GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり   作:人斬り抜刀斎

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ゾルザル帝国崩壊ー日本進軍1946ー

アルヌスにある難民キャンプで、寝ていたロゥリィが目を覚まして、アルヌスの日本軍基地を眺めて

 

「始まるのね・・・・」

 

と真剣な表情でそう呟いた。

 

1946年、日本軍の攻撃部隊は前線に集結、大砲と戦車に援護された日本兵が敵陣の前に勢揃いしていた。そして、アルヌスの日本軍総司令部では、攻撃開始時間を待っていた。

 

「承知しました総理、特地方面軍は現地時間0300時をもって行動を開始します」

 

「十秒前・・・・0300今!」

 

そして、攻撃開始時刻になると総司令官である今村均大将が全軍に発する。

 

「全軍に達する帝都解放作戦『スキピオ』を発動する!状況を開始せよ!」

 

作戦名『スキピオ』は、古代共和政ローマで活躍した政治家兼軍人。本名、プブリウス・コルネリウス・スキピオ・アフリカヌス・マイヨル。第二次ポニエ戦争後期に活躍して、カルタゴの将軍ハンニバルをザマの戦いで破り戦争を終結させた人物。

 

アルヌス北東カンポリ加茂大佐率いる第一戦車大隊

 

「本部より打電暗号文『白・黒・抹茶・ゆず・小豆・梅・桜・桜・桜』符丁確認作戦開始です!」

 

「よし、全隊前進用意!戦車前進!!」

 

と加茂大佐がそう言うと前者量がエンジンを掛けて前進を開始する。そして、上空でも、

 

「各機目標に向かえ!攻撃開始!」

 

神子田中佐と久里浜中佐の零戦隊が敵陣に向けて降下して行く。日本は、旧帝国軍陣地に怒涛の侵攻を開始し、圧倒的な戦力で旧帝国軍をフォルマート大陸から駆逐しようとしていた。

 

 

イタリカ領東端アルクサ・アルンヘルム要塞

 

「ここ十日ほどイタリカ軍が静か過ぎる。他で攻勢に出たと言う報告もないし」

 

「ここ数日攻城陣地でも動きがありません」

 

すると、空からヒューと言う音が聞こえて来て、次の瞬間ズドーンと大きな爆発が起きた。

 

「命中一番機!続いて目標東城門三番機南から進入」

 

観測班が爆装した零戦隊に空爆の着弾観測を伝える。

 

「なんだっ、魔法か!?」

 

「空から何か・・・わあっ」

 

何が起こっているか分からない帝国軍を他所に要塞のあらゆる箇所で空爆が続く。

 

『前衛観測班より一番機、全弾命中』

 

「さあ、忙しくなるぞ」

 

「了解、これより帰投する。あー空戦してー」

 

「いつまでも駄々捏ねるんじゃないの」

 

そう言って空爆を終えた戦闘機隊はアルヌスの基地へと帰投して行く。そして、空爆を受けたアルンヘルム要塞は、司令部と城門が破壊され黒煙が立ち上っていた。

 

「司令部と城門が・・・・」

 

すると、伝来が来て、

 

「物見より報告!イタリカ軍が南北より接近中!」

 

とアルンヘルム要塞の南北からそれまで沈黙していた新政府軍が南から船で乗り上げ、北から騎兵と歩兵が攻めて来たのだ。

 

「前夜の内に渡河したしたものとみられます」

 

「斥候から何も報告はなかったぞ!そんな短時間で南北同時に河を渡ったと言うのか!?」

 

「閣下!」

 

将軍は絶望に打ちひしがれ何も発することが出来なかった。そして、同じ頃零戦隊は、別の要塞を空爆していた。

 

一方、アルヌスの基地の飛行場の滑走路では、

 

「燃料の給油急げ!後がつかえるぞっ」

 

「もたもたしている暇はないぞ!敵は待ってくれん!」

 

帰還した零戦に整備兵達が燃料補給をし、爆弾を取り付けていた。そして、帰還した神子田中佐と久里浜中佐は休憩所で戦闘配食のおにぎりを食べたり一服していた。

 

「夜明け前に五回も出撃してのに、まだ半分も行ってねぇ」

 

「しょうがないだろ、二、三十機でカバーする様な広さの作戦域と目標数をたった八機でまわしてるんだ」

 

「格納庫にまだ何機かいただろ?」

 

「あれは予備機兼部品取り用」

 

「零戦も旧型機だからなぁー」

 

「補給終わりました。出撃準備完了です!」

 

「おっ、っしゃ行きますかぁ」

 

神子田中佐と久里浜中佐は爆装と燃料補給を終えた零戦に乗り込んで再び出撃して行った。

 

『ゴテンバ射撃指揮所、各中隊効力射各目標二十発榴弾』

 

「撃ち方始め!」

 

「撃てぇ!!」

 

その合図と共に砲兵科による7.5cm Pak40と九六式十五糎榴弾砲やヤークトティーガーとヤークトパンターやネーベルヴェルファーとパンツァーヴェルファーによる一斉射撃が行われた。耳をつん裂く爆発音、砲火によって大地に閃光が照らされる。

 

「何の光だ!?」

 

『弾着ーー今!』

 

と観測班が言うと旧帝国軍陣地に榴弾の雨が降り注いだ。

 

「ああああ」

 

「エムロイよ・・・・っ」

 

帝国軍兵士達は、榴弾により手足など体の一部が欠損したり建物ごと吹き飛ばされて行った。

 

「観測機よりゴテンバ射撃指揮所、弾着修正。ゴテンバ射撃指揮所、最終弾発射弾着ーーー今!目標変更座標二七九、三九一敵集結地」

 

「第一戦車連隊前進!前へ!!」

 

と共に加茂大佐の戦車隊が敵陣に向けて前進を開始する。

 

「なんだ、あれは・・・・」

 

旧帝国軍兵士が見たのは、日本軍の戦車隊だった。戦車の多くは、Ⅴ号戦車パンターG型やシュルツェンを付けたⅣ号戦車H型だったが、Ⅵ号戦車ティーガーE型も何両か混じっていた。

 

「ニホン軍の戦象だ!」

 

「にっ、逃げろっ」

 

と兵士達は、逃走を図ろうとしたが

 

「何をしておるかっ、逃げるなっ」

 

「敵前逃亡の罪は一族郎党に及ぶぞ!」

 

オプリーチニナが脱走する兵士達に向け、槍や弓矢を構えて逃走する兵士達を阻止し、兵士達の戦意を煽った。選択肢もなく、自暴自棄になった兵士達は、日本軍戦車隊に向かって突撃を敢行して来た。

 

「あいつら向かってくるぞ!?独ソ戦のソ連兵かよ、ドイツ軍もこんな奴らと戦ってたのか。戦車停止、機銃撃て!」

 

戦車長がそう指示して、敵陣地に近づくと戦車隊の側面の廃墟群から魔導士が呪文を唱え、光の矢が戦車上空から降り注いで来る。

 

「うわっ」

 

「12号車戦車長負傷!」

 

「14号車エンジン被弾」

 

「くそ魔法か!第二小隊、十時の廃墟群榴弾撃て!」

 

戦車隊は反撃として廃墟群に向かって発砲する。

 

「命中撃ち方止め!機械化歩兵は、進撃路左右の村落を掃討せよ」

 

「下車戦闘!戦闘配置!」

 

戦車による砲撃が終わるとSd、Kfz251から下車した日本兵達が廃墟群への制圧に掛かる。

 

 

一方、旧帝国軍の本陣では、

 

「閣下ご無事で」

 

「状況は?」

 

旧帝国軍の現在の戦況は最悪な物だった。

 

「正面の敵は鉄の戦象を押し立てて向かって来ます。空飛ぶ鉄竜の攻撃でサバト、ケトの駐屯地壊滅!翼竜の物見によると北方でも敵が前進中、前衛の第三大隊全滅!」

 

「報告!敵の一部がパレルナに出現!」

 

「後方10リーグに!?このままでは包囲されるぞ!」

 

「将軍、敵は我が方より少数、間隙を縫ってデュマ山脈まで後退してーー」

 

「五十リーグはあるぞ遠すぎる」

 

と日本軍に包囲される前に後退しようと参謀が促しているとそれに待ったを掛けてきた者が居た。

 

「後退などもってのほか!ゾルザル殿下のお望みは勝利のみ!!」

 

オプリーチニナだった。

 

「帝権擁護委員殿は我々に死ねと言うのか」

 

「勝てばいいのだよ、勝てば」

 

とオプリーチニナが勝てばいいと言うと将軍は無言で指揮所から出て行き、

 

「閣下」

 

「残存部隊を集結し、マリウスの丘を起点に敵の側面を衝く、テルタからの増援がマーレスで防衛線を整えるまでの時間を稼ぐのだ」

 

残存兵力を掻き集めて、マリウスで日本軍を迎え撃つと指示。

 

その頃、アルヌス日本軍特地方面軍司令部では、戦況の報告が次々と報告されている。

 

「各大隊前進中、敵の抵抗は軽微」

 

「第一戦車連隊、師団規模の部隊とマリウスで会敵」

 

「アルクサのアルンヘルム要塞開城!正統政府軍マレに向けて前進開始」

 

「閣下、首相から電話が・・・・」

 

「またか、わかった。こちらに回してくれ」

 

 

アルヌス北東120kmマリウスでは、日本軍は旧帝国軍の竜騎士隊から攻撃を受けていた。竜騎士隊は、空から弓矢を放って来たり、翼竜が上から炸裂弾を落として来た。日本軍側も反撃として手持ちの小銃や機関銃や対空戦車ヴィルベルヴィントの2cm Flakvierling38とオストヴィントの(3.7cm Flak43をボフォース40mm機関砲に置き換えた)ボフォース40mm機関砲で応戦する。また、丘の上からオーガーなどが戦車に向かって岩を投石してくる。

 

「うわぁぁ」

 

「後退しろ!」

 

戦車隊は、一旦後退を開始した。これを見た旧帝国軍は好機と見て

 

「今だ!破城槌を放て敵の足を止めよ!重装オーガー前へ!騎兵、敵後続に突撃せよ!」

 

「煙をもっと焚け!」

 

旧帝国軍は、辺りを煙を焚き、鎧と棍棒、盾で武装したオーガーを前進させ、

 

「前進!オーガーに続け!!」

 

その後ろを歩兵が追随する。そして、戦車の側面から火のついた破城槌を押して突進してくる。

 

「それ押せぇっ」

 

「いけぇっ」

 

破城槌は、Ⅳ号戦車の側面に命中し、火の手が上がった。

 

「やったぁ、当たった!」

 

「燃えろ、燃えろ!」

 

旧帝国軍兵士は歓喜したが喜びも束の間、次の瞬間激突されたⅣ号戦車が動き出したのだ。

 

「う、動いてる」

 

「あの板で防がれたんだ」

 

Ⅳ号は、側面に付けていたシュルツェンで事なきを得た。これがもしエンジン部分にでも当たって居たら無事では済まなかった。Ⅳ号戦車をはじめ殆どの戦車はガソリンエンジンだった為、被弾すると燃えやすいと言う弱点があった。Ⅳ号は、破城槌を突進させて来た兵士達に向かって75mm砲を喰らわせた。

 

「十号車より半装軌車1号マリウスの丘より眼鏡犬と歩兵多数距離八〇〇」

 

「観測機より半装軌車1号騎兵多数大隊後方に移動中」

 

「初めての組織的抵抗だな、戦車眼鏡犬に一斉射」

 

※『眼鏡犬』日本軍側のオーガーのコードネーム

戦車も装填手が装甲を突き破る徹甲弾を装填し、砲手が照準をオーガーに定める。

 

「目標十二時の眼鏡犬距離六〇〇徹甲弾装填!」

 

「照準よし」

 

「停まれ!撃てぇ!」

 

と戦車長が命じ、戦車の、主砲が火を噴いた。

 

「突撃、突撃ー!」

 

「すごいぞ、鉛の礫を弾いてる」

 

オーガーは、日本軍の7.92mmや12.7mmの弾丸の嵐を耐えていた。兵士達もオーガーの後ろにいるおかげて銃弾の嵐に晒されずに済んでいた。だが、彼等の余裕も直ぐに打ち砕かれる事になる。次に飛んで来たのは、Ⅳ号戦車の48口径75mm砲、パンターの70口径75mmやティーガーの56口径88mm砲の徹甲弾が飛んで来て、徹甲弾はオーガーの盾や鎧ごとオーガーを貫いたのだ。貫かれたオーガーは悲鳴を上げながら絶命した。

 

「ぐあぁ」

 

「ひいっ」

 

「怪異使い!オーガーをどうにかしろっ」

 

オーガーがやられた事で、旧帝国軍兵士は焦り出した。オーガーがいる事で日本軍の銃弾に晒されずに済んでいたのにオーガーがやられた事で彼等は、丸裸にされてしまったのだ。そして、次に後続の騎兵隊が槍を構えて突撃して来たが戦車砲や車載機関銃で呆気なく薙ぎ倒されてしまった。

 

「うう・・・・こんなの・・・戦じゃねぇよ」

 

旧帝国軍兵士が経験したことの無い未知の戦い、迫り来る日本軍に旧帝国軍兵士達は、逃走し出した。

 

「逃げるな戦えー!!」

 

「敗北主義者には死を!」

 

だが、後方には戦場から逃亡を阻止するオプリーチニナがその道を阻む。だが、兵士達は自分達を死に追いやろうとするオプリーチニナらを殺害する。

 

「くそ犬頭が!あんなのと戦うのに兵役についたんじゃねぇよ!」

 

「ぐあっ」

 

「てめぇらだけで戦いやがれ!」

 

「お、おのれ・・・売国奴どもが・・・」

 

そして、日本軍は、拡声器から特地語で旧帝国軍兵士達に降伏する様に促す。

 

『降伏しろ!武器を捨てて手を上げろ!!そうすれば命の安全は保証する!』

 

そして、旧帝国軍兵士達は、武器を捨てて日本軍に投降する。

マリウスの戦闘後、アルヌス東方面のゾルザル軍は瓦解。アピッア街道上の要塞とデュマ山脈東麓の抵抗を残すのみとなる。むしろ日本軍の前進を阻んだのは、膨大な数の投降した兵士であった。逃亡に成功してしまった兵には、ゾルザル軍の焦土作戦で犠牲となった住民達の苛烈な敗残兵狩りが待ち構えていた。

最後の抵抗を続ける旧帝国軍と壮絶な戦闘が開始され、戦争末期異世界戦線の激闘が繰り広げられる。

帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?

  • 『廃墟からの復活』
  • 『皇帝陛下万歳』
  • 『神よ、皇帝フランツを守り給え』
  • どれでも良い

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