GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり 作:人斬り抜刀斎
「実は僕・・・・間諜(スパイ)なんですよ」
と古田が自分がスパイと告白するとテューレは、目を見開きながら後退りする。
「う・・・・うそ・・・・」
「では先に行きますね」
そんなテューレを余所に古田は、料理の入った鍋を持ってゾルザルの執務室に向かう。一方のテューレは、面食らって立ち尽くし扉に寄り掛かっていると、ボロウが扉の向こうから話しかけて来る。
「驚きましたでござりますよ。あのフルタが・・・・?殿下にすら逆らってみせる男ですぞ、ましてや自ら間諜と名乗る間諜なぞおりませぬ。ニホン人奴隷の移送は済んでおりますが・・・・・如何致しますか?テューレ様」
「・・・・情報は漏れたかしら?」
「あの男が自ら申し出た通りならば・・・・」
「・・・・いいわ。それならば作戦はこのまま続行します」
「フルタが間諜ならば敵は来ない、罠と知りつつやって来る者はいないという事ですな・・・・?」
「それを確かめる為にも・・・・」
「やって来たのならばきっと討ち果たしましょう。なれど・・・・テューレ様にとってはフルタが間諜である方がよろしいのでは?」
とボロウが言うと、テューレは不敵な笑みを浮かべながら同意する。
「そうね・・・・ゾルザルお気に入りの料理人が密偵なんて最高に面白いわ。ボロウ、タンスカの罠は成功させなければなりません、捕虜も欲しいわ。失敗が続くと殿下のご不興を買ってしまいますからね」
「畏まりました。フルタが嘘つきである事を祈って朗報をお待ちあれ・・・・」
だが、二人は知らなかった。この会話が既に盗聴されていることに。古田は、テルタに着いて間もなく宮殿の至る所に気付かれない様に盗聴装置を設置して情報を味方に流していたのだ。日本では、戦前から情報戦の必要性を痛感し、敵対国に諜報員を送り込んだり日本にある大使館には盗聴装置を設置して各国の動向を探ったりしている。
そして、その日の夜古田は、今日掴んだ情報をイタリカにいる柳田に無線で伝える。
「おもしれぇ名前が出て来たな、ボロウってのは帝国の密偵組織の元締めと目されている奴だ」
『予感はしていましたがテューレさんがねえ』
「そいつとゾルザルの女が繋がっているのが分かっただけでもお手柄だよ」
「彼女は心からゾルザルに従っている様には見えませんが・・・・」
「そうかも知れんが今回は本気だ。待ち伏せされているって事だな。さて・・・・拉致被害者を見捨てる訳にはいかんし、然りとて一個軍団相手はきついな、おっと」
柳田は、机に積んである地図の山からタンスカの地図を取り出して広げる。
「タンスカか・・・・」
『作戦は中止になりますか?(ぶっちゎけスパイ認定されて脱出したいんだけど・・・昼のはそのつもりでバラしたのにな)』
「いやこれは逆に好機なんだ。お前はゾルザルの女の監視を続けろ。こっちはこっちでどうにかする。何かあったら連絡してくれ」
『・・・了解』
「敵の勢力圏外まで徒歩で脱出の予定だったよな・・・・行きはよいよい帰りは怖い」
古田との通信が終わると、柳田は黒電話の受話器を取りアルヌス基地の海軍航空部隊に連絡を入れる。
「海軍さんですか?陸軍参謀の柳田中尉です。イタリカの夜分遅くに済みません。大急ぎで追加の航空写真を・・・・はい、タンスカを頼みます。今度飲みに・・・・身体?ええ大丈夫良くなりました。では、よろしくお願いします」
海軍への電話を終えると次は陸軍の整備兵に電話を掛ける。
「柳田だ。ヘリを一機回してくれないか?確か整備直前のが、もうエンジン降ろした?困ったなぁ、暇なヘリはない?ないよなぁ」
柳田は、数ある書類から直ぐに出せそうなヘリを探していた。
「どっかの作戦に割り込ませるしかないかぁ・・・・?ん?何だこれ?現地にて任務終了まで待機後帰投?居るじゃねぇか暇なヘリ、クナップヌイ?」
机の下に落ちているクナップヌイの地図を取ろうとする。デリラから受けた傷は塞がったがまだ安静にして居なくてはならない為車椅子での生活を余儀なくされた。あの一件以来デリラは、柳田の介護を勤めている。
「クナップヌイ、クナップヌイ・・・・あれか、あ、くそ車椅子で手が届かねぇくっ・・・・」
「これかい?ヤナギダの旦那」
と手の届かない柳田の代わりに地図を拾ったのは、柳田に怪我を負わせた張本人であるデリラだった。
「何だ居たのか」
「何だっとは言い草だねぇ、声掛けてくりゃいいのになんでもするからさぁ」
「フン、調子のいい事を、俺をこんな身体にした奴に介護してもらおうとは思わんよ」
「ああん!ゴメン、ゴメンよ!そろそろ許しておくれよおっ」
「ああっ暑苦しいっ、いちいち抱きついて来るな!鬱陶しい」
痛い所を突かれてデリラは半泣き状態で柳田に抱き付き柳田にした事を謝るが、当の柳田は鬱陶しかった。
「・・・・寝床じゃしつこい癖にぃ」
「余計な事言うんじゃねぇよ!場・所・を弁えろと言ってるんだ!」
「ひゃんっ」
とデリラの頭に柳田はチョップを喰らわす。そして、柳田はデリラが拾った地図を広げてクナップヌイに待機しているヘリとタンスカとの距離を調べるとクナップヌイとタンスカとの距離はそう遠くなかった。
「ったく、なんだタンスカ帰り道にあるんじゃねぇか」
「タンスカってあたいが奴の巣で拾って来た?」
「そうだ」
「ねぇそろそろ褒めておくれよぉ、ノッラって奴と一生懸命戦って見つけられたんだよぉ。逃げられたけど」
とせがんでくるデリラに柳田は、冷たくあしらう。
「だめだ」
「ええ〜なんでぇ?」
「機密文書を敵がわざわざ残すわけないだろ、あの紙切れはわざと残されていたんだよ」
「ええ!?じゃあ罠だったの!?そんなぁゴメンよぉ〜」
とあノッラとの戦闘で手に入れた情報が罠だった事にデリラは泣いて謝るが、柳田は冷静だった。
「だがタンスカと囮の事は本物だ。罠と知って突っ込む事になる」
「だったらあたいも行かせてくれよ!敵をいっぱい狩ってやるからさ!」
デリラもタンスカに行く事を嘆願する。ヴァーリアバニーの狩人としての本能なのかデリラがやる気を出す。
「当然だ。お前には明朝アルヌスに行ってもらう」
「アルヌスに?」
「そうだ。タンスカまで歩いて行く気か?」
と柳田は黒電話の受話器を取りアルヌス基地に連絡をする。
「イタリカ事務所の柳田だ。今村大将に繋いでくれ」
と総司令官の今村均大将に繋がる。
「今村大将、柳田です。タンスカ救出作戦の件で・・・・」
こうしてタンスカの帝国による日本人拉致被害者救出作戦が着々と進められて行く。その後、夜明け前に柳田の要請でアルヌス飛行場から飛び立った九七式艦上偵察機がタンスカの城塞を撮影した。
ベルナーゴ北東のセス湖に流れ込むメッセ河河口城タンスカ。帝国はここにメッセ河セス湖一帯の水上交通を管制するため城塞を建設した。当時の最新鋭技術を結集して中洲の湿地帯に完成したタンスカ城塞は、落成式数日にして『沈没』しかけたが、急遽行われた応急工事で体裁だけは保たれていた。そして、このタンスカの長官ゴダセンの元に帝権擁護委員が訪れた。
「ゴダセン閣下、皇太子殿下よりの訓令です」
と帝権擁護委員の一人がゴダセンにゾルザルの訓令を渡す。
「うむ、君は?」
「閣下付きを拝命致しました。帝権擁護委員のダーレスです」
「この手紙には作戦の詳細は君に聞けとあるが?」
「はっ、今回の作戦にはニホン人奴隷を囮とし必ず助けに来るであろうニホン軍の影戦を担う者を捕縛或いは殲滅するものです」
「それは、知っておるだが儂は反対しておったぞ。虎の子の一個軍団が今必要なのはこんな辺境ではあるまい?」
とゴダセンは今回発令された作戦の内容に些か懸念を示した。
「存じ上げております。ですが、これは命令です。敵の実態を暴く為とご理解ください」
「影戦か?儂は好かんぞ」
「戦いには好き嫌いなど・・・・表の戦いを有利にする為の影戦です」
「わかっておるわかっておる。感想くらい言わせろ、そもそもお前達は敵を甘く見過ぎでおる」
「それも感想ですか?」
「勿論だ。別の何かに聞こえたかね?」
その後ゴダセンは、馬に運ばせて来た代車に乗せた檻の中を見ると一人の男性が入っていた。その男性はボロ切れの服を着てこの世界では珍しいボサボサの黒髪や髭に栄養失調により痩せこけた見すぼらしい男性が檻の中に入っていた。
「フン、疫病神を持ち込んでくれたもんだ。こいつを地下倉に運び込め!」
「閣下、奴隷を晒して置きませんと敵が来ないとも限りませんぞ」
「ならばこのまま中央広場に置いておけ!敵がちゃんと来てくれれば良いがな」
「そう願いますな、閣下の為にも。そう言えば閣下は緒戦でニホン軍と戦った事がお有りでしたね」
「うむ惨敗であった」
ゴダセンは、大日本帝国軍との戦闘を思い起こす。ゴダセンは、遠征軍の一員として銀座事件に参加した一人であったが、帝国陸海軍の圧倒的な武力の前に敗北し帝国軍敗退の報告を元老院に報告するもまともに取り合ってもらえず負傷を理由に議員を退いたのだ。
「しかし我らとて負けてはおりません。ヘルム将軍の作戦が軌道に乗り戦況は我が方に有利に成りつつあります。更に先日考案された新しい攻撃魔法を用いれば敵に大打撃を与え得るでしょう」
「爆轟魔法の事だな。ロンデルで発表されて注目されておるな。炎龍を倒した魔法でもあるし、だが使いこなせる様に成る者はそうおるまい」
とダーレスが言う日本軍に対抗する魔法とは、ロンデルの学会でレレイが発表した爆轟魔法だった。あの後、爆轟魔法の事はある程度認知されたが、その爆轟魔法を説いた魔導士がゾルザルが暗殺しようとしているレレイとまでは知られていない。
「もしや閣下もご挑戦を?」
「どうにも光輪を二つ以上作れなかった。爆轟を起こすには最低でも五つは必要なのだからな」
「五つ作れた暁には、閣下にはぜひ前線へご復帰頂きたい」
「願い下げだ。魔導士が戦う時代はとうに過ぎた。爆轟魔法を叩き付け合えば戦はこれまでとは違う恐ろしいものになるぞ」
ゴダセンも爆轟魔法に挑戦してみたが爆轟魔法を発動するには五つの光輪も必要だが、ゴダセンは二つが限界だった様で、更に爆轟魔法など今まで前例の無い魔法に苦戦しているのだ。ダーレスは、ゴダセンに爆轟魔法が成功したら戻って欲しいと嘆願するもゴダセンはそれを拒否する、魔導士が戦場を制する時代は終わったのだと日本軍との戦闘で思い知ったのだ。
「閣下、恐ろしくない戦などありません。ニホン軍の爆轟魔法に対抗するには我らも爆轟魔法の相い手を増やすしかありません」
「そうだったな・・・・」
そして、警備兵がやって来て日本人奴隷の檻の設置の完了を報告すると、ゴダセンは、全軍に警戒体制の命令を出す。
「閣下、檻の設置完了しました」
「よし!全軍に警戒態勢を取らせよ。河の巡回を強化せよ全ての水路を監視するのだ!!対空警戒も怠るな、敵は空からも舞い降りて来るぞ」
ゴダセンの命令の元、兵達は、河は小舟に乗った兵が空はワイバーンに乗る竜騎士で巡回すると、一人の兵がゴダセンに申し出る。
「ち、長官閣下宜しいでしょうか?」
「何だ?申せ」
「じ、地面の下も注意した方が宜しいでしょうか?」
「うむ十分あり得る。死にたくなければ空、地の底、水の中全てに気を配れ!」
と一人の兵が放った一言で警戒箇所が河、空、そして地中へと広がり河は小舟に乗った兵が、空はワイバーンに乗った竜騎士、そして地面に耳を当てて穴を掘る音を聴き取るなど幅が広がる。
「角中洲の監視哨へ増員完了」
「伏兵の各地点への配備完了しました」
あまり乗り気では無かったゴダセンの対応にダーレスは感心する。ゴダセンとて一介の軍人であり、軍人は命令には従うと思っている。
「嫌がっていた割に随分と積極的ですね」
「任務は任務、感想は感想だ。命令を受けた以上、成すべき事を成すまでだ」
とそう言いゴダセンは、任務と私情を分ける。ダーレスは、ゴダセンの発言に笑みを浮かべる。
「大変結構、ゾルザル殿下もお喜びになる事でしょう」
「成功すればの話だがな」
「はて、閣下は失敗するとお考えで?」
「さぁてな?作戦は成功するとの確信があって始められるのだ。だが、いざ実行すると失敗したりする。何故だと思うねダーレス委員」
「簡単な事です。敢闘精神に欠け勝利への意欲が足りぬからです」
とダーレスは、作戦が失敗するのは、兵士達にやる気が無いからだと根性論を言う。
「それは知らなかった意欲のせいか?」
「それ以外に何があると?」
「ふむ、作戦そのものとか巡り合わせだとか運だとか・・・・或いは作戦そのものだな」
そう言うゴダセンに、視線をゴダセンに向け疑義する。
「同じものが二度出て来ましたが?」
「そうか?」
「きっと聞き違いでしょう。でなければ、この作戦の裁下を下された皇太子殿下の批判に成りますからな」
「成る程、失敗の原因は常に現場にあると言う事か」
「はい、だからこそ現場を監督する為帝権擁護委員がいるのです」
と帝権権擁護委員は現場の軍を監督する言わば政治将校であり、失敗の原因はあくまでも現場で指揮する軍の指揮官にあるとするもので、その者は失敗の責任を取らされ粛清の対象とする考えだ。これは、ソ連の秘密警察NKVD(内務人民委員)と同じである。
そして、その日の夕刻拉致被害者救出の為輸送機に乗った日本兵達が輸送機から飛び降りパラシュートを開いてタンスカの地へと降り立っていく。
帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?
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『廃墟からの復活』
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『皇帝陛下万歳』
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『神よ、皇帝フランツを守り給え』
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どれでも良い