GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり   作:人斬り抜刀斎

29 / 165
望月紀子の帰還と柳田の提案

ゾルザルは最早原形をとどめていない元老院から自分の館に帰って来た。

 

「ゾルザル様」

 

「殿下!」

 

「早く寝所に!」

 

自分の館に着いた時にはすでに疲れ果て、部下に支えられる形で馬から降り身に纏っている鎧を脱ぎ捨てベッドに横たわる。

 

「う〜〜」

 

「殿下、お気をしっかり!」

 

「氷をもっと持って来い!」

 

そんな彼の姿を見てとある人物が口を開く、その人物はゾルザルの弟・ピニャの異母兄に当たる、帝国の第二皇子で元老院議員ディアボだ。

 

「兄様。おいたわしいもう無理なさいますな」

 

「・・・ディアボか」

 

「これで元老院は講和派が多勢を占めるでしょう。だがこのままでは無条件降伏も同じです。これを避けるためにも何らかの軍事的成果をあげねば」

 

「フン、小賢しい男だ」

 

「兄様こそ・・・」

 

「ディアボよ、これは自業自得よ。馬鹿を演じるのも骨が折れるわ。俺はお前の様に賢く生きていけない・・・父上はカティ義兄を責め殺した男だぞ」

 

「父上はまだ若かったのです」

 

「故に先代皇帝の遺児である義兄を恐れたの・・・かだがもう歳だ。お前、俺が馬鹿をやっている間に次期皇帝を狙って何やら動いていたようだが、皇帝が指名するのは俺だ」

 

自信満々に話すゾルザルの顔は笑っていた。ディアボには、全く意図が読めない様だ。

 

(この戦争を終わらせる為に皇帝は退位せねば成らぬだろう。だが父上は馬鹿に見えるこの俺を帝位に着けて、裏では実権を握り続けるつもりだ。)

 

「だからおまえは皇帝にはなれん」

 

「しかしそれでは父上亡き後兄上が帝国を?そんな無責任な!」

 

「お前・・俺が帝国を傾ける程無能な男に見えている様だな」

 

「テューレ!」

 

ゾルザルが大声でテューレを呼び、爽やかな笑顔で現れた。しかしその奥にはテューレのドス黒い悪意が隠されているとは知らず。

 

「はいっ殿下。捕らえてきたニホン人でノリコ以外に生きていた者は二人。その内の一人、マツイフユキは売却先の鉱山でまだ生きております。ですがノガミヒロキは同鉱山で死亡していたことが先程わかりました」

 

「生き残りをすぐ連れて参れ・・こうなるならノリコにもう少し優しくしとくんだったか?」

 

「いいえ殿下。ただの下賤な女が次期皇帝のお情けを受けられたのですから」

 

その会話を聞いてゾルザルの企みに感づいたディアボ。

 

(・・・・!奴隷なんぞ当たり前のこと・・・・・それを謝罪を込めてニホン人を探して来たことにすれば・・・ニホンをなだめ講和への功績に・・・そしてそれは帝位への近道ーーやられた!)

 

「敵は無人の講事堂を攻めるお人好しだ まともに戦って勝てぬならまともな戦いをせねばよい」

 

「あっ」ガッ

 

「ディアボ。お前もそろそろ誰につくか決めろ。俺か、皇帝か。ピニャは・・・ニホンと親し過ぎるか」

 

「殿下 お体に障ります」

 

「かまものか しばしこの痛みを忘れさせてくれ」

 

「殿下ったら・・・あっ・・・」

 

そう告げ、ゾルザルは眠り、ディアボは部屋を出て頭を抱える。

 

(・・・やはり兄様は大馬鹿者だ。馬鹿を演じている内に本当の大馬鹿者になってしまった)

 

一方その頃アルヌスでは、地震で崩れた建物の再建が行われていた。

 

「ウォ〜ル〜フ〜?」

 

ロゥリィがハルバードをウォルフに突き付けていた。

 

「倉庫にあったぁニホンからの荷が馬車一杯分消えてるそうよぉ?地揺れの後ぉあなたの隊に見張り頼んだはずよねぇ?」

 

「ス・・・スミマセん。ニホン軍に手伝い頼まれたり他の連中もバタバタしちまって・・・」

 

そんな時テュカが血相を変えて走って来た。

 

「ロゥリィ!父さん見なかった!?地揺れの後帰ってないの!もう!心配ばっかりかけて!」

 

「あ、テュカぁ」

 

テュカはまたどっかに行ってしまた。

 

「・・・ちょっとぉやばいわねぇ」

 

「聖下・・・俺も・・・やば・・・」

 

 

アルヌスの近くの上空を飛行する九七式輸送機はアルヌスの総司令部基地へと向かって飛行していた。

 

「帰れるんだ・・・・(お母さん達心配してるだろうな、裕樹・・・無事でいて・・・造りかけの門しかなかったのに・・・・)」

 

そう願いながら紀子は窓から見えたアルヌスの様変わりに驚いていた。そして、アルヌスの飛行場に九七式輸送機が着陸する。九七式輸送機の機体の扉が開き、一人の女性拉致被害者の望月紀子がゆっくりと降り立つ。

 

「すごい、ここだけ日本だ・・・」

 

「望月紀子さんですね?診察があるのでこちらに」

 

「望月さん」

 

紀子は黒川と一緒に出迎える軍医と従軍看護婦に連れられ野戦病院へと行き、伊丹達はそれを見送る。大場大尉達は報告書を纏める為に兵舎に戻った。残った日本兵達は積み荷の作業に追われていた。

 

「えっと・・特地の資料は全部中野行きだっけ?この資料は・・・鉱物、土壌、動植物のサンプルと資源分布推測地図。あとの資料は商工業に地理情報か」

 

「他の皆も真面目に調査してますね」

 

「うちも女子と食いもんについてなら負けないぞ」

 

そんな時、背後から

 

「よぉ伊丹、またやらかしたって?ほんっとお前は状況を面白くしてくれるぜ。今回は拉致被害者の救出って言う手柄まで持ってきて。罰したものか賞したものか」

 

と柳田がニヤニヤ笑いながらやって来た。そんな柳田に伊丹は嫌そうな顔をする。

 

「・・・状況は?」

 

「四対六で減俸・・・ところがだ、特地の情報を小出しに公開し始めた政府が支持率向上を狙って、この事を大々的に発表したがっている。更に明日から列強国を集めた外相会談で、政府は各国の武器等の支援と引き換えに特地に入れろって要求を突っぱねるらしい。」

 

「へぇ・・・珍しい」

 

そして門の方を見てみると新たに兵器が強化されていた。M18 ヘルキャット駆逐戦車やⅢ号突撃砲などが配備され更に新たに兵士を1万1000人増員していた。また、レンドリース法によりアメリカから大量の水、食糧(穀類、乾燥野菜、缶詰(SPAMやポークビーンズ)、牛乳、バター、青果物、ドライフルーツ、Cレーション、5in1レーション)、薬品、弾薬、燃料などの備蓄品が届き、約7万の日本軍兵士が1週間は戦える物資だった。そしてソ連も日本に大量の石油やニッケルや鉄鉱石を輸出していた。それは日本のフォルマート大陸攻略においては必要不可欠な物資でした。

 

「当たり前だろ。東京のど真ん中に他国の軍が居座るんだぞ?宣戦布告も同然だ。それも一つや二つなんてもんじゃない。門の向こうに米軍や独軍や英軍にソ連軍なんか入れてみろ、森林伐採や鉱物資源の採掘による環境破壊、地元住民の強制退去や工場の建設・・・多国間でのイザコザは確実に発生するだろうし、最悪の場合この特地で第三次世界大戦の勃発だぞ。それくらいお前でも想像できるだろ?と言うわけで今村司令官もその参謀もお前を罰したいんだが処罰出来ずに困りきっているところだ。暫く呼び出しは無いな」

 

「今村司令官!毎度迷惑を掛けてスンマセンでした」

 

と司令所でお辞儀をする伊丹。

 

「それともう一つ、拉致被害者の望月紀子の家族についてだが・・・銀座事件当時に、娘を探す為に銀座でビラを配っていたと言う情報もある。あの日もな」

 

「本当か」

 

「本人には まだ言うなよ 軍医と専門家が許可してからだ」

 

「全員 聞いたな」

 

「はい」

 

「了解」

 

「それと帝都で何があったか現場の声を直接聞きたい 晩に「街」で飲もう・・・まぁそんな顔すんな お前がいない間にこっちでも面白いことがあったんだよ じゃ一九〇〇に」

 

柳田中尉はそう言ってその場を去る。伊丹は仕方なく誘いに乗る事にした。

 

「おやっさん あとお願いします 栗林と黒川の荷物渡して来ます」

 

「わかりました」

 

伊丹は望月紀子が診察している野戦病院に行く事にした。

 

「さっき来たコの病室を・・・・あれ?看護師さんは?」

 

「交替ができて日本にだいぶ帰りましたよ」

 

野戦病院の中に入り伊丹は赤十字の従軍看護婦に彼女と付き添いの兵士達がどこに行ったのか尋ねる。

 

「戦闘を見越して三百床用意したベッドも使ってるのは今四つだけです。それも患者はこっちの人ばかり、親方に殴られた大工の弟子とか隊商の護衛のケガ人とか・・・あとは・・・四偵が修道院で保護して来た重傷者がいるんですけど、ここに攻めたどこかの王国の貴族か将校かもしれないって、本人は農民だって言ってますけどね」

 

「フーン」

 

看護婦によると現在ここでは、アルヌスで働いている大工の弟子や隊商の護衛が入院していると言う。そんな他愛ない話をして、伊丹は教えられた病室に向かった。

 

「(個室かよ、って空き部屋ばかりだしな)黒川、栗林荷物持って来たぞー」

 

病室の中では感染病にかかってないか調べる為に血液検査の為にに採血が行われていた。

 

「(どんだけ血を抜くんだよ)どう?望月さん」

 

「あ、はい、大分落ち着きました」

 

「それで黒川軍曹、望月さんの今後の予定は?」

 

「はい、検査結果が出ない限りなんとも言えませんが、一週間か二週間は暫く診察を受けて様子見ですね」

 

「だ、そうだ。ここに来れば帰って来た同然だから、ゆっくり安静にしなさい」

 

「はい、ありがとうございます。あの、家族に連絡したいのですが」

 

と紀子が家族に連絡したいと言うと伊丹は何とか誤魔化そうとする。

 

「ごめん!まだ民間の回線来てないんだ。菅原っていたでしょ、あっち方面からまず連絡するからちょっと待て」

 

「・・・そうですか」

 

と伊丹は誤魔化し紀子はちょっと残念そうにしながら次の診察の為に別室に向かった。そして、伊丹は眉間に皺を寄せながら栗林と黒川に

 

「黒川、栗林彼女の家族のことなんだが、実は銀座事件の日に・・・」

 

「やべぇー危うく電話掛けるところだった・・・」

 

「許可が出るまでこの話はタブーだぞ」

 

と紀子の家族が死んだ事は許可が出るまで禁止と二人に伝える。

 

「伊丹さん、本当にありがとうございました」

 

と紀子は伊丹に頭を下げてお礼を言う。その様子に伊丹の顔は少し微笑んでいた。

 

一方テュカはアルヌス村の近くにある森林で木を背にして座り込んでいる。そんなテュカの後ろから声を掛けられた。

 

「父上は見つかったか?テュカ殿」

 

「見付かるわけはないよな。もうこの世にはいないのだから」

 

「・・・っ、またそんなウソ・・・!何度も何度も!ヤオ・ハー・デュッシなんのつもり!?この前からしつこくつきまとって!」

 

「夢を覚ましてやろうと思ってな」

 

「炎龍に襲われた時のことを思い出せ。生き残りはそなた一人だというではないか。他の者は皆殺されたのだーーーそなたの父上も」

 

「ウソよ!」

 

「事実だ!」

 

「ウソ!」

 

「炎龍に喰い殺されたのだ!」

 

「違う!」

 

「いくら探してもどこにもいない!」

 

「それを認めて敵を討つのだ!そして茶色の人に敵討ちの助勢わたのむのだ」

 

ヤオがそう言って森へと消えていった。その後テュカを探しに来たウォルフとロゥリィがやって来た。

 

「あれ?もう一人いたと思ったけどな、聖下いましたぜー」

 

「・・・テュカ?」

 

その問いかけにテュカは答えず、只々じっとしているだけだった。

しばらくしてテュカが顔を上げるが彼女の目には何も写ってないように見えた。

 

「ねぇ、あのダークエルフお父さんが死んだって言うのよ。笑っちゃうわ馬鹿みたい」

 

「・・・テュカ、一緒に来てぇ、話したいことがあるのぉ」

 

夕刻になり任務を終えた第三偵察隊と第一偵察隊は、パルナを連れアルヌスの村に向かった。日が沈む頃には村では、人々が行き来している。第三偵察隊と第一偵察隊は柳田の居る食堂へとジープで向かう。道中では行き交う人々から伊丹や大場達を讃え歓迎の声が聞こえそれに気づいた柳田が顔を向ける。

 

「「「「柳田中尉!本日はご馳走になります」」」」

 

「お おいおい伊丹ぃ?」

 

「よっ!陸軍中尉殿、太っ腹だね!みんなー少し遠慮しろよー」

 

「悪いな 柳田?今日はご馳走になるぞ。デリラさん!ビールを24本お願いする!」

 

「あーい!」

 

皆が騒ぐ中伊丹と大場は帝都での出来事を柳田に話す。それを聞いて納得する表情をする柳田中尉。

 

「なるほどな お前が柄にもなくキレるのも無理ないな」

 

「目の前で自国民が虐待を受けていれば誰だって怒りを覚えるさ」

 

「でしょうなぁ。そう言えばお前達が留守の間に面白い奴が訪ねて来たぞ」

 

「俺達に?本国からか?」

 

「いや、特地からだ。ダークエルフの女性なんだけど、ある依頼をしに来た」

 

「依頼だと!?何の依頼だ?」

 

「炎龍退治です」

 

「ヘェ〜炎龍退治ねぇ〜・・・・って!無理言うな!あんな怪物を!」

 

「無理って事は無いんだがな・・・取り敢えずまぁ俺の話を聞けよ」

 

柳田は炎龍退治の依頼内容を二人に話す。依頼人はダークエルフの女性で、名はヤオ・ハー・デュッシ。炎龍が現れる場所がエルベ藩王国内にあるシュワルツの森で依頼料として何百カラットの大きさのダイヤ。しかし帝国陸軍が活動出来るのは帝国の領土内のみ。エルベ藩王国に炎龍討伐の為に軍を進めればそれは侵攻を意味する。エルベ藩王国の人間がそれを良しとしないしわざわざ敵を増やす事になるだけである。

 

「可哀想に・・・けど軍としては無理って事になったんだろう?」

 

「あぁ、でもその王国の地下には、どうやら石油があるらしい。そこで俺はこう考えた、『資源調査』を名目にしたらどうだ?調査の途中に炎龍に遭遇し、自己防衛の為に炎龍を退治しちゃた・・・って。それなら問題ないだろう?」

 

「いや、問題大有りだろ!!」

 

と伊丹はテーブルに拳を勢い良く叩きつけ、柳田を怒鳴りつける。それによって周囲の会話が止まる。

 

「隊長、どうしたですか?」

 

「・・柳田が、俺達だけで炎龍退治をして来いってよ」

 

『マジで!?』

 

その言葉に第三と第一偵察隊のメンバーは全員が息を飲んだ。

 

「柳田、お前、こいつらに死んで来いって言うのか?上の命令なら従う。俺や大尉はこいつらの命を預かっているんだ、ただの一人の兵も無駄に死なせる訳にはいかねぇ」

 

「柳田中尉、貴様は少し勝手が過ぎるじゃないか?貴様はあの炎龍と戦った事が無いからそんな事が言えるんだ。如何あっても俺達に行けと言うなら貴様も一緒に来い。あれを見れば誰だって恐ろしくなるさ」

 

滅多に怒る事のない伊丹が怒りを露わにし、大場は柳田の提案に呆れる。が柳田は引く事なく笑みを浮かべながら煙草を吸う。

 

「そうか、だが断言しよう。二人は絶対に行く、賭けてもいい。その時は一声掛けてくれ、形式は整えてやる。今夜は俺の奢りだ、謝罪の前渡しと思ってくれ」

 

「謝罪?」

 

「金髪エルフの所に行ってみな・・」

 

そう言うと柳田は領収書を片手にその場を去る。

 

一方帝都では

 

「ピニャ!」

 

「ディアボ兄?」

 

ピニャがディアボに呼び止められた。引っ張られて行った。

 

「ちょっと来てくれ!」

 

「兄様!?」

 

「殿下!」

ピニャは人影のない所に連れて来られた。

 

「父上と元老院は何を決めた?ゾルザルはどうなる?」

 

「ええ、決まりました。父上はゾルザル兄の立太子を決められ、帝位の継承が明らかになりました」

 

「くそっ、早まった真似を!」

 

とディアボは拳を壁に叩きつける。

 

「父上亡き後はディアボ兄がゾルザル兄を補佐するのでは?」

 

「俺が!?馬鹿を言うな!それならば俺が皇帝になってもかまわぬではないか!いいかピニャ馬鹿にも二種類ある、自分が馬鹿だと知っている賢い馬鹿と自分が賢いと思ってる本物の馬鹿だ。本物の馬鹿のゾルザルが俺に誰につくか決めろと言ってきた。奴は何を思ったか父上と張り合うつもりだ」

 

「ゾルザル兄らしからぬところが・・・これまねの兄様ならば増長してただ威張りちらすだけだったはず・・・」

 

「そうだろ!」

 

「ですが帝位継承は長子相続が習わしそうでなくては民草も納得しません。この国難の中序列を乱し兄弟が争えば我が帝国はどうなりましょう?」

 

「それはそうだが」

 

「ディアボ兄はゾルザル兄の背中しか見ておられませんが、ディアボ兄の背中を見ている者も大勢いるのですよ」

 

「む・・・」

 

そう言われてディアボは顎に手を当てて考えた。

 

(ゾルザルはピニャがニホン帝国に親しくしすぎると言った。ニホンはお人好しだともーーそれは利用しやすいということではないのか?ゾルザルの暴発で戦争が激化し、帝国内でもゾルザルとピニャが対立する状況が生まれゾルザルが優勢になったとしたら、戦争を終わらせるためピニャとニホン帝国が共闘することもありうる。父上はゾルザルを生贄にしてニホン帝国を帝国の同盟国にするつもりだ。圧倒的な軍事力を持つニホン帝国の後ろ盾で帝国は安泰、父上も皇位継承問題から解放される。そうなれば玉座に一番近いのはーーそれでは俺は一生帝位につけん)

 

「兄様?」

 

(そうだ!俺がニホン帝国に続く第四の勢力作ればいい『門』の向こうでニホン帝国に対抗できる勢力を見つけられたらー)

 

とディアボが考えているとピニャが冷ややかな目で見ていた。

 

「・・・あの兄様?悪い癖が出てますよ?」

「ん?」

 

「ゾルザル兄は考えなしで困りますがディアボ兄は考えに過ぎます」

 

「・・・しかし誰だ!ゾルザルを本当の大馬鹿に仕立てあげたのは!力があると思っているなら父上が亡くなるまで隠していればいいものをっ、いいか小知恵のまわるゾルザルは怖いぞ、ああいうのは周りを巻き込んで盛大に破滅する。問題はお前だ、少しはこれからのことも考えておけよ」

 

「ええ、考えております」

 

「そ そうか(やはりピニャも帝位をーー)」

 

「妾が目指すのは・・・」

 

芸術の擁護者!!

 

とある地下牢

そこではテューレが硬いベッドに横たわっていた。そしてある人物と話していた。

 

「・・・・」

 

「テューレ様、ボウロでございます」

 

「・・・なに?」

 

「アルヌスの手の者より報告でございます」

 

とベッドの下から報告書が手渡された。

 

「その辺に置いといて後で読むから」

 

「テューレ様、ゾルザルが皇太子となれば帝国もいよいよおしまいでございますな・・・」

 

「・・・・アレをおだてあげ増長させるのに苦労したのよ」

 

"貴方は偉大で力強く才能溢れる方貴方だけが真に正しい 凡人の言うことなどに耳を貸さず貴方が思う道を進めばよいのです。そんな貴方を皇帝は恐れています 貴方の義兄のように殺されかねません。無能を演じ時が来るのを待つのです・・・"

 

「今では世界が自分中心に廻っていると思い込んだ大馬鹿者。私の言う通り動いてくれるわ。なんとしても講和を潰す。戦争を続けさせる。私の復讐はようやく始まったばかりよ」

 

「それならば残りのニホン人奴隷を殺しまする。たかが一人二人のために怒り狂い攻めて来る敵ですから・・・」

 

「(たかが一人二人ーー私の時は誰も助けに来てくれなかったのに一族を救うため身を犠牲にした。ゾルザルにこの身を捧げた。なのに同胞から裏切り者と命を狙われる。誰も私を愛していない。それだけは絶対許せない)・・・甘いわねとっても甘いノリコあいつを殺しなさい」

 

「誰に殺させまする?」

 

そう問われテューレは笑った。

 

「ピニャがいいわ。ニホンと親しいピニャがノリコを殺したと知れば講和はもちろん決裂 ニホンは大軍で帝国に攻め込む」

 

"戦争はもっともっと大きくなり大陸を巻き込み果てしなく続く ヒト種同士が憎しみ合い殺し合い破壊し合う 大地はヒトの骸で覆われ 帝国も何もかも滅びるーー"

 

「父と母と弟そして一族の故郷を奪ったゾルザルも・・・私にとってそれが大いなる喜び・・・そうすればボウロお前の望みを叶えましょう」

 

「かしこまりました テューレ様お約束・・・なにとぞお忘れなく・・・」

 

こうして、テューレとボウロによる紀子暗殺計画が始まろうとしていた。

 

帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?

  • 『廃墟からの復活』
  • 『皇帝陛下万歳』
  • 『神よ、皇帝フランツを守り給え』
  • どれでも良い
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。