龍剣物語 ~少年の歩む英雄譚~   作:クロス・アラベル

19 / 21
大変長らくお待たせいたしました!クロス・アラベルです!
SAOシリーズでも書きましたが、リアルが忙しくなり投稿が遅れました。ごめんなさいm(_ _)m
それでは、どうぞ!


酒場での再会

 

 

「えっと、シルさんと会ったのってここ、ですよね?」

「……その筈だ」

西のメインストリートのとある一角……二人は少女シルと出会った場所で彼女を探していた。

「……ど、どこに…」

「…後ろ、そこじゃないか?」

「へ?」

マナの後ろには二階建ての家が建っており、その一階は何やらお店となっているようだ。

「……豊穣の、女主人…」

「入らないのか?」

「いえ、入りますけど……酒場だったんですね。朝の雰囲気はカフェのような感じだったのに…」

エルフは基本的に酒はあまり飲まない。水だったり果汁ジュースだったりする。酒を飲むエルフはかなり珍しい。マナはまだ13歳、酒など飲んだこともないし、周りからは飲むなとばかり言われてきた。周りが全く飲んでいないというのも原因だろうが。

店の雰囲気は朝とはガラリと変わっており、今は冒険者が集う酒場となっている。

「ルキアさん、マナさん!」

すると店の扉からシルが出てきた。今朝と同じ格好に、右手には銀製のお盆を持っている。

「来させてもらった」

「……です!」

「いらっしゃいませ!」

二人はシルにカウンター席の角の二席へ案内された。酒場の雰囲気にあまり慣れていない二人への配慮だろう。

「アンタらがシルの言ってた冒険者かい?冒険者のくせして可愛い顔してるねぇ!」

カウンターの向こうから乗り出してくるドアーフの女将は二人を見てそう言った。

マナは可愛らしく、ルキアは美しくと、違うタイプの顔だが、二人とも美少女であることは変わりない。一人は男だが。

「あ、ありがとうございます…」

「……可愛い…?」

マナはお礼を、ルキアは首を傾げ呟く。

「なんでもアタシ達に悲鳴を上げさせるほど大食らいなんだそうじゃないか!ジャンジャン料理を出すから、ジャンジャン金使ってってくれよ!」

「ええ⁉︎」

「……どういうことだ、シル?」

突然告げられた言葉に驚きを隠せないマナと冷静にシルを問い詰めるルキア。それに対してシルは静かに目をそらした。

「こっ、これはどういう……⁉︎」

「…その、ミア母さんに知り合った方をお呼びしたいから、たっくさん振舞って上げて、と伝えたら……いつのまにか尾鰭がたくさんついた話になっちゃって……」

「そ、そんなぁ……」

「……意図的にこうしたとしか思えないが」

「私、応援してますからっ!」

「まずは誤解を解いてくださいよ、シルさん!」

「…俺達のファミリアは貧乏だ。そこまで出せる金はあまりないぞ」

「お、お腹が空いて力が出ないー…朝ごはんを食べられなかったせいだー」

「うっ⁉︎」

「……」

二人の言葉にわざとらしくお腹を抑え、天に右手を仰ぎシルは言った。その言葉を間に受けたマナは呻き声を上げ、それが芝居だということをわかっているルキアは呆れたのか反応しない。

「ふふ、冗談ですよ。ちょっとだけ奮発してくれるだけでいいんで、ごゆっくりしていってください♪」

シルは舌を少しだけ出して、茶目っ気たっぷりにそう言って仕事に戻っていってた。

「……ちょっと、か」

早速ルキアはメニューを見る。値段的には普通の店より少し高いらしい。

今回持ってきた金額は4000ヴァリス。二人で2000ヴァリスもあれば十分だろう。そう考えたルキアは考えを改めなければならないことを悟った。

「……ミートスパゲッティと豚肉の香辛焼きを」

「えっと……私は、カルボナーラと、サラダ、アルヴの聖水をお願いします。えっと、全体的に少なめで…」

「あいよ!」

ルキアは二品で780ヴァリス、マナは670ヴァリスかかった。今までで一番高い夕食になったな、とルキアは思った。

女将に料理を頼み、待つこと十分。早速パスタとマナのサラダが出てきた。

「あんたの肉もすぐ出来るから待ってな」

「分かった」

「酒は?」

「……いらん、マナと同じものを頼む」

「釣れないねぇ」

パスタを食べ始める二人に仕事がひと段落したのか、シルがルキアの隣の席にやってきた。

「…仕事はいいのか?」

「キッチンの方は忙しいですけど、給仕の方は十分間に合ってますので。良いですよね?」

シルがそう言って女将に聞くと、女将はニヤリと笑いながら頷いた。

「えっと、今朝はありがとうございました!美味しかったです」

いえいえ、頑張って渡した甲斐がありました」

「その言葉には語弊があるように思えるが……まあいい」

追加でルキアの豚の香辛焼きが届いた。

「楽しんでますか?お二人とも」

「……少しはな」

「とても楽しいですね。あんまりエルフの里では味わえない体験ばかりですし!」

「しかし……この店は何か他と違うように思える。お前以外の店員一人一人が何かに秀でているんじゃないか?……主に、戦闘面で」

「……よくわかりましたね。その通り、この『豊穣の女主人』は元冒険者や訳あってここに厄介になっている冒険者の集まりなんです」

「そうだったんですね…」

「……特にヤバいのはドアーフの女将だが…」

「ミア母さんも元冒険者だったんです。結構凄腕の」

「…なるほどな」

ルキアの言葉を肯定し、この店が凄腕の冒険者の集まりだということを告げる。

「……シル、お前はそんな感じはしないがな」

「それはそうですよ。私、一般市民ですから」

話は進み、シルが何故この店で働いているかという話になった。

「このお店、結構お給金いいんですよ?」

「シルさんは一人暮らしなんですか?」

「……まあ、そうですね」

「…大丈夫なのか?ここの一人暮らしはかなり危なっかしいだろう」

「いえ、そうでもないです。泥棒に入られたことだったただの一度もないですし」

「そうか。周りの奴のお前を見る目が何か怪しい気がした」

「ご心配、ありがとうございます♪」

食事を進める二人に笑顔で話すシルにマナも笑顔になった。

「すごいですね。やっぱり人がたくさんいると、なんだか楽しいと感じちゃいます」

「私もですよ、マナさん。知らない人と触れ合うのが、なんて言うか、趣味になっちゃって………心が疼いて来ちゃうんです」

「俺にはその感性は分からんが……なんとなくわかる気もする」

ルキアがパスタを食べ終え、豚の香辛焼きを本格的に食べようとナイフを取った、その時、団体の客が入ってきた。

「予約したお客様のご来店にゃ!」

その団体客はテラス席と店の中央のテーブルの二手に分かれて座った。

一人は、小人族(パルゥム)の少年。柔らかい黄金色の髪に、湖面のように澄んだ碧眼。その幼い外見からは何か落ち着いた大人の雰囲気、そして、深い理知が感じられる。

一人は、筋骨隆々のドアーフ。彼を見る誰もが『彼は歴戦の戦士だ』と口々に言うだろう。

一人は流麗なエルフ。翡翠色の長い髪に同色の瞳。先程のドアーフは『武』、このエルフを一文字で表すならば『知』であろう。

一人は、狼人(ヴェアウルフ)の青年。灰色の髪に霞んだ金色の瞳、そして、鋭い毛並みの耳と尻尾は狼の血が混じっていることを主張している。左頬には雷のような刺青(タトゥー)が入っている。

一人は、天真爛漫なアマゾネスの少女。腰にはパレオ、胸は薄い布一枚だけと、かなり肌の露出が多く、いかにもアマゾネスらしい格好だ。褐色のスレンダーな身体から活発さが見て取れる。

一人は、先程の少女と瓜二つのアマゾネスの少女。違う点と言えば、長い髪と豊かな胸だろう。彼女も先程の少女と同じように露出の多い服を着ている。

一人はエルフの少女。山吹色の長い髪に水色の瞳。もう一人のエルフと同じような魔導師系の服を着ている。

一人は朱色の髪の少女。糸のように細い目は表情を明るくしている。他のものとは違う、神の雰囲気を感じる。

そして_______

最後…朱色の髪の少女の後ろにいるのは、金髪金眼の少女だった。砂金のように薄く輝くその存在はその店の中でも異彩を放っていた。

そう、彼女の名は『アイズ・ヴァレンシュタイン』。二つ名は『剣姫』。都市最大のファミリア、『ロキ・ファミリア』の一人。若干16歳にしてレベル5に達し、ダンジョンの最前線を行く強者。

そう、彼女達一行こそが_____

 

『ロキ・ファミリア』だった。

 

 

 

 




次回《強者の宴》
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。