GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり   作:人斬り抜刀斎

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園遊会

帝都 皇宮のあるサデラの丘、白亜宮殿と神殿が建ち並んでいる。

その中でも豪華絢爛な館の中では、金髪で筋骨の男と白銀の髪で兎耳がシルエットの女が交わしていた。男は女の首を絞め、女はもがき苦しみの声を上げる。

 

「あっ ぐっうっ あっ ひぐっ ぐがっ あっあっ でっ殿下・・・お許し・・・をっ」

 

「んん〜?ヴォーリアバニーの族長がその程度か?どうした?もっといい声で啼かんか!啼け!!」

 

男の名はゾルザル・エル・カエサル。帝国第一皇子で、ピニャとは腹違いの兄である。彼女は、ヴォーリアバニー国の女王 テューレ。長時間、凌辱され、力尽きたテューレはベッドに横たわる。

 

「ハァッ」

 

「フン 物足りんな忘れたのか?お前の同胞の運命はお前自身の献身にかかっているんだぞ?」

 

「あん お許しを・・・殿下・・・お慈悲を・・・」

 

「もういい!失せろ!!」

 

ゾルザルは、使い果たしたゴミを捨てる様に追い払い、メイド達を呼び出し着替えを始める。

ゾルザルは、三年前にヴォーリアバニーの民族を襲撃し、残虐な殺戮の限りを尽くして来た。テューレは一族の命助ける事を条件に自らを犠牲にする事を選んだ。だが、ゾルザルは一方的に条件を破棄し、一族皆を皆殺しにした。その真実をテューレは知らなかった。着替えが済むと、マルクス伯が部屋に入って来た。

 

「・・・いいかげん飽きたな あの兎女にも」

 

「ゾルザル・エル・カエサル殿下。いけませんな、皇太子とあろうお方が汚らわしいヴォーリアバニーなどと・・・」

 

「マルクス伯か 俺は開明的な男だから種族で差別などせんのだ。ハッハッハッ!」

 

「し、しかしもし孕んだりしますと・・・」

 

「そりゃいい、俺の子が奴等の王か。と言っても奴等の国など疾っくの疾うに滅んでいるのだがな。テューレの奴、そんな事も知らずに慈悲を乞うていたよ。おっと テューレの耳はできいからな、聞こえたらまずいまずい」

 

(・・・残酷なお方だ)

 

"三年前 一族を救うために身を捧げたテューレは国が滅んだことを知らない。その族長自身は国を売った裏切り者として生き残りに命を狙われているという"

 

(この方が皇帝になったときを考えるとゾッとする)

 

「ところで何の用だ。マルクス内務相覗きか?なんならテューレの奴譲ってもいいぞ?」

 

「め、滅相も無い 実は・・・元老院議員の一部に不穏な動きが・・・」

 

「・・・・フン、どうせディアボだろ?皇位継承順位をゆがめようと・・・」

 

「いえ殿下、弟君ではありません。アルヌスの門の向こうから来た敵の使節が議員達の買収工作を進めているそうなのです。講和交渉を有利に進める為に、今この瞬間にも皇帝庭園にて・・・」

 

それを聞いて、ゾルザルの顔が険しくなった。

 

「なんだと?」

 

「最近になり門の向こうで捕虜になっている者が相当いる事が明らかになりました。議員達はそれらの身柄と引き換えに譲歩を迫られているに違いありません」

 

「なんて卑怯な・・・肉親の情を付けいるとは・・・蛮族らしいやり方だ・・・分かった、俺が自ら出向いて使節と議員共に忠告しておいてやろう。俺の馬を用意しろ!・・・ところでマルクス伯 なぜ俺に伝えたのだ?父上ではなく」

 

「皇帝陛下の耳に入ると事が大きくなると思い・・・元老院との対立は帝国にとっては良い事ではありません。次代の皇帝陛下にとりましても・・・」

 

「そうだな、ディアボを利する事に成りかねんしな。よし!行くぞ!」

 

そう言ってゾルザルは数人の側近達を連れ、庭園に向かった。マルクス伯はそれを眺めながら

 

「馬鹿がせいぜい派手にかき回して来い」

 

一方帝都郊外、皇室庭園

此処では現在、ピニャと大日本帝国の大使菅原浩治による捕虜として捕らわれた者の家族や講和派貴族達の家族を招いた園遊会が開催されている。

会場では第三偵察隊と第一偵察隊の古田が海軍陸戦隊の人達から教わった海軍カレーと板前で培った寿司を振る舞い、栗林と船坂と富田は女性でも出来る護身術を伝授し、桑原と水木と池部は日本のお菓子を子供達に振る舞う、その他の隊員はサッカーやテニスなど男女問わず来賓者達を楽しませた。

そして古田と横井の作った海軍カレーは大好評だった。海軍カレーにも色々ある横須賀海軍カレーや呉海軍カレーや舞鶴海軍カレーや佐世保海軍カレーなどあるが今回古田が出したのは横須賀海軍カレーだ。

更に子供達にはキャラメルやドロップ、ボンタンアメ、ビスコ、グリコやチョコレートなどのお菓子やラムネにコカ・コーラ、ファンタ、バヤリース、ドクターペッパーなどのジュース、そしてアイスキャンデーが人気があった。

 

「ピニャ殿下」

 

「おお ドゥエン殿久しいな御壮健か?」

 

「はい 此度は家族共々 このような素晴らしい催しにお招きいただき皆 喜んでおります」

 

「それはよかった ドゥエン殿この催しを考えたスガワラ殿だ」

 

「菅原です お見知りおきを」

 

「こちらはマーレ家の三男ドゥエン殿。先日お渡しした リストに兄上の名がある後ろの御仁はー」

 

と話しそのあとピニャと菅原は庭園を散策する。

 

「議員や伯爵、伯爵の一家一族を一堂に招待する催しとは、雅量な心をお持ちであるな、スガワラ殿」

 

「ピニャ殿下 私がこの園遊会を考えたと言っても実質フォルマル家のメイド長に任せきりですし・・・殿下が要請したので?」

 

「いや、伯爵家から協力の申し出があったのだ。イタリカは今景気がいいアルヌスとの交易でな」

 

「しかし・・・あの家からメイドにしてはヒト種ばかりですね。イタリカに行って初めてここは異世界だと実感したのですが」

 

「・・・帝都ではな」

 

(なるほど・・・そういえば帝都の貴族の家ではヒトばかりだった)

 

「スガワラ殿 あのニホン人は?」

 

とピニャが指差す方向に料理をする古田の姿があった。

 

「伊丹さんの部下で古田と言います。元一流料亭の料理人だとか」

 

「どうりで帝都にはないあじだ しかしイタミ殿の部下は・・・よい人材が揃っているな 彼らが来る前までここにいた者達は無骨でまじめすぎる感があったが」

 

「それが普通です。伊丹さんの隊は・・・やはり隊長の性格のせいですかね」

「なるほどな この催しには適任か しかし 今日は家族ぐるみでよかった 楽ができる。騎士団などの社交の場で接待役なぞしたら男女の介添えで食事する暇もないからな」

 

「わかります」

 

その時、後ろから少女が走って来た。

 

「スガワラ様!従姉妹が真珠の首飾りを見せびらかすのです。わたくし くやしくって くやしくって!」

 

少女は菅原に抱きつき、顔をジッと見続ける。両親が慌てて駆けつけて少女を引き離す。

 

「シェリー!おやめなさい!」

 

「ピニャ殿下 スガワラ様 娘の無礼をお許しぐさい」

 

「テュエリ家の者だ 元老院の重鎮ガーゼル侯爵の類縁にあたる」

 

「ガーゼル候の?」

 

菅原は戻ろうとしている少女と両親を呼び止めた。

 

「まあまあ そんなに叱らないでください シェリー様、御両親を困らせてはいけません。いい子にしていたらきっといい贈り物が届くと思いますよ?」

 

その優しい言葉にシェリーは菅原に惚れた。

 

「口説くのが上手いな、あの娘の表情を見たか?貴殿に惚れていたぞ?」

 

「ピニャ殿下、御冗談を。ガーゼル侯爵との繋がりは是非にと思いましたね」

 

「成る程な、まぁ許せ。ところで、イタミ殿とオオバ殿はどこだ?」

 

「あちらです」

 

(イタミヨウジ・・・か あのような目に遭わせたのに何も言わないし仕返しもしない 妾はやや避けられているようだが・・・イタミの性格に救わられた思いだ 妾への復讐なぞリサ殿との連絡役をやめるだけで充分 「芸術」への糧道が断たれれば我が身の精神的破滅ーーイタミの好意を繋ぎ止めるためなら手段は選ばん!そのための対イタミ突撃隊員も研修生の中に待機させている これも「芸術」振興のため!)

 

「殿下?」

 

そして先では立入禁止の草原の場所では伊丹の第三偵察隊と大場の第一偵察隊の2名が講和派の議員に明治38年採用の有坂三八式歩兵銃を構えさせ数m先の壺目掛け6.5mm弾を撃ち込む。

 

バァーン

 

と銃声が響き弾丸は見事に壺を粉々にした。射撃を体験しているキケロ卿はこの威力に言葉を失った。続いて恐ろしく強力で『ヒトラーの電動ノコギリ』と恐れられた機関銃MG42だった。7.92mmモーゼル弾の機関銃の射撃が行われた。

 

ドゥロロロロー

 

毎分1200発の発射速度に議員達は思わず耳を塞いだ。そして標的の並べられていた壺は全て粉々になった。

 

(これが'ジュウ"の威力だ、キケロ卿)

 

「如何でしょう。これが三八式歩兵銃と機関銃MG42の威力となります」

 

「こ・・・これはどうやって作る?売ってくれまいか?」

 

「え〜と・・作ってる所も売っている所も見た事が無いので分かりかねます」

 

「あ〜作ってるところ見たことないのでわかりかねます 買ったこともないのでーー」

 

「・・・・」

 

「えー皆様次にに88mm砲をご覧下さい」

 

そう言い少し離れた場所にドイツ軍の88mm砲が設置され議員達はそれを見る。

 

「なんだ あの筒は?」

 

「危ないので近付かないでください 向こうの斜面に注目ー」

 

「距離200。榴弾装填」

 

「距離200。榴弾装填完了」

 

「撃ってえぇー」

 

砲兵隊の88mm砲より発射された榴弾は200m離れた場所に着弾し大きく爆発する。

 

「!?」

 

「弾着」

 

「初段命中!」

 

弓兵の射程距離外からでも攻撃出来る88mm砲に驚愕する議員達。そして砲兵隊は続け様に砲撃する。

 

「ひ!?」

 

「わっ」

 

けたたましい爆発音が辺りに響く。

 

「こ これは どのくらいまで届くのだ・・・?」

 

「えーとこちらの単位で三リーグくらいですかねぇ」

 

「三リーグ!?」

 

「は はるかかなただ」

 

「魔法も届かん」

 

「戦場がすっぽり収まってしまうぞ」

 

「もう一つ・・・ジュウという武器 貴殿らはいかほどの数揃えておるのだ?」

 

「軍記につきお答えできませんが兵士一人一人持っていると考えてください」

 

と大場が議員らに言う。それを聞いて議員達は青ざめる。

 

一人一つ・・・戦えば負けるーーいや 滅びる

 

「デュシー候」

 

「うむ・・・これ以上のニホン軍との戦いが続けば我等は敗れる」

 

これ以上の日本軍との戦闘は無謀だと判断したデュシー候の様子を伺いに来た菅原が歩み寄る。

 

「スガワラ殿 ニホンはなぜ講和を求めるのか?戦えば勝てるとわかっているのに」

 

「なぜならば 我が帝国が求めているのは平和だからです」

 

と菅原は言う。

 

「平和・・・か・・・耳心地の実に良い言葉だ・・だが・・勝って与えられる平和は非常に美味で負けて与えられる平和は実に不味い。同じ平和だと言うのに真逆の意味が含まれている」

 

「これまで儂等は勝って与えられる平和しか知らなかった。ニホン軍に帝都が蹂躙される前に講和交渉が必要だろう。其方の和平にどの様な条件を出すつもりか?」

 

「我が帝国が求める条講和条件はーー1つ目帝国は戦争犯罪の責任を認めて謝罪し、責任者を処罰する事。2つ目は帝国は賠償金として五億スワニもしくは相当の地下資源採掘権を支払う事。3つ目はアルヌスを中心とする半径100リークを大日本帝国軍に割譲し、その外側10リークを非武装地帯とする。そして4つ目は通商条約の締結・・・これらの4つが我が帝国が掲示する条件となります」

 

「五億スワニ!?」

 

「無茶な!?世界中の金を集めてもそんな額にはならんぞ!」

 

「ス・・・スガワラ殿・・・最早それは帝国の死刑判決と何も変わらないではないか。そんな面倒な事をせずともさっさと妾達を殺せばよかろ?」

 

五億スワニの賠償金に議員達は唖然となる。一方のピニャは改めて大日本帝国と帝国の差が圧倒している事に倒れてしまった。

 

「妾は化物を連れて来てしまったのか?ス スガワラ殿 それは・・・帝国への死刑宣告と変わらねではないか そんな手間をかけずともさっさと妾達を殺せばよかろ?」

 

「五億スワニは衝撃すぎましたか。単純に金貨を我が帝国の相場に当てはめただけなんですが・・・それでも年間予算を少し超える程度なんですよ」

 

「・・・・っ」

 

「五億スワニもの額がたった一国の年間予算と同じだと?」

 

「ニホンとはそれほどの大国なのか・・・」

 

 

"スワニ金貨は特地世界で最も価値がある貨幣 金の含有率は六十グラム 主に貯蓄に使われる。商取引に使われる機軸通貨はシンク金貨で大きさは五十銭ほど通常五シンク=一スワニとなる。一般に流通しているデナリ銀貨 兵士の給料として使われるソルダ銀貨 他にそれより質の劣る各種銀貨銅貨がある。現在市場の一部ではアルヌスの戦いで戦死した兵士が所持金ごと埋葬されたため貨幣不足が起きている"

 

「(この上 帝国が金を集めようとすれば特地経済は破綻する。そしてそれだけの金を一度日本へ持ち帰れば同じく世界経済が破綻する。だから五億スワニなど支払われても困る。賠償額が『決まってない』とは言えないから戦後の前例を参考に決めただけなんだよな)えー 皆さん 落ち着いてください つまりですね・・・」

 

日本にとっては賠償金は囮だった。此れは聯合艦隊司令長官山本五十六の発案で賠償金を支払うのが普通だが日本にとって重要なのは資源だった。資源に乏しく輸入に頼っている日本とってこれが重要だった。更に先の大戦で戦費や関東大震災でのアメリカからの復興公債を返すのにも必要なのだ。

 

「・・・要は賠償金に関しては応交渉ということか?」

 

「そうです」

 

(負けた国なんぞ属国化や君主を追放 死刑にして民は奴隷化するのが当たり前だが・・・)

 

(賠償金をどうにかできれば軽い条件だ)

 

「賠償金額に関しては双方が納得するものにせねばな」

 

「では正式な講和会議の日程を取り決めましょう」

 

「捕虜の帰還についても考えなければな」

 

講和会議への円滑に進んでいる中で、伊丹と大場は気絶し何やら魘されているピニャを起こす。

 

「殿下、大丈夫ですか?魘されてましたけど?」

 

「イタミ殿・・・妾はもうダメかも知れぬ・・・だから後生だ・・・あの時の事は本当に済まなかった・・・許してたもれ・・」

 

「あの時?・・・あぁ、イタリカでの事か。大丈夫ですよ、アレくらいじゃ人間は死にませんよ。それに帝国軍人はそれくらいで腹を立てません」

 

「いやもうダメだ・・・お願いだ、許してくれ・・・」

 

ピニャは完全に壊れていた。

「・・・・分かりました、許します。だから気をしっかりと持って・・・」

 

「ホントか!許してくれるのか!」

 

と満面の笑みを浮かべながら伊丹に抱き着く。

 

「これで漸く肩の荷が全ておりた!有り難い・・・本当に有り難い!」

 

「ちょ、ちょっとくっつき過ぎです」

 

伊丹は苦笑いを浮かべると無線が入って来た。それは帝都方面を監視していた監視兵からだった。

 

『こっちら監視塔より隊長方』

 

「こちら第三偵察隊の伊丹、どうした?」

 

『はい、帝都方面より招待状のない騎馬の集団が八騎が接近中。招待客では無さそうですが、盗賊や野盗にも見えません。こちらで対処しますか?』

 

「わかった、しばし待て。殿下、こちらに八騎の騎馬隊が接近して来ています。何か心当たりがありませんか?」

 

「はて・・・?それがどうした?」

 

(特殊作戦群に対応させるのが手っ取り早いけど もし帝国軍か 政府関係者だったら後々やばいしーー)

 

しかしピニャは何も知らないらしく、???と言った感じだった。このまま騎馬隊を追い返す手もあるがもしも帝国の政府機関の人間や軍の上層部だった場合講和交渉そのものが水の泡となってしまう。伊丹は無線機に向かって命令を出す。

 

「園遊会場にて緊急事態発生。議員達を離脱させろ、装甲車を射撃場に寄越してくれ。監視兵はそのまま監視を続行せよ。殿下、議員の皆さんを離脱させます。園遊会はそのまま続行していてください、良いですね」

 

「分かった」

 

「菅原大使、身元不明の騎馬隊が接近中との事です。安全を考慮して議員の皆さんを離脱させます。」

 

「分かりました、皆さん、緊急事態が発生しました。こちらへお集まりください!」

 

「大場大尉殿。身元不明の騎馬隊八騎が此方に接近中との連絡が入りました。急ぎ離脱の準備に取り掛かります」

 

「分かった」

 

議員達を集め、乗用車や自動貨車に乗せその場を離脱を開始する。

 

「皆さんを帝都の南東門の近くまでお送りします!その間ご堪能下さい!」

 

「南東門だと?」

 

「治安の悪い悪所の入口だ。そこなら人目につかないし、普段帝国兵は近づかん」

 

議員達が全員乗ったのを確認すると、倉田伍長と横井伍長はアクセルを踏み込み乗用車と自動貨車は南東門に向かう。それから園遊会会場にやって来たのはピニャの腹違いの兄ゾルザル・エル・カエサルだった。ゾルザルの騎兵隊が到着した。

 

「此処では今、何をしているのだ?」

 

「ピニャ殿下とスガワラ閣下の共催の園遊会で御座います。見ての通り家族ぐるみの集まりで御座いまして、皇子様もお呼ばれに参られたのでは?」

 

「ピニャの?いや俺は・・・」

 

「でしたら皇子様方も是非お楽しみください」

 

ゾルザルはメイド長に勧められるがままゾルザルの兵士達も目の前のテーブルに置かれている海軍カレーに手を伸ばす。スプーンを取り一口口に運ぶ。ゾルザルはその美味さに目を見開く。

 

(辛い・・・だが美味い!今まで食べた事の無い食感!おかしいな?マルクスから聞いた話と違うぞ?)

 

そんなゾルザルにピニャが声を掛けて来た。

 

「兄様、何か御用でございましょう」

 

「何だピニャ、俺が来て迷惑そうだな」

 

「とんでもない、兄様を拒む者など御座いません。兄様は昔からこういう崔しには無関心でしたので・・・あ、兄様に是非食べて頂きたいものが御座います。此方です。」

 

「何だ此れは?見た限り、固めた米と生魚が載っているだけだな・・・不味そうだ」

 

「これはスシと言います。この料理にはショウユと言う珍しいソースが合いますよ」

 

と言われて寿司を口の中に運んだ。

 

「ピニャ・・・この料理を作った料理人は何処で見つけた?・・・今宮廷に招いて父上にも召し上がって貰いたいな!!」

 

ゾルザルは寿司を気に入ったらしくピニャは安堵する。

 

「料理人についてはちょっとした縁がありまして・・・でもその様な事、宮廷料理人が許しますまい」

 

「なーに、何処か貴族の館に行幸と言うことでいけるだろ?」

 

「それについては後々に考えましょう。それで兄様、今日はどうして此処に?」

 

「あ?マルクスに行ってみろと言われた。」

 

「マルクス伯が?なんと言って?」

 

「・・・あぁ!気にするな!俺の間違いだった!騎士団団長のお前が謀議の中心な訳ないしな!」

 

そう言った後ゾルザルとその側近達の兵士は帰って行き、議員達とその家族も帰っていった。残ったのはピニャと菅原と日本兵だけだった。

 

「メイド長 お腹すきましたー」

 

「ゾルザル殿下が余分も持ち帰りなさりましたから・・・」

 

その頃ピニャと菅原はガーデニングでティータイムをしていた。

 

「・・・これはマルクス伯からの警告だろうな」

 

「威力偵察とは考えられませんか?」

 

「兄上に偵察などという高向なことは無理だ。これが謀議らしい謀議なら兄様は議員達を蹴散らして連行しただろう そして売国奴と罵り元老院派の声を封じたはずだ。だが議員が会合するのは違法ではない 興奮が冷めれば逆に兄上が元老院から批判されるはずだ兄上の評判は芳しくないからな もしゾルザル兄が排斥され元老院派のディアボ兄の勢力が強くなれば・・・皇帝と主戦派ーマルクス伯も困るだろう」

 

「いずれにせよ 我々の動きはマルクス伯に知られていた・・・我々の動きを頓挫させるには体制派による反体制派の暗殺や要人 知識人 マスコミ関係者の粛清などが考えられますがー」

 

「粛清?・・・まさか兄上をけしかけて国家反逆罪の適用を狙ったか?」

 

「主戦者の感情を沸騰させ一気呵成に和平派をつぶすつもりで・・・殿下はマルクス伯がこのまま粛清を強行すると?」

 

「いや 無理だな反逆罪の陪審は元老院議員だ。誰もが冷静な今証拠もない罪状で有罪にできないだろう」

 

「しかし マルクス伯はすぐ次の手を打ってくるでしょう。至急 カーゼル候との会談を」

 

「そうだな 講和会議開始の承認を元老院に求めねば キケロ卿に頼むとしよう・・・ああ 妾はただの仲介役のはずだったのに・・・」

 

一方帝都宮殿では、皇帝モルトと宰相のマルクスが玉座で話をしていた。

 

「ゾルザルはわざわざ餌を漁って来ただけか あやつらしい まぁよいまだ機会はある」

 

「ですが元老院で講和会議の開始が承認されますといささか不都合が・・・」

「余は会議そのものを否定してはおらぬ だが一ビタの金も一ロムロの土地も譲るつまりはない。会議なぞ踊らせておけばよい 話が進まなくなれば敵の方から交渉を打ち切って来よう。伯も好きにやればよい いずれにせよ帝国の敗北なぞ許されまいぞ」

 

「ハッ 一命に懸けましても」

 

 

帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?

  • 『廃墟からの復活』
  • 『皇帝陛下万歳』
  • 『神よ、皇帝フランツを守り給え』
  • どれでも良い
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