GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり 作:人斬り抜刀斎
アルヌスの仮設住宅のロゥリィの部屋ではロゥリィとヤオの二人でお茶していた。
「ヤオぉ、レレイはぁ?」
「今日も書類を持って食堂に行きましたよ」
ヤオは、コーヒーの入ったマグカップと茶菓子を持って来た。
「フゥン、今日の晩御飯どうするのかしらぁ?」
そう呟きコーヒーを飲むと顔を歪める。
「ヤオ、ミルク」
「はい」
ロゥリィは、ヤオから渡されたクリーマーに入ったミルクをコーヒーに入れ改めて飲み直す。
「きのう、テュカの家に泊まったんでしょお?今日はどうするの?」
「いつもの寝床に・・・・・え?」
「て言うかぁ、ヤオってどこに住んでるの?」
とロゥリィは、何気なくヤオの今の住まいを聞いて来た。
「それ今聞きます?」
「そういやどうしてんのかなってぇ」
「聖下にお教えするほどのことでは・・・・」
「まぁいいわぁ、今夜は泊まっていきなさぁい」
とロゥリィからそう言われてヤオは、満面の笑みを浮かべた。
その頃、アルヌスの町ガストンのレストランの食糧庫では、従業員全員がガストンに言いつけられた食材の在庫の確認をしていた。
「あーあーあー」
「猊下〜」
ジゼルが玉ねぎの入った袋に自身の羽が引っかかり中身を溢してしまった
「羽がカマス袋に引っかかった。スマン・・・・ウニオムは嫌いなんだ・・・・」
そんな食糧庫でのやり取りが行われている頃、レストランの厨房では料理長のガストンが、一辺が一・五メートル程にもなる木箱を持ち出して来た。中には、綿が緩衝材として大量に詰め込まれていた。
俺も手伝おうと言ってレレイに手を伸ばそうとしたディアボだったがパナシュが殿方のお手を煩わせるには及びませんと、拒否した。『もしかして俺に、他の女を触らせたくないとか思ってるんじゃないだろうな?こんな小娘だぞ』と満更でもない表情となるディアボ。見透かされないとしているパナシュをマジマジと見て苦笑いし、『まぁいい、そなたがなすが良い』と手を引っ込めた。
パナシュはレレイを胎児の様な姿勢に折り曲げると、壊れやすい陶器を扱うかの様に箱に詰め込んだ。魔導士の杖を斜めにしてどうにか入れると、更に上から緩衝材を追加し、被せてレレイをその中へと埋める。
「この小娘が『門』の鍵を握っているだと?信じられん…拍子抜けだ」
「メトメス殿、この娘も炎龍討伐の英雄の一人。あの高名なカトー老師の愛弟子です」
「あの様な領地の発想を考えていたとは」
「ん?フ・・・フン、こう言う出会いでなければこの娘に『政』を語らせてみたかった」
「この歳で導師号を得た賢者です。帝国の柱石となってもくれましょう。今からでも・・・・」
「いや、我々に残された道はこれしかないのだ」
ディアボがそう言うと、木箱の蓋が閉められる。木の蓋を被せて釘を打ち込んでいくガストン。だが、ディアボが『ちょっと待て』とガストンの作業を止めた。
「そんなにきっちりと蓋をして空気は通るのか?娘を窒息させては元も子もないぞ」
「心配性だね侍従さん。見ての通り箱は隙間だらけだから大丈夫ですぜ」
実際、木箱の造りはとても粗く、棘が毛羽立っている。板と板の間には1cm近い隙間が出来ていて、ガストンはその隙間を埋めない様に壊れ物などのシールを貼っていった。
「そうか。分かった、蓋をするのはこちらに任せろ。他にしなければならん事をしてくれ・・・・・」
「分かりました、メトメスさん。後はお任せします。俺はその間にこっちを片付けます」
すると、ガストンは金槌と釘をディアボに渡し、自分の店の一般席に向かった。ディアボも後の事をメトメスに任せるとパナシュと共に後を追う。ガストンはカウンターに突っ伏しているメイアに向かって書類を突き付ける。それは、PXに品物を納めている会社に返品する際の書類である。送り先は、組合の取引先として許可を受けた日本企業。それだけPXからの返品の際は、ゲートの検問でも木箱を開いて中を見ることはない。組合も今やそれくらい信用されているのだ。
「ほら、メイア返品の送り状だ。サインしろ」
顔を上げるメイア。その顔は、泣いている様な笑っている様な、苦しんでいるかの様な複雑な表情で覆われていた。
「・・・・本当にやるにゃ」
「もう後には引けないって事は分かっているだろ?これがうまくいきゃ『門』を閉じるのは先送りになるんだ。お前の想い人とも離れなくて済むんだぞ?」
「でも・・・・こんな事最低の恩知らずがやることだにゃ」
「恩知らずなもんか!レレイさんの身を守るんだよ、ゾルザルが生きている限りまた狙われるんだぞ!!だから隠すんだ」
「でも、なんで荷物みたいにして、ニホンに送る必要があるのかにゃ?」
「誰にも知られない様にするためだ」
「その通り」
すると、ディアボがメイアを誘惑するかの様に囁いた。
「ゾルザルがいてもいなくても『門』の鍵を握る者に安全な地はファルマートにはない。笛吹き男だったか?あの炎龍を討った事で名高いあの『茶色の人』ですら手を引かせるのにゾルザルを直接締め上げるしかなかったと聞くぞ。そいつがまた動き出したらどうする?きっと無事では済むまい。だから奴の手が届かない『門』の向こうに隠すのだ。出入りが厳重に管理されている『門』の向こうならば安全だ。違うか?」
「それはそうだけど、それだったらレレイさんにちゃんと話して・・・・・」
「それでは『門』を閉じるのを止めさせる事は出来ないではないか!?」
「そうだぞメイア『門』も残るんだ」
その通りだとガストンも追従した。
「だから俺達がやるんだ。俺達ならレレイさんを守れる。そして『門』も残る。一石二鳥だ。これも恩返しの内なんだメイア。確かに良心が痛むかもしれないが、後できっと感謝される。だから手伝え」
ガストンの言葉にメイアは、凍り付いた様に動きを止める。悩んでいるのだ。だが、有無を言わさない二人の説得に、おそるおそる手を伸ばし、震える手で差し出された書類にサインした。ペンを置くと、遂にやってしまったという体で、カウンターに突っ伏した。
「これでいい『ソレン』に連絡するとしよう」
ディアボがそう言うと懐から携帯無線機を取り出した。『ここをこうして、これをこうして』と、よく分からない様子で何度か間違いながら操作していく。
「これで、繋がったか?パナシュ」
「メトメス殿。さかさまです」
パナシュからそう指摘され
「わ、わかっておる。お前が話せ」
と慌てて直すディアボ。パナシュは盛大にため息をつきつつ、無線電話を受け取ると習い覚えた日本語で話しかけた。
「こちらはディアボ殿下の代理の者だ。『宝珠』の荷造りは済ませた。約束通り目印を付けて荷馬車で送り出す。受け取りの手配を頼みたい」
そんなパナシュの声を聞いて、どうやってソ連に荷を受け取らせるのかが気になったガストンは、ディアボに身を寄せて小声で尋ねた。
「目的の相手はどう受け取るんですかい?そのまま返送先に届いちまったら・・・・」
「荷が途中で野盗に奪われるなんてよく聞くが、向こうでは起きないのか?」
ガストンは『なるほど』と頷く。
「けど、中身はナマモノですからね。出来る限り穏便に頼みますよ」
「分かっている。あの娘を傷つけるのは俺の本意ではないのだからな。きっとその様に伝えさせよう」
ディアボは、メトメスが木箱を台車に載せて運んで来るとニヤリと微笑むのだった。
一方、レッキ方面では海軍航空隊の零戦やJu87が旧帝国軍の城塞に対して空爆を仕掛けていた。
「レッキの敵駐屯地と城塞爆破。第四戦闘航空団の到着が遅れているみたいだ」
『こちら、地上部隊航空支援要請北マーレス座標ーーー』
無線から航空支援要請が入って来た。
「お、いけるか?」
「大丈夫だ、ここからそう遠くない」
そう言って神子田中佐と久里浜中佐は、
「俺と久里浜は航空支援に向かう。3番機と4番機はそのまま待機」
陸上部隊の航空支援の為、数機の零戦を率いて北マーレスに向かう。
一方、レッキの谷では旧帝国軍の偵察を行っていた一騎の竜騎士がS-51Jの機関銃の攻撃を喰らっていたが、回避されていた。ヘリより翼竜の方が機動性に優っていた。
「くそう、いい動きしやがる」
『観測機、敵翼竜一騎と接触、偵察と思われる』
そして、竜騎士は手に持っている鏡を太陽の光で反射させて山岳に隠れている味方に合図を送る。
「点滅四回」
「点滅四回『敵本隊見ユ』だ」
山岳に隠れている帝国兵は山から山へと光の反射の合図を送り、竜騎士等が身を潜めているレッキの峡谷の洞窟まで届けられる。
「ボダワン伯、斥候より『敵本隊見ユ』です」
「うむ、凶鳥どもはどうだ?」
将軍は、辺りに零戦が居ないか確認を取る。竜騎士達も翼竜では零戦に勝てないのは分かっているので一番に零戦を警戒していた。
「『敵影ナシ』」
「よし、全騎騎乗!出撃する!!」
と零戦が居ないことが分かると号令が掛かり、竜騎士等は甲冑を見に纏い剣や槍で武装すると愛騎に跨る。
「出るぞ!喇叭鳴らせ!!」
出撃の合図のラッパが響き渡り、洞窟内から数十騎にも及ぶ竜騎士達が次々と飛び立って行く。
一方、その頃デュマ山脈の谷をデュラン国王率いる新政府軍のエルベ藩王国の部隊が第四戦闘航空団のヘリに搭乗してレッキへと向かっていた。
「ぬっふっふっ、レッキを陥せば帝都までろくな要害は存在せん。帝国の奴らに目にもの見せてやるかの」
とデュランは満面の笑みを浮かべながらそう言う。もし、レッキが日本軍・新政府軍の連合軍の手に陥ちれば帝都侵攻への足掛かりなるので双方とも譲れない、譲る気もない場所なのだ。
「高度上げて一気に山を越えられればな」
「あんまり高いとエルベの連中がビビっちまうぜ」
新政府軍のエルベ藩王国の兵は竜騎士ではなく、歩兵である。竜騎士と違い空を飛ぶ事には慣れていないため、日本軍は低空飛行をせざるを得ない。
『観測機より指揮官機、敵偵察撃墜』
「レッキから飛んで来たのか?」
「海軍さんが見過ごすとは思えませんが」
健軍は、デュマ山脈に現れた翼竜がどこから現れたのか疑問に思っていた。空は海軍の零戦が支配している。翼竜が零戦に気付かれず飛行する事も振り切る事は不可能だ。
「一騎だけか?」
「いやな地形だ、併走する峡谷に注意」
『二時下方、隣接する峡谷に翼竜多数!指揮官機敵翼竜多数右稜線影より接近中』
高高度を飛行していた別のヘリから峡谷の間を飛行する多数の竜騎士隊の発見の報が知らされる。
『確認した。本隊の側面を衝かれるぞ。支援1番機2番機攻撃する」
「くそっ、なんて数だ!」
『支援1番機2番機、当たらなくてもいい噴進弾だ!』
本来、支援型ヘリに搭載されている噴進弾は対地用の5インチFFARで飛行物体を攻撃する対空用ではないのだ。
「見つかった!鉄トンボだっ」
「敵本隊接近中!」
「敵トンボに構うな!敵本隊へ突撃!!」
ヘリに発見されても構う事なく、竜騎士達は新政府軍の兵士を乗せた第四戦闘航空団のヘリの群れに狼の群れの如く襲い掛かろうとしていた。 数機から多数の5インチFFARが竜騎士隊に向け発射され何機かは命中若しくは爆破で目をやられた翼竜が崖に衝突するなどを起こしたが、数が多く噴進弾の雨を掻い潜った竜騎士等はそのまま本隊へ向かう。
「全機散開降下しろ!上空警戒、待ち伏せだ!」
『一時上空、翼竜多数急降下!』
翼竜等は、第四戦闘航空団の真上から降下してくると漁用の網を投下して来る。
「網!?」
「避けろ!回避!!」
操縦手達は必死で網を避けながら飛行していたが、
『4番機ローター損傷不時着する』
『回避回避ー!』
『13番機操縦不能降下する!』
何機かのヘリはローターに投下した網が絡まり操縦不能に陥り脱落していった。
「やった!!鉄トンボを落とした!」
「奴等は回る羽が止まると飛べない。アルマイ隊第二撃だ!」
ヘリを数機撃墜した事に竜騎士達は、歓声を上げていた。
「くそっ、零戦を呼び戻せ!」
まともな対空能力のないヘリでは、翼竜に対抗する手段がない。ヘリは制空権を確保した時に本領を発揮する兵器、健軍大佐は直ぐに零戦の応援を寄越す様に指示する。
「伝令、ドラケル隊奇襲成功敵は混乱」
「よし、畳み掛けるぞ喇叭手!全騎我に続け!突撃!!」
このまま竜騎士等によって、健軍達第四戦闘航空団のヘリが全滅するか・それとも増援の零戦が到着するまで持ち堪えられるか。勝利の女神はどちらに微笑むかは今は誰も知らない。
帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?
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『廃墟からの復活』
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『皇帝陛下万歳』
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『神よ、皇帝フランツを守り給え』
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どれでも良い