GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり   作:人斬り抜刀斎

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悪夢の淵

宴会も終わり、伊丹と大場は柳田に言われって元難民キャンプ地現アルヌス協同組合住宅地のティカの部屋に向かっていた。テュカの部屋に到着し、扉をノックしようとした時、扉がゆっくり開かれた。

 

「入って」

 

何故かテュカの部屋からレレイが出て来た。伊丹と大場はレレイの言われるがままに部屋に入った。部屋の中にはベッドの上に座るテュカとロゥリィがいた。テュカの顔は暗く真っ青になっていたが、伊丹を見ると満面の笑みを浮かべ、テュカは伊丹に抱きつく。

 

「ほら!帰って来たじゃない!二人とも冗談が過ぎるわ!あの嘘つきダークエルフ!あんなのこの街から追い出してやるんだから!!」

 

「嘘つきダークエルフ?」

 

「俺達に炎龍退治を依頼して来た女だ」

 

「そうよ!あいつ、この前からしつこいの。茶色の人に助勢を頼んで敵討ちしろって。ニホン軍に断られたからってあんな嘘ついて・・・誰が信じるもんですか!」

 

「敵討ち?嘘?一体何を言って-----」

 

「あいつ・・・父さんが炎龍に食い殺されたって言うのよ・・・バカみたい、笑っちゃうわ。だって・・・こうして目の前にいるっていうのに・・・そうでしょ?『父さん』!」

 

恐れていた事態が起きた。テュカの心の支えだった嘘と言う名の柱が崩れた。それと同じくして伊丹にも異変が起きた。口から吐瀉物を吐き始めた。

 

「おい、伊丹中尉」

 

「ちょっと!レレイ!何しているのよ!父さんが死んじゃう!」

 

伊丹とテュカを落ち着かせようとレレイが睡魔魔法を使い、伊丹とテュカはゆっくり意識を失って倒れた。ぐっすり眠った二人をベッドの上に寝かせる。しばらく流れる静寂が続いたがそれに耐えかねてロゥリィが声上げる。

 

「ねぇ、オオバァ。イタミの事について、貴方は何か知っているでしょぉ?」

「あぁ」

 

「なら教えてぇ。この問題はもう、貴方達二人だけで解決出来る事ではないわぁ。」

 

「私もそれについては同意見。私達は少なからず、テュカの闇を知っている。だけどイタミの事については何も知らない。何故イタミがあのような事になったのか、私達にはそれを知る権利がある」

 

「まぁ良いだろう、お前達は・・・伊丹耀司の生き様を聞かなくてはならない義務なのかもな。・・だが伊丹中尉はこれから先もあの忌まわしい過去を話さないだろうし、知られたくもないだろう。それでも聞くか?」

 

「構わないわぁ」

 

ロゥリィは承諾し、レレイも頷き承諾する。大場大尉は壁にもたれ掛かり話し始める。大場は伊丹と親交があった為、彼も伊丹を過去を知る人物だ。

伊丹耀司の過去を・・・。

"始まりは18年前に遡る。当時中等学生だった、伊丹と母親は父親から酷い虐待を受けていた。父親は真っ当な職に就かず只々酒を飲んだり、賭博で負けた腹いせに二人に暴力を振るうろくでなしだった。そんな苦痛から解放されたかった母親はとうとう父親を刺し殺してしまった、この時は正当防衛が認められ裁判では罪に問われなかった。それから母親はずっと自分を責め続けた。親戚や知人達の救いも虚しく終わり伊丹は母親に現実を分からせようとした。『いい加減にしろよ!!父さんはアンタが殺したんだろ!!』その後伊丹達は叔父の家にしばらく預けられ苦労もしたそうだ。その間に母親は焼身自殺を図った。なんとか一命は取り留めたものの、これ以上は危険と判断され、病院に措置入院が決定し、それ以来母親と会っていない。その後伊丹は16歳で陸軍士官学校に入学し、日中戦争、大東亜戦争に参加し戦後も従軍している。"

そんな時に、伊丹が目を覚ました。

 

「うぅ・・・ここは?」

 

「ようやくお目覚めぇ?」

 

「中尉、水飲むか?」

 

「ありがとうございます。このベッドは?」

 

「テュカが父親用として用意していた物よぉ」

 

「事情を聞かせてくれないか?」

 

大場は伊丹に全てを話した。テュカの現状、伊丹の忌まわしい過去、こうなってしまた原因。

 

「あのダークエルフか」

 

「だがあの女一体どこでその事を知ったんだ?」

 

「それは此の身から話そう」

 

と部屋の扉が開き、噂をすれば今話っている人物が現れた。全員が武器を取り出しヤオに向ける。

ヤオは臆する事なく不敵な笑みを浮かべ部屋に入り鋭い眼光で見つめる。

 

「先日は失礼した、ロゥリィ聖下。そして茶色の人よ」

 

「何故テュカに余計な事を言った?」

 

「余計とは心外だな。私は事実を教えたまでだ」

 

「それでもだ、何故だ」

 

「決まっているだろう。悪意があったからだ」

 

「悪意だと?」

 

「そうだ、それ以外に何があると言う?御身ら二人は此処にいる三方の為なら多少の規則破りも厭わないと聞いた。それを利用しない手は無いだろう?あの丘の上には炎龍を倒す力がそれこそ幾らでもあると言うのに、此の身の同胞には手を差し伸べてくれぬ!」

 

ヤオの怒りと悲しみの訴えを伊丹達は黙って聞いている。

 

「だが頼みを拒絶した者共もイタミとオオバならやるかもなと言っていたそうだ」

 

「誰だよ、そんなこと言った奴」

 

「私がそう通訳した」

 

「だからーーーだから壊したのだ!」

 

伊丹は歯を食い縛り、大場は眉を潜め軍刀を抜くのを堪えている。そんな事を気にも溜めず話を続ける。

 

「愛する者・・大切な家族・・信頼できる仲間を奪ったのが天災ならば神を呪うしかない!だが炎龍は・・・仇は目の前にいる!それなのに手も足も出ない!ならばこの怒りと憎しみはどこに、何にぶつければいい!?」

 

ヤオの目から溢れんばかりの涙が流れる。

 

「復讐は自らの鎮魂のために必要な儀式だ!それを経て遺された者はようやく現実を、明日を見ることが出来る!此の身は御身らに捧げる!この場で八つ裂きにしようと罵り唾を吐こうとも構わない!だから・・・だからお願いだ!その娘のついででも構わない!此の身の同胞を救ってほしい・・・」

 

ヤオは悲痛な願いが部屋に響き渡る。

 

 

 

帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?

  • 『廃墟からの復活』
  • 『皇帝陛下万歳』
  • 『神よ、皇帝フランツを守り給え』
  • どれでも良い
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