GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり   作:人斬り抜刀斎

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人質

「人質を解放しろ。さもなくばこの男の安全は保証しない」

 

「隊長!」

 

「伊丹少尉!?何をするか!?」

 

と伊丹は三八式歩兵銃を隊長の頭に突きつけ人質の解放を要求する。周りの兵士達は度肝をぬかれた。

使い慣れた演習場、限られた時間兵士五十名の守る捕虜や人質の奪還作戦。どだい設定からして無理な演習だ。だが、伊丹は・・・・

 

「この男と人質を交換だ」

 

「おい、伊丹状況通り行動しろよ。ふざけてないで隊長を解放しろ。誰もそこまでやれとは言っていない」

 

「お前下手すれば反逆罪で軍法会議に掛けられるぞ!」

 

「そんな事言っていいのかな〜」

 

すると、伊丹は隊長の頭に手を置くと隊長の髪の毛を摘んで数本引っこ抜いた。あまりの突然の伊丹の行為に兵士達は大口を開けて驚いた。

 

「はい、少しだけ解放しましたよ」

 

と抜いた髪の毛を兵士の手の平に渡す。

 

「まだ足りない?欲張りだなぁ〜」

 

そう言うと伊丹は次々と隊長の髪の毛をむしり取っていく。

 

「や、やめ、やめろ伊丹!」

 

「もう、わかったから、人質を解放する!だからやめて差し上げろ!!」

 

この伊丹の行為に兵士達は怒るのを堪えて伊丹にされるがまま髪をむしられる隊長に耐え切れなくなり要求を受け入れる。勿論、統制官の判定は『有効』だった。

その後、訓練が終わり兵士達はミーティングを行い、隊長は伊丹と握手を交わす。

 

「伊丹少尉の柔軟で臨機応変な考えは軍の意識改革の見本となった。何をしてもよいし何をされてもおかしくないのだ。隊長として礼を述べさせてもらう」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「その柔軟さをもっと生かせる様訓練に奮闘努力して欲しい。それと、これは私からの贈り物だ・・・・・伊丹!歯を食いしばれ!!」

 

とそう言うと隊長は突然鬼の形相となって伊丹に鉄拳制裁を食らわした。隊長の拳を食らった伊丹は吹っ飛び右頬が腫れ上がっていた。

 

 

 

 

出雲少佐はかつて伊丹が訓練時代にやった人質奪還の方法をデリラに説明する。

 

「・・・・と言う手だ。わかったか?」

 

「ああ、こっちが偉い人を人質にするんだね。それにしてもイタミの旦那らしいや」

 

「いやな・・・出来事だったな・・・」

 

とデリラは笑って言うがあの訓練を受けた兵士達にとっては嫌な思い出である。

 

「さてと・・・あそこには水門があるな・・・デリラ、見張りを始末して水門を開けられるか?」

 

「任せといて」

 

そう言ってデリラは沼地を渡って警備兵のいる柵の下まで行くと弓矢で警備兵を始末する。

 

「おい!寝るなよ」

 

他の警備兵倒れ込んだ警備兵にそう叫ぶと、次の瞬間デリラの放った矢が命中し絶命する。そうして、デリラは隠密に警備兵達を始末して行く。そして、デリラは水門を開けて沼地を渡って来る日本兵達を入れて行く。

 

そして、タンスカ城塞の寝室ではゴダセンが眠りにつこうとベッドに入ろうとしていた。

 

「やれやれ、ボルホスの頭の固さにも困ったものだ」

 

寝ようとしていたゴダセンは、何か気配がしたのかゆっくり目を開けると

 

「し〜」

 

そこには、ゴダセンの喉元にククリをチラつかせるデリラの姿があった。

 

 

 

 

「俺は、釣りが嫌いだっ!中でも疑似餌の釣りが大嫌いだ!!平気で出来る連中の気が知らん!食い物でない物で魚を騙しているのなぞ!魚が可哀想だと思わぬか!?」

 

(隊長、絶対釣り向いてない)

 

(前世、魚だったんじゃねぇの?)

 

百人隊長のボルホスは、釣りの事について卑怯だの、魚が可哀想だのと喚き散らす。

 

「敵は夜中に侵入して来たそうだな?」

 

「そうでありますっ」

 

「我々は敵が餌に食らい付くのを待っているそうだな?」

 

「そうでありますっ」

 

「ならば何故敵は来ない?夜が明けると闇に紛れる事も出来んぞ!敵は餌も食えぬ馬鹿な臆病者揃いなのか!?長官閣下もとんだ見当違いをなさったものだ!」

 

ボルホスは、日本軍が夜に襲撃してくると見て準備をしたのに日本軍が中々来ない事に痺れを切らしていた。すると、

 

「それは違うぞ百人隊長!敵は我々が考えるより遥かに狡猾だったのだ」

 

とゴダセンの声がしたのでボルホス達が声の方を振り向くとそこには、数人の日本兵に捕らえられたゴダセンの姿だった。

 

「長官閣下!?・・・・・貴様ら汚い!汚いぞ!」

 

「汚いとは?長官閣下を人質にしている事か?それとも、俺達の身なりの事か?それだったら沼地を這いずり回って来たからな不潔で申し訳ない。長官閣下の命が惜しければ我が帝国の国民を解放してもらおう、さもなくば長官閣下の命はない」

 

「ひっ、ボルホス!助けてくれっ」

 

「無駄な足掻きはやめ降伏しろ!!命だけは保証してやる」

 

ボルホスがそう言って手を翳すと警備兵達は、一斉に弓矢やクロスボウなどを構える。

 

「周囲には一個軍団が配置されている。ここから逃げても無駄だぞ」

 

(飛び道具が主兵装になっている。奴等も学んでいると言う事か・・・・いかん、場が緊迫しすぎだ伊丹の様に考えるんだ。真面目な奴を混乱させるおちゃらけおふざけ・・・・)

 

出雲は、辺りを見回して以前の様な剣や槍で戦う帝国兵ではなく、弓矢やクロスボウなどの飛び道具がスタイルとなっている事に推察し、不本意ながら伊丹の様な真似事をする事にした。

 

「・・・・困ったなぁ、それでは俺達の任務が果たせない偉い人に大目玉食らっちまう」

 

「果たさずとも諦めて降伏すればいい、さぁ決断しろ逃げ場はないぞ」

 

「しょうがないなぁ、長官を"少しだけ"返そうか」

 

と出雲が『少しだけ』と言う単語を強調して言い、

 

「す、少し!?」

 

「ねぇ、どの指がいい?」

 

「ゆ、指!?」

 

「言っただろう?"少しだけ"返すって」

 

「や、やめろ!ボルホス!助けてくれっ」

 

出雲達が言う『少しだけ』とは、ゴダセンの指を切り落として返すと言う事だった。ゴダセンは必死に助けを求めるが、

 

「ヴォーリアバニー!?・・・・長官堪えて下さい。敵の目論見に乗せられてはなりません!」

 

「我慢しろってさ、早く決めな」

 

「やめてくれっ、人質は返すっ、ボルホス!囮を解き放てっ!!ひっ、み、右はダメだっ!!せめて左の薬指にしてくれぇ、くあああああっ」

 

人質は解放すると言っているがデリラは聞かずそのままゴダセンの左手薬指を切り落とす。指を切り落とされゴダセンの断末魔が辺りに響き渡る。

 

「ホラ、少しだけ返すよ」

 

「な、なんて事を!?野蛮人の人でなしめっ」

 

「へへ〜ん野蛮人ですよ〜」

 

「一本じゃ足りんか?じゃ、もう少し返してやろう」

 

「あいよ、次は右の薬指そんで左の中指右の中指・・・耳は返さなくていいのかい?」

 

「ひっ」

 

そんな事を話し合ってデリラがククリをチラつかせて次に切断する指の部分などを言っていると、恐怖のあまりゴダセンが失神してしまったのだ。

 

「あらら」

 

「参ったな、荷物になっちまう」

 

「なら足切って軽くしちゃう?」

 

あまりの光景に帝国兵達は皆動揺する。

 

「閣下・・・・」

 

そんな時、帝国兵の一人が剣を抜き取り拉致された日本人男性が入れられている檻に近づいて行く。

 

「ボルホス隊長!ならばこちらもニホン人の指を・・・・」

 

「ひっ」

 

バ ン

 

「ああああっ」

 

剣を振りかざそうとしていた帝国兵の右肩が撃ち抜かれた。それは、タンスカ城塞から離れた丘に陣取る狙撃兵だった。

 

「テリー!?」

 

「魔法か!?」

 

「ニホン兵の武器が魔法を放ったんだ!」

 

兵の一人が肩を撃たれて負傷し周りの兵士達は混乱する。丘の上では狙撃兵がスコープを覗きながらボルトを操作して空薬莢を排出する。

 

「命中」

 

これを機に日本兵等は三八式歩兵銃やMP40短機関銃を構える。兵士達は、怯えて後退する。

 

「ボルホス隊長」

 

「ぐぐ・・・・これ以上長官閣下を傷つける訳にはいかん・・・・下がれ!こいつらを通すんだ」

 

ボルホスは、これ以上ゴダセンを傷付けさせる訳にはいかず檻の周りから兵士達を下げさせ日本兵達の道をつくる。日本兵達は、直様檻に近づき身元確認をする。

 

「松井冬樹氏だな?」

 

「・・・・はい。そ、そうです」

 

「よし、目標確保。松井氏を担架に」

 

出雲は、檻から松井冬樹を出そうとしていると、

 

「そこまでだニホン人ども!」

 

そこへ帝権擁護委員のダーレスがやって来た。

 

「ダーレス委員」

 

「首席百人隊長ここは、長官閣下の意を酌まねば」

 

「長官閣下の意?」

 

「わからぬかね?ゴダセン閣下は自らの命に構わず敵を倒し捕らえろと伝えられた」

 

「いえ、閣下は助けてくれと確かに・・・・」

 

「それは貴君の聞き間違いだ!長官の一族郎党の為にも作戦の失敗は許されん!!兵士達に告げる!敵を捕らえよ!」

 

ダーレスが命令をするが、誰一人としてダーレスの命令に従う者は居なかった。

 

「どうした!何故動かん!?」

 

「出来ません」

 

「・・・・貴官、粛清をお望みか?」

 

「帝権擁護委員殿(オプリーチニキ)我々は貴方の部下ではありません。ゴダセン閣下の部下なのです」

 

ダーレスは、粛清されたいのか、と脅しを掛けるがボルホスは自分達の上司はゴダセンであるからと命令を拒否する。

 

「だが、長官は今冷静な判断力を失っている!今現在の最高指揮権は私にある」

 

「軍団の指揮権序列では副長官がまだ着任していない現状最先任百人隊長たる私が最高指揮官なのです!」

 

ゴダセンが日本兵等に捕らえられているのを余所に二人は指揮権を巡って言い争いを始める。

 

「指揮権争い始めちまったぜこいつら」

 

「担架準備よし」

 

「よし、ずらかるぞ」

 

二人の言い争いを余所に出雲達は松井冬樹を連れてずらかろうとしていた。

 

「ちょ、ちょっと待てお前達!」

 

「いいから俺の命令に従え!」

 

「誰が逃げていいと言った!」

 

「お取り込み中なので帰らせてもらおうと思ったんだが」

 

「こっちの話をつけてから相手してやる!そこを動くな!」

 

ボルホスは話を付けるまで待てと言うがそんなの出雲達には知った事ではないし聞く義理もない。

 

「いや、失礼する長官閣下もやばそうだし」

 

「血が止まんないよ」

 

ゴダセンの切断した指からぽたぽたと血が垂れている。

 

「何故止血しない!」

 

「無茶言うない、あたいは狩る方が得意なんだ」

 

「・・・・わかった。城門までの安全は保証しよう。そこで長官を解放するこれでどうだ?」

 

これ以上傷を放置して置くと失血多量で死に至るのを恐れたボルホスは、ゴダセンの命を優先して城門まで手を出さない事を提示して来たが、そんな事帝権擁護委員が許すはずが無かった。

 

「ボルホス!貴様、血迷ったか!?敵と取引など許さんぞ!」

 

「委員殿は黙っていて下さい」

 

「くっ・・・」

 

すると、ダーレスは建物の陰に隠れている他の帝権擁護委員に合図を送ると物陰からクロスボウを構える。

 

「医者を呼べ!」

 

「ハッ」

 

「武器を下げよ!」

 

ボルホスがそう命令して兵士達は弓矢やクロスボウを下ろして後退した事で城門までの一本道が出来た。

 

「流石だな。矢張り危険な指揮官だった。デリラ、長官閣下を落とすなよ」

 

「あいよ」

 

出雲達は、警戒しながらもその道を渡って行く。だが、その時物陰に隠れていた帝権擁護委員がクロスボウの矢を二発放った。一本はデリラに向かっていたが気付いたデリラは弾き飛ばすが、もう一本の矢はゴダセンに命中した。

 

『ぐああああああぁ!!』

 

とゴダセンの断末魔が響く。

帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?

  • 『廃墟からの復活』
  • 『皇帝陛下万歳』
  • 『神よ、皇帝フランツを守り給え』
  • どれでも良い
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