GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり 作:人斬り抜刀斎
ピニャ達が、イタリカ近郊で旧帝国軍と交戦している頃イタリカ内でも動きがあった。
「行け、モルトを確保しろ」
モルト皇帝を攫うボウロの一味がイタリカへと入り込んで来た。暗闇に紛れながらイタリカの衛兵を殺害しつつ町に火を放って行き、町は大混乱に陥っていた。
「火事だー!」
「敵兵が侵入しているぞ!追えーっ」
「屋根の上だ、城館に向かっている!」
「市内数カ所で火災!市壁外の陣営でも付け火です!」
「敵兵が市内に潜伏している模様、各所で戦闘がっ」
「多数が城館に迫っています」
衛兵らは、消火活動や敵の捜索と排除などの対処に追われていた。
「城壁を固めろ!ここで食い止める!」
「商人にでも変装して入り込んだか!」
「いたっ、あそこだ!」
「なんだよあいつら亜人か!?」
「矢を放ち続けろ、近づけさせるな!」
衛兵達は屋根を伝って走る集団に向かってクロスボウで攻撃する。
「裏山側はどうなってる」
「今のところ・・・・・・」
「引き続き見張りを・・・・・・」
と言い終わる前に衛兵らはボウロの一味に始末され、衛兵がやられると建物の中から
「ここは通さないにゃ」
メイドのペルシア達も武器を持ってボウロ一味に応戦しようとしていた。一方その頃城館では
「敵の密偵集団が一斉に動き始めました!城壁で交戦中、敵は三十以上!」
「裏庭から呼び子が!ペルシアの班です」
「火事は陽動でしょう、出入り口を守り固めなさい。フォルマル家の盛衰はこの一戦にあります。なんとしても皇帝陛下とミュイ様をお守りするのです!」
「「「「「はいッ!!!」」」」」
メイド達からイタリカの状況を聞いたメイド長のカイネはメイド達に指示を出しつつモルトの寝室へと向かう。
そして、カイネは皇帝モルトの寝室に入る。部屋にはベッドに横になっているモルトと側にいる宰相のマルクス、本を読んでいるシェリー、メイドのメデューサと人形遊びをしているフォルマル家現当主のミュイらがいた。
「不逞の輩が押し寄せて参りました。どうぞ、お気を配りくださいませ皇帝陛下、ピニャ様とゾルザル様の軍がカンネーデにてぶつかったとのよし。影戦も始まっております、守りを固めておりますがこの館内にもいずれ・・・・・・」
「うむ、彼奴も此処まで出来る程度には成長したと言う事か。世が世なら何処かの蛮国の王くらいにはなれたものを、惜しいものだ」
「ゾルザル様は・・・・・・皇帝にはなれないのですか?」
とミュイは、モルトに疑問を問い掛けた。ゾルザルは、モルトの第一子で皇位継承権の1位と思っている。しかし、皇帝は血筋だけでなれるわけでない…政治・経済・軍事などの才能が備わってなければならない。勿論、各大臣などの補佐があれど才能が無ければ暗君、議員たちの支持を得られず誰も着いてこない。
「それには、別の才覚が必要だ。彼奴には無理であろう」
「皇帝になれば、みんな従ってくれるのでは?」
「それはな・・・・・・いや、ここはひとつ。シェリー、そなたが説明してくれぬか?」
「えっと・・・・・・ミュイ様、人は地位に従うものではありません。その人に他人を従わせる力量があるから従うのです」
「けど、ミュイはまだ子供です。なのに・・・・・・」
「それはミュイ様がいい子だからです。いずれフォルマル家を率いる力を持つと」
「ミュイが悪い子だったら?」
と自分が悪い子だったらと言う質問にシェリーは
「誰も構ってくれなくなるでしょう」
「ミュイは、いい子になります!頼んだよラム!」
「お任せくださいませ、お嬢様」
ミュイは泣きながらそう言いメイド長のカイネは笑いながらそう言う。
「あれ?じゃあ、ゾルザル様が皇帝になれないのはいい子に育ててもらえなかったから?」
「そ、それは・・・・・・」
とミュイにそんな疑問にシェリーは困惑し、宰相のマルクスは顔を引き攣っていた。そして、その疑問にモルトは肯定した。
「その通りだ、儂があやつを至らぬ男に育てたばかりに・・・・・・つまりは儂が悪い子だったのだ」
「で、でもそれでは陛下のご両親も悪い子そのご両親も、ずっとずっとご先祖様も悪い子で・・・・・・最後には人を悪い子として造った神様が悪いって・・・・・・」
「・・・・・・ミュイ様、良い子になれるかは自分次第なのですよ。だって、シェリーのお父様もお母様もとても良い人だったのにこんなに悪い子になってしまいました」
「シェリー様が悪い子?」
「極悪人ですわ」
ミュイの問いにシェリーは薄ら笑いを浮かべなら自分が極悪人であると言う。
「それでシェリー様のご家族は・・・・・・」
「だから、ミュイ様はいい子になって下さいね」
「かわいそう」
とミュイは察したのか、シェリーの頭を撫でる。
「シェリー様、お部屋にお戻り下さい案内いたします」
「わたくしはここで、戦の結果を待ちたいのですが」
「それには及ばぬ、代わりにそなたには任を授けたい」
「陛下、伯爵夫人には大任過ぎます」
「ニホンとの交渉をこなしたではないか」
「し、しかし帝国の威信が」
「万が一の時には却ってもいいのではないか」
「万が一・・・・・・?」
すると、モルトがシェリーに在日帝国大使に任命し、もしピニャがゾルザルに負けるようなことになれば講和派の議員やその家族を大日本帝国に亡命させる為のパイプ役にしようと言うのだ。
「そなたには、在ニホン帝国大使を任せたい。すぐにここを発ちニホンに向かうのだ。万が一に備え亡命者を迎え入れるパイプ役を担ってほしい」
「亡命者・・・・・・そんな、まだピニャ殿下が戦っているのに」
「ピニャは、懸命に戦っておる。だが勝てるとは限らない。敗れた後の事も考えておかねばならぬ、ここで皆の命を終わらせるわけにはいかぬのだ。頼むぞ、シェリー」
「信任状はすぐに作成して届ける。今すぐ支度しなさい」
「シェリー様、万が一の時はミュイ様をどうぞよろしくお願いいたします」
「承知いたしました」
まだ戦いは続いており、両軍共に死傷者が増えているが、決着はついていない。ゾルザルが勝てば講和派の議員達はゾルザルによって粛清される事は明白…そうなる前に手を打っておく。モルト、マルクス、そしてカイネに頼まれてシェリーは、困惑しながらも同意した。
一方、菅原も何やら同僚にある事を伝えていた。
「本気か!?菅原君」
「本気です」
それを聞いた同僚達は驚いた。菅原はそれを伝え終えるととある部屋へと向かった。部屋の中には、モルトから大使任命の後菅原の元へやって来たシャリーは、椅子に体育座りして俯いていた。
「そんなに日本に行くのが怖いのかい?」
菅原に声をかけられて顔を上げれば、シェリーの目には涙を浮かべ目は少し赤く腫れている。
「わざとわからないフリをなさっているのですか?怖いかと問われれば怖いですわ」
「少しの・・・・・・」
「スガワラ様?何か・・・・・・」
菅原は、シェリーに何かを伝えて柳田中尉の所に行くと言うとシェリーは頬を膨らませて不貞腐れる。
「・・・・・・ちょっと柳田中尉のところに行って来るよ」
「わたくし、あの方好きじゃありませんわ。会うたびにからかって」
「一緒にアルヌスに行くんだから仲良くな、彼は妬いているだけだよ。すぐ戻るから」
菅原は、シェリーにそう言うとそのままイタリカのフォルマル家の城館に設けた陸軍イタリカ司令部に向かいどうにか韋駄天の撤回が出来ないかと柳田に尋ねってみる。
「柳田さん!韋駄天発令は撤回出来ないのですか!?」
「あんたも外務官僚ならそんな事できんと分かってるでしょう。車行きました?それで撤収してください。その鞄取ってもらえます?」
「柳田さんも分かってるでしょ、今皇軍が撤退したらどうなるか」
「第I、第II軍団が間に合えば勝てる。だが支援していた輸送隊は撤収した。イタリカは陥落し、粛清と民族浄化が始まるでしょう。柳田さんはそれで良いんですか!?」
「軍人は命令に従う。俺は・・・・・・伊丹やあんたみたいにバカになれんのです」
「僕は・・・・・・残ろうと思います」
菅原は、特地に残る事を伝えると柳田は煙草を咥えてマッチを擦って煙草に火をつけるとこう告げた。
「それは、自殺行為だ」
「こっちにも都合がある。特地専門のキャリアを始めた以上もう鞍替え出来ない。それに僕が残る事で国益も少しでも守られる」
「・・・・・・あんたが軍人だったら、今頃命令違反で軍法会議に掛けるか、無理矢理にでも連れて帰る所だが残念ながらあんたは別組織の人間だ。俺に口を出す権限はない」
「助かります」
「所で、日本に赴任する嫁さんはどうするんだ?下手すりゃ生き別れだ」
「実家に預けるつもりです。両親は喜びますよ、手紙書くんで届けて下さい」
シェリーは菅原の実家に預けると言う。まぁ、独り身の菅原に婚約者が出来たと知れば両親は喜ぶだろうがまだ年端もいかない少女だとしたら彼の両親の反応も想像に難くない。
「想定済みか、分かった。ただしヘリが来るまでに説得しておいてくれよ」
「ありがとうございます。では」
と柳田に礼を言って退室しようとしていた菅原を柳田が呼び止めた。
「ちょっと待った、護身用だ。後で返してくれれば良い」
そう言って、柳田は菅原に護身用にとワルサーP38を渡す。
「なんだその目は?羨ましいのか?」
柳田は、こっちを見て来るデリラにそう問い掛け
「べ、別にっ、ニホンに行ったって苦労するだけでさ。あたいはこっでダンナの帰りを待つよ」
デリラは、顔を赤くしてそっぽを向く。
「なんだ、来たくないのか?」
「ダンナが来いって言うなら、行かないこともないけど・・・・・・」
「じゃ、来ればいいだろ。どうする?」
「もちろん行くよ!」
と柳田がそう言うとデリラは、満面な笑みを浮かべて行くと言う。
「なら、さっさと荷造りするんだな」
「分かった!」
デリラが荷造りの準備を進めている間、柳田は無線機を使いある人物に連絡をしようとしている。
一方、旧帝国軍の野戦陣地では、
「なんだって?柳田さん?」
『繰り返すぞ『韋駄天』が発令された』
天幕の物陰では古田が無線で柳田から『韋駄天』が発令された事を伝えられた。
「まじですか・・・・・・」
『指定時間までに回収地点に来い。お前が来るまで待っててやるからなんとしても脱出して来い』
「了解しました。・・・・・・脱出と言ってもなぁ」
と無線を切る。取り敢えず古田は給仕服を脱ぎ捨て野戦病院で負傷兵が着ていたであろう服を拝借しそれに着替えて闇夜に紛れて逃げ出すつもりだったが、
「そこのお前!どこへ行く!第II軍団のスコルピオン隊はこっちだ!迷ったのか?ついて来い!」
「はっ、はい」
運悪く百人隊長のボルホスに見つかってしまい呼び止められる。もし、敵前逃亡とバレたら有無を言わさず即刻処刑されるだろう。だが、ボルホスは迷ったと思われたのだ。
「ひどい夜戦だ。明るい内に包囲に失敗したせいでっ、ピニャ殿下の騎士団がやはり手強い。貴様達補助兵の働きにも期待しているぞ」
「はいっ、隊長殿」
「いい返事だ」
古田は、ボルホスに正体がバレてない事に安堵しつつボルホスについて行く。
(この士官、よっぽど上位なのか?)
「ボルホス主席百人隊長!」
「なんだ、アジール副隊長」
「例の亜人ども、どうにかして下さい」
「あれか、殿下の命令なのだろう?」
「陣営の真ん中で兵の士気に関わります。なにせ、ピニャ殿下の騎士団を相手にしているのですから、無理に捕まえようとしていらぬ損害を・・・・・・」
「帝国軍人が情けない、分かった着いて来い」
とボルホスが愚痴りながら歩き出すと、古田も何か手伝うと言って着いて行く。
「お前!ついて来なくていいぞ。スコルピオ隊はあっちだ」
「あ、何かお手伝い出来ることがあるかと・・・・・・」
「む、そうだなよろしい、一緒に来い。見張りはどうした!?」
とある建物に見張りが誰もいないと指摘する。そして、その建物の中月明かりが照らす暗い一室からテューレの喘ぎ声が響き渡る。テューレは、あれから色んな 慰み者にされていた。
帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?
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『廃墟からの復活』
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『皇帝陛下万歳』
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『神よ、皇帝フランツを守り給え』
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どれでも良い