FGO脳ザビ子が行く、リトライ不能Fate/EXTRA紀行   作:藻介

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エクシエです。
前回間違えたのは、別の投稿サイトのアカウント名でした。すぐ直します。

ではどうぞお楽しみください。


一回戦

chapter3 二周目

 

「甘い!」

 

 アーチャーがエネミーに両手の中華刀を振り下ろす。ダメージ数値は、手元の端末によると『14』とのことらしい。

 

 強いのか弱いのか分かりにくい。

 

 いや、たぶん強いんだろう。だってあんなにすごい筋肉しているのだし。

 

「気を抜くな、マスター!」

 

 フラグだった。エネミーはまだ倒れてはいない。何とかしのぐ。

 

 さて、次はと。1、3、4、6手目が分かっていて、それ以外が分からない。体力的にも短期で済ませたいところだが、ここは。

 

「せい!」Attack 13ダメージ

 

「打ち破る!」Break 15ダメージ

 

「しまっ」

 

 Attackの体勢に入っていたアーチャー。しかし、エネミーの行動はGuard。もう、アーチャーは体制を変えられない。

 

 別にそのまま殴ってしまっても構わんのよ。アーチャー。

 

「ソイヤッ!」shock(64) 50ダメージ。

 

 エネミーはアーチャーが殴る間もなく、ノイズになって消えた。

 

 完全に空ぶったアーチャーは、とんでもなく微妙な顔でこっちを見てくる。

 

「ごめん。譲渡資金(引継ぎ)があること言うのすっかり忘れてた」

 

 そのあと、魂の改ざんというのをするまで、私がコードキャストを使うたびにアーチャーは、悔しさを交えた微妙な表情でこっちを見てきた。

 

 ごめんて。ほんとごめんて。

 

 

chapter4 周回

 

「しかし。君は本当に精がでるな」

 

「やだ、アーチャー。セクハラ?」

 

「ちがう」

 

 どうだか。

 

 マイルーム。一回戦の対戦相手は予選で親友(というロール)だったシンジだ。

 

 今日のアリーナ探索も終わり、今は休憩を兼ねて、作戦会議をしている所。

 

 あらかた今後の方針を互いに話し合ったところで、アーチャーが言った。

 

「アリーナ探索に余念がないな。と言ったんだ。君、妨害が無ければ、いつまでもレベリングしているだろう」

 

「いつまでもはしないよ」

 

 ちゃんと目標を決めてやっているだけだ。

 

 デフォルトで最弱とのことらしいので、他の二倍はがんばらねば、とうてい生き残れるとは思えない。

 

「めざせ、レベル上限値(レベル99)!」

 

「目標が高いのは悪いことではないさ」

 

「めざせ、脱筋力D!」

 

「私の設定上の筋力はCだ」

 

 設定上では意味がないだろうに。こういうのは、実現してこそ意味があるのだ。

 

「とりあえず、目標一日4レべで行こう」

 

「まあ、いいがな。あまり根をつめてもいかんぞ」

 

 おや、心配してくれているのだろうか。この一見皮肉屋に見えるサーヴァントにしては珍しい。今夜は何かいいモノでも降ってくるのだろうか。

 

「大丈夫。もう一周アリーナを回るごとに、リンゴをかじることにならないだけ百倍マシ」

 

「何をわけの分からないことを言っている、マスター。はあ……、ひとまず、これでも受け取って休みたまえ」

 

 プレゼントが降ってきた。

 

 なにこれ。濃縮エーテルと、礼装? 譲渡資金の中に同じものはない。『赤の紋章』か。

 

「アイテムは運営(ムーンセル)からだ。君の通算移動歩数が一定数に達したことの記念らしい」

 

 ムーンセルは、万歩計だった! 

 

 いや、未来予想どころか未来選択すら可能(だとレオに聞いた)なムーンセルのことだ。こんなの、作業中の暇つぶしに消しカスをこねているようなもの、もしかしたら、それ以下かもしれない。

 

「そして、礼装は私からだ」

 

 アーチャーから?

 

「エネミー討伐数が300に到達した祝いと、君の日々の努力への、せめてものねぎらいを兼ねてな」

 

 アーチャーも、万歩計だった! いや、討伐数だから万歩計とは違うのか。

 

「ていうか、数えてたんだ。豆だね、アーチャーも」

 

「まったくだ。覚えておくだけで一苦労だったぞ。本来それは、三回戦、はやくとも二回戦で渡すつもりだったものだ」

 

「そっか。ありがとう、アーチャー」

 

「うむ。さて、今日は休むといい」

 

「いやいや、せっかくアーチャーがくれたものだし、さっそくつけてみるよ」

 

「む、……、そうか」

 

 おや? おやおやおや? 今デレたか? 今デレたかこの赤いの? そうかそうか、そんなにうれしかったか―。愛いやつめ。おっと、先輩の奥さんの口癖がうつってしまった。

 

 そうと決まればいち早く装備しよう。えーと、端末のEquipのところから操作して、……アレ?

 

「ねえ。アーチャー」

 

「む、なんだ。マスター」

 

「コレ、むっちゃ弱いんだけど」

 

 つけるとしたら、MPが増えるかわりにshock(64)かheal(16)のどちらか、外さなくちゃいけなくなる。それは、正直いって、探索上かなりきついです。

 

「マスター」

 

「なに? アーチャー」

 

「地獄に落ちてみる気はないか?」

 

 ごめんて。ほんとごめんて。

 

 とりあえず、部屋に飾ってみた。タイガー鉢植えに隠れた。

 

 

chapter5 真名

 

 時はすこしさかのぼって、対戦相手発表直後。シンジと改めて顔を合わせた後のことだ。

 

 それまで姿を消していた(霊体化というらしい)アーチャーの一言である。

 

「まったく、これもまた、運命というやつか」

 

 そして、そこからすこし、時間を今に近づけて。

 

 レオのサーヴァント、セイバー。真名は自分から明かしていたところによると、かの名高い円卓の騎士、その中でも日が出ている時には主君のアーサー王さえ上回るといわれた、ガウェイン卿だった。

 

 そんな彼を目にして一言。

 

「まさか、彼女の関係者もこの聖杯戦争にかかわっているとは。いや、当然といえば当然か」

 

 その後も、アーチャーの身の上つぶやきはたびたび出てきた。

 

 そのたびに、私は思ったのだ。

 

(このサーヴァント、真名隠す気あるんだろうか)

 

 真名を隠すことの重要さは、聖杯戦争に参加するマスターならば常識であるらしい。実際、上のような発言をしていたアーチャーも、人前にはあまり出ようとしないし、あまつさえ、マスターである私にすら隠す始末だ。

 

 つまり、真名とは、知っているだけで、そのまま勝利に直結し。また、知られるだけで、敗北、つまり、確証はまだないが、そのまま死へとつながりかねない、強力な情報(マトリクス)なのだ。

 

 その断片を、アーチャーは要所要所で漏らしている。

 

 実は、私も心当たりがないわけではない。

 

 覚えていることの中に、なぜかあったとあるゲームの記憶。その中に、アーチャーと瓜二つの人が出ていたような気がするのだ。

 

(まあ、さほどあてにはならないだろうけど)

 

 たとえどれだけ似ていようと、ゲームはゲーム、現実は現実だ。一緒にするべきではない。

 

 それにあれだ。アーチャーがネームレス・レッドとか名乗って変なマスクかぶるわけがない。

 

 サンタムとか名乗って、変なマスクをかぶって子供たちの前に立ちはだかるわけがない。

 

 真田エミ村とか名乗って、六文銭が描かれた変なマスクかぶってお城を魔改造するわけがない。

 

(うん。やっぱりあのエミヤとかいう変な人と、私のアーチャーは別人だ!)

 

 とは思いつつも、私もやってみたいことはあるのだ。

 

 そして、今。苦労の末、シンジのライダーをあとすこしというところまで追いつめた。

 

 その時に、アーチャーは抜かしたのである。

 

「やはり、名前というのはこうも人を縛るものなのだな」

 

 決心がついた。

 

「アーチャー、あれやって! あいあむざぼーんおぶまいそーどってやつ!」

 

 アーチャーがこけた。その上をライダーのカルバリン砲の弾が通り過ぎていく。幸運上げておいてよかった。

 

 その後、どうにか勝ちをもぎ取れた。

 

 シンジがガチで死んだ。めっちゃ泣いた。放っておけというアーチャーをgain-str(16)で殴った。

 

 大丈夫だ、シンジ。君のことは何があっても忘れない。

 

 本当だよ。嘘なんかじゃないから! 絶対!

 




一方そのころ一周目ザビ子さん

「あれ、おかしいな」

「どうしたのだ。そうしゃよ」

「いや、大したことじゃないんだけどね。やってたゲームのデータがどっかいっちゃって」

「む。もしやそれは、余が3人くらいでてくるというアレのことか?」

「そう、それ。いろいろがんばってセイバー全種宝具5、スキルマ、100レべまで育てたんだけど」

「ぜんぜん大したことでなくないではないか!」

「うーん。どうしよ」

「む、そうしゃ、確かそのゲームは引継ぎ設定、というのができたのではなかったか?」

「あ、そういえば。よかった。ナンバーもパスワードもひかえてある」

「よかったな。そうしゃよ」

「うん。ありがとう。ネロ」

(それにしても、消えたデータどこに行ったのだろう)

~~~~

「はっくしょい!」

「色気のないくしゃみだな、マスター。やはり根性ではだめか、帰ったら、何か暖かいモノでも作ろう」

「ありがとう、アーチャー」
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