GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり 作:人斬り抜刀斎
真夜中のロンデルに馬飛脚が帝都から知らせを伝えにやって来た。
「帝都から馬飛脚が来たぞーっ」
「橋が直ったようだな」
そして夜が明け宿に宿泊していた伊丹達が目を覚ました。そして顔を洗い窓の外を見ていた。
「ロンデル・・・まだロンデルにいる・・・」
「何当たり前なこと言ってんだ?」
そしてある程度の身支度を整えると
ドン ドン
「おはようございます。イタミ卿!オオバ卿!お連れの皆様が食堂でお待ちですよ」
「あ はーい」
「わかった。今行く」
(ん?さっき卿って言ったか?)
そうして伊丹と大場は食堂に向かうとロビーで色々な人に声をかけられた。
「おはようございます。イタミ卿!オオバ卿!」
「これは、イタミ卿!オオバ卿!お日柄もよく」
(そういやエルベのヒゲ爺様に卿なんて称号もらったな あれ?ここ来てから誰かに教えたっけ?)
(今朝からここの連中の態度がガラリと変わったな?)
食堂に向かう途中長蛇の列が出来ていた。
「食堂並んでんな」
「しかしこの宿にこれだけの人数がいたとは気付かなかったな」
「あ あんたら!いや あなた様方はこっちこっち!」
「食堂の列じゃないの?」
「いいから!」
と宿の当主ハーマルに先に来ていたロゥリィ達の席に案内された。
「そこに座って!」
「あ おはよ」
「おはよう」
「おはよぉ」
「・・・・?」
「恥だ・・・一生の恥だ・・・」
「何かあった?」
「朝から元気ないな?」
とテュカは、方杖を突いて溜息を吐き ヤオは、うつ伏せで泣きじゃくっていた レレイは、いつもの様に無言でパンを食べっている。
「二人はぁ 何もなかったのぉ?」
「すごく丁重なあいさつされた」
「あからさまに手のひら返していたな」
「父さん達はまだマシ 私なんか妖精たちにもみくちゃにされちゃった」
「食堂に入るまでも大変だった。廊下の列の他にも宿の客以外の者が押し寄せてきている。外にも列がある」
「あの列ってもしかして・・・」
「私達にあいさつするのを待ってる列よ」
「宿の主人が仕切ってお目見え会をやると触れを出している」
「あいつらも相当暇だな」
「でも あのまま並んでいたらロゥリィ達とご対面か。おもしろいことになってたかも」
「おもしろくなどない」じぃっ
と面白がる伊丹にレレイは目を細め睨んでくる。
「帝都からの馬飛脚が来たせいだ・・・帝都に繋がる橋が壊れていたらしいのだが 橋が直って昨晩馬飛脚がついたそうだ。炎龍の首の件や此の身がアルヌスでしでかしたこと・・・全部 ロンデル中に拡まっている。しかも相当脚色されて・・・うう・・・穴があったら入りたい」
「ヤオはまだマシじゃない 私なんか男の子にされてるのよ!?家名を汚してごめんなさい ホドリューお父さん・・・」
「気に入らないわぁ わたしぃがぁ戦ってない炎龍戦でぇ活躍したなんてぇ 人の手柄を横取りしたみたいじゃなぁい」
「・・・なんで 俺達のことが帝都にゆがんで伝わってんだ?」
「情報源は誰だよ?」
昨晩遅くーー 酒場に飲みに行っていたシャンディーが酒の勢いでベラベラと喋ってしまたのである。
「ーーでね ここでイタミ卿とオオバ卿が橋の上で告白するの『俺は君のためなら死の谷だろうと炎の山だろうと征こう』」
「そこかっこいいよねえ」
「ね?そうでしょ?」
そして現在
「・・・ピニャよぉ」
「・・・ってことは あの女騎士団が情報の出所か」
「あいつらどんな伝え方したんだ?」
「悪質な歪曲もなされている」
「「悪質?」」
「炎龍にとどめを刺したのがぁ レレイになってるのぉ」
「・・・へえ そこまでやる?」
「うん?まぁ あながち間違いではないが・・・」
「行き詰まってるのよぉ 帝国もこの世も帝国と皇帝を頂点とする国と人間達の秩序と序列 ヒトを頂点とする種族間の関係 それが固まってもう随分経つわぁ 今よりいい明日を夢見るのは人の性 けれどぉ 何をしようにも八方塞がり 努力は無駄ぁ みんな自信をなくしてるわぁ」
「ハーディもそんなこと言ってたな」
「あいつの受け売りじゃないわよぉ 殺し 奪い 与え 栄達への道のりを示す。歴代の皇帝は戦争で壁を打ち破ろうとしてきた。けれどぉ それも限界 そんな時アルヌスの『門』が開いた。だからモルトは『門』を越えたのかも その結果はぁ ヨウジぃ達の知ってる通り」
そう言われて伊丹と大場は思い出す。銀座事件後『門』へと派遣した日の事を アルヌスの丘の門の前では撤退した帝国軍が門を越えてくるであろう日本軍の攻勢に備え門の前に荷車などでバリケードを作って待ち構えていた。そんな時門の向こうから履帯の音が聞こえそして出て来た日本軍のティーガー12両とパンター20両がバリケードを破って来た。帝国軍はすぐに投石器で攻撃するも石は前面の装甲に弾かれ被害は無かった。
ティーガーは、日本軍の究極の戦車だ。前部の装甲の厚さは凡そ100mmで正面からの攻撃はほぼ防ぐことが出来る。2000mの有効射程を誇る主砲の88mm砲はアルヌスの広大な草原地帯において最も強力な兵器と言えた。
パンターの主砲は、高速の75mm砲1000m以上離れた目標を撃破出来る。前面装甲の厚さは80mmだが傾斜装甲の為145mmに匹敵する。悪路でも時速30kmで走行出来アルヌスの様なぬかるんだ道にも負けなかった。
日本軍戦車隊は、ティーガーなど重戦車を先頭にⅣ号戦車などを左右に配して進む『パンツァーカイル』と言う楔形の隊形をとりながら砲撃していた。
「帝国は失敗しちゃった 逆に負けそうになってる。負け戦の時こそヒトは同族のレレイに熱狂する」
「・・・私はルルドのーー」
「無駄よぉ 自分の見たい 現実しか見ない連中は真実なんかどうでもいいんだからぁ」
そんな事を話していると食堂にグレイがやって来た。
「失礼 おおイタミ殿 オオバ殿 おはようございます」
「シャンディーどうしてた?」
「いやはや見張りの持ち場にいないと思ったら 終夜営業の居酒屋でくだをまいておりました」
「宿の連中に顔見られないように送り出したのわかってるのかなあ・・・」
「おはようございます 皆様!お揃いになられたようで」
「元凶がきたわ」
「元凶とは人聞きの悪い これも皆様をお守りするため」
「噂を拡まることが?」
「そうです!皆様のことを正しく伝えることで 虚言を弄る笛吹男の手口を封じるのです!ありがたいことに逆に当宿に同情が集まりまして これも寛大な聖下のお心のたまもの 宿を閉めずともすみそうです。いやはや真実とは最高の武器ですなあ」
「・・・うまくいくかな?」
「物は試しか?」
「いえ かえって始末に負えなくなりましたぞ イタミ殿 オオバ殿 橋が直ったならば別の刺客も現れるでしょう 派手になった分容易に人混みに紛れ込むことができる。ご主人 事前に相談して欲しかった」
「こ これは申し訳ございません・・・ところであなた様は?」
「小官は帝国皇女ピニャ殿下付きの騎士補にて 殿下の命により帝都から皆様をお迎えに参った次第」
「こ 皇女殿下のお召しで!?」
「左様 今は成り行きで警護を務めております」
「おい!騎士様にお食事を!」パンパン
「や お構いなく」
「ではお香茶だけでも」
「かたじけない・・・時に主人 橋はすべて復旧したので?」
「少なくとも一番近いカリフォの橋は 他はもう少しかかると 馬飛脚はそこで足止めされてたのですよ」
「何者の仕業か わかったので?」
「もっぱら帝都での商売の独占を狙う行商ギルドの仕業ではと噂が・・・」
「なるほど・・・ところで主人 お目見えは一人ずつ部屋に通すようにしてもらえまいか」
「ーーはあ ああ なるほど心得ました!聖下 よろしいですね!」
とハーマルにロゥリィは、手を払うだけでOKと言う事らしい。
「皆様 お待たせ致しました!ただ今より聖下ご一行へのお目見え会を開催します!」
と言って外で待っていた野次馬達が拍手をしながら食堂に入って来た。一方の伊丹達は苦笑いで受け流していた。そして、その夜坂場では、書海亭のボーイ達が飲みに来ていた。
「「「「かんぱーい」」」」
「おー」
「・・・許された」
「断罪されなかったな」
「宿もつぶれん」
「こいつはエムロイの託宣だ・・・」
そんなボーイ達の様子をシャンディーは陰から監視している事を知らないボーイ達。
「お目見えも無事終わったし 明日もがんばるかあ」
「聖下すんげー機嫌悪そうだったけど・・・」
「バッカじゃない あんた達!」
と突然ボーイ達の前に現れた異種族の女がボーイ達に罵声を浴びせる。
「・・・誰?」
「知らん」
「あたしは ノッラ あんたたち騒動起こした書海亭の小僧でしょ?」
「そうだけど・・・」
「信っじらんない あれですんだと思ってんの?炎龍倒した英雄に刃向けたんだよ?」
「わかってるさ・・・だから口車にはもう乗らないって・・・」
「あんた達 やっぱ馬鹿で意気地なしね 口車に乗せられたから今度は乗らない?それで罪が帳消しになると思ってんの?それじゃ今も笛吹男って奴に踊らされてんのと同じじゃない」
「・・・じ じゃあ どうしろってんだよ」
「あきれた あんた達 奴を自分達で捕まえようって思わないの?」
と言われてボーイ達は驚く。
「いい?奴は他人を言いくるめて暗殺者にするんでしょ?だったら仕事がうまくいったかどこかで見てるはず きのうだってね」
それを聞いてボーイ達はゾッとした。
「そ そうか お客の中に紛れて・・・」
「何で気づかなかったんだ!」
「そういうこと だから 馬鹿だって言ってるでしょ・・・実はね あたしもあたしも笛吹男から焚きつけられたの英雄だっていい気になってる奴の鼻をくじいてやれって 乗せられたフリしてやったわ」
「・・・・!」
「ど どうする気なんだい?」
『学会でレレイさんを襲うの』
「ーーそれじゃ奴の狙い通りじゃないか!?」
「聖下に断罪されるよ!」
「落ちついてこれは演技よ。笛吹男がどこから見てるかわからないから一度しか言わないわよ。レレイさんに伝えておいて レレイさんには胴鎧を着てもらう あたしが刺すフリするからあんた達は周りを注意してて奴は必ずレレイさんの生死を確かめるはず・・・そこを捕まえるの!これであんた達の汚名は一気に返上よ」
「汚名・・・どうする?」ヒソヒソ
「死ぬまで俺らやらかしたこと蒸し返されるかも」ヒソヒソ
「そ それはいやだよ」ヒソヒソ
「よし やろう!」
「奴の顔ちゃんと覚えてる?」
「もちろん!」
「俺達で笛吹男を捕まえるんだ!」
それらのやり取りを陰から監視していたシャンディーはボーイ達のアホさ加減に呆れる。
「・・・(・・・ダメ ダメダメです。あのボーイ達・・・ぜんぜんこりてない あのノッラって女が笛吹男か奴の傀儡に決まってる。あれじゃ誰にも邪魔されず襲えるじゃない)
「じゃ 手配頼んだわよ」
「まかせて!」
(ああ やばい奴が出てく イタミ様とオオバ様に接触を確認したら戻れって言われたけど・・・あの女を追った方がイタミ様とオオバ様に褒められるハズ!)
そんな妄想を抱いているとノッラが店から出ていたのでシャンディーは酒代を置いて追いかけようとすると相席していた占い師に呼び止められる。
「ごめんない 用事思い出しちゃった」
「・・・お待ちなさい。あなたの大切な人が困難な状況に置かれてるという札が出ています。それを助けられるのはあなただけかもしれません・・・」
「ありがとう 急ぐから!」
シャンディーは急いで馬を出してノッラに気づかれない様に尾行して行く。そして先シャンディーに声をかけた占い師は囚われの姫を暗示とするタロットカードを見つめる。
帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?
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『廃墟からの復活』
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『皇帝陛下万歳』
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『神よ、皇帝フランツを守り給え』
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どれでも良い