GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり 作:人斬り抜刀斎
あれから、伊丹はテュカの父親役として、朝昼晩とテュカの面倒を見ながら生活した。伊丹は、出来る限りの父親役をえんじた。
「おとうさん♪」
だが、中々解決の糸口が見つからず時だけが過ぎて行った。
「伊丹隊長 テュカの父親役始めたって?」
「ああ 毎日 テュカの家から出勤してる」
「きのう街で二人見たけど テュカそんなにやばいの?」
「隊長が本当の父親に見えるくらい」
「現実逃避してるだけやんやべーよ隊長もテュカも」
と全員半分呆れ気味だった。そしてテュカの家ではテュカが朝食の用意をしていた。
「おとうさん 朝ごはん♪」
「わかったよ テュカ」
「今日はどうするの?」
「日本軍の仕事」
「随分働き者になったのねぇ」
「この街じゃみんな働いてるし テュカも組合の仕事してるだろ?」
「そうだけど・・・」
「明日からしばらく通訳で帝都に行くことになったから」
「えー!?なんで父さんが?」
そしてその瞬間テュカは激しい頭痛に襲われた。
「テュカ?」
「・・・お仕事なら仕方ないわ 早く帰って来てね」
そして朝食を食べ終えると伊丹は出勤した。悲しげな表情で見送るテュカ。
「(俺はテュカの父ホドリューを全く知らない。本人とのズレはすべてテュカが背負うことになってしまう)頭痛は日に日にひどくなっているやうだし・・・くそっ俺にどうしろって言うんだ」
"俺は美女の涙で立ち上がる戦士ってのが大嫌いだ。戦士の命を安売りしすぎる。それに命を無闇に捨てる気もない"
「(許婚以外の女の子の知り合いも増えたし この先いいこともなにか・・・)・・・まだいたのか」
と伊丹の前に現れたヤオ。
「いつまでも続かないぞ。終わりはすぐそこまで来ている」
『くそったれめ!!』
と伊丹は大声で叫びだした。そして夕刻伊丹はテュカの家に帰って来た。
「ただいまー」
「おかえりなさい!父さん晩ごはんなんにする?」
「んー今日は外に食いに行こうか たまには街のみんなと飯食うのも楽しいぞ?」
「父さんがそう言うなら・・・」
そして任務前日と言う事もあって第三と第一の兵士達と食事をしている。
テュカは一時黒川軍曹に任せ、伊丹はロゥリィの前で溜息を吐く。
「自分よりぃ年上のぉ子を持った気分はどぅお?」
「結構疲れるし、複雑な気分」
「だろうな」
「まぁ、最近は黒川に懐いているから良かったよ。黒川自身は自分に気があるかもって少し困ってたらしいが・・・あの様子なら安心して任せられる」
「だが、中尉何時迄もあのままとは限らないいつ又発作が起きるか?」
「えぇ、分かっています。テュカを助け出すのは今しかない」
「なら、テュカの父親の敵討ちと行くか?」
「ですがリスクが大きすぎます。賭けに出るに幅が悪い。これは博打では無い。今この賭けの代償は俺の命だけだ。それをテュカの命と一緒に-----」
伊丹の手の平には一銭玉が置かれていた。すると大場はその上に1ドル銀貨を置いた。
「俺も賭けよう」
「ダメです。大尉、俺は誰も犠牲にしたくありません!」
「だが、お前とテュカの二人だけで行かせれば、それこそ自殺行為だ。みすみす死にに行く様なもんだ」
「しかし!」
「伊丹 お前は何故自分で背追い込もうとするんだ?」
「ッ!?」
「そんなに俺たちが頼り無いか?」
「いえ!」
「だったら俺も連れて行けあの時は俺も現場に居合わせたんだ。次は必ず仕留めてやる」
「連れて行ったとしても、三人では勝ち目があるとは思えません」
「確かに倒せる確率は限りなく低いだろう、だが一人でも多くいた方が良いだろう」
「・・・」
「じゃあ、俺は用があるから」
と大場は席を外した。
その日の夜、伊丹はベンチに座りながら悩み老けていた。行くべきか、行かざるべきなのかと今だに悩んでいた。そんな事を考えていると不意にトスン、トスンと何かが近づいてくる音が聞こえた。音のする方に顔を向けると、そこには松葉杖をつき左眼を眼帯を掛けた老人の姿があった。そんな老人が伊丹の隣に立った。
「若者よ、そこを退くがよい」
「・・どうぞ」
「うむ、中々殊勝じゃの。ここは儂が毎晩使っておる。以後気をつけよ」
(誰だ?そう言えば別の隊の奴等が修道院で重傷を負った老人を見つけて保護して来たって話を聞いたな・・その爺さんか?)
「さて、若いの。何を迷ってこんなところで一人黄昏ておる?」
「・・爺さんには関係ないよ」
「ふむ、話したくないのならそれも良かろう。それにしてもこの義手と義足は本当に良く動くのぉ革と思えぬ部品もある。お主等の世界では手足をなくすと皆こんな高価な物を付けるのか?」
「えぇ、大抵は」
「医者の話では走れるようにもなると言ってあったが?」
「そう言うのは競技用の物を付ければ、生身の時よりは大抵は速く走れますよ」
「生身の時と同じ様に動けるのか?凄いのぉ・・なんじゃお主話せるではないか。その調子で大の男がこんな夜中に黄昏ておったのか、洗いざらい喋ってしまえ。ほれ!」
伊丹は頭の中で"やれやれ"と思いながら今までの事を全て話した。どうせ話したところで何も解決しないと思ったのだろう。
「成る程な・・・復讐を果たし区切りをつける、か。儂もそう思うぞ。敵が大手を振って歩いているなぞ聞いたら、儂なら腹わたが煮えくり返るわ。なぜ早急に敵を叩かんのだ?」
「敵が強すぎるんですよ」
「なんじゃ、戦う前から怖気付きおって」
「だって、炎龍なんですよ?」
「なんだと!?炎龍!?」
「えぇ、しかも出没しているのが南のエルベ藩王国領内で炎龍討伐用の大部隊を送れない状態なんです。自分等の部隊だけで行っても犠牲は避けられません」
「そうだな、強大な敵に対して戦力を逐次投入するなぞ愚策中の愚策だ。敵がなんたるかも知らせずに突撃を命じるような馬鹿はあやつ等だけで充分だ!」
(何だ?この爺さん、やけに軍事関連に詳しいけど本当に農民か?体の傷といい風格といい・・・元騎士って言われた方が納得いくぞ?)
「それで?そのエルフの娘と二人で行くつもりか?」
「いえ、別の隊の隊長も行くと言ってるんですけど」
「それでも三人だけでは心中も同然だぞ?」
「だから行くかどうか迷ってるんです」
それを聞くと老人は伊丹の肩に手を置き
「なぁ若いの。危険だと分かっていても退く事が許されぬ時もある。負けると承知していても前に進まなければならない時もある。男というものは時に馬鹿にならねばやってゆけぬのだ。そう思わないか?」
老人はそう言って去っていた。結局伊丹は決断できぬまま朝を迎えた。一式陸攻に第三と第一が乗り込み、捕虜返還の第一陣を連れた議員と軍人達が乗り込む。その光景を遠くからテュカが悲しげな表情で見ていた。彼女には必ず戻ってくると約束したが、それまでの間に状況が悪化する可能性もあった。そしてパイロットが離陸しようと動き出した。
ーーすぐに戻ってくるーー
ーーすぐとはいつだ?ーー
ーーその間テュカは一人だぞーー
ーー本当にこれでいいのか?ーー
ーー本当によかったか?ーー
ーーそんなの・・・ーー
ーー良くないに決まってるだろ!ーー
「すみませんおやっさん!!俺降ります!!」
「なんだと!?」
「後は頼みます!!」
「隊長!?」
「やれやれ小野田少尉、部隊の指揮はお前が取れ!!」
「大尉殿!!」
伊丹は桑原に一時隊の指揮権を託すと装備を機外に放り出してと伊丹と大場は飛び降りた。飛び降りた伊丹はテュカのもとに向かった。
「どうしたの?」
「帝都に行くのは、やめたよ」
「いいの?」
「お前の笑顔の方が大事だ。ずっと一緒にいるよ」
「な、何それ?実の娘を口説いてるの?・・バカッ」
「テュカ、一緒に行こう」
「どこに?」
「南の方だ。嫌か?」
「ううん!行く行く!」
「大場大尉も同行するけど」
「それでもいい!むしろ大歓迎!今から帰ってすぐ支度するね!」
そう言ってテュカは満面の笑みを浮かべながらアルヌス村に戻った。
そんな時柳田が怒りを露わにして来た。
「この大馬鹿野郎!馬鹿か?馬鹿なのか!?いや、馬鹿じゃなかったら今頃一式陸攻で空挺部隊の真似事なんかしないもんな!大尉殿も何故こんな事をするんですか!大尉とお前とあの娘三人だけで炎龍退治?他の隊員が見ている目の前で任務放棄?しかもパラシュート無しで空挺降下!?軍法会議もんだぞ!これだけの悪条件揃えてどうやって二人を派遣する条件を考えろって言うんだよ!」
「それを考えるのがあなたの役目でしょ?」
「それに、行く時は声を掛けろってと形式は整えてやるって言っただろ」
「はい、確かに言いましたが・・あ〜あ、もうダメだ。皇子暴行の事だってまだ保留だし、命令違反、逃亡、減給、降格処分、除隊処分かな。最悪の場合軍法会議にかけられ禁固刑或いは銃殺刑又は懲罰部隊送りで突撃、全滅・・今からでも遅くはない、任務に戻る方が身の為だぞ?」
「柳田さん、もう決めたんだ。俺はやるべき事を先送りにし続けた結果の後悔はウンザリする位して来たんだ。だから今は動く」
「・・・チッ、分かったよ。それで、何が必要なんだ?まさか丸腰とは行くまい」
「まずは足だな。車両と予備の燃料!パンツァーシュレック10丁、小銃と短機関銃それぞれ10丁、爆薬を一箱分」
「員数外の自動貨車なら誰も文句は言わんが・・」
「いや、ドイツ製のSd Kfz251で頼む」
「それから予備の弾薬が欲しい。あと無線機と三人分の水と食糧を一週間分」
「ヤオはいいのか?」
「あいつの事は知らん」
「そうそう、どうでもいいよ。あいつを連れてくならあんたも同伴願うぜ?」
「おや、ご機嫌麗しくないようですねぇ。で、本当に三人分で良いのか?」
「あぁ、他に誰がいる?」
「「え?」」
その瞬間、二人は突然何かに足を取られた。視界が一瞬にして空へ向けられ、その端に嘲笑うかのな柳田の憎たらしい笑みが目に入る。そして背中に衝撃が走り、それと同時に頭に何かが勢い良く突き立てられ、恐る恐る見てみると、それはロゥリィのハルバートだった。上の方に目をやるとロゥリィが仁王立ちになり、その横にレレイの姿もある。
「ちょっとぉ、水臭いじゃないぁい?いい加減巻き込んでもいい間柄でしょぉ?女を火遊びに誘いたいんならぁ、素直に一言言ってみせたよぉ」
「でも相手はあの炎龍だぜ?」
「すっごく楽しみ、ゾクゾクしちゃう❤️身体がまだある内にもっと感じたいのぉ❤️それともぉ、最初から死ぬつもりぃ?」
「いや・・」
「仕方がない中尉、彼女も連れて行こう。連れて行かなかったらもっと面倒だぞ」
「はぁ・・分かったよ。ロゥリィ、一緒に来てくれるか?」
「フフッ、高くつくわよぉ」
「借りとくよ、いつ返せるか分からないけど」
「それなら大丈夫よぉ。死後に魂を頂いて返してもらうからぁ、眷属になってもらうわぁ」
「お前は悪魔か!「ガブッ!」イデデデデ!イデー!」
ロゥリィは伊丹の右腕を掴むと、いきなり噛み付いた。噛まれたところから血が出る。それを舌で舐めとる。
「契約完了ぉ・・次はオオバねぇ」
「え!いや、俺は遠慮しとく!」
「何言ってんのぉ?ほら早くぅ!」
「分かったよー!ほらこれでいいだろ、「ガブッ!」カァーイッテェー!」
「これで二人とも私の眷属ねぇ。ヤナギダ、一人分追加ねぇ」
「いや、もう一人追加」
「レレイも!?」
「生還率を上げるには魔法が最も必要・・」
「まさか、レレイお前・・」
「怒って・・らっしゃる?」
二人の言葉に何も返さず只々ジッと見下ろすだけだ。余程置いて行かれたのを根に持っている様。
「・・・」
「柳田、五人分お願い」
伊丹は小声で頼んだ。
「此の身は命が続く限り、永久に御身らのもの。今ここで命を絶つと申すならばすぐにでも・・」
「こんな所で死なれたら困る。アンタには目的地までの道案内を頼むよ」
「畏まりました」
そんな時柳田がおもむろに口を開いた。
「伊丹・・お前、何様なんだよ・・俺はなぁ、士官学校を出て軍刀組の陸軍のエリートコースに乗っている。お前みたいに幸運と偶然でちゃっかり昇進したんじゃない。組織という枠組みの中で生き残りをかけて心身を削りながら今まで努力して来たんだ・・だから俺は!お前みたいな奴が大嫌いなんだ!正直言って心の底から見下してもいる!」
突然の事に伊丹達全員が目を見開く。いつもは何かを企んでいる不敵な笑いを浮かべる柳田が、今日に限っては鬼瓦みたいな怒りを浮かべる。
「何が片手間仕事の趣味優先だ!息抜きの合間の人生だっ!嗤わせるじゃねぇ!それが今じゃ俺と同じ階級だぁ!?ふざけるなぁ!!じゃあ今までの俺がやってきた苦労は何だったんだ!!えぇ!?俺たち裏方の努力でお前らは戦えてたんだぞ!それなのにお前は・・だからもっと苦労しろ!酷い目に遭えよ!部下の家族にお悔しみの手紙書く立場になってみろ!それでようやく俺の努力と釣り合うんじゃないのか!?違うか!?」
「・・・」
「なのに私事だから部下を巻き込みたくない?俺たちはその部下を得る為に努力してるんじゃねぇのか!?俺達帝国軍人が連れて行けるのは上がつけてくれたその部下だけだ!隊を離れちゃ個人では何も出来ない・・出来ちゃおかしいんだよ!なのに・・・どうしてお前には・・自分から付いて行くって奴が居るんだよ!」
柳田の悲痛の叫びが誰も答える事も出来ず答えられなかった。
「くそが!!」
「気は済んだか?柳田中尉?」
「まぁ・・・なんかごめん」
「うるせぇっ。ただの八つ当たりだ!」
そう言って去っていた。
帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?
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『廃墟からの復活』
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『皇帝陛下万歳』
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『神よ、皇帝フランツを守り給え』
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どれでも良い