GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり 作:人斬り抜刀斎
伊丹達一行が今目にしたのは、辺り一面が黒い霧に覆われた荒野の光景だった。
「なんだこりゃ・・・」
「どういうこと・・・緑の葉まま枯れている・・・!?死んで・・・しまっているわ。黒い霧に触れた生きたし生きるもの精霊までも生の営みを止めている」
テュカが辺りを周り黒い霧の近くに生えている植物の葉を手に取ってみると葉は、枯れれば鮮やかな緑色が落ち褐色になる筈だがこの葉は植物としての緑色を保ったまま枯れていた。更には、近く落ちている虫さえも生前の姿形を留めて死んでいた。
「死んでる・・・・!?まるでまだ生きているみたい」
「腐敗菌まで死んでるって事か?」
「放射能ですかね?」
「やはり何らかの毒ガスの類ではないか?」
「テュカ!皆さんも下がってください」
すると、伊丹がテュカ達を後ろに下がらせて伊丹はガスマスクを被り線量計を持って黒い霧に近いて計測する。日本は、大東亜戦争末期に原子爆弾開発実験を推し進め朝鮮半島北部で実験に成功したがその際実験使った実験動物の牛や豚や更には爆心地から数百mの塹壕で身を潜めていた兵士達が放射能を含んだチリや黒い雨に打たれ兵士達は次々と全員が放射能に汚染されてしてしまったのだ。この時はまだ、放射能が齎す脅威に気付いていなかったが汚染された兵士達の症状の不安から放射能に少々敏感になっていたのだ。
「放射線量は自然値です」
その後も伊丹は、辺りを計測するが放射能は見受けられず自然値のままだった。
「あたいが主上さんに言われてここに来た時、こいつはあそこに頭出してる丘までしかなかったです。それが今ではここまで広がっちまった」
「もしかして・・・・"アポクリフ"」
「計測の結果陰性でしたが黒い霧には触れない様に・・・・アポクリフ?」
「・・・・数万 数千万 数億と言われる年月の果て神々が去り、人々もいなくなりぃ世界はゆっくりと虚無の霧に包まれてぇ原初の混沌に帰っていくと言われているわぁ。その虚無の霧の名が"アポクリフ"」ハアー
「まだロゥリィたちだっているじゃん」
「そうよぉだがらぁこんなものが現れるはずがないのよぉ。ずっとずっとずうーーーっと先のはずなのよぉ」
そして、専門家達は、
「漆畑君これをどう見る?」
「一見するとスモッグのようですが・・・・」
「待ちな下手に深く突っ込むとてめぇの指がなくなっちまうぜ?」
と漆畑教授がアポクリフに手を突っ込もうとするとジゼルが止め木の小枝をアポクリフの中に突っ込み小枝の葉を握り潰すと粉々に砕けたのだ。
「緑の葉が・・・・」
「麩菓子みたいに砕けただと・・・・うん、透明度は四〜五センチをというところか、ふむ」
すると、養鳴は持参してきたビーカーでアポクリフをすくい上げ様としたがすくい上げる事が出来なかった。
「むむっ、ビーカーの中に入り込むのにすくい上げる事が出来ない・・・・!?これは、気体でも液体でもなく・・・・物質とも言えん"影なのではないか・・・・?"」
と、養鳴が推測すると記者として菜々美が食い入る様にマイクを向けて聞いてくる。
「なんの影なんですか?」
「そうと決まった訳ではない。これは余剰次元からの影ではないかと言っとるんだ。似非科学に聞こえるだろう儂もそう思う」
「余剰次元?SFや架空小説みたいですね。けど、この霧みたいなのが影・・・・ですか?」
「三次元においては、影は平面 二次元と認識されるな」
「あ、はい」
「しかし立体的に三次元の影が存在するのなら、余剰次元の存在を示唆する事になるのだっ」
と説明するが誰一人として養鳴の唱える理論に理解出来ていなかった。
「な、なるほどぉ・・・・わかりません」
「ええいっ頭の悪い奴!あの説明で理解出来んのかっ、胸にばかり栄養を取られおって!」
「ひえええーごめんなさいごめんなさい」
と全く理解出来ていない(実際誰も理解出来ていないが)菜々美は養鳴から頭を何度もバシバシと叩かれバカだと罵倒された。
「まあまあ養鳴教授この娘は学生じゃないんだから、私もそんな理論初耳ですよ」
「そりゃそうだ。儂が今思いついた」
「え?どうしました?」
と今思いついたと胸を張って言い、皆は唖然となり呆れたが菜々美だけがこの状況が読めていない様だった。
『この程度のこと直感で理解せんかーいっ』
と菜々美は養鳴からまた怒鳴られ叩かれる羽目になってしまったのだった。
その後、伊丹は約束通り夕食までにヘリの元に戻り炊事係が作ってくれたカレーを食べていた。中でもジゼルは、カレーライスをたらふく平らげていた。
「うめぇ!うめぇぜこれ」
(こりゃまだ食いそうだな)
(身体の何処にあれだけの辛味入り汁掛け飯を入れる胃袋があるんだもう五杯目だぞ?積んできた食糧此奴に全部食われちまうんじゃ無いだろうな)
※辛味入り汁掛け飯→カレーライスの日本語読みの事で戦前・戦時中の日本や陸軍ではアメリカとイギリスと対立していた為英語での会話やアルファベット表記が全て日本語訳にしていたが、イギリス式の伝統にしていた日本海軍では開戦後もカレーライスと英訳が使われていた。
伊丹が、ヤオの方をチラッと見る。すると、目が合ったヤオは立ち上がる。
「猊下の分お代わりですね」
「へぇ〜目と目で通じるんだぁスゴ〜イ」
「ヨウジ殿とサカエ殿が何を求めているかここで感じるのだ」
「はいはいよかったわねー」
「『ヨウジ』殿ぉ?」
「『サカエ』殿?」
「ヨウジ殿とサカエ殿とともにいる時間もだいぶ長いそろそろ距離を詰めてもいい頃だ。うん、感じるぞ。今夜あたり夜伽の誘いがあるに違いない」
「バカ!んな事ないって、あり得ねぇよ!」
「ねぇよー、ってかこっち見んな!!」
「フフッ ヨウジ殿とサカエ殿の二人は照れているのだ」
と必死で否定する二人だがヤオは照れ隠しだと解釈されてしまった。
「今夜は見張りがいるわねぇ」
「そうね」
「了解した」
「・・・・・・」
とテュカ、ロゥリィ、レレイの三人は苦虫を潰した様な顔をしてヒソヒソと話していた。
「あー神様の使徒ってのも大変だねぇ」
「・・・・・お前のせいだ」
「俺のせい?」
「炎龍だよ。あの件で主上さんにお叱りの言葉を贈っちまった。罰としてお前が来るまで、ここで黒い霧を見張れってよぉ・・・・・言われました・・・」
「もしかして飯なし?」
「雲の上のお人が下の者の飯なんか心配するかっての、最初はこの辺で獲れる物食ってたさ。けどよ、あの霧が広まるとみんな死ぬか逃げちまった。亜人じゃなけりゃ餓死してたぜ」
とジゼルは伊丹達が来るまでの自身の苦労談を話した。
「あれ・・・・何やってん・・・・スか?」
「星の記録をとっているそうです」
「ふぅん」
ジゼルは、外で天体望遠鏡で星の観測をしている白位に目をやる。一方の養鳴・漆畑教授と助手役の菜々美は、そこから少し離れた所で飯盒炊飯の蓋に日本酒を注ぎながら今後の調査の事について話合っていた。
「さて養鳴さんどう調査を進めますかね」
「本格な調査隊を編成する必要があるんだろうが、『門』によってあれが出現したと示唆されるなら『門』をどうにかせんといかんという話になるな」
「『門』が原因なら閉じる事になるんですか?」
「結論を早急に決めつけるなバカモン!『門』という現象が理解不能だというところに、ここでも理解不能な現象が起きとるのがわかって、さらに詳細な調査が必要なことがはっきりしたのだ」
「ええ・・・・それなら今門を閉じる必要ないんじゃ・・・」
「それを決めるのは政治の領域だ。だが、科学的根拠がなくとも対処を決めることがあるだろう。いずれ起こすかもしれない天災の予知とかな。まさに今地震やら恒星のズレやらあのアポクリフやらの異常が起きとる。何らかの手は打たねばいかん、わかってからでは手遅れなこともあるのだ」
「調査せずに閉じる事になったら、それも大変な損害ですからな」
すると、養鳴教授は伊丹にクナップヌイ調査の予算が何処から出ているのかを聞く。
「今村大将の部下!この調査の予算はどこから出とる?」
「特地資源調査特別予算からだったかと」
「よしっ 残りを全部こっちに寄こせ!」
「は?いや自分の独断では・・・・」
「うるさいっなんとかせいっ 研究を進めて黒い霧が余剰次元からの『影』だと考えなれるなら暗黒なる物質に対する議論にも一石を投じられるのだぞっ」
「見た目まんま暗黒物質ですもんね。例えば空間に質量以外の何が原因で歪むなら、そこに物質の存在がなくとも重力に似た現象が発生しているはず」
と養鳴教授は、特地資源調査予算の予算を全部寄こせと無茶な事を言ってきたが、伊丹は自分一人で決められないと断るも何とかしろと急かすばかりだった。
「空間が歪む事が重要?」
「むむ?」
と初めて聞く理論にレレイが興味を示した様で、養鳴教授はニヤ笑いを浮かべる。
「うむ、こちらに来たまえ説明しよう。よいか?このシートを空間とみなす、見ての通り真っ平で歪みの無い状態だ」
「あ」
と養鳴教授は、兵士が携帯していた九七式手榴弾を手に取りそしてヘリの仮設シートを開きその上に手榴弾を置く。
「しかしここに質量のある物質が存在したとする。物体の質量によってシートがたわむこのへこみこそが引力なのだ」
「・・・・物が下に落ちる現象はこのたわみ・・・・傾斜によって起こる。ならば質量が存在すると必ず引力・・・・が発生する」
「うむこれが万有引力だ」
「万有引力・・・・」
すると、養鳴教授はズボンのポケットからビー玉を取り出した。
「ビー玉ですか」
「科学や実験と言うのは一種の遊び心から来ているんだ。だからいつも持ち歩いてるんだ」
「もうそんな年頃じゃないですよ教授」
養鳴教授は、ビー玉をコイントスの様に指で弾く。そしてビー玉は、手榴弾の重りで出来た歪みに吸い込まれる様に転がっていた。それを見てレレイは、自分なりの理論を問う。
「物の存在は空間を歪ませる。・・・・その質量と大きさによっては空間の穴が開いてしまう事もある」
「こりゃまた・・・・」
「君君 この娘連れて帰っていいかね?」
二人ともレレイの観察力に驚き漆畑教授はレレイをスカウトする。
「本人が良ければいいですよ。直ぐには無理でしょうけど、因みにそれでも学者先生でしかも魔道士です」
「それに、まだ年齢も15歳ですよ」
「なんと15で魔道士!?儂の研究室に来るがよかろう。科学と魔道は表裏一体と思っとるしな」
「あ ずるいですよ養鳴さん」
「どちらの研究室がこの娘に相応しいかだろう?」
と養鳴教授と漆畑教授の二人はレレイをヘッドハンティングしようとする。
「さて質量が無ければ歪みの無い平面であるが・・・」
すると、養鳴教授はシートの下のを摘み再びビー玉を転がす。ビー玉は歪みの周りを何周も回転しながら周り最後に摘んでいる中心に止まる。
「見ての通り重力を発生させる質量は無くとも重量に似た現象がここに発生したわけだ」
「でもあそこじゃ特に重力が変だとは・・・・」
「そりゃそうだ。ここには大質量たる大地があるからな、歪みもわずかで体感できるほどでは無い」
と長々とした養鳴教授の理論を聞いていた周りの反応は、
「空間の歪みスかぁ」
「シート一枚で空間がどうとかよじょー次元がどうとかって・・・・」
と周りの日本兵達や同伴していた記者も教授の説明にいまいちピンとこない様だった。
「ま、頭の悪いお前達に理解は無理だろうな ワハハッ」
としてやったりといった感じて高笑いをする養鳴教授。
「問題は余剰次元を認識する困難さだ。儂らは横、縦、前後の三次元三軸と過去から未来と時間軸に縛られておる。そのどれでもない別種の『方向』など想像出来ん。既在の軸は共通して任意の点Pから正負双方向に無限大の広がりを設定出来る。その三次元時空は一次元 二次元と言ったこれら異次元の下位次元を内包して時間軸を進んでおる。ならば、その上位次元も同様の性質を持つであろうな」
「そうその通り、それならば私に説明できる」
とレレイが言うと
『な、なんじゃとー!?』
とそれを聞いて養鳴教授は辺りに響く大声を出した。
帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?
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『廃墟からの復活』
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『皇帝陛下万歳』
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『神よ、皇帝フランツを守り給え』
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どれでも良い