GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり 作:人斬り抜刀斎
大日本帝国帝都東京の新宿にある軍病院で伊丹は、いつもの様に黒川から課せられている基本教練を行っていた。
「おいあれ、伊丹中尉!六〇二の近藤です。最近見ないと思ったら入院してたんスか?」
とそこへ特地で負傷した別の隊の兵士が伊丹に声を掛ける。
「ああ、ちょっと体調を崩してなー、あ、三偵どうしてる?」
「四〇二の二谷です。深部偵察隊は、難民キャンプ支援に配置換えになってます。聞いてないスか?」
「作戦に出ないの?」
「特地語ペラペラだからじゃないですか?」
「そうかー、あんがとお大事に」
伊丹は自分の元隊の近況を聞きお礼を言う。そして、彼らは去り際に
「ありがとうございます。伊丹中尉もお大事に」
「銀座ちょっとやばそうでしたよ」
「デモだろ二〜三日前からあの調子、テレビや新聞じゃチラッとしかやってねぇけど」
今、銀座周辺では大規模なデモが行われている為、連日ニュースになっているのだ。伊丹は、今日の朝刊の新聞を見ていると
「隊長、たぁいちょ〜。朝食の時間が終わりますよ」
「うほぉっ」
背後から黒川が現れ、伊丹は背筋が凍る様に驚いた。
「それに今日テュカさんが来るんですよね?女の子に見せられない部屋の片付けをしませんと」
「お、おうそうだった」
「憲兵隊も張り切ってますよ。ロゥリィの件で前科もありますから」
「前科って・・・・」
黒川に小言を言われながら伊丹は軍病院の上空を飛ぶ軍用ヘリを見上げていた。
特地と日本の往来は厳重な管理下にあって、日本人だろうと特地人だろうと自由に通行できる状況ではない。とは言え、アルヌスには大量の日本兵が派遣され滞在しているので、多くの例外が認められ人や物の流れを円滑にしていた。例えば特地に派遣されている日本兵は、休暇をとると許可を受けて銀座へ、そして銀座からそれぞれの目的地へ散って行く。有事の真っ最中にカレンダー通りの勤務体制をとることはないので、毎日誰かが任務に就き、曜日に関係なく誰かが休暇をとる。そのため、ほぼ毎日誰かが『門』を通過しているのである。さらに、日本陸軍の輜重隊は毎日ひっきりなしに往復している。機械化された現代戦において、必要となる物資の量は膨大だ。
兵士一人あたり、平均で2.7kgの食料も9kgの水や燃料、弾薬、その他で90〜100kgを毎日必要とする。5万人が戦い続けるには1日に5千トンもの物資を輸送する必要があるのだ(ちなみにその内の60%は燃料である)。
そのため毎日、大型のトラックが長蛇の列を作ってしまう。それは銀座と言う人の集まる街にとっては軽くない負担であり、交通渋滞の原因ともなった。しかも、最近はこれに加えて、特に許可を受けた民間物流会社のトラックが銀座の駐屯地に出入りする。兵士個人がやりとりする宅配便、あるいはアルヌス協同生活組合の店舗に並ぶ商品は、これら物流会社によって運ばれているのである。ただし、民間の業者が入る事が出来るのは、『門』を囲う様に作られたドームまで。一歩たりとも『門』を超えることは出来ない。
「アルヌス組合の出荷品でーす」
「特地の工芸品に織物に・・・・・こいつは、返品の品か。木工道具注文違い?」
「異常なし」
「よし全部、発送便に載せてくれ」
ドーム内のプラットホームに降ろされた荷物は、フェンスの仕切りの中で開封されたり、各種の検査を受けた後に『門』を通り、アルヌス協同生活組合の倉庫まで運ばれるのである。だが、逆は同じではなかった。注文と違う品物が送られて来たり、頼んでない品物が間違って届いたりなど手違いに対する返品に関しては、送り状のチェックを受けるだけで『門』を越え、ドーム内で民間のトラックに積み込まれる。
『門』を通り向けたテュカ達が、検問所で通関手続きを待っている間もフェンス越しに見えるプラットホームでは様々なトラックが荷台を寄せて、様々な品物を降ろし、或いは積み込み作業をしていた。
「あのクルマ、この前までアルヌスに来てたよね」
「委託業者の集配こっちに移したんだって」
テュカの後を追い掛ける様にして届けられたPXからの木箱もフォークリフトを操る運転手によって今まさにトラックに積み込まれようとしていた。だが、箱の角をあちこちぶつけ、倒しかけるという乱暴な作業が目を引いて、テュカは思わず叫んだ。
「あ、そこの貴方!ウチの荷物もっと丁寧に運んでよ!『壊れ物』って書いてあるじゃない!」
だが、出入りするトラックの騒音が反響するドーム内でフェンス越しに叫んだところで声が届くはずもなく、運転手は乱暴な荷運びを改めない。
苛立ちを堪えきれなくなったテュカは、精霊魔法を使って見えない風の道を拵えると、再度運転手へと届けさせた。
「もう少し慎重に運んでっ!」
その耳元で怒鳴られた様な声に、さしもの運転手もビックリした様で大仰に振り返ると声の発信源を探した。
「輸送の途中で壊れると、こっちが損を被らなきゃならないの。だから慎重に運んでちょうだい!」
運転手は戸惑った表情になった。きょときょとと周囲を見ても自分を怒鳴った女声の主が見当たらなかったからだ。
「こっちこっち!荷物落とさない様にね!」
やがて、離れたところで腕に腰を当て、険しい表情で仁王立ちしているテュカの存在に気づく。
そして、まさかぁとでも言いたがな表情をする。だが、視線を合わせたテュカが「そう、あたし。きちんと見てますからね。丁寧な仕事をしてね」と繰り返すと納得出来たのか、運転手はぺこりと頭を下げ、了解した事を示す様に片手を上げた。
「もうっ」
「次の二十三番の方。テュカさ〜ん、審査しますよ!」
栗林達の通行手続きが終わり、女性係官がテュカの番号と名前を呼んだ。もう一言、二言注意したいところだったが、もう行かなければならない。テュカは「あ、はい」と慌ててカウンターへ向かった。そこでは開襟制服をまとった女性兵士から、形式的ながらいくつか質問を投げかけられた。
ここ数日病気にかかりませんでしたか?今、熱はないですか?日本国内で規制される様な、薬物、刀剣などを持ってないですか?等々。それら全てをテュカは「いいえ」と流暢な日本語で否定し、確認書に署名する。すると係員はテュカの差し出した書類に、真っ赤なスタンプを音を立ててついた。随行する栗林と富田らは、護衛の任務を兼ねているので質問はないし、武器の携帯も認められている。警護に関係書類を見せ、敬礼して終わりであった。
「はい、テュカさん審査終了です。ようこそ日本へ。では、いってらっしゃいテュカさん」
「ありがとう」
こうして三人は銀座へと入ったのである。特地人のテュカが、随分すんなりと通行が許可されたのは、アルヌス協同生活組合の幹部故に例外的な扱いを受けているからである。日本政府と交渉する際に必要という事もあって、東條英機総理から直々に特別許可書が発行されたのだ。しかも、それ以外の配慮が彼女達に与えられたりしている。
「今日もよろしくね」
テュカは、栗林達を引き連れていつもの事の様に、待ち構えていたフォルクスワーゲン・タイプⅡの後部座席へと乗り込んだ。前もって連絡しておけば、安全確保、機密保持等々の都合といった様々な理由から、黒服を着た運転手の付く乗用車まで用意してもらえるのである。だが運転手だけでなく、助手席にも誰かが座っている事に気付いたテュカは、身を乗り出して声を掛けた。
「あれ、もしかしてコマカド?」
「おはようテュカ・・・・さん、今日は随分とおめかししてるな」
助手席に居たのは駒門だった。運転手の黒服と並んで、二人の男達はテュカの姿を見ただけで魂を奪われた様に頬を赤らめた。
「おはよう?随分と時差が出て来たのね。こちらではまだそんな時間?」
「おっと失礼。こっちは今はまだ午前中だが、おはようとこんにちはの区別が際どい時間帯ってところだ。特地では、昼過ぎかな?」
「そうよ」
「よろしくお願いします」
「おう、新谷出せ」
最後に栗林が乗り込むと駒門は、運転手にエンジンを掛けさせる。
「ところで今日はなんでコマカドも?今日は何か特別な日?コマカド自身がわさわざ迎えに来るなんて」
「あれだ。銀座が少しばかり騒がしくなってるんで、俺が直接来たってわけだ」
と窓の外を見る様に促した。銀座駐屯地のフェンス周辺に多くの人々が集まって、車道を練り歩いている。見ると、旗やプラカード、横断幕を持っていたりする。それらには・・・・
『日本政府は銀座事変の外国人被災者にも補償せよ!』
『『門』を閉じずに、フロンティアを我らに開放せよ!』
『特地の環境を破壊するな』
『首謀者を罰し『門』を閉門せよ!』
と言った主張が書かれていた。勿論、独特の書体で書かれたそれらをテュカが読めるはずがない。
「何が書いてあるの?何かの宗教行事?・・・・・それとも、領主様への陳情行進?」
「特地でもやる事はいっしょか。こっちじゃ『デモ行進』って言うんだ。民主主義の国家では、ああやって人々が集まって政府に不満を表明したり、主張したい事を皆に向けてアピールする事が許されている。海外じゃこの流れで暴動になるのだが定番なんだが」
「コダ村近くの村でも農民反乱やってたわ」
見ると、警察官が「立ち止まらないで下さい」と拡声器で呼び掛けながら、交通整理をしている。それに従うデモ参加者も、まるで運動会の入場行進かと思う程に秩序だった動きを見せていた。駒門は、それを見て「ん?」と眉を寄せる。胸騒ぎにも似た違和感を覚えたのだ。どうにも不思議な香りがする。だが、「これって、暴動とかになったりしない?」とテュカに話しかけられ気が削がれてしまう。
「今の日本じゃあんまりないが。昔は、政府機関や交番に石や火炎瓶を投げ込んだりして酷い損害を与えたりもしたんだが、今は滅多にない。海外だと暴動に発展したり、気に入らない国の国旗を焼いたり踏みつけたりする例もある」
「野蛮ねぇ、そんなゴブリンみたいな連中いるの?」
「人間って堕ちるのは案外簡単なものだ。我々だってそうならない様に注意しないと、あっという間に同じレベルになっちまうから気をつけなきゃならん」
そこまでは関心がないのか、テュカは「ふ〜ん」と呟き視線を他所に向けた。駒門も「いつもの様に頼む」と運転手に出発を命じる。テュカ達を乗せた乗用車は、警官が踏切の様に人の流れを止めてくれた間隙を縫い、銀座の駐屯地から道路に出た。いつもなら、そのまま車の流れにのって銀座から離れられるのだが、今日はそうもいかなかった。長いデモの列のために渋滞が出来ていたからである。乗用車の後ろには、運送会社の大型トラックが数台続いているが、その運転手達も皆うんざりした様な表情を見せていた。ふとテュカが感想を漏らした。
「ニホンの人って、比較的同じ色合いの肌に、黒髪って印象だったけど、こうして見ると意外と多彩なのね。あの帝国やヌピカ人みたいなヒトもニホン人?」
車窓から見える群衆は、アジア系ばかりでなく白人種、黒人種が混ざり国際色が豊かだった。もちろん圧倒的多数はヨーロッパ系である。
「いや、外国人だ。ヨーロッパかアメリカだろう。実はこのデモは、INGOが主体となっているんだ。主催者は一応、日本人って事になっているんだが、蓋を開けて見ればドイツ、イギリス、フランス、アメリカ、ソ連などからぞろぞろやって来てこの始末だ。この前閉門派と乱闘騒ぎがあったしな・・・・だから念のため俺まで出張る羽目になっちまったってわけだ」
「そうなんだ。ありがとう」
「いいえ、どういたしまして・・・・だな」
デモの参加者達は様々な旗を持ち寄っていた。赤地に鎌と槌の上に赤い星が描かれた旗。赤と白のストライプーに一部青地に白い星を散りばめた旗。赤地に白い丸の中に鉤十字を添えた旗など、いろいろだ。
「この色とりどりの旗は、もしかしてそれぞれ参加者の国の旗かしら?」
「そうだ」
「赤い旗を持っているヒト達もニホン人?」
「いや、あの赤い旗はソ連、あの鉤十字がドイツ。こっちの派手な横縞と星を散りばめたのがアメリカ合衆国、そしてフランスとイギリス。あれはイタリアだな」
「でも、外国人が他国で騒ぎなんか起こして問題にならないの?」
「まぁ、法律に反しない限りは・・・・だな。国連総会とか、国際的な会議が行われる所では、INGOがデモとか集会とか開いたりするのは普通の事だ」
「そうなの?」
日本についての基本的な知識がまだまだ不充分なテュカは、海外から来た人間にすら示威行為を許す日本のあり様は驚きでしかない。
「でも、このヒト達・・・・まるで軍隊みたいに秩序だってるね」
テュカの感想を耳にした途端、駒門は先程から覚えていた違和感の正体を悟った。そうだ、このデモ隊に参加している外国人達は、INGO名乗っている割には、不自然なまでに統制がとれているのだ。その行動も指揮官からの指図でなされている様に見えなくもない。「軍隊みたい」テュカの感想こそが、全てを言い表してる様に思えるのだ。駒門は不安の正体に気付くと、いち早くこの場から脱出すべく運転手に命じた。
「おい新谷、ここでUターンして反対車線に出て飛ばせ。ここからズラかるぞ」
だが、ここまで無言を貫いて来た黒服が、この指示に戸惑いの表情を示した。
「ここは、Uターン禁止です。逆走ですよ!?」
「構うもんか。今は、ゲストの安全が第一だ、行け!」
「でも、対向車が途切れてからでないと事故ります。まずいですよ」
「くそっ、こいつらが統制が取れすぎてんだ。違和感はこれか・・・・!」
渋滞のせいもあって対向車が中々途切れない。無理に割り込めば、接触事故は免れないだろう。運転手が躊躇うのも当然であった。だが、その数十秒間の逡巡が皆を騒動に巻き込む。
『実行!』
と『門』から離れた場所に止まっている車から男が無線で指示を飛ばす。すると、銀座周辺で異変が起こり始める。
「え、あれっ!?ちょっと、なんか変よ。何?何?何が起きたの!?」
外を眺めていたテュカが叫んだ。銀座の街中で突然煙幕が立ち込め、それまで整然と行進していた筈のINGOのグループの一つが突如として列を乱し、警官の静止を振り切って一斉に走り出したのである。
『発煙弾!?騒擾状況!』
「全中隊警戒!」
「一部が暴徒化、駐屯地へ侵入を試みる!」
「一、ニ、三中隊を持って押し返せ!待機中の第五警備隊に応援要請!中央通りから交差点を包囲するんだ、『門』に近付けさせるな!」
その一部は、停止していたトラックや乗用車の間にまで溢れ、ただでさえ渋滞していた交通を一気に麻痺させる。警察官はホイッスルを鳴らし、デモ参加者に列に戻る様に声を張り上げた。だが、あちこちで同時多発的に起こされた突発的な出来事に対処しきれず、数の勢いに圧倒されて警官達の方が揉みくちゃにされた。テュカ達の乗るフォルクスワーゲンバスの周囲は人海で埋め尽くされ、前にも後ろにも動けなくなってしまったのである。
「キャアア!!何このヒト達操られてるの!?」
「このままだと、車ごとひっくり返されちまう。やばいぜ、駒門さん!」
襲われる。そう感じた栗林と富田は反射的に鞄からMP40を構えた。だが、駒門が撃つなと叫ばれて引き金から指を離す。
「銃はだめだ!ここは特地じゃないんだぞ!頼むから二人共頭を平時モードに切り替えてくれ!」
「しかしっ」
とは言え暴動とも言える騒ぎはもの凄い勢いで拡大し、比較的冷静な富田ですら「撃たずに、どんな対処するんですか!」と怒鳴り返した程である。デモ参加者がトラックに群がると荷台に積まれていた木箱を道路に投げ落としたり、中身を引っ張り出そうとすると言う無法行為に手を染めているのだ。
「連中の目的は、略奪か!?」
「いや、それはないと思う」
駒門は運転手の言葉を否定した。確かに一見無統制な暴動の様だが、彼の目にはデモ参加者達が無秩序に暴れている様には見えなかったのだ。実際に、通りに面した銀座の商店や百貨店などのショーウィンドウが割られ、商品が略奪されている。銀座は高価な商品が並んでいる店が多い為、その被害は甚大な金額となるだろう。だが、よくよく観察するとそう言った略奪をしているのは騒動に便乗したデモ参加者の一部でしかなく、中核となっている連中は、一つの指揮系統に従って行動しているのである。その統制を受けた一団は、トラックの窓を叩き割って、中から運転手達を引き摺り下ろすと、荷台に積まれた荷を引っ掻き回していた。
「彼奴等、何かを探しているみたいですね」
運転席の黒服もその事に気が付いた様だ。
「そうだな・・・・」
トラック一台の荷物をあらかた調べ終えると、一人の男が次の一台に指を向けて何かを叫んだ。それに従って男達が一斉に走り出し、瞬く間に次のトラックに群がって行く。
「彼奴等、何を探してるんでしょうね?」
「分からんが、兎に角此処に留まっているのは拙い」
何としても脱出しなければならない。それが駒門の判断だった。駒門はシートの下に常備されている発煙筒を手に取ると、後部座席に振り返った。
「よし、脱出するぞ!いいか、今から発煙筒を炊く。煙が車内に充満したら、一斉に外に脱出しろ。車から煙が吹き出せば、火がついてると思うだろうから連中も少しは離れる筈だ。そうしたら、その隙を突いて一気に走り出せ。栗林と富田、テュカさんをしっかり守れよ。俺はこの腰だから追い付けんと思うから先に行け。集合場所は渋谷駅交番前。そこで合流だ。いいな!」
「了解!」
栗林と富田の二人は武器を手にしているのを見られる方が危ないと考え、それぞれ鞄に押し込んだ。
「あー!うちの荷物ーっ」
発煙筒を着火する前に、テュカは前にいたトラックの台から木箱から降ろされているのを目撃する。そらには『壊れ物』等と書かれた張り紙が貼られていた。地面に叩き付けられたら中身が壊れちゃうと心配したのだが、暴徒達は何故かその箱に関しては慎重に扱っていたのである。
「ドロボー!何処に持って行く気!?組合の荷物よ!」
「点火!」
思わず声を上げるテュカだったが、駒門が発煙筒を着火する。刺激性の強い煙に視界を覆われ、最後まで木箱の行方を見届ける事は出来なかった。
「行くぞ。今だ!」
「テュカ、行くぞ!」
突然、目の前の車から白い煙が溢れるのを見たデモ参加者達は炎上爆発するとでも思ったのか、潮が引く様に車から離れて行く。その僅かに開いた隙を突いて、栗林とテュカは車から降りた。興奮した群衆に道理は通じない。理由のない暴力が犠牲者を求めて渦巻く中で、周りの男達は二人を標的にして汚れた手を伸ばそうとした。だが、富田がそれを振り払う。たちまち揉み合いから乱闘へと発展し、富田は周囲からの無数の拳によって殴られてしまった。だが、富田は少しも怯まない。両手を顔の前で交差させ、栗林とテュカが進む為の道を強引に切り開いていった。後ろ側から抱きすくめ様とした男を回し蹴りで蹴倒した栗林が叫ぶ。
「富田!?行ける!?」
「任せろ!しっかりついて来い!」
先頭に立った富田は群衆を押し除ける様に突進する。
「そうこなくちゃ!それが聞きたかったんだよ!」
栗林は嬉しそうに叫ぶと、テュカ守ってその大きな背中の後ろに続いて走りだした。
一方の門の前の銀座の駐屯地では、
「消火急げ!」
「ゲートを塞いでいる車両を牽引してゲートを閉めろ!」
「司令!『門』の隔壁が攻撃により損傷!」
「巻き込まれた慰霊参拝者数名が保護を求めています!」
「暴徒は数千人です!発砲の許可を!」
次々と舞い込む報告に一人の兵士が暴動の鎮圧の為に銃の発砲の許可を求めたが
「・・・・発砲は許可出来ない。総員特地側に退避せよ!」
だが、駐屯地の司令官は暴徒に対しての銃の発泡の許可を出さず特地に退避する命令を下した。
帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?
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『廃墟からの復活』
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『皇帝陛下万歳』
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『神よ、皇帝フランツを守り給え』
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どれでも良い