GATE 大日本帝国 彼の地にて、斯く戦えり   作:人斬り抜刀斎

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賢者イタミ

「イタミは ニホンで試験を受けて 賢者の資格を取っている」

 

「へ?」

 

「・・・うそ!?」

 

伊丹は数秒黙り込んだ後我に返った。

 

「え!?賢者!?俺が!?」

 

「訳語として学士を用いていいか悩んだが ニホンの学位修得制度を調べるとそう訳すしかなかった。十数年間の教育課程でシカンガッコウという学びの場。ここで学士と呼んでいい資格を取ることができる。ニホンではダイガクまで行く者も少なくない」

 

(士官学校は、普通の学校と違った特殊な学校なんだけどな・・・単位ギリだったし)

 

陸軍士官学校では、数カ国語に及ぶ外国語の修得 物理学 数学 国語 歴史 化学 地理 地質学 心理学 経済学 通信技術に加え武官教官による射撃 乗馬 体操 武術の実技指導など様々な技術を求められる。凡そ精神と肉体の極限を要求される訓練を易々とこなして行き、陸軍の兵士を率いる士官を育てる場所だった。ある意味難関校である陸軍士官学校に入学して卒業出来る事は東大や京大に入って卒業するぐらいエリートに等しい。

 

「へぇ〜 ニホンってすごい国なのねぇ 学士がいっぱい?」

 

「此の身は聖下が愛の神を目指されていると聞いたときくらい・・・驚いた」

 

「レレイがそう言うなら本当だろうけどすごっく違和感あるわ」

 

「偉大なる知母神ラーの言葉 勉学には物を知るだけの下達 理解する力を養う中達叡智を磨く上達がある」

 

「どういう意味?」

 

「本だけの知識で賢者気取りの者が多いという批判」

 

「・・・あれ?俺・・・バカにされてる?」

 

「バカになんてしてないわ父さん 意外だと思ってるだけ」

 

「フッ 意外性の男と呼んでくれ」

 

「おかげて父さんに学があるなんてちっとも思わなかった」

 

テュカの口に出た言葉に引っかかる伊丹にテュカは両手をぐうにして両頬においてぶりっ子のポーズを取る。

 

「おこっちゃイヤ♡ 本音がつい出ちゃっただけ!」

 

『な あ に い い?』

 

と怒った伊丹はテュカの両頬を引っ張るがテュカも伊丹の両頬を引っ張り返してくる。

 

「悪いこと言うのはこの口か?こいつめっ こいつっ」

 

「うきゃっ いらい いらいっ」

 

ガ ッ

 

「あがっ」

 

「くぬっ くぬっ くぬぬぬっ」

 

「いれれれれっ ひゅかっ やめへっ うぎゅううう」

 

「にゅう〜」

 

ギュウウウウウ

 

と互いの頬を引っ張り合っている姿を皆ジーッと見つめていた。

 

「いいなあ アレ・・・」

 

「ああいう反応が返ってくるのねぇ」

 

「ホント バカみたいだな」

 

「そろそろ テュカのタガがはずれかけている」

 

「誰か止めなさいよぉ」

 

「では 此の身が イタミ殿 もうやめられよ。御身の普段の言動に原因があるのではないか?学職があるのに無学のようにふるまっている。テュカはそう言っているのだ そうだろ?」

 

「余計なことを・・・」

 

「んなこと言ってもなあ 性に合わないんだよ 昔から軽い軽いって・・・」

 

するとロゥリィと伊丹と大場は扉の向こうから気配を感じ身構える。伊丹と大場はホルスターから拳銃を抜き取り構え、ロゥリィはハルバードを持って扉付近で待ち構え、レレイは杖を持って魔法の準備をし、テュカとヤオは精霊魔法の準備をする。そして扉が開かれ誰か入って来た。

 

「遅くなりもうした。シャンディー殿の行きそうなところ・・・」

 

と入った来たのはグレイだった。扉付近に居たロゥリィのハルバードはもう少しでグレイの首を吹っ飛ばすところだった。

 

「・・・戸を開く前に声をかけるべきでしたな」

 

「シャンディー殿が行方知れずになってはや四日・・・戦場での偵察行なら希望を捨てるには尚早ですが このままではピニャ殿下に申し訳なく・・・小官 もう一回りして参ります」

 

「わたしも行く・・・」

 

「レレイはここにいろ 自分がシャンディーに偵察を任せようと提案したんで気に病んでんだろうが 送り出したのは俺らだ」

 

「それにレレイ 自分が狙われている身だって事を忘れるな」

 

「そうですぞ レレイ殿。彼女を信用しているのなら待つべきです。一度与えた信用を中途で引きあげるのは騎士への侮辱となりますぞ」

 

とグレイは言うがレレイの表情はどこか申し訳なさそうだった。

 

「だいたいロンデルに来たのだってぇ 今日のためでしょお?」

 

「・・・学会は今回だけじゃない」

 

「笛吹男はどうするのぉ?このままだとぉ ずうっと狙われるのよぉ あいつの刺客はどんどん増えていくしぃ」

 

「シャンディー殿を心配なさってくださるのはわかっております。ですが作戦を一度始めたら完遂する覚悟でいていただきたい」

 

「そうよぉ 笛吹男を迎え撃つのが先ぃ」

 

「・・・・」

 

そんな時廊下からトタトタと足音が聞こえて来て一同は再び身構える。そして勢い良く部屋に入って来たのは今行方不明のシャンディーだった。

 

バ ン

 

「遅くまりましたあ!」

 

そしてシャンディーの姿を見て皆目を細めて見詰める。

 

「・・・あれ?」

 

シャンディーの姿は、身体中汚れ息切れ状態だった。

 

ハァ ハァ ハァ

 

「シャンディー!あなた 今までどこにーー」

 

「シャンディー殿 報告を」

 

行方知れずで心配掛けていたシャンディーをテュカは怒ろうとするもグレイは笑顔で迎える。

 

「あ はい ボーイに接触したノッラって女をパイランまで追跡するも・・・見失いました。あの ボーイさんたちから学会での仕込みの話は・・・」

 

「きたわよぉ」

 

「そうですか このノッラは・・・笛吹男の傀儡です」

 

「やっぱりぃ?」

 

「あー そいつが笛吹男本人なら手っ取り早かったんだけどなあ で 笛吹男から接触は?」

 

「ありました。パイランでボーイさんの情報と同じ風体の男が接触してきました。けど・・・疲れてて・・・居眠りしてる間にいなくなってました」

 

「散々心配させといて結局それ?」

 

「すみません・・・」

 

「いやはやお手柄ですぞシャンディー殿。片道二日の行程で単独で追跡 笛吹男の風体も確認したのですからな!」

 

「・・・ごめん言いすぎた。ご苦労様」

 

「いえいえ任務ですから騎士団で長距離斥候は一番だったんですよ」

 

「・・・その任務なんだけど ボーイが誰と接触するか・・・確認するだけでよかったんだけどな」

 

「わざわざ追跡しなくってもよかっただが」

 

そう言われてシャンディーは目を丸くして黙り込む。

 

「えー!?無駄手間?奴の顔ばっちり見てきたのにぃー」

 

「そこは感謝するけど連絡は欲しかったな」

 

「すみません・・・(褒められようと独断先行したのは内緒にしとこ)」

 

「んじゃ後は予定通り 準備いいな?」

 

「ええーっ わたし今帰ってきたばかりですよお へとへとでごはんも着替えもしてないのにい」

 

「そうだったな どうしよ・・・」

 

「そろそろ学会の始まる刻限だが・・・」

 

「シャンディー殿 戦場ならば何昼夜もの斥候の後即戦闘など珍しくもないこと ここは騎士としてのがんばりどころですぞ。そうですな イタミ殿 オオバ殿」

 

「ええ まあ」

 

「そうだな」

 

「すみません イタミ様 オオバ様 予定通り学会に行きましょう」

 

気持ちを切り替えやる気になったシャンディーに二人は口をノの字にして笑う。

 

「あ」

 

「おはようございます!いよいよですね!」

 

「打ち合わせ通りお願いします!」

 

「胴鎧 ちゃんと着てます?」

 

「僕たちも行って奴を見張ってますから!」

 

「がんばってくださーい!」

 

「・・・よし 俺たちも行くか」

 

入り口でボーイにたち応援されながら一同は学会へと向かう。

 

「なあ レレイ 前から気になってたんだけどものすごく慎重にやってる気がするんだよな アルヌスじゃ書物で色々調べてたんだろ?それをそのままこっちで発表してもかまわないのに・・・」

 

「・・・学徒としてカトー老師に入門して最初の教えは学問が人に与える影響だった」

 

------回想----

それはレレイがカトー老師に弟子入りして間もない頃。

 

「よいかレレイ 古き時代の農耕の神の神話 それが天文学の始まりじゃ人々は星の動きと季節とに関係があると気づいた。賢者たちは星々の運行を観測し 正確な暦を作ろうとしたんじゃ天文学の成立ーーじゃが二千五百年前重大な事実が明らかになる。パッソルの『球体大地説』ーーその説は発表されたとき人々は恐怖した。円盤状だと信じていた大地が球体!?それでは大地の端からあらゆるものが大地さえ滑り落ちてしまうではないか!ロンデルの会堂は怒る民衆に取り囲まれた。民衆は球体説が誤りだと認めさせようとした。彼の学説が世界を滅ぼすと思い込んでしまったんじゃ賢者たちは民衆を収めようと嘘をついた。嘘ではあるが事実でもあった要は詭弁じゃ大地は球体だがどこにも落ちない落ちるべき『下』こそこの大地なのだ。民衆にはその嘘が必要じゃった。自尊心を満足させる嘘 かように学問は民心に影響を与えるのじゃ」

 

----------

 

「その教えを聞いた夜 恐ろしくて震えた。意気揚々と大発見を発表したら 群衆に袋叩きに遭う夢を何度も見た。自らの発見や発明が人々に何をもたらすか 賢者は考えなければいけない。わたしの発表は魔法で爆発を作り出すもの魔法だから広まるのも限定的 けれどーー火薬は違う。本来なら火薬の製法を発表するべき だけどわたしはその効果を知った今 発表がもたらすものに恐怖している。ニホン軍は戦いに火薬を使う『門』が開いた今いずれ製法は伝わる。なのにわたしはーー」

 

そんなレレイに伊丹はレレイの頭に手をポンッと置く その表情はどこか嬉しそうだった。

 

「それでいいのよぉ だってぇ レレイにはいずれ宿題をやってもらいたいものぉ」

 

「(宿題?ミモザ老師みたいにか?)なあ ロゥリィ レレイがーー」

 

『なぁにぃ?』

 

と伊丹はロゥリィの表情にゾッとした。

 

「(ーー訊けない この問いは地雷だ。火薬の製法をレレイが発表したらどうなるか?いや 発表したらロゥリィはレレイをどうするか?亜神は庭を守る庭師 必要ならば伸びすぎた枝を刈り取るーー)ど 導師号取ったら もっと らしい格好させようか」

 

「それがいいかもぉ」クス クス

 

「別にいつものでかまわない」

 

「?」

 

会堂に着くと色々な人が集まり発表に来たもの居ればこれを機会に出店を開くものまでいた。と会堂の入り口に先に来ていたミモザとアルフェがいた。

 

「レレーイ!遅い!こっちこっち!」

 

とその掛け声に反応して周りの人が伊丹達一行の方を見る。

 

「どうもミモザ老師」

 

「ご無沙汰しております」

 

『あれが噂のレレイ・ラ・レレーナ』

 

『本当に若いな』

 

「ベルナーゴのお話 アルフェから聞いたわあ」

 

『鉄のアルフェの義妹だって?』

 

「レレイ有名人ね」

 

「そりゃそうよ。身の程知らずにもその年で導師号狙ってるんだから 話題にもなるわ」

 

(それだけじゃないんじゃ?)

 

(この前のド派手なケンカのせいでもあるんじゃ・・・)

 

「間に合ったのねえ」

 

「おかげて新調するはめになった」

 

「金持ちめっ」

 

「アルフェったらね そんなくせにレレイが炎龍を倒したって噂 色んなところで自慢してるのよ」

 

「ミモザ老師!黙っててくださいって言ったでしょ!!」

 

「あらあら そうだったかしら?それじゃあレレイのが間に合わなかったとき使わせようと自分用の導服徹夜で裾上げして持ってきてるのも言わない方がいい?」

 

「・・・・」

 

とミモザ老師の爆弾発言に顔を真っ赤にして固まり周りの人は苦笑いをする人もいればニヤニヤと笑う人も居た。

 

「あらあらあらつい口が・・・年取ると緩んじゃっていやねえ」

 

「老師!!年寄りぶってかわいく言ってもだめですよ!」

 

「この二人ぃ 見てて楽しいわぁ」

 

「確信犯じゃないですか!」

 

「ごめんなさぁい」

 

「ごめんなさぁい じゃないですよ!姉の威厳ってものがですねえっ」

 

「あらあらあら」

 

「なんじゃありゃ?ミモザか?」

 

「いつもの師弟漫才じゃろ」

 

ミモザとアルフェのやり取りに余計に人の注目度を集めて行った。

 

「イタミ殿 オオバ殿 人の目を集めすぎではないですか?」

 

「いや 刺客がいても逆にやりにくいはずだ」

 

「人を隠すなら人の中ってやつだな」

 

「・・・けど そろそろ受け付け行かんとやばくないか?」

 

そんな時ミモザとアルフェの間に優男風のエルフが割って入って来た。

 

「アルフェさん アルフェさん みんな見てますよ その辺で・・・」

 

「いいからあんたは黙ってて!!」

 

「あ はい・・・」

 

「テュカ エルフだぞ」

 

「なんで ロンデルで学徒なんか」

 

(誰?)

 

「随分大柄な優男が出て来たな」

 

「アルペジオさんの知り合い?」

 

「聞いてない」

 

 

「あ 皆様はじめまして 僕はフラット・エル・コーダ ここで研究賢者やってます」

帝国の国歌を描こうと思うんですがどれを参考にしたらいいですかね?

  • 『廃墟からの復活』
  • 『皇帝陛下万歳』
  • 『神よ、皇帝フランツを守り給え』
  • どれでも良い
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