FGO脳ザビ子が行く、リトライ不能Fate/EXTRA紀行   作:藻介

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エクシエです。
今回からリンルートに入ります。分岐シーンを省略したのであらかじめご了承ください。

それでも良ければ、お楽しみください。




四回戦

ステータス(四回戦終了時)

 

 

・岸波白野 

 ・マスターレベル 44/99

 ・MP 388

 ・装備 開運の鍵(boost-mp(40),gain-lck(32))

      (マスターMP40上昇、サーヴァントの幸運(クリティカル発生率&弱体耐性)強化)

     破邪刀(boost-mp(60),shock(64))

      

・アーチャー

 ・HP 2649

 ・MP 398

 ・筋力B(86) ・耐久B(100) ・敏捷C(59)

 ・魔力E(16) ・幸運D(41)

 ・スキル 8/8

  ・鶴翼三連 消費MP50

  ・赤原猟犬・耐久低下 消費MP30

  ・赤原猟犬・腕力低下 消費MP30

  ・偽・螺旋剣 消費MP70

   (敵に投影レベル依存の貫通ダメージ。投影レベル3以上で使用可能)

  ・投影準備 消費MP10

  ・熾天覆う七つの円環 消費MP60

  ・構造強化 消費MP20

  ・構造把握 自動発動

 ・宝具 0/1

  ・―――――

   (―――――)

 

 

chapter5 理想の大きさ

 

「おめでとう、マスター。アリーナのアイテム、その半数である50個を回収し終えた。これに懲りず、精進したまえ」

 

 言峰のちょっとした趣向——おかげで一度対戦相手に出くわし死にかけたが——を何とか終え、日課のレベル上げをしてから、何とか帰還した5日目の終わり。また一つ、アーチャーの総合的万歩計疑惑が深まった。

 

 でもまあ、この赤いのの真面目っぷりも今更ではあるし、むしろ頼もしいと思えるようになってきたのも事実。

 そんなわけで、私はというと、アーチャーの人となりよりもアイテムの方。半数を集めきった。そのことにちょっとした達成感と、安堵を覚えていた。

 

 つまり、油断していたのだ。だからこれは、その油断から出たものであって、別に日頃もやもやしていたとか、そういうものでは断じてない。その辺り、勘違いをしてほしくはない。

 

「ところでアーチャー、リンとはどういう関係なの?」

 

 がっちゃん、どっちゃん。

 

 私がいい終わるか否か、何かが激しく崩れる音がした。アーチャーだった。アーチャーが、椅子代わりに積み上げた机を豪快に崩して、頭と足の位置を入れ替えている。

 突然の相棒のあり得ない体勢に驚きつつ、頭では、ああこいつやっぱりと思う自分がいた。

 

「……マスター。近くで電波異常が発生したらしい。私はよそ見をしていて対処できなかったが、君の方は無事か?」

 

 居住まいを整えつつ、赤いのはそう平気な顔をしてうそぶく。どうやら、聞いていなかったふりを貫くつもりらしい。

 

 だが、相手が悪い。このあきらめの悪さに定評のある私、岸波白野に持久戦を持ちかけるなんて、愚の骨頂というやつである。

 すかさず追撃をしかけた。

 

「アーチャー、リンとはどういう関係なの?」

「…………」

「アーチャー、リンとはどういう関係なの?」

「…………」

「ねえ、アーチャー」

「…………」

「リンとはどういう関係なの?」

「……………………はあ、そんなに知りたいかね」

 

 試行回数3回とか、こいつ、チョロい!

 

 とかなんとかいったら間違いなくげんこつとだんまりのコンボが来るので、のどの奥で押しとどめて。

 

「うん。知りたい」

 

 素直な気持ちを吐き出してみることにした。

 

「アーチャー。リンのことを話に出すとき、いつも遠い目をしてたから」

 

 まるで、過去の一点を見つめているような瞳だった。アーチャーの灰色の瞳。そこには、もう戻れない、アーチャーにとっての幸せな過去がある気がした。それは、私にはないものだ。だから、その一つであるかもしれないリンとの関係について、アーチャーにどうしても聞いてみたかった。

 

 そこまで思考が巡ってきて、ようやく分かった。私は嫉妬していたのだ。私には無い過去を持つ、リンに、アーチャーに、その暖かな記憶に。

 

 やっと、心のもやもやが晴れた気がする。やはり悩みは人に聞いてもらうのが一番らしい。

 

 いつの間にか俯いていた顔には、いつの間にか温かい涙が張っていて、それを気づかれないように拭ってから、答えを聞こうとアーチャーに向き直る。

 

 さて、当の本人の第一声は。

 

 

「フッ」

 

 

 なんとも微妙な表情でした。明後日の方向への嘲笑すらかましている。

 

 おい、ここまでのシリアスを返せよ。

 

 危うく装備ストレージからお仕置き用のgain-strength(16)を取り出しかけたが、その嘲笑が別に、私へ向けられたものではないことに気づき、すんでのところで引っ込めた。この鋼の自制心には自分でも花丸をあげたい。

 一方アーチャーは、同じ表情のまま、まるで思い出したくない記憶の蓋が開いてしまったように——たぶん、事実そうなのだろう——言葉を吐き出す。

 

「君はどうやら勘違いをしている」

「そうなの?」

「ああ、私とあのあかいあくまに何か因縁があるのかだと? そんなもの、犬にでも食わせてしまえたらどんなに良かったか」

 

 つまり、当たりだったのか。じゃあ勘違いってなんだよ。

 

「辺り一面に宝石をばらまいて教室数部屋を破壊、さらにガンドの連発でついで数棟も破壊。血潮は金で心は脳筋。抱えた借金は数知れず。肩代わりにオレのバイト代からいくら引かれたか額を計算しただけで胃がよじれる。しまいにテムズ川になんかよくわからん理由で投げ飛ばされた日には死を覚悟した。それほどに、トオサカリンとは淑やかさからかけ離れた存在なんだ」

「へ、へえ」

 

 ぶっちゃけ、よく分からない単語ばかりで理解が追い付かなかったが、とりあえずムーンセルが緊急で支給してきたこのテロップを出しておこうと思う。

 

 ※当サーヴァントの言動には、日々の疲れ、その他精神的ストレスからくる妄言が多分に含まれており、実際に起こったこととは異なる場合があります。もし、読者の皆様が勘違いをなさっても、著者は一切責任はもちません。あらかじめご了承の上、ご自身で調べてみることをおすすめします。

 

 うん。テロップの内容もさっぱりだ。

 

「つまりだ。私がトオサカリンに対して何か特別な感情を抱いているといったことは断じてない」

「な、なるほどー」

「それにだな、もっとこう、ふくよかなくらいが女性は」

 

 …………ん? あれ、今なんといったこの赤いの。

 

「えーと、アーチャー? もっと、何だって?」

 

 聞いていなかったのか、と、数分前の自分を棚に上げてアーチャーは、ご丁寧にもその無骨な手で(何のとはいわないが)ラインを描き始め、そこでようやっと我に返ったのか空中にあった手を膝の上へと戻した。

 

「……いや、これ以上はお互いのためにもやめておこう」

「そうだね」

 

 とはいいつつも、gain-strength(32)で目の前の赤だるまは制裁。

 光ってうなる二本指がクリーンヒットし目をラ〇ュタごっこをするアーチャーの横で、私はひそかにバストアップを決意したのだった。

 

 

 いや、それにしてもあのライン。サクラレベルとか、無理ゲーの香りしかしないが。

 

 

chapter6 怪物

 

 四回戦の対戦相手はこれまで以上に異質な相手だった。何せ相手マスターのランルーくんに、

 

「オイシソウ」

 

 と、初対面でいわれたのだから、ユリウスの殺気とは別ベクトルで危険を感じた。

 

 とりあえずその日の夜からは多少無理をしてでもアーチャーに起きてもらっていた。

 

 アーチャーもこれには賛成してくれていて、私同様に、警戒を強めていたように思える。

 たぶん、二日目、アリーナで会った時のランサーの「どっちでもいける」発言が原因だろう。それをアーチャーにいったら、脳天チョップを食らってしまったが。わりと私としてはマジだったんだが。

 

 じゅるり。

 

 また、情報が集まりにくかったのもある。

 

 スキル「信仰の加護」の存在まではすぐに分かった。けれど、そこから先が長かったのだ。

 

 信仰の加護は、一つの宗教の英雄的存在に与えられるスキルだ。つまりそれに当てはまる人物がランサーの真名である可能性が高い。

 

 けれど、宗教も星の数ほどある。今地上にどれだけ残っているかは分からないが、英霊の座に時間の観念はない。過去、なんなら、未来の宗教でもありうるわけだ。これ以上、特定のしようがない。

 

 そんな中で迎えた四日目、言峰の課したコンペティションは、リスクこそあれ、私たちには必要なものだった。

 

 アリーナ第二層に出現するワニ型エネミー、MAN EATERの討伐数を競うそれ。賞品は敵サーヴァントの情報。思い返せば、一回戦終盤、シンジとの貨幣集め競争の発展形ともいえる。

 

 その流れで、マップ内に宝箱とエネミーの出現位置を表示する礼装「遠見の水晶玉」、移動速度上昇を付与できる「強化スパイク」を装備。対象エネミーをマップに登録していざ開始。

 

 と、意気揚々と狩りを始めたまではよかったのだが、いきなりランサーたちに遭遇、する前に何とか、アーチャーがどこからともなく取り出した透明マントみたいな布で隠れることができた。

 隙間からのぞき、串刺しにされたエネミーの内側からさらに、別の杭が飛び出してきたのを見た時は、思わず悲鳴を上げそうになって、アーチャーの手で口をふさがれたのを憶えている。

 

 結局、できる限り会わないよう、ランサーの位置もマップでチェックしながら、できるだけ多く狩った結果。8対4で勝利。

 

 アリーナで一度やり合った時に得た情報と合わせて、これでどうにか敵ランサーの真名がルーマニアの串刺し公ヴラド三世だと分かった。

 

 そして迎えた決戦当日。

 

「アーチャー!」

 

「了解した。トレース、オフ。赤原を行け、緋の猟犬!」

 

 マトリクスをうまく使い、戦況としてはなんとか、こちらが優勢に立ち回れている。

 

 ランルーくんが使うコードキャストのデバフ、特に、seal-break(Break封印)をそのつど所持限界まで貯めた治療薬(ドロップ品)ではがし、スキルで威力の上昇しているGuardを多用するランサーに、容赦なくBreakを叩きこむ。

 

 継戦能力の高いランサーの動きも、目に見えて鈍くなってきている。決着は近いはずだ。

 

「……っ! マスター!」

 

 そう思ったのもつかの間、膨大な魔力が、ランサーから放たれた。宝具を使う気だ。

 

 まずいかもしれない。

 言峰から受け取った情報では、ランサーの宝具「串刺城塞(カズィクル・ベイ)」はGuardを貫通してくるとのことだった。熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)で防げるかどうかは分からないが、もし防げなければ、一気に形勢逆転されてしまう。

 

(アーチャー! shock(64)で一瞬だけ動きを止める! その間に仕留めて!)

 

(了解だ。一気に行くぞ、マスター!)

 

 念話を切って、目の前に集中。

 

 相手の魔力がたまり切るまでの時間を計算。カウント、5、4、3、2、1、今!

 

「いっっけーーーーーーーーー!」

 

「地獄のぐげ———っぬう!」

 

 苦痛に顔をゆがめたランサーの手から槍が滑り落ちた。

 

「やって! アーチャー!」

 

 渾身の魔力を右手にため、高く飛び上がるアーチャー。その右手には刀身がドリルのように尖ったいびつな剣が握られている。

 

「——我が骨子は捻じれ狂う(I am the bone of my sword)

 

 それをもう片方に持っていた黒弓につがえ、限界まで引き絞り、発射。

 

偽・螺旋剣(カラド・ボルグⅡ)!」

 

 剣、いや矢はまっすぐにランサーの心臓へと迫る。瞬間勝利を確信したが、すぐにそれが甘かったと思い知らされた。

 

 ランサーがその両腕で挟み込むように受け止めていた。先端が数センチ刺さっているが、どう見ても致命傷ではない。

 

「うそ…………!」

 

 ランサーの自慢げな笑い顔がこちらを向いた。胸に矢を刺さったままにしながら、落とした槍を拾いこちらへと突貫してくる。

 

「よけて! アーチャー!」

 

 アーチャーはまだ着地できていない。このままでは、おそらくよけるどころではないはずだ。それに気づけなかったことが悔やまれる。

 

 思わず目を背けそうになった、その時だった。

 

「……壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

 アーチャーの小さなつぶやきが聞こえた。と同時に、ランサーを中心に爆発が起きた。

 

 あれは、刺さったままになっていた矢が爆発したのか?

 

 舞い上がった砂埃が晴れるのを待つ。やっと中が確認できるようになった時、そこにはランサーの胸に中華刀を刺しているアーチャーの姿があった。

 無感動にいつもの表情を崩さないアーチャーに対して、満足げに口から血を流すランサー。

 

 胸にちくりと、槍で刺されているわけでもないのに、私はこの時小さな違和感を覚えた。

 

 アーチャーが剣を抜き、距離をとる。それと同時にむこうとこちらの間に壁が出現した。

 

 その奥で徐々に消えていくランルーくんとランサー。その姿が突然、見えなくなる。

 

 あまりにも早すぎる。そう思えば、アーチャーが私の顔を手で覆っていただけだった。

 

「アーチャー」

 

「どうした。マスター」

 

「手、どけてくれない?」

 

「……了解した」

 

 再び、視界が戻ってくる。ランサーはすでにいない。何とか最後の言葉を聞くことはできたが、その瞬間を見れなかった。

 

 やがて、ランサーの血の上で子供が駄々をこねるように、寄り縋っていたランルーくんも、がちゃりと、古いおもちゃが壊れるような音を立てていなくなった。

 

 やはり、何度やっても慣れそうにない。

 

「行くぞ、マスター」

 

「うん」

 

 振り返り、帰りのエレベーターへと乗り込むアーチャー。その背中に思わず、寄り掛かる。

 

「ねえ、アーチャー。どうしてあの時、私の顔を覆ったりしたの?」

 

「…………怪物は、怪物のままにしておいた方が、気が楽だろうと思っただけだ」

 

 それって、どういうことなの。

 そう聞く前に、アーチャーは霊体化していた。たぶん、今は問い詰めても答えてくれないだろう。

 

 心のもやもやが晴れないまま、エレベーターは校舎へと到着した。

 




特に関係もないけど一方そのころぐだ男くん

 ぐだ「ここは、誰かの夢、いやこの感じ、ジャンヌかな?」

 メッフィー「ご名答でございますマスター!」

 メッフィー(敵)「さあさあ、お早く!」

 ぐだ「これはひどい」

~次の夜~

 ぐだ「アビー! どこだー! アビー!」

 メッフィー「よびました?」

 ぐだ「ま た お ま え か」

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