今回は主神登場!ヘスティアじゃないです。
短いですが、どうぞ!
ギルド本部を後にして三時間後。
ルキアは途方に暮れていた。
あれから百を超えるファミリアのホームを訪ね、入団させてほしいと交渉したが、受け入れてくれるファミリアは一つもなかった。正確にはルキアの性別を知った途端に、だが。
「……どうするか…」
地面にへたり込み、他に行くファミリアは何処だったかを思い出そうとした、その時。
「おい、お前。こんなとこで何してんだ。」
低く掠れた声が聞こえた。
「……」
「おい、聞いてんのか!」
上を向くと、目の前にいかにもと言うような人相の悪い男がいた。その後ろには2人の細い男。
ルキアはその男たちの目を見て、悟った。『コイツらは俺から金を集ろうとしている』と。
「おい、兄ちゃん。金、持ってるか?」
「……だとしたらなんだ?」
「…その金、俺に寄越してくんねえか?」
案の定だ。
「まあ、断るってんなら…それ相応の覚悟をしてもらうけどよぉ」
「……」
面倒くさい。3対1…不利だ。相手は人間だ、ゴブリンとは違う。
「ああ、言っとっけどよぉ……俺はLevel.2だぜ?勝てるわけないと思うがなぁ…」
Level.2。世に言う、『上級冒険者』だ。俺はファミリアにはいったわけじゃないから、Level.1にも劣るだろう。そんな俺がコイツに勝とうなんざ、無理だ。だが、アミッドからもらったこの金を奪われるわけにもいかない。
「……」
よって、板挟み。
さて、どうしたものか…と、呑気に次の行動について考えていた時。
『やめなさい!』
この男達に向けて、命知らずな言葉を吐いた女がいた。
朱色の長い髪と白藍の瞳。背丈は多分、俺よりも少し低い。顔は人間とは思えないほど整っている。
『何をしているの!今すぐその子にカツアゲするのをやめなさい‼︎』
「なっ……まさか、神かっ⁉︎」
神。俺達下界のものではたどり着けない、
『このまま続けるようなら、ガネーシャファミリアを呼ぶわよ!』
「チッ、お前ら、行くぞっ」
「「は、はい⁉︎」」
その女神の警告に男たちは渋々この場を去って行った。
『全く……貴方、大丈夫?』
その女神はルキアに近づき、声を掛けてきた。
『怪我はない?』
「……ああ」
『家まで送ってあげましょうか?』
「俺は子供じゃないし、家はない」
女神は心配して聞いてくるが、ルキアはうざったらしいと言わんばかりに言い返す。
『私からしたらみんな子供なんだけど……って、家がない?まさか、オラリオに来たてなの?』
ルキアの言葉に女神は少し驚きながらも問うてきた。
「だったらどうした」
『…そう……私も、下界に来て一週間も経ってないの。一緒ね、私達。』
「……さっさと要件を言え」
『へっ?』
女神はルキアの不意打ちを食らい、口を開けて驚く。
「何か言いたいことがあるだろ。さっさと言ったらどうだ?それに、最初から見てたんだろ」
ルキア最初から女神の視線に気づいていた。80件近くのファミリアに入団交渉した時からだ。
『ば、バレてたのね……じゃあ、単刀直入に言うわ』
女神は間を開けてこう言った。
『貴方、私の眷属にならない?』
眷属、と言うことは即ちファミリアに入ると言うことだ。まさか、神の方から勧誘を受けるとは思ってもいなかったルキアは目を見開いて女神を凝視する。
『私、まだファミリアも作ってなくて……もちろん、構成員はゼロ…』
自分にしてはうまく行きすぎている、と頭では思いながらも、ファミリアに入らなければ、働くことも出来ない。
「……じゃあ、頼めるのか」
ルキアはその勧誘を承諾した。
『えっ⁉︎本当に⁉︎』
「……それとも入団するなと?」
『違うわ!初めての眷属が出来たのよ!嬉しいに決まってるじゃない!』
「…うるさい神だな」
『じゃあ、自己紹介からね』
「……ルキアだ。ルキア・クラネル」
『私はエオスっていうの。よろしく、ルキア!』
こうして、少年が紡ぎ、女神が記す…《
次回『少年と助言者』