今回は、あのハーフエルフさんが登場です。(名前は出てきませんが)
それではどうぞ!
オラリオの中に荘厳な
それは、ギルドの本部で、主神であるウラノスが地下でダンジョンに向かって祈祷を捧げている。
そんなことはオラリオに来たてのルキアには知らない事だった。
「…ここがギルド本部か」
ルキアは物怖じせずギルド本部へと入って行く。
ギルドの制服を着た職員が受付で冒険者らしき人物と会話したり、紫色の透明な石……魔石を換金している。
そして、ルキアは迷わず、受付の方…唯一空いてるところに歩みを進めた。
「こんにちは、ようこそギルド本部へ。今日はどんな要件でしょうか?」
丁寧に挨拶して着たのは、とても綺麗な女性だった。
ブラウンカラーの髪に、エメラルドグリーンの瞳。顔は整っていて、眼鏡をかけている。特徴的なのが、尖った耳。ルキアは瞬時に彼女がエルフなのだと悟った。
「……冒険者の登録、か何かをしたい。そういうのはあるのか?」
「冒険者の登録ですか……分かりました。少々お待ちください。」
その職員はルキアの『冒険者登録』という言葉に少し戸惑いながらも、二枚の紙を持ってきた。
「これが冒険者登録書です。お名前と年齢、性別などをお書き下さい」
そう言われて差し出された紙を見てルキアは思わず顔をしかめる。
「……」
ルキアは長い間監禁されていて、文字など全く書けない。読みもほとんど出来ないので、何が書いてあって、何処に何を書けばいいか……それら諸々が全く分からないのだ。
「……すまない、何処に何を書けばいいのか教えてくれ。あと文字の書き方も。」
「……へっ?」
仕方なくエルフの職員にそう頼むと、変に間抜けた声を出してルキアを見た。
「……分かりました」
「……理由は詮索しないでくれ」
「まずここがお名前を書く欄で……貴方様のお名前は?」
「……ルキア。ルキア・クラネル。」
とその職員は懇切丁寧に教えてくれた。
「それではここに年齢を……14歳ですね。そして、ここに性別を……クラネル様は女性ですので、こっちの右側に丸を……」
「……?」
その時だった。その職員がルキアのことを『女性』だとのたまったのは。
「……俺は、男だ」
「はいっ?」
なぜ間違えるんだ。そう思っているルキアだが、ルキアの容姿を見れば誰でも女性だと言ってしまうだろう。
長い空色の髪に
「……し、失礼しましたっ!申し訳ありません!」
「…いや、いい。それより、全て書いたぞ。これで終わりか?」
「いえ、あと一枚ございます。これがファミリア所属の登録書になります……クラネル様はもうファミリアに入団しましたか?」
「いや、まだだ」
「では、ファミリアに入団して、主神にこれを書いてもらって下さい。もちろんクラネル様が書く欄もございます。
「……わかった。じゃあ、行ってくる」
「はい。行ってらっしゃませ。ファミリア所属登録書はクラネル様が持っていて下さい。冒険者登録書は私がお持ちしておりますので」
「……ああ」
「お気をつけて、行ってらっしゃいませ。」
その職員は笑顔でルキアを見送ってくれた。
「……また、話しかけなきゃならんのか。」
ギルド本部を後にし、メインストリートに出たルキアは一つため息をついた。
次回『少年と女神』