GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり   作:人斬り抜刀斎

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交渉決裂

「はい、確かに我が帝国には天皇陛下がおり、国家の元首であり、統治権の総攬者であり軍の統帥権を属して居ります」

 

「成る程、我が帝国と同じようなのであるか。考えてみれば『門』の向こうは異なる世界でありその世界にはその世界における君臨の有様があっても然るべきか。思えば、これまで対等の相手なぞ無かった。どの様に遇するべきか分からぬ。無礼などがあってもご容赦頂きたい」

 

「陛下、よくご存知で・・・」

 

と話していると扉が開かれ入って来た。

 

「父上!ご無事か!?」

 

廊下から大声を上げゾルザルが謁見の間に乱入して来た。ゾルザルの取り巻きも慌てて出て来たようだった。ゾルザルの手には鎖が握られ、首輪を付けたゾルザルの奴隷達が引きずられていた。

 

「おお!ご無事でしたかっ!ここから早く離れましょう!!」

 

その光景に絶句する伊丹達、菅原は正常心を保っているが内心では舌打ちをする。

 

「たった今主だった者に召集をかけた所です。待たねば宮廷が混乱に・・・」

 

「何を悠長な事を言っている!!また地揺れが起きるとノリコが言っておるのだ!」

 

(ノリコ?まるで日本名みたいだが・・・まさか!?)

 

「どけピニャ!父上をお連れする!」

 

「落ち着きなされ!何処にお連れしようと言うのですか!それにしても兄上、地揺れの事、よくご存知で・・・妾もついさっき聞き入ったと言うのに・・・」

 

「だからノリコに聞いたと言っておろう!」

 

「ノリコ?聞き慣れぬ名ですね?」

 

「こいつだ!黒髪の女だ『門』の向こうから攫って来た連中の生き残りだ」

 

それを聞いた瞬間から伊丹の中の何かが壊れた。

 

「このクソ野郎!ぶっ殺す!!」

 

伊丹は拳に力一杯に力を込めてゾルザルの左頬に拳を打ち込んだ。ゾルザルはそのまま吹き飛ばされた。

 

「貴様・・・殴ったな?皇子であるこの俺を殴ったな!!」

 

「この無礼者!!皇子殿下に手を上げるとは!!」

 

「一族郎党皆殺しの大罪であるぞ!!」

 

「生きてこの皇宮から出られると思うな!!」

 

ゾルザルの兵は剣や槍を構え、臨戦態勢に入り、大場と栗林はノリコと名乗る奴隷に近寄る。

 

「大丈夫ですか?我々は帝国陸軍だ、日本人ですね」

 

「は、はいッ!!助けに来てくれたんですか」

 

「はい、絶対に連れて帰って上げます。其れまで我々の側から離れないで下さい」

 

彼女は大粒の涙を流した。久しぶりに自分以外の日本人に会い安堵した更に其れが自国の軍隊である事に心の底から感謝した。

首に巻かれていた革の拘束具を銃剣で切って彼女を解放する。そして菅原はそっと彼女に自身の上着を着せる。

 

「もう大丈夫ですよ。・・・陛下!先程、皇子殿下が彼女を門の向こうから攫って来たとおしゃられたが一体これはどう言う事でしょうか!?そしてピニャ殿下、この事をご存知でしたか?」

 

「スガワラ殿?」

 

当のピニャ本人は話が全くついて来れていなかった。

 

「(・・・わからぬ?なぜ突然イタミ殿が兄上を殴ったのか。なぜスガワラ殿はこのような態度をとるのか・・・ジンドウテキ 彼らが非武装の者を助けようとするのはイタリカで見た。だが、だが、たった一人のニホン人のために講和への努力を無に帰そうというのか?)イタミ殿!皆も剣を収めよ!これは何かの手違いじゃ!此処は妾に免じてー」

 

「ピニャ、もう何もかも手遅れだ。」

 

「兄上・・」

 

「こいつらの国の運命はもう決まった!何処の蛮国か知らぬが・・・全てを壊し、全てを殺し、全てを奪い、全てを焼き払ってくれるわ・・・今更慈悲を乞うても無駄だ・・全ては貴様のせいだ!!自らの罪深さを思い苦しんで死ぬがよい!!」

 

そんなゾルザルの罵声を無視して伊丹は富田と栗林に命令を出し、大場も船坂と堀内に命令を出す。

 

「富田、栗林は彼女を護衛して此処から脱出する。」

 

「船坂、堀内に告ぐ雑兵どもを踏み殺せ」

 

「「各自の判断で撃ってよし」」

 

「「「「了解」」」」」

 

「菅原さん彼女を頼みます」

 

「栗林 船坂、銃をまた廃銃にするなよ」

 

栗林と船坂は三八式歩兵銃に三十年式銃剣を着剣しゾルザルの取り巻きに切り掛かる。生き残っている兵士達は栗林と船坂の二人に斬りかかろうとするも二人は難なく避け刺突する。取り巻きの返り血が二人に降り注がれるが、二人は気にせず斬りかかる。

 

「なっ・・・」

 

ゾルザルは言葉を失う。

 

「何をしておる!小僧二人にっ」

 

「お前達!?日頃の剣技自慢は口先だけか?」

 

と怒鳴りつける。

 

「おっと 皇子立たないでください。後で聞きたいことがありますので」

 

と伊丹はゾルザルにワルサーP38を向ける。ゾルザルはニヤリと笑い

 

「そのような小さな得物役に立つものか。素手でくびり殺してやるわ」

 

「試してみます?」

 

と二人が睨み合う。

 

「うかつに近付くな!隊伍を組め!」

 

「廻り込め!」

 

と兵士達は栗林と船坂を囲う。

 

「串刺しにしてやる!」

 

兵士達が襲いかかってくるが、

 

バァーン バァーン

 

と栗林と船坂は発泡した。

 

「胸甲をいとも易々と・・・」

 

「今のは魔法か?」

 

誰もが恐れおののいていた。

 

「次に死にたいのはだぁれですか?」

 

「死にたくない奴は武器を捨てろ!」

 

と次と武器を捨てる兵士達。

 

「なっ何をしておるか!剣を取れ!」

 

が兵士達は戸惑う。再び栗林と船坂が三八式歩兵銃を向ける。

 

「ひいっ」

 

「わあああっ」

 

兵士達は逃げ出した。ゾルザルは震えていた。

 

(これが火を噴けば俺も死ぬのか?時期皇帝たる俺が・・・!?り、理不尽だ!)

 

「さて、皇子殿下。あなたは先程あの女性を『門』からさらって来た『生き残り』とおっしゃった。それはつまり、他にもさらって来た人がいるということですね?」

 

「ふ・・・ふんッ!無礼で野蛮な蛮人に答える口など俺は持ち合わせてない!話が聞きたければ、頭を地に擦りつけながらさっきの非礼を詫びて礼儀正しく頼む事だな!」

 

「調子に乗るな!!」

 

「グハァ!!」

 

と大場大尉がゾルザルの腹に力一杯の蹴りを入れる。

 

「まぁ大尉殿、此処は冷静に」

 

と伊丹が大場を止める。

 

「あ、兄上。此処は一歩お引きになってー」

 

「黙れ!!お前がこやつらを連れ込んだせいでこんな事になったんだ!妾の子が要らぬ事をしおって!己の立場をわきまえろ!!」

 

「わ・・妾は・・帝国のことを思って・・・」

 

「もういい、このバカ皇子に何を言っても無駄だ、なぁ中尉」

 

「そうですね、あー、皇子。兄妹喧嘩も良いですが、我々の質問に答えてくれないと困りますよ。質問に答えて頂かないと・・・栗林軍曹、船坂軍曹、自分の口から喋りたくなる様に痛めつけてやれ。まだ殺すなよまだ聞きたい事があるから。」

 

「「了解、隊長♪」」

 

「こっ、小僧、何をする気だ!?まさか皇子たる俺に再び手を上げようなどと・・・・けっ、警護兵!こやつらを取り押さえよっ!」

 

栗林と船坂はニヤリと笑って手をバキバキと鳴らしながらゾルザルの前に立った。二人はゾルザルの腹にダブル腹パンを食らわせ、更にはダブルアッパーを食らわす。

 

「待て!やめよ!」

 

(あ、栗林と船坂が喜んで命令聞いたの初めてかも)

 

栗林と船坂のやり方にピニャと皇帝は目を背ける。栗林と船坂にボコボコに殴られたゾルザルは顔が腫れ上がり歯が何本も抜け落ち口や鼻から血を流していた。

 

「だ・・・誰か・・助けてぐべぇ!!」

 

栗林はゾルザルの左手を掴み、船坂は右手を掴み小指を握り、徐々に力を加えていく。

 

「た、頼む!指だけは勘弁してくr「バキッ」ぎゃあああ!ゆ、指があぁぁ!!」

 

そこでやっと大臣や将軍達が謁見の間に集合した。彼が見た光景は言葉では言い表せなかった。

 

「・・・・」

 

「ゾルザル殿下・・・!?」

 

「さてと・・・殿下、少しは喋りたくなりましたか?」

 

「・・・・」

 

「聞いてますか?」

 

ゾルザルは何も言わないいや言えなかった。口や鼻から血を流している。ゾルザルの襟首を掴んで引き寄せる。

 

「殿下を殺さないで!!」

 

テューレが伊丹に叫ぶが伊丹は其れを無視してゾルザルを問い詰める。

 

「殿下、もう一度だけ聞きます。あなたは、彼女の事を『生き残り』と呼びましたね?それはつまり、他にも攫って来た日本人がいると言う事ですね?」

 

「次、真面目に応えなかったらもう二秒と待たず問答無用で殺しますぞ」

 

そう言われて、その質問にゾルザルは首を縦に何度も振った。

 

「祐樹は!?祐樹はどうなったのです!?」

 

「その人と一緒に連れ去られたんですか?」

 

「はい、私の婚約者で彼と銀座を二人で歩いていたら突然後ろから捕まえて・・・気がついたら馬車に・・・私達の他にも何人か居ました」

 

「殿下、是非とも聞かせて頂きたい」

 

「男は・・奴隷市場に・・・流し・・た・・・他の・・連中は・・知らん・・」

 

力を振り絞ってそう答えたゾルザルは気絶した。

 

「殿下!」

 

そして菅原は皇帝に目を向け

 

「皇帝陛下、歓迎の宴を開いて下さるとのお話拉致された我が国民が帰って来てからに致しましょう。陛下の信ずる神は存じ上げませんが彼等が生きている事を御祈り下さい。ピニャ殿下、後ほど彼等の消息と返還について、聞かせて頂けるものと期待しております」

 

菅原はそう告げると伊丹と大場と視線を交わしてこの場を去る事にした。

 

「船坂は先導、堀内は後方支援にまわれ」

 

「栗林も先導、富田も後方を守れ。此処から撤退するぞ」

 

「待て貴様等!!近衛兵!!」

 

近衛兵達が伊丹達の退治路を塞ぎ隊列を組んで槍を構える。

 

「やめよ!!」

 

皇帝はこれ以上死体の山が築かれる前に止めた。

 

「これ以上この場が血で汚れるのはもう見とうない。皆の者、武器を下げよ。スガワラ殿、確かにそニホンの兵士達は強い、それは認めよう。だがそれだけでは戦には勝てぬぞ。貴国には大いなる弱点があるからだ」

 

「ほう、何でしょうか?・・・弱点とは?」

 

「民を愛しすぎる事よ、大いに煩わされる事になろう。義に過ぎる事よ、手に取る様にその動きが見え様。信に過ぎる事よ、大いに損をする事になろう。敵が強大で圧倒的ならば戦わなければよい。剣の切っ先は鋭く強くとも、柄は意外と脆いものだ。ならば鋭利な刃ではなくその柄を討てばよい。私の知る限り、高度な文明を誇りながらも国力を蕩尽し続けた結果、蛮族によって滅ぼされた国もある。貴国も心しておくがよい。」

 

「我が帝国は・・・その弱点を国是としております。ですが信義なくせば國は亡ぶ。そして我が国の帝国陸海軍はその国是を守るべく日々訓練を続けております。・・・いっその事またお試しになられますか?」

 

「なんの、そなた等に抗せる筈もなし。和平交渉を始めるがよかろう」

 

「陛下、我々も十分に弁えております。平和とは次の戦争の準備期間であることを我が帝国と我が世界は帝国を遥かに超える血塗られた歴史の上に成り立っております。和平交渉の最中に帝都を失う事を是非恐れて頂きたい」

 

「(成る程・・・交渉を引き延ばそうとしてもニホンの都合次第でいつでも帝都を陥せると言う事か)だが、それでも其処許らは交渉を拒否出来ぬ、違うか?」

 

「確かに、それが故に虚言に対する鉄槌は凄まじく恐ろしい物となるでしょう。それをご覚悟下さい、陛下」

 

「その言葉、我等を信じると受け止めよう。だが上手くいくとは思うな・・・」

 

そんな時再び地震が帝都を襲った。

 

「よし、行くぞ」

 

慌てる皇帝に目もくれずに伊丹達は引き上げ一行は皇宮を出た所で伊丹が叫んだ。

 

「ああーやっちまったぁっ」

 

菅原も頭を抱える。

 

「やってしまった・・・東郷大臣にどう報告しよう・・・」

 

二人は頭を悩ませた。

 

 

帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?

  • 『廃墟からの復活』
  • 『皇帝陛下万歳』
  • 『神よ、皇帝フランツを守り給え』
  • どれでも良い
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