遅くなりました……ちょっと短めですが、どうぞ!
◇
「こ、ここがギルド本部……」
「…早く行くぞ?」
「はっ、はい!」
ルキアとマナはギルド本部であるパルテノンに辿り着いた。そして、ルキアは受付にいた桃色の長い髪の受付嬢に話しかけた。
「すまん、エイナはいるか?」
「はい、少しお待ち……あれ?君って、エイナがアドバイザー担当の…」
「…ああ」
ルキアが今話しかけた受付嬢であるミィシャはエイナの同僚兼友人で、一応ルキアとは知り合いなのだ。
「今日はどうしたの?いつもなら換金終わってる筈だけど」
「いや、今回は別の用件だ」
「わかった、とりあえずエイナ呼んでくるね~」
「頼む」
ミィシャは他の冒険者よりも砕けた喋り方で答えてくれた。その数十秒後、エイナは小走りでやって来た。
「こんにちは、ルキア君。どうしたの?」
「ああ…冒険者の登録をしに来た」
「冒険者の登録…君が?」
「……俺な訳がないだろう。こいつだ」
「ふみゅっう!?」
ルキアはマナの頭に手を乗せて言った。
「え_____」
マナを人目見たエイナはその瞬間、時を止めた。
「えええええええええ!?まっ、マナ様!?」
エイナはルキアが見たことないほど驚いた。何せファミリアに入ると言った子が、
「あ…エイナ、さん?」
ハイエルフだったのだから。
◇
「知り合いだったのか」
「はい。私が幼い頃…エルフの里にいた時、里の皆さんの目を盗んでお姉様達と一緒に一度帰ってこられたんです。その時から友達で…」
「ま、マナ様!お変わり有りませんか?それより何故このオラリオに?あなた様はエルフの里にいらっしゃると聞いた筈です!それに、何故ファミリアに入りたいと……?」
エイナの質問攻めにマナは落ち着いて答えた。
「えっと……約束したんです。お姉様と………大きくなったら、里を出て世界をこの目で見ると……お姉様とまた会うって…」
「ま、マナ様……」
「え、エイナさん、その呼び方は止めて下さい。やっぱり、恥ずかしいです…」
「し、しかし…」
その時、困った二人を見かねてルキアが声をかける。
「マナの、言う通りにしてやったらどうだ、エイナ?」
「ルキア君まで……」
「……私はエイナさんより六つも年下ですし……」
「……大人として認めてやったらどうだ。本人が、こう言ってるんだしな」
さらに助け船を出すルキアと意思の変わらないマナに根負けしたのか、溜め息をついて答えた。
「わかりました……それじゃあ、ま、マナちゃんって呼ぶけど……いい?」
そう、いつものようにお姉さんな喋り方に変えたエイナにマナは笑顔でこう答えた。
「はい!これからよろしくお願いします!エイナさん!!」
◇
「……それで、行きたいところって言うのは、どこなんだ?」
「えっと……それが、会いたい人がいるんですけど…どこにいるか知らなくて………」
ギルドで冒険者登録を済ませた後、二人はメインストリートを歩いている。
「……会いたい奴の、名前は?」
「リヴェリア・リヨス・アールヴっていう、ハイエルフの方なんですが…」
「……リヴェリア…《
ルキアは少ないヒントを頼りに記憶からとある冒険者の二つ名を思い出す。
「な、ないん……え?」
「……ある冒険者の二つ名だ。」
「冒険者をしていらっしゃるんですか?」
「ああ。Lv.6のオラリオ一強い魔道士だ。
「そ、そうなんですか⁉︎」
「……となると……ロキ・ファミリア、か」
「ろ、ロキ・ファミリア……」
ルキアはつい最近覚えたオラリオの地図を頭の中で広げて、ロキ・ファミリアのホーム、《黄昏の館》を目指す。
◇
「……ここが…黄昏の館…」
「…話には聞いていたが、かなりだな」
北のメインストリート、その外壁のそばにそれは建っていた。ロキ・ファミリアのホーム《黄昏の館》。
門の前には二人の門兵が槍を持って立っている。
「……ここに、リヴェリア様が…」
「…何してる?行くぞ」
「は、はいっ」
ルキアはぼーっとするマナを連れて門兵の元へ直行した。すると当然とも言えるが、門兵が槍を交差させて道を阻む。
「お前、どこのファミリアだ?」
「流石に入れるわけにはいかない。ここに入るなら、許可証を出せ!」
できた門番だ。いきなり追い返そうとはせず、話を聞こうとしている。
「えっと…エオス・ファミリアです」
「……
「なぜだ?」
「他のファミリアの者がこのロキ・ファミリアの副団長に会おうなど、どういう了見だ!」
片方の門番が声を上げて問い詰めたその時、まずいと思ったのかマナが話しかけた。
「……あ、あのっ」
「「ん?」」
「会いたいと言ったのは、私、です…」
「…それで、何故会いたい?」
「……えっと…オラリオに来たら挨拶をしておきたくて…」
「……またか…」
「リヴェリアさんの顔を拝んでおきたいのか?」
「い、いえ…久し振りにお姉様に会いたくて…来てしまったんですけど…」
「「……はあ?」」
マナの『お姉様』という言葉に呆気にとられる門番。
「…自己紹介でもしたらどうだ?」
「は、はい。私、エオス・ファミリアのマナ・リヨス・アールヴです」
「……少し待っていろ、確認してくる」
片方の門番が少し訝しげに言いながら門の奥へと消えた。
その五分後、門番ではなく一人の長身のエルフが現れた。いや、弾丸となってマナを襲った。
「マナっ!本当に来るとは思わなかったぞ!」
「リヴェリアお姉様……っ!ちょっと、苦しい……です……ッ⁉︎」
マナはそのエルフに抱きしめられた。いや、Lv.6の力のアビリティによって半分絞め殺されかけている。
そのエルフの女性は翡翠色の長い髪と瞳。貴族のような出で立ち。彼女がリヴェリア・リヨス・アールヴだ。
「……放してやってくれ、苦しそうだ。」
「ん?ああ、すまない。マナ久しぶりだな。五年前に会った時以来だ」
「はい!お姉様!」
「ここに来たということは、このファミリアに入りに来たのか?」
「い、いえ、そう言うわけじゃないんですが……私、他のファミリアに入りましたのでご報告とご挨拶を…」
「そうだったか。では、君は…?」
リヴェリアはマナの後ろにいたルキアを見て聞く。
「……マナと同じファミリアの団員の、ルキア・クラネル、だ」
「……そうか、ルキア……だな。ルキア、私の妹を…マナを頼めるか?」
マナはルキアに真剣な表情でそう言った。
「……言われなくとも、そうするつもりだ。同じ、ファミリアだからな」
ルキアはその願いを受け入れたのだった。
次回《夜空の下で》