv.1

力:I 98  耐久:I 72  器用:I 56  敏捷:I 95  魔力:I0

 

《魔法》

【】

【】

【】

 

《スキル》

竜の血(ドラゴンズ・ブラッド)

・アビリティの超高補正。

・五感の超高補正。

・スキルや魔法が発現しやすくなる。

・稀に暴走する。

・自然治癒能力の超高補正。

 




次章は原作のお話になっていきます!でも、1話からは原作より、少し前の話になります。
そして、次はオリジナルキャラクター登場!

次回 第1章《Beginning》 「王族妖精との出会い」

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