GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり 作:人斬り抜刀斎
大日本帝国帝都東京の街頭では、大日本帝国と帝国との講和条約締結の知らせが騒がれていた。
「号外!号外ー!!特地との講和条約調印、調印ー!」
各家庭や街頭、電気屋のテレビやラジオから大日本帝国と特地の帝国との講和条約が調印された事が大々的に報道され、テレビやラジオの前の国民を釘付けにした。
「臨時ニュースを申し上げます!臨時ニュースを申し上げます!大本営陸海軍部発表本日、我が帝国と特地の帝国との間で調印された講和条約。公表された主な内容は次の通りです。一、帝国は銀座事件の非を認め謝意を公表する。ニ、帝国の侵略戦争政策に関与した者達の裁判と追放し、ただし皇帝モルトはこの責任を負い条約発効後、帝国歴二年以内に退位する。三、帝国は、賠償金一億五ニ〇〇万スワニを払う。その内、一括で二二〇〇万スワニ残りを帝国歴で二十ヵ年掛けて支払う。四、帝国はアルヌスを中心に隣接する領主領を除いた半径一〇〇リーグ一六〇キロを大日本帝国に割譲する。五、帝国は、アルヌスから半径一〇〇リーグ以内における貨幣金属以外の地下資源等試掘採掘権を大日本帝国に譲渡する。六、帝国はイタリカ、グラス半島、ティアナを大日本帝国に九九年間租借する。七、帝国は勢力下の国々・領主・部族の独自の自治権・支配権を認める。八.帝国は、保有する魔法技術を日本に開示すること。九、帝国は、今回の戦争で大日本帝国軍が確保した捕虜を引き取ること。十、大日本帝国に対する関税自主権を4年間放棄すること。なおそれ以降は両国との協議により関税を決めることとする」
と講和条約の内容が発表され、アルヌスの兵舎の兵士達も聞いていた。
「この辺アルヌス県になんのか?」
「街の住民の国籍どうなるんだろう?日本国民になるのか?」
「そうなると、住民達にも納税や兵役の義務が課されるのか?」
とアルヌスやアルヌスに住まう住民達の扱いがどうなるのか話していた。
そして迎賓館では、多くの報道陣がカメラを回しピニャは、壇上のマイクに向かって言葉を発する。
「皇帝の名代としてニホンへの宣戦布告なき騙し討ち攻撃を謝罪し、ギンザ事件の犠牲者に哀悼の意を表すとともに、今日の講和により不幸な始まりをした両国の出会いが様々な方面・・・・芸術を含めて共に発展する事を妾は願う」
「芸術?」
と後半のピニャの芸術と言う単語にピニャの芸術をしている伊丹達は苦笑いを浮かべ、知らない人は首を傾げる。
そして、報道陣による東條英機首相の記者会見が開かれた。
「総理!講和条約には、賠償金を二十ヵ年掛けて支払うとありますが?これは、『門』に対する政府の方針と矛盾するものでは?」
「えぇ、それは重大な問題であります。この条約により『門』は我が大日本帝国の国土間を連絡する重要な通路となりました。この連絡をどう維持したいのか『門』による異常を考慮しても我々は決断を迫られるでしょう。今はそのための情報を収集している段階なのです」
「『門』を閉じないと認めたのですか?それとも再び開く方法がやはりあるのですか?」
「それは、まだです。どの様な選択をとってもいい様にという事なのであります」
と記者達は、条約内容と政府の方針の矛盾を指摘するが東條英機は記者達の質問をスルーして行く。
調印式も終わり、日本と特地の双方は迎賓館で酒や料理など飲み食いしながら話していた。そんな中で、ピニャは調印が終わって一息付いていた。
「どうしたキケロ卿?調印が終わって気が抜けたか?」
「いえ、殿下。摩天楼のただ中にあってこの様な帝国調の宮殿があろうとは・・・・ニホンとは不思議な国ですな」
「ん?ああ・・・そうだな(講和・・・・か。あの娘の手の内で踊らされている妾を見たら、イタミ殿はどう思うだろうか)」
「あの、殿下。この後晩餐会も控えておりますので程々に・・・・」
「良いではないかこんな時くらい、ニコラシカも食すが良い」
「ほら、トウジョ閣下が参られますよ」
「むむっ・・・・」
ピニャの基に東條英機や吉田繁などがやって来てピニャは慌てて手に持っていた料理や飲み物を口に放り込む。
一方、迎賓館の窓際では、内閣書記長官迫水久常と陸軍大臣杉山元の二人が浮かない顔をしていた。
「アルヌス州か・・・・」
「特別法が可決されたら人事で揉める事になるぞ」
二人が悩んでいたのは、アルヌスに於ける行政長官を誰に任命するかだった。
「特地開発庁長官はともかく、問題は現地の行政長官だ。下手すると特地に取り残される」
「なり手がなぁ。うま味があるとはいえ、いっそ首相に指名させるか?」
「ともかく『門』の事は選挙前に片付けたい」
「そうだな」
とそんな事を話していると
「あの・・・よろしいでしょうか?わたくし、シェリー・ノール・テュエリと申します」
二人に帝国正統政府の特使のシェリーが話しかけて来た。
「えーと、なぜ子供が?あ、いや、これは失礼伯爵夫人閣下」
「あぁ、この子が帝国の特使ですね。講和条約では、なかなかのやり手だったとか。うちの吉田達が舌を巻いたとか」
「いえ、お気になさらずに、私は見た目通りの子供ですので』
とシェリーは、言うが二人にはロゥリィやテュカの様に幼い見た目に反して高年齢を目にした事から油断出来ない。
「と言われても・・・・なぁ?」
「失礼だがおいくつだね?」
と杉山がシェリーの年齢を聞くと
「十二歳・・・・ニホンの暦では十三歳ですわ。帝国歴は一年389日なので」
「年齢で言うとこっちで中学生か、それにしては大人びているね。レレイ君の二、三下か?」
「最近何かと言われます。ついでに陰口も」
「才能にはつきものだよ」
「ところで先程、選挙のお話が耳に入りましたもので・・・・」
そして、シェリーが二人が話していた選挙についての本題に入った。
「選挙に興味があるのかね?」
「はい!帝国もかつては民主制でした。ですが、国が大きくなるにつれうまく働かなくなり、今の帝政に落ち着いたのです」
「成る程・・・古代ローマ帝国と同じ政治体制の流れか」
「帝政は政治決定をやりやすくなるが、時に独裁者の暴走に繋がる」
シェリーの話を聞いて、自分達の世界の古代ローマも元老院・政務官・民会の三者からなる共和政を採用していた。市民全体によって構成された民会は政務官を選出し、その政務官達が実際の政務を行う。この政務官経験者達によって構成された元老院は巨大な権威を持ち、その決議や助言に逆らう事は難しかった。政務官の選挙にも元老院の意向が一定反映され、そうして選ばれた政務官達によって元老院が構成された事から両者は強く結びついた。しかし、紀元前6世紀頃から次第に内戦や政治的対立から国内が不安定になり、そして『賽は投げられた』と有名な名言を残したガイウス・ユリウス・カエサルの台頭によりローマは共和政から君主制へと傾き、紀元前27年よりローマは共和政から帝政へと移行し、285年ディオクレティアヌス帝が即位すると専制君主制へと変貌した。
「あの、その・・・・選挙の前に『門』の事は片付けたいと言うのは?」
「あぁ、今『門』を閉じるなと喧伝している勢力がいてね」
「国の安全を考えると我々としては受け入れられない。だから『門』の問題は選挙の争点にしたくないんだ」
二人としては、門を閉じる事に反対している帝国派や左派・共産主義者などの勢力がおり、彼らからの支持を受けられなければ次の選挙での票を獲得出来ない事を危惧している為それまでに門の問題を解決したいと考えている。
「そのご英断に胸がすくう思いです。やっぱり政治家は民に人気のない決定もしなければならないですもの、帝国で民主制が廃れたのも為政者が人気取りに走ったから戦争と言う人気取りに、勝ちさえすれば民に喜ばれる。そう言う風潮が拡がってしまいました」
「勝てば選挙に勝てる・・・・か。成る程、勝てば官軍負ければ賊軍か」
「帝国の内乱も早く治めたいのですが・・・・ニホンは協力して頂けるのでしょうか?」
と力を貸してくれるかとシェリーの解答に迫水は迷わずYESと答える。
「ん?うむ、当然だ。ゾルザル派が勝てば今までの講和の成果もなくなってしまう。それだけは避けなければならない」
「何処の誰かさんのせいで帝都を取り戻すまで賠償金の支払いも始まらないし」
と言われてシェリーは苦笑いを浮かべた。
「正直言って特地の戦いは、上手くいきすぎた。吉田達も張り切り過ぎていた。君が現れて丁度よく頭が冷やされたんだ」
「そ・・・・そうでしょうか?」
「まぁ、今度の交渉もお手柔らかに頼むよ」
「あ、その事なんですが、わたくしスガワラ様にお嫁入りしますので、帝国使節として皆様とお話しするのは今日が最後になるかもしれません」
とシェリーは、菅原との婚約するので特使はこれが最初で最後だと打ち明ける。
「菅原?誰?」
「ああ、報告書にあった翡翠宮のあいつか」
二人は、菅原の名を聞いて報告書にあった吉田の部下だと思い出す。
「しかし、勿体無いなぁ」
「けど、十三ならまだ数年帝国で活躍できるんじゃないかい?」
と若いながらも話術の才能があるにも関わらずこれが最後だと聞いて二人は残念そうに言う。
「ですが・・・・その・・・・ニホンは『門』をお閉めになるつもりなのですね。そうなるとスガワラ様は・・・・」
寂しそうな表情でシェリー、
「外務省から特地駐在を任じられない限り引き揚げになるな、多分」
「おいっ」
「あっと・・・失礼」
未だ、帝国とは講和条約締結しただけであり、国交や大使館設置なども決まっていなので必然的に菅原が本国に引き揚げることは当然だった。シェリーは、無理に作り笑いを浮かべているが何処か浮かない様子だった。
「わかりました。身の処し方は、それに合わせて考えますわ」
「君は本当に彼が好きなんだね」
「はい!」
そして、迫水は戦争終結後帝国と大日本帝国と関係の今後どうするかを聞いてみた。
「・・・・ところで、シェリー君。講和後ゾルザル派を排除したとして、再統一なった帝国は我が国との関係をどうすると思う?」
「そうですね・・・・帝国の権威は、この戦争で失墜しました。はっきり言って、他国に対する軍事力でもニホンに頼る事になるでしょう。帝国内にも不安定要素が生まれましたし」
「不安定要素?」
「これまで帝国は、ヒトとヒトによるヒトの為の国でした。ですが、この内乱で皇帝陛下は亜人部族に助力を求めたのです。内乱に勝てば今後亜人の皆様が力をつけるでしょう。だからこそゾルザル様討伐でニホンがお力を示すべきなのです」
「成る程ね、成る程成る程」
「そう言うことか、ならば・・・・ちょっと失礼」
と言って迫水久常は手を顎に少し考えるとピニャと話している東條英機の基へと向かって行った。
「あいつ、人の話を自分が考えにたように言う時あるのよなぁ」
「そうなんですか?」
とシェリーは、誰に見えないように不敵な笑みを浮かべてしてやったりと言った感じだった。
講和条約成立後、政府は『特別地域管理行政特別法』が可決され、新たに大日本帝国に都道府県州が加わった。しかし、未だに行政長官が決まらず不在のままだった。
『講和条約の批准と特別法の成立を受け政府は、帝国正統政府への皇軍による参戦を閣議決定しました。帝国正統政府率いる新政府軍と皇太子派率いる旧帝国軍との内乱に介入する事になり、講和と皇太子派に対する勝利で選挙への実績づくりを目指しているものと思われます』
日本は本格的に軍事介入する事になり、『戦争を早く終わらせる為ならどの様な手段でも取り入れて良い』と言う天皇と東條英機の方針により日本軍は次の一手を打つ。帝都上空では、九七式輸送機数機が帝都上空に差し掛かると
「帝都上空進路よし!投下開始!」
「よし、投下!」
とハッチから大量のビラを投下した。帝都民は、空から降って来たビラを見てビラにこう書かれていた。
『ニホンとの和平なる!』
と心理攻撃に出たのだ。更にビラは、各地にばら撒かれゾルザル軍兵士達にも届いた。
『ゾルザル軍兵士諸君!投降せよ、君達を待ち受けているのは鉄の暴風だ!故郷に帰れるぞ、これが諸君の戦争か?我々は諸君の苦しみを理解し、諸君を死に追いやるゾルザル軍やオプリーチニナより諸君の身を思っている。我々は諸君の敵ではない。諸君らの敵は悪逆非道冷酷無慈悲な史上最悪の暴君ゾルザルだ。和平を阻むゾルザルを討て!』
『皇帝の名においてその命と内乱終結後の解放を保証し、なお降伏し捕虜になれば治療を受け温かい食事や酒類やたばこを支給し、各自の家庭に帰り平和的に生活できる機会を与える』
と書かれており、戦争やゾルザル軍に嫌気が差していた兵士達は、脱走を決意して実行する兵士が後を絶たなかった。
そして、新政府はエルベ藩王国国王デュラン等をはじめ各地に使者を送り『功をあった者は重く用いる。種族・民族・前歴・身分は一切問わない、論功行賞を約束する!』と言って参戦を促した。
「この和平を帝国の連中が己の力と勘違いせねば良いがな。まぁ、よかろう。イタリカへ進発せよ!!この戦いで大陸の実質的盟主が誰なのかを皆が思い知るであろうからな」
そう言ってデュランは、兵士を率いてイタリカへと進軍して行く。
大日本帝国との講和成立と帝国正統政府の檄文が各地に伝わると、エルベ藩王国をはじめとした様子見を決め込んでいた諸国や貴族、傭兵団までが続々とイタリカに集結し、帝国正統政府軍は旧帝国軍に匹敵する兵力に膨れ上がった。
一方、日本の研究所の大浴場では、ロゥリィとレレイが湯に浸かっていた。
「アルヌスに帰るぅ?」
「実験も一通りやり尽くした。そろそろヨウジを連れ戻す計画を立てたい」
とレレイは、伊丹をアルヌスに連れ戻す計画を立てたいとロゥリィに打ち明け、ロゥリィも悪くないと言った顔をしている。
「連れ戻すねぇ、いいわねぇその話乗ったわぁ」
「早くした方がいい、ヨウジが逃げ出す前に」
「急いだ方がいいわねぇ」
レレイ達がそんな計画を立てているなど伊丹は知る由もなかった。
帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?
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『廃墟からの復活』
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『皇帝陛下万歳』
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『神よ、皇帝フランツを守り給え』
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どれでも良い