GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり 作:人斬り抜刀斎
「な、なんだとー!?ち、ちょっと待ちたまえ!お嬢ちゃんは上位次元の要素を理解しとるのか?」
レレイが次元を理解出来ると言う事に声を荒げる養鳴。
「そもそも魔法とは、三次元の外側に働きかけて物事を成す方法。三次元の外側にはエテルが存在している」
「エテル?それってエーテルの事か?」
「そうとも呼ばれる」
「あぁ・・・もう分かった続けなさい」
と養鳴に言われレレイが自身の理論を続ける。
「この世界の外側にはエテル・セテル・ケテル・フェイテルなど様々な方向軸が存在している。厳密に言えば外側ではなく重なっているが我々には感知できない。重なっているので物を投げれば落ちる三次元でこんな事が出来る」
そう言うとレレイは魔法で紐を頭上に浮かべて円形の輪を描きながら説明する。
「三次元の『現象』を切り離し『虚理』の支配するセテルに働きかけている。シートの裏には摘むのと一緒重力に関わりなく物を浮かせるのが可能」
「すごい・・・」
「だ、だが、どうやって・・・・」
「三次元とセテルは重なっているから可能」
「重なっている向こう側にどうやって働きかけておる?」
そして、レレイは紐をアンフィニ(無限)のマークを描く。そして、周りは固唾を飲んで見ていた。
「ここに二つとも存在している。三次元は全ての方向軸に含まれている。別の存在ではないすべてがここにある」
「・・・・くっ、肝心なところが半分以上理解出来ん。この娘は特地の世界の知識に基づいて魔法と言う現象を起こしておる。第五そして第六の次元軸に何を選ぶか・・・・儂には判断出来ん!だが、常々『可能性』と言う軸があるのではと考えておるが・・・・・どうだ?」
「・・・・可能性とは?」
「む、そうだな。SF小説なんぞは並行世界即ちパラレルワールドと呼んどったが・・・・」
そんな時伊丹が手を上げる。
「はい!知っています!!俺達の生活している地球は一つだけど本当は一つじゃなく次元が一つズレた所にもう一つの地球やもう一人の自分が存在している
世界の事スね?」
と伊丹は自身が知るSF小説のパラレルワールドの理論物理学の定義を話す。並行世界通称"パラレルワールド"はとある世界から分岐し、それに並行して存在する別世界の事で、『異世界』や『魔界』や『四次元世界』と違い、パラレルワールドは、私達の宇宙と同一の次元を持つ。SFの世界のみならず、理論物理学の世界でもその存在について語られている。
「それはナゥルテルの認識。そこでは世界は紐の様な姿をしていると考えられている」
「弦理論?」
「むう・・・・まだ決めつけるのは危険だ」
「その紐と言うべき存在はナゥルテル上の世界では一本ではない。根源とも言える物から無数に分岐しながら広がって行き、それぞれに下位の次元が内包されている。二つの紐が接した瞬間に出来るのが『門』通常は一瞬開いて一瞬で消える」
すると、伊丹や大葉達がレレイの理論を聞いてある事に気づいた。
「ん?どっかで聞いたような?」
「お父さんあれって・・・・」
「ああ、ハーディが言った話だ」
それは、伊丹達がロンデルに訪れた際ハーディが言っていた事だった。
「むむっ」
すると、養鳴は紐を掴んで捻り束てドスの効いた声で叫んだ。
「つまり『門』が開き続ける状態とは、二つの世界を束ねていると言うことだな?」
「無理矢理『紐』が束ねられていると言う事は・・・・」
「世界が歪む・・・・・可能性があるとしても・・・・・」
すると、話の内容にイマイチついて来れてない菜々美が先程伊丹が言っていたパラレルワールドについて養鳴に尋ねる。
「あのぉ教授?い、伊丹さんが言ってたような違う世界って、本当にいくつも存在するんですか?」
「む?そうだな・・・・ある程度の差異は一般的な結果に収まっていくだろう。儂の考える『可能性』が集約されてしまうからだ。どうかな?」
「そこまでは理解していない」
「わからぬ事は罪では無いぞ。その存在こそ研究への意欲となるのだっ!!よいか?これは白位君の分野にもなるが、惑星間の公転軌道が決まっておるのも小惑星帯が形成されておるのも、各惑星が持つ重力で起こる必然なのだ。ならば!物事の可能性にも同じ様な働きがあるのではないか?可能性世界の差異とは集約される様な微妙な物ではなくはっきりした違いが現れるのでは・・・・"それが儂らの世界と特地の世界がそれぞれ存在しうる理由なのだ"!」
と養鳴は日本と特地の存在可能性世界についての己の理論を語る。
「結局SFなんじゃないか・・・」
「凡人は理解せんでもよい。しかしレレイと言ったな娘!やはり才能のある者こそ儂の研究室に来るべきだぞ」
「・・・・・・」
(留学した時の事でも考えてんのかな?)
とレレイの頭脳に感心する養鳴はまたも自分の所に来ないかと勧誘し、レレイは何やら考え込む。伊丹は、将来的にレレイが東京帝国大学や早稲田大学などの名門大学に留学しようとしているのではないかと思った。そして気分を良くした養鳴は目を爛々とさせる。
「よし!儂は今気分がいい。ここで起きとる事を説明してやろう」
「あ、はい」
「よいか?ここで起きとる空間の歪みを日常的に儂らは体験しておるのだ」
「ええ!?その辺に異次元への扉が開いちゃうとかですか?魔の海域"バミューダトライアングル"みたい?」
「ええいっ、混ぜっ返すな!オカルト話ではないっ。異次元空間など存在せん!我々が存在するには三次元時空が必要でありその中でのみ存在が許されておるに過ぎんっ」
「ひいい」バシン
と三次元と異次元を一緒にされて怒った養鳴は又しても菜々美は頭を引っ叩かれ怒鳴られると言うダブルパンチを喰らう。
「扉を潜れるとしてもその先は特地の様な違う可能性軸上の三次元空間になるのだっ」
「じゃあ、次元断層とかないんだ」
「空想世界の住人は同じく空想世界でしか存在出来ないって事・・・・か?」
気を取り直して養鳴が説明する。
「話を戻そう。例えばこの地面平に見えてその実地球と言う球体面上だな?あまりに巨大な為歪みを無視出来るにすぎん。メルカトル図法上の大圏コースとされる地図上の最短距離を見よ。見事に曲線で描かれておる。三次元の球面を無理矢理二次元の平面にした為に空間が歪んでしまったのだ」
「半日でどうやって確認出来たんですか?」
「うむ、カメラマン!あそこで何枚か撮って現像した写真を出せるか?」
「出せますよ?ちょっと待っててください」
「これでもない、これでもない。有ったこれだ!」
養鳴はカメラマンから何枚かある写真からお目当ての写真を見つける。それは、養鳴と漆畑が巻き尺で計測しているようだった。
「結局これが一番わかりやすかったよ」
「何スこれ」
「教えて下さいよ教授〜」
「何を測っておるんです?」
周りは何をしているのかさっぱりわからないと言った感じで、養鳴はレレイなら理解出来ると思い聞いてみた。
「わかるかなお嬢ちゃん」
「二点間の長さを測るなら計測索は直線であるべき。だけどこの絵では曲がっている」
「その通り。儂と漆畑君はピンと巻き尺を張ったつもりだ。正常であればこの直線が二点間の最短距離になるな?ところが見ての通りだ。何故曲がっているんだろうな」
地面を測った巻き尺が直線では無く曲線で曲っているのか今のところさっぱりわからないと言ったところだった。
その後、女性陣(菜々美を除く)は、仮設テントの中で寝る準備の為着替えていた。そしてレレイは、如何やらずっと養鳴の理論物理学に付き合わされていたのだろうかすっかり疲れ顔だった。レレイがテントの中に入ると上顎と下顎を左右に動かして歯をギシギシと音を立てながら怒っていた。
「くやしいぃっ!!ハーディの嗤い声がぁ聞こえてきそう〜。アポクリフが世界を覆い尽くす前にはぁ門を閉じなければならないわぁ。問題はぁ全ての人間がそう思わないことよぉ」
「そうね。門で食べているアルヌスの組合はみんな反対するわ」
とアポクリフが世界に広がらない様にするには、門を閉じなければならないだか、アルヌスに住む人達は日本軍の援助の元生活が成り立っていたので、門が閉じると言う事はそれらが一切途絶えてしまうので住民達から反発があるだろうと懸念を示している。
「だからぁ人間がどうするか見てみたいなんて言ったのよぉ、ハーディのやつぅ」
「あれを見れば普通どうにかせねばとなるだろう?」
「門を閉じても再度開く事は可能。説得は不可能ではない」
「ホント!」
「冥王から報酬としてこれを授かった。触媒として使えば世界を繋ぐ穴を開ける事が出来る」
とレレイは、自身の鞄からハーディがレレイに憑依した時に伸びその後切り落とした髪の束だった。
「ちょっとぉ待ちなさぁいそれ使ったらハーディの眷属になっちゃうわよぉ!?」
「何が問題?」
「うっ!み、身内がぁハーディの眷属と見做されるなんてぇ気分悪いじゃない・・・」
とハーディを嫌うロゥリィからして見ればレレイがハーディの眷属になるのは良しと出来ない。
「また、アポクリフが起きたりしない?」
「発生原因は門を開きっぱなしにしたせいと示唆されている。適宜開閉すれば歪みも蓄積されない」
「なら閉めちゃっても大丈夫なのね?」
「レレイあなたぁ!あなた死ぬまで門番やるつもりぃ?」
アポクリフが広がらない為には、門を一度閉じる必要があるそうする事で門に対する負担を減らしてから開門する。しかし、そうなれば開閉する為の門番が必要となるロゥリィはレレイが一生門番をする事を心配する。
「そのつもりは無いだけど問題がある。無数にある世界からニホンのある世界を見つける方法が・・・・・ない。それに門を閉じるとナゥルテルが荒れる。落ち着くまでどれだけ掛かるか分からない。さらに向こうとこちらで時間の流れの差がある」
「門が開く頃にはこっちが陞神しちゃってたりぃ」
「お父さんがお爺さんになったりするって事?やっぱりダメ!」
レレイにとっては、これは一か八かの賭けだった。成功すればアポクリフを抑える事が出来る。失敗すればアポクリフを抑えるどころか門が二度と開かないどころか消滅するかも知れないのだ。
「・・・・・主上様の言った通りだ。」
「何がぁ」
「主上様は人間が決められないと仰ってました。この世界の行く末と自分達の欲得がぶつかって結論が出せないだろうって、だからこそ神が災禍を持って結論を突きつけるのだ。お姉様!何をしなければならないかもう分かってらっしゃる筈です」
「く・・・」
とジゼルにそう言われてロゥリィは、苦虫を噛み潰したよう顔をする。
「二人のことは心配ない。門の再開を条件にすればニホン政府は彼ら二人くらい差し出す筈。その為には私だけが門の開閉を出来る事にしておきたい。此処に居るみんなも賛同してくれる筈・・・・くくくっ、うん?何?」
「な、何でもないわぁ」
レレイは、服の下に着ていた鱗の鎧がシャンディの襲撃の際に穴が空いたところを裁縫道具で縫い合わせその最中に裁縫針を見ながら不気味な笑いを浮かべ周りから不気味がられる。
「あのレレイ殿?今の話だとご自身が政争の具にされかねないか?ゾルザル兄に知られたら再び命を狙われてしまうだろう」
とピニャはレレイが権力者達に利用されるのではないか、はたまたゾルザルから再び命を狙われるのではないかと懸念する。
「仕方ないが秘密には出来ない。一旦門を閉じるには門を再開出来るのをニホンや組合が知っている事が条件」
「だが、帝国正統政府は間違いなく反対するぞ。父上・・・・皇帝陛下だけで無くかつての妾でも」
「どうして?」
レレイが、理由を尋ねるとピニャの側近ハミルトンがピニャの代わりに説明する。
「それはですね。正統政府にとってアルヌスのニホン軍が頼みの綱だからです。軍事力の空白が死命に関わります。我々にとってもあの粛清の嵐を体験した者達にも」
「帝国とニホンって戦争してたんじゃないのぉ?」
「状況が変わりました」
「じゃあ、いっその事ぉゾルザル倒しちゃうぅう?」
とロゥリィは、ハルバートを振りかざしてゾルザルを始末すると提案するが、ピニャはゾルザルを倒してもまた新たな敵が出るだけと言う。
「聖下が断罪なさっても父上がレレイ殿を狙うでしょう。ゾルザル兄様が居なくなればニホンは邪魔者。父上を倒しても成り代わった者がその立場ゆえ必ずレレイ殿を狙います」
「もうピニャが皇帝になっちゃたら?」
「妾は政はもう懲り懲りなのだ。女帝になったら妾がレレイ殿の抹殺令を出さねばならなくなる」
とティカがピニャが皇帝になればと冗談半分で言うが、ゾルザル達徹底抗戦派の抗争に巻き込まれたピニャは政治とは関わりたくも無く例え女帝に成れたとしても周りの意見からレレイの暗殺をしなければならないとうんざりした感じで言う。
「くやしいぃハーディの奴こうなる事分かっててぇ・・・・恩を仇で返してぇ」
「迷う必要はない」
「レレイ殿?今、御身の命に関わる事を話していたのだぞ?」
「大丈夫。あの二人が守ってくれる。約束したから『ヤバくなったら何とかしてやる』って」
「ははぁ、ロンデルで守って貰ったからでしょ」
とティカに茶化され顔を赤くするレレイ。
「やっぱり、お父さん達が自分達を放り出してニホンに帰っちゃうとか考えてないんだぁ」
「それはきっと私より大事な何が起こった時」
「でももしそうなったらレレイはどうするの?」
「黙って死ぬそれが愛する者ゆえ」
とレレイは、何か有れば自害すると語る。よっぽどの事でない限り言えない言葉だ。
「すごい信頼・・・・」
「レレイって重い女だったのね。カァー泣かせるね」
「重い?私が?」
と感心するヤオとレレイの気持ちの重さに驚くティカ。
「そういやさっきから何やってるのぉ?」
「穴を塞いでいる必要だから」
「穴?どこ?」
とロゥリィが鱗の鎧の補修しているレレイに何をしているのか覗こうとする。すると、突然ロゥリィがレレイの服を掴んで捲り上げた。
「な・・・・何?何?何?」
突然のことに赤面して動揺するレレイ。ロゥリィは、レレイの腹を突いたり摘んだりしてくる。
「少しぃ・・・・増えた?」
「え・・・・ええ!?」
「痩せなきゃ・・・・(あいつ人の体だからって好き勝手食べて・・・)」
その後のレレイはダイエットの為過度な食事制限や運動をして元の体型に戻そうと努力する。
帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?
-
『廃墟からの復活』
-
『皇帝陛下万歳』
-
『神よ、皇帝フランツを守り給え』
-
どれでも良い