龍剣物語 ~少年の歩む英雄譚~   作:クロス・アラベル

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こんにちは!クロス・アラベルです!
大変遅くなりました。やっと投稿できました。今回はシルさんとの約束を果たす前のダンジョン探索でのお話です。短いですが、どうぞ!


稀少種(レアモンスター)》との戦いは冷静に

 

 

薄暗いダンジョン3階層。そこではモンスター8体と冒険者二人の攻防戦が繰り広げられていた。

「ッ!」

「ギャウッ⁉︎」

前衛の少年(ルキア)がコボルトを猛然と屠り続ける。もうすでに二体が戦闘不能に陥っており、残るは六体。

「ッ、LB2‼︎」

「はいっ!」

ルキアの掛け声で少女(マナ)は矢を射る。放たれた矢は六体のうちの一体……左後ろ二体目の目に命中し、目を塞ぎながら悶える。

そして、その一体が悶えている間に前の二体の足元に水平斬りを食らわせて動きを止め、後ろの中央の一体に向かって全力で刺突。脳天を貫かれ絶命するコボルトから剣を抜いてそのコボルトの胸倉を無理矢理掴んで盾代わりとして使って左のコボルトの攻撃を防ぎながら右のコボルトの首に一閃し、頭を吹き飛ばす。

そして、剣をそのまま盾として使っていたコボルトごと貫き、攻撃を防がれて怯んでいたコボルトを諸共絶命に追い込んだ。

前にいた二体の首を難なく撥ね飛ばし、未だに悶え続けるコボルトに垂直斬りでとどめを刺す。

「……か、勝った……流石です、ルキアさん!」

「良い射撃だった。次も頼むぞ」

コボルトを殲滅し、一息つく二人。そして、手袋をカバンから取り出した。

「どうだ、指示の方は……慣れたか?」

「はい。完璧です!」

「そうか。ならいいんだ」

ルキアの言う指示というのは先ほどの戦闘で出てきた『LB2』のことだ。これはルキアが考えた指示方法で、LはLeft()、BがBack(後ろ)、その後ろにある2は後ろ2列目を意味している。例を出すとするならば『R3F』はRight()から三体目のFront(先頭)……といった具合にだ。

「………で、でも、魔石取り(こっち)は全然慣れませんね………うぅっ……!」

「急ぐ必要はない。いつまでも出来ないのも困るがな」

「……が、頑張りますぅっ!」

マナはモンスターの死体から魔石を取り出す作業が苦手だった。初めてした時は手が震えてナイフで魔石を傷つけてしまった程にだ。因みにこの時も涙目だった。今もだが。

「……ドロップアイテムも出たか」

「えっ、本当ですか⁉︎」

ルキアの手の中にあるのはコボルトの爪。ドロップアイテムはここの魔石よりも高く買い取ってくれるため、出たら出ただけ得なのだ。

「おぉ……凄いですね!」

「……今日はいつもより多く、稼いでおかなければならない。残りを回収したらもう一戦だ」

「分かりました!」

ルキア達は魔石回収を早めに終わらせ、ダンジョンの奥へと進んでいった。

 

 

 

 

 

 

「一匹、来てるな」

「ほ、本当ですか?」

「ああ。足音を聴くに……節足、蜘蛛だ」

「ってことは、稀少種(レアモンスター)の…」

ダンジョン4階層。ルキアとマナはもうそろそろ切り上げようと帰路につこうとしたその時、ルキアがモンスターの気配を感じ取った。

「……『ゴゴモア』、か」

この4階層を含む上層では蜘蛛モンスターはほとんど出てこない。唯一出てくるのが、ゴゴモアだ。特徴として、蜘蛛ならではの糸による拘束攻撃により足を取られ、壁に張り付けにされたり、ルームの中央で捕らわれることもある。ゴゴモアの糸は上層のものにしては丈夫で、レベル2でなければ破壊することができず、レベル1はもちろんレベル2でもその体のいたるところを巻きつけられた状態から逃れるのは困難である。しかも、その糸は頑丈な上に細いため、運が悪いとその糸で体が切れてしまう。素手での破壊は難しく、刃物で切らなければ不可能な代物だ。駆け出しが相手をすれば、十中八九勝てない。

「る、ルキアさん、逃げましょう!ゴゴモアは上層の稀少種(レアモンスター)ですけど、レベル1の私達では勝てません!」

それをエイナから聞いていたマナは即座に撤退を提案する。

「その通りだ。相手してみたいというのも山々だが、ここは逃げの一手だ」

ルキアは少々危なっかしいことを呟きながら撤退の案を受け入れ、マナと共に逆方向、この層の移動階段を目指し走り出す。

「……不味いな」

「えっ?」

走り始めて20秒、ルキアはそんなことを呟いていきなりマナを押し倒した。

「ひゃあっ⁉︎////」

とマナが悲鳴を上げた直後、マナ達の上をなにかが通った。

『キシャァァッ‼︎』

三度四度転がり、素早く起き上がるルキア。その視線の先には、《ゴゴモア》がいた。

全身が黒く、大きな目が一つ。体は人間よりひと回りもふた回りも小さく、弱そうにも見える。蜘蛛は大抵複眼なのだが、このゴゴモアは単眼だ。ほぼ死角のない他の蜘蛛系モンスターに対し、ゴゴモアは広い視界を犠牲にしてその単眼でより遠くのものを見ることが可能にし、索敵能力を上げたのだ。

「……マナ、お前は後ろから援護射撃を頼む」

「は、はい」

ゴゴモアと対峙し、腰の剣を抜いたルキアはゴゴモアの目を見る。

「……(奴の弱点は目だ。他の蜘蛛系モンスターは複眼で視力を奪うことは容易ではないが、ゴゴモアは違う。あの一つ目を潰せば勝機は見える。だが、恐ろしいのは奴の糸。あれに囚われれば身動きが取れなくなる。それだけは避けなければ…)」

『…ギジャァァ‼︎』

「ちッ‼︎」

ルキアはゴゴモアの突進をギリギリ避けて、そのスピードに驚愕した。

「っ!(速い!こいつ、思ったより素早いぞ)」

転がり、再びゴゴモアの方を向いた瞬間、黒い何かがルキアの顔面めがけて飛んできた。

「ッ⁉︎」

間一髪避けたが、頰を掠ったようで血が滴る。

「……」

『ギジャァァァアッ‼︎』

「シッ‼︎」

飛んでくるのに合わせて剣を振るうが、掠りもしない。

『……ジャァッ!』

「あ、避けられた…!」

マナの射撃もゴゴモアの速度を捉えきれていない。

その射撃の(マナ)を見つけたゴゴモアは糸をマナに打ち込んだ。

「きゃぁッ⁉︎」

両足を固定されたマナはそこから動けなくなってしまった。

「マナ‼︎」

そこから、たった一匹の蜘蛛による蹂躙が始まった。360度、全方位から繰り出される高速の一撃離脱(ヒットアンドアウェイ)の突進はもはやルキアやマナにとって弾丸のようだった。

「ちっ_____‼︎」

致命傷を負わぬよう直撃は回避しているが、ゴゴモアの猛攻は間違いなくルキアの体力を削っていた。

「クソったれが……拉致があかないっ……‼︎」

そして、ついにルキアの動きが止まった。

「⁉︎」

正確には止まったのではない。止められたのだ。

「る、ルキアさん⁉︎」

ルキアはゴゴモアの糸によって拘束されていた。よく見ると糸があちらこちらの壁や天井からルキアの腕や足、胴体に巻きついている。

「……さっきの一撃離脱(ヒットアンドアウェイ)はこれが狙いか…‼︎」

完全に身動きを封じられたルキアは悔しげに言葉を零す。

そして、ゴゴモアは勝ったと言わんばかりにゆっくりとルキアに近づき糸を伝ってルキアの眼前にきた。

『ジャァ……!』

ゴゴモアが口を開け、ルキアの顔ごと捕食しようとしたその時。

「ルキアさん‼︎」

マナの鋭い声が響く。

「…遅いぞ」

ルキアはマナの声にそう答え、首を傾げることで道を開ける。

『ギッギギャァァッ⁉︎』

何が起こるかを感じ取ったゴゴモアは即座に避けようとしたが、もうすでに遅かった。

次の瞬間放たれた矢が逃げ遅れたゴゴモアの腹に突き刺さった。

『ギ、ギジャァ……⁉︎』

そして、勢いそのままゴゴモアはダンジョンの壁に張り付けにされた。

「だが、上出来だ」

「……やっと、捉えました」

マナがルキアの後ろで弓を放ったのだ。マナはゴゴモアの糸によって拘束されていたが、ナイフで糸を切り、矢をつがえたのだ。

ゴゴモアの糸には弱点がある。ゴゴモアの糸は打撃などには強いが、斬撃や刺突耐性に難がある。衝撃は吸収するし、千切ろうとも不可能だが、刃物による切断は効果的だった。それをエイナに教わったマナは即座に腰からナイフを取り出し、時間はかかったものの呪縛を解き、難を逃れた。

「……マナ、まだ終わっていないぞ。とどめを刺せ」

「…はい」

マナはルキアを通り過ぎ、ダンジョンの壁に張り付けになったゴゴモアの前に行き、ナイフを構える。

「……ごめんなさい」

これから死にゆくゴゴモアに謝罪と感謝の意を込めてた言葉を零し、魔石があるだろう胴にナイフを突き刺した。

『……ギッ……!』

ナイフの刺突はゴゴモアの魔石を掠ったらしく、ゴゴモアは灰となった。

「……」

その灰をぼうっと見つめているとルキアから声がかかった。

「…マナ。早くこの糸を処理してくれないか?」

「…は、はいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……6400ヴァリス…まあ、いつもよりは高めか」

「これでシルさんのお店に行けますね!」

ルキアの持つ麻袋にはいつもより多めの額の貨幣が入っている。昨日が3700ヴァリス、いつもは4800ヴァリスほどだ。

「……ああ」

「ルキアさん、そういえば、その『ゴゴモアの糸』、売却しないんですか?」

マナがルキアのポーチの中にあるドロップアイテムについて聞いてくる。この二人は知らないだろうが、先程戦ったゴゴモアは『強化種』で魔石をかなり取り込んでいた。そのため異常なほどの速さを持っていたのだ。だから、ドロップアイテム『ゴゴモアの眼』はなんと900ヴァリスもした。そして、マナは時間をかけてゴゴモアの糸を切るのではなく、綺麗に解き、回収した。長さは約50メドルをあったらしい。

「『ゴゴモアの糸』というのは衣服を作るときにも役に立つらしい。打撃耐性がつくと聞いたことがある。これはまたの機会にとっておこう。その前にホームに帰ってステイタスを更新するぞ」

「はい!」

マナは鼻歌を歌いながら、ルキアはその鼻歌を聴きながらホームへ向かった。

 

 

 

 

「……これまた、凄いわね」

「何がだ?」

「アビリティの上がり具合よ」

エオスファミリアのホームでは早速ルキアがステイタス更新をエオスにしてもらっていた。マナは先に済ませてある。

「……(……あり得ないほどアビリティが上がってるわね。力、敏捷、耐久は特に…これも強者切望(スカーター・ゼーンズフト)が原因かしら?)」

 

 

ルキア・クラネル

Lv.1

力:H 179→197  耐久:H 163→181  器用:I 92→117  敏捷:H 178→189  魔力:I0

 

《魔法》

【】

【】

【】

 

《スキル》

竜の血(ドラゴンズ・ブラッド)

・アビリティの超高補正。

・五感の超高補正。

・スキルや魔法が発現しやすくなる。

・稀に暴走する。

・自然治癒能力の超高補正。

 

 

「……はい、終わったわ」

「ん」

ルキアはエオスから受け取ったステイタスを見て一言だけ言う。

「……上がり具合はなかなかだな」

「なかなかどころじゃないわよ。貴方、初めてステイタス更新した時なんか、各アビリティ50は余裕で超えてたし、あの時は卒倒しそうになったわ」

ルキアの異常さはファミリアに入った当初からエオスは知っている。初めてとはいえアビリティの上昇値がトータル300オーバーだった。ちなみに一番高いもので力の98。あり得ないが、成長したのだ。だった数時間で。そこからは普通だった。上がっても8、9ほどだ。

「……あ、そうそう。ルキアには言ってなかったけど、今日は私アルバイト仲間と飲み会に行くわ」

「分かった」

エオスのアルバイト仲間というのはおばちゃんととある一柱(ひとり)の女神だ。特に女神とは仲が良い。その女神は同時期に下界に降りてきたので、幼馴染のように接している。見かけは背が低く子供のように見えるので二人並ぶと姉妹と思われてしまうが。

「丁度いい。俺とマナも今夜酒場に行く予定をしてる」

「そうなの?貴方、お酒は初めてでしょう?程々にしておきなさいよ」

「……善処する」

ルキアは念のために今夜の予定を言っておいた。

「もう約束の時間だし、行くわね」

「ああ」

「気をつけて行きなさいよ!」

エオスは小さな肩がけカバンを持ってホームを出て行った。

「……マナ、もういいぞ」

「あ、はい!私達ももうそろそろ行きますか?」

「ああ。腹も減っただろう?」

「はい!楽しみです」

ルキアとマナは防具の類を全解除し、護身用に片手剣だけを腰にかけて今朝少女(シル)とあった通りへ向かった。

 

 

 




次回《酒場での再会》


……気づいてしまいました。マナが来たのが3日前。そして、一日経ってロキファミリアが遠征から帰ってきて宴会を開く……遠征って原作(外伝)を読んでいると、安全階層(セーフティポイント)である50階層に行くだけで最低5日はかかるそうです。余裕を持って一週間、帰りも合わせると二週間以上かかるそうなんです。そして、マナとルキアがリヴェリアに会ったのはこの話を見ると遠征に向かっているはずの期間なんですよね。あとで訂正しておきます。はい。

そして、今回出てきたモンスター《ゴゴモア》は皆さん察しの通り、○ンス○ー○ンター フロ○テ○アZに登場するモンスターを元(原案)にしました。なんでも、もともとこのゴゴモアは蜘蛛型モンスターだったらしいのですが、大人の事情により、猿型モンスターになったんだそうです。それを見て、ダンまちに登場させてみようかな?と思い立ち、書きました。
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