GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり   作:人斬り抜刀斎

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調印に向けて

アルヌスに帝国正統政府の交渉団がやって来た事は、あっちこっちに知れ渡る。

 

「講和会議が大詰めだぁ?」

 

「ようやっと飛べる機体2個揃ったちゅうのに」

 

デュマ山脈東麓スタンレービル郊外に展開中の日本軍では、

 

「陣地転換用意!後方へ移動するっ」

 

「後方?」

 

「この辺も大分静かになったしな」

 

「アルヌスに帝国の交渉団が来たってよ」

 

「へぇ、ちゃんと交渉進んでたんだ」

 

と日本軍は陣地移動のためそれまでその陣地に構えていた野砲や高射砲などをトラックで牽引して行く。

 

「アルヌスに帰投する!搭乗!」

 

と号令が掛かり兵士達は、ヘリに搭乗して行き飛び去っていく。

 

一方イタリカでは、

 

「この戦争俺達の勝ちでいいんだよなぁ?日本に帰れるのか?」

 

「どうだか、昔から勝っても負けても戦後交渉でろくなことになってないだろ?だが、それは政治家の仕事だ。俺たち軍人は只々命令に従うだけだ」

 

兵士達の目の前には、旧帝国軍との戦闘で破壊され数台のジープやトラック、ハーフトラックなどが並べられていた。

フォルマート家の屋敷では柳田がカップに入ったコーヒーを飲みながら書類作業をしていた。

 

「講和か・・・」

 

「講和って手打ちのことだろ?戦争終わるのか?」

 

「日本と帝国の戦争はな。まだ、ゾルザル派との内戦が残っている。『門』の開閉でごたついてるとこなのに、先手を打たれたな」

 

そして、同じくフォルマート家の屋敷で菅原は、

 

「俺、交渉団に同行しなくてよかったんですか?」

 

「そう言う指示君に来なかったからな」

 

「お飾りにされた婚約者が心配なのか?」

 

「吉田茂大臣達がシェリーの本質を見誤らないか心配なんです」

 

と菅原が吉田茂達がシェリーの本質を見誤らないか心配しているのを他所にアルヌスの日本軍特地方面軍司令部では、大日本帝国政府と帝国正統政府による両政府の講和交渉が始まる。吉田茂は、講和交渉の代表にシェリーを指名したモルトに対して頭を抱える。

 

「皇帝陛下は、一体何を考えて・・・・(長年外交官をやって来たがこんな子供を相手取るなんて初めての事だ)」

 

「それは私も同じですわ。ヨシダ閣下、実はこの度家督を継ぐ事になりまして、身一つになってしまいました私に陛下は伯爵位まで賜って下さいました。持参金の代わりに伯爵位など、スガワラさまが喜んでくださるか・・・・そして色々ありまして、いつの間にかこういう仕儀になっていました」

 

「それはお礼を申し上げて・・・いいのかな?」

 

「正直参っております。実際の話し合いはキケロ様やブルコニウス様にお任せしておりますわ」

 

「ご事情はわかりました。伯爵夫人閣下」

 

「そんな伯爵夫人なんて・・・・」

 

伯爵夫人と言われて照れるシェリー。そして、吉田は早速本題に入ろうとした。

 

「それでは、ブルコニウス殿御用件を伺いましょう」

 

「うむ、本日は・・・『交渉をまとめて講和を結んでしまいましょう!!その後、ゾルザル様討伐の件を!!』」

 

とブルコニウスが用件を伝えようとした時、シェリーが割って入ってきた。周りは唖然とした。

 

「・・・・あのシェリーさん?」

 

「あ、失礼しました。公の場で黙って座っているのも冥府の父に叱られてしまいますので、議員の皆様とお稽古して参りました」

 

「な、成る程・・・・では、シェリーさんのお言葉は帝国正当政府内では打ち合わせ済みで正式なものと考えてよろしいですかな?」

 

「はい、そうですわ・・・私は今帝国正統政府の全権を委任された者としてここにいます」

 

と吉田はシェリーの背後から漂う異様なオーラに不気味さを感じて目を見開きながら固まってしまうが、

 

「大臣?」

 

部下の官僚の声で吉田は我に返った。

 

「間違った事を口にしまったら、ここにいる皆様が訂正してくださいますわ。・・・では、話し合いを始めましょう」

 

そして、議題は日本による新政府軍と旧帝国軍と内戦に参戦して欲しいという要請では、

 

「ゾルザル派との内戦への直接介入要請は、我が国としては軍の最高司令官である天皇陛下の許可が無い限りは内戦の介入は出来ません。更に陛下はこれ以上の戦線拡大を望んでおられないので参戦は困難と考えられ、帝国正統政府自らの手で解決を・・・・」

 

「そんな!ニホンの皆様に見捨てられたら・・・・私達ゾルザル様に皆殺しにされてしまいます!お願いします。どうか私達を見捨てないでくださいませ」

 

そう内戦に介入に消極的な日本側にシェリーは潤んだ瞳で日本に助けてくれる様に懇願する。

 

「・・・・解決を望みたいところであるが、特地情勢の安定化の為にもこの件は前向きに検討するものとし・・・」

 

『そのためにも早期の講和条約の締結が必要ですな』

 

戦争の講和会議に少女が列席する。想定外の事態に戸惑う日本側は、終始強く出る事が出来ず最大の懸案項目も、そして次の議題が銀座事件の首謀者であるモルトの謝罪だった。本来ならば国家元首である皇帝モルトは帝国に於ける戦争政策の首謀者である為戦争犯罪者として裁かれるのは免れないが、しかしそれでは講和派の反感を買うだけであり後々恨みを残すだけであるしゾルザル派に知られれば彼等を勢い付けるだけと考えたため皇帝自らの謝罪が妥当と考えた。

 

「帝国の指導者であるモルト皇帝の侵略戦争の遂行責任者と来日しての謝罪、この条件は譲歩する訳にはいきません」

 

「けれど陛下は、もう病気のおじいちゃまですわ。メイドの助けなしではベッドからも出られません」

 

「しかしだがね、最高責任者の謝罪なしではそれでは国民が納得しない。国民感情を考えると・・・・」

 

「ニホンはアルヌスまで来ることも出来ない病気のお年寄りを床から引きずり出して見世物にした挙句謝らせるようなお国なのですか?」

 

とシェリーは、モルトは病人で介護なしには動けないと痛いところをついてくる。

 

(それを数百年やって来たのが我が帝国なのだがな)

 

しかしそれをいうのであれば、帝国は今まで攻め込んだ国・部族と一旦協定を結び、直後に連絡の不備や時間差から起きた偶発的な問題を理由にして反故する騙し討ちをするのが常套手段だった。

 

(痛いところを・・・)

 

(だが、そうしたい人間が多いのも事実だぞ?)

 

(我が国の面子にも関わる)

 

日本の外交官僚が小声で話し合っていると

 

「あっ、皇太女殿下がニホンに伺うと言うのはいかがでしょう?」

 

とシェリーがある提案を出して来た。

 

「条約締結の場で遺憾の意をと言うわけか」

 

「それが現実的だな・・・事態が収束したら皇太女に譲位し皇帝は責任を取ったものとする。これでよろしいか?」

 

「はい」

 

吉田がそう提案するとシェリーも同意した。

 

『シェリー君!我々の一存で決められる事ではないぞ』

 

『そもそも陛下がそう簡単に譲位してくださると思うか?』

 

『して下さりますわ。だってそうしないとニホンはゾルザル様を討ってはくれませんでしょ?』

 

そして、吉田茂とシェリーが両国の国旗の前で握手を交わす。二人の握手姿を記録に残そうと従軍記者や大本営報道部のカメラマン達が撮影しカメラのフラッシュが眩いばかりに焚かれる。

 

「日本と帝国の講和条約締結はアルヌスでの先駆けの儀ののち大日本帝国迎賓館にて東條英機総理大臣とピニャ皇太女により調印式を執り行うものとする」

 

「当初の条件はほぼ認めさせたが、なんだろうこのあの娘にしてやられた感は」

 

「年齢に似合わずとんだ曲者だな、メディアと野党にどう説明するか」

 

(菅原君も呼び戻した方がよかったかな?)

 

「ゾルザル様が囮に使ったニホンの方も戻られたとか、ゾルザル様ってホント悪いお方コテンパンにやっつけちゃってくださいまし、これでいいですか?」

 

そんなシェリーに吉田をはじめとする官僚達は、苦笑いを浮かべる。

 

「ところでヨシダ閣下、ピニャ殿下はどこにおわすのでしょうか?アルヌスに滞在してると伺ったのですが」

 

とシェリーが辺りを見回してピニャがいない事に気付き、聞くとピニャは日本へと行ったと聞かされた。

その後、シェリーはピニャに会うため日本側が用意したトヨタAA型によって門の中を潜って銀座へと向かった。

 

「ようやくあのお姫様を迎えに来たか」

 

そして、門の前には特別高等警察の駒門がおり、今回の護衛も彼が行う事になった。

 

「ここが・・・・スガワラ様の生まれた国・・・」

 

とシェリーは、車の窓の銀座の景色を見てそう呟く。

 

一方その頃、ピニャは、葵の家で葵やそのポルノ友達と一緒に葵のポルノものの挿絵の作成の手伝いをしていた。

 

「く〜!素晴らしい!」

 

「ピニャさ〜ん手ぇ動かしてー」

 

「ここでこう来るか!やはり漢の愛とは斯くあるべきよ!けしからん!大変けしからん!」

 

ピニャは、相変わらず葵が作ったポルノの挿絵などを見て興奮していた。

 

「「「「この数寄者が」」」」

 

「ゴ、ゴメンナサイ」

 

「どこまで好きなのよアンタ。別に怒ってるわけじゃないから、謝らなくていいよ」

 

「いっそこっちに住めば?」

 

「そうそう、そうしなよ。貴女も一緒に腐海に沈もうよ」

 

「妾こそ皆を招待したい。帝国に移住せぬか?好みの新たな騎士隊を作っても良いぞ?」

 

とピニャは、葵達に帝国に住まないかと提案して来た。葵達は、どうしようか迷った。

 

「え〜!?」

 

「そりゃ特地には行ってみたいけど、住むとなると、ね」

 

「『門』閉じなきゃいけないんでしょ?」

 

「マスコミは閉じる必要ないって言ってるけど、最初異変は『門』のせいじゃねって言ってたのあんたらやんと」

 

『門』の閉じるニュースで話題になっており

 

「・・・・実は『門』をまた開く事は出来るのだ」

 

「え、そうなの!?それなら・・・・」

 

「あの首相の会見で怪しいってうわさあったし」

 

ピニャは、世間では極秘の門の作れる事を葵達に打ち明かす。

 

「ただ・・・・『門』を閉めている間時間のズレが・・・下手すれば十年単位で起こるかも知れぬのだが・・・・」

 

ただし、門が閉まっている間日本と特地との時間がずれ、数十年先の世界になっているかもしれないと

 

「えー!?」

 

「それはちょっと・・・・」

 

と特地には行きたいが、その代償で数十年先の未来の世界で浦島太郎状態になってしまうのは勘弁だろう。

 

「十年分の芸術を一気に楽しめるではないか?」

 

「う〜ん、それはそれでありかな・・・・」

 

「流行りを楽しむ醍醐味を逃すのはちょっとねぇ」

 

そして、葵の家の前には数台のトヨタAA型が停まっており周りを特高が見張っている。そして葵の家に向かって走ってくる人物がいた。

 

「殿下はおいでか!?」

 

と勢いよく開かれた扉からピニャの副官のハミルトンが入って来た。

 

「ハミルトンか?」

 

「殿下お願いです。アルヌスにお戻り下さい」

 

「いやだ、皇太女などと言う役柄を引き受けた覚えはない」

 

「し、しかし殿下は皇太女であられます。講和条約締結の席に殿下が居られないとなると・・・・」

 

「うるさい!見ろ!お前のせいで皆手を止めてしまったぞ。ん?講和だと?」

 

ピニャは、講和と言う単語を聞いて首を傾げていると

 

「そうです。ハミルトン様通して下さいませ」

 

とそう言ってハミルトンの後ろから姿を現したのは、

 

「皇太女殿下、お久しぶりでございます。シェリーでございます」

 

((((女児だ))))

 

綺麗に着飾ったシェリーがピニャの前に出て、久しぶりの再会だった。

 

「そなた確かテュエリ家の、いつぞやの園遊会以来か?」

 

「随分前のこと感じます」

 

「そのテュエリ家令嬢が何故ニホンに来ておる?騎士団の入団希望ならイタリカで・・・」

 

「入団希望ではございません。折角講和がまとまりましたのに、殿下の我儘で調印出来ませんの」

 

「そなたがまとめた様な言いようだな?」

 

「頑張りましたもの、交渉団の代表でしたから」

 

とシェリーの言い方にピニャは、

 

「ハハハッ!そなた父上に文字通り子供の使いにされた様だな。父上の事だ『門』が閉められれば講和も反故にするつもりだろう」

 

ピニャは、シェリーが交渉団の代表と聞いてモルトに遊ばれたと思い笑い飛ばすが、

 

「それはなりませんわ。殿下」

 

「かなりの好条件です!今はニホン軍との協同作戦を詰めている段階です!!」

 

ハミルトンから大日本帝国軍と帝国新政府軍と共同戦線進めていると聞いて目を見開き驚く。

 

「なんだと!?帝国がニホン軍と!?」

 

「その為の講和ですわ」

 

「ニホン軍が本気を出せばイタリカなぞ小雨に感じる。鉄の暴風が吹き荒れる。兄様とは言えひとたまりもあるまい。あの父上が?驚いたな・・・」

 

イタリカでの日本軍の軍事力を間近で見たピニャには、新政府軍と旧帝国軍の内戦に日本が本格的に軍事介入をすればゾルザルの敗北は必至だと言う事をピニャは、誰よりも理解していた。それどころか帝国と言う国自体存続が危ういと感じた。

 

「そうです殿下!帝国を掌握する好機ではありませんか!」

 

「妾は帝国なぞ欲しておらん!妾より上の継承順位の者にやらせれば良かろう!ハミルトンも見てきたであろう!?戦が始まってから妾がどれだけ帝国のためにかけずり回ってきたか」

 

「は、はい」

 

「帝国を守ろうと、悩み苦しみ恥辱も屈辱にも耐えた!なのにどうなった!?妾のやってきた事全てを否定された!帝国に後ろから刺されたのだ!空を去っていくボーゼスを仰ぎ見た時、妾がどんな気持ちになったと思う?あそこから救い出してくれたのは、イタミ殿だけだったではないか!!そんな妾に兄様の殺し合いの先頭に立てと?充分戦ったと思わぬか?皆がのうのうと遊んであかる間に!ならば今度は妾が遊んでもいいのではないか?」

 

ピニャは、これまでゾルザルや徹底抗戦を主張する主戦派議員に説得して来ても誰一人として耳を貸さなかった。挙句の果てには周りから『売国奴』と罵られた時の事を切実に語るピニャ。そんなピニャにシェリーが、

 

「殿下一人だけが辛い思いをしたとお思いですか?」

 

「なんだと?」

 

と自分だけが悲劇のヒロインな訳じゃないかの様にシェリーが言うとピニャは、振り返り睨む。

 

「あの時誰もがひどい目に遭い、誰もが多くのものを失いました。それはお認めください。ご存じですか?ボーゼス様は殿下をお救いしようと皇城に単騎突入なされたそうです」

 

「殿下に手が届かなかった以上お見せする顔がないと恥じ入って・・・」

 

「ボーゼス・・・・そうだったのか」

 

「私のお父様やお母様もあの時いなくなってしまいました。みんな殿下の兄上のせいです」

 

「妾の・・・・か?妾は・・・無関係だぞ」

 

「それは、よかったですわ。あの方には死んでいただきます。構わないですよね?殿下?翡翠宮でエムロイに召された騎士団の方々の名誉が貶められても、あの方のせいで終わらない汚い戦争で貶められた帝国の名誉もなんとも思わないんですか?」

 

とシェリーがピニャに問いただすと、ピニャは悔しそうな表情を浮かべて、

 

「思わぬはずないだろ!」

 

「その思いはどちらに?」

 

「どこにも・・・・どこにも向かない。シェリー・テュエリお前も妾に兄様と殺し合えと言うのか?」

 

「お兄様とは無関係なんでしょ?親兄弟が殺し合うなんて良くある事じゃないですか。ピニャ殿下には悪いですが、帝国の未来の為にもゾルザル様には死んでいただきます」

 

とシェリーがそう言う。それを見ていた周りは、ゾッとし、まだ10歳そこそこの小娘とは思えない振る舞いと言動に度肝抜かれていた。だがそれは、かつて王権国家の中世ヨーロッパや古代中国でも権力闘争で親兄弟が殺し合うのも不思議では無い。

 

「ですが、ご安心ください。殿下が直接ゾルザル様に手を下す必要はありません。ニホンの方々にやって頂きます」

 

「シェリー・・・・お前は一体・・・・」

 

「殿下は愛想良くカカシを演じて下さいませ。後のことはみぃんな私が致しますので、では、参りましょう。ピニャ様」

 

とシェリーはそう言って手を差し出して来た、ピニャは迷いながらも渋々と言った感じでシェリーの手を取った。

帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?

  • 『廃墟からの復活』
  • 『皇帝陛下万歳』
  • 『神よ、皇帝フランツを守り給え』
  • どれでも良い
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