元女神たちとのキャンパスライフ 作:シラユキ
1話
4月。それは始まりの季節。新しい年が始まるのは1月だが、入学、進級、入社など生活の区切りは基本的に4月だ。一般的には桜の舞う時期でありそれを眺めるのはこの時期の楽しみの一つと言っても過言ではないだろう。──── そんな余裕があればの話だが。
「ど こ だ よ こ こ は !?」
突然叫んだせいで周りの人から驚かれ、奇異的な目を向けられるが今はそんなことは気にしていられない。駅で尋ねたら目的地は東口から歩いて15分ぐらいと言われたのでそろそろ着いてもおかしくないはずだが一向にそんな気配がしない。
俺は3月に高校を卒業し、地元を離れて東京の大学へと進学した。後期の試験で合格したので部屋探しはギリギリ、そこから引っ越しの準備に合格祝いの友人との小旅行。そんなこんなで東京に来たのは入学式当日の今日。ほとんど初めての土地で一向に目的地に着かない、これは間違いなく迷子というやつだろう。
「って、こんなこと考えてる場合じゃねえな」
入学式の時間は刻一刻と迫る。さすがに、行かなかったから今後の生活に大きな影響が出るといったことはないと思うが、せっかくの一度しかないイベントなんだから経験しておきたい。あとどれくらい余裕があるのかを確認しようとしてポケットからスマホを取り出し……ん?スマホ?
「はぁ、なんでGPSという文明の利器を忘れてたんだ。これさえあれば余裕余……裕…………じゃなくね?」
現在地を確認、駅から目的地と反対側にいる。これは予想どおりだったから問題ない。問題は距離と残り時間、そしてここが土地勘のない場所ということ。今の位置は駅から目的地までの距離と同じかそれよりも長いくらいで入学式までの時間は残り45分くらい。そこから導かれる結論は──────非常にヤバい、これに尽きる。
「走るしかねえ!」
━━━━━━━━━━
「さて、あとはアパートに行って荷物受け取って
買い出しして、ゲームして寝るか」
結論を言えば朝から全力で走ったかいもあり入学式にはギリギリ駆け込みで間に合った。もちろんその道中も軽く迷子になりましたが何か?
入学式の内容は完全に話を聞くだけ。全力疾走で疲れた体にその内容、うとうとするなと言う方が無理がある。つまりその内容をあまり覚えていないわけで、今思えば走った意味がそんなにない気がする。
周りを見てみると入学式中に仲良くなった、あるいは高校時代からの知り合いなのかほとんどは後者だと思うが何人かのグループで話す人や一人で帰路につく人、SNSでも見ているのかスマホの画面を見ている人、そしてそれが霞んでしまうくらいの歓声と巨大な集団があった。
「サインください!!」
「今でもファンなんです!握手してください!!」
「お、俺を下僕にしてください!!」
「お前、抜け駆けは卑怯だぞ!ぜひ俺を下僕に!」
聞こえてきたワードから判断するに有名人でもいるのだろう。何人か明らかにヤバいやつがいるのでそいつらとは今後の大学生活で関わらないことを願おう。
「有名人さんの顔だけ拝んで帰るか」
囲んでるやつらにも一応常識はあるのか、歩道にはみ出してまでということはなくそこを通れば普通に囲まれている人を見ることができた。まず目についたのはその髪色。オレンジに金髪、紫に青など、全員がカラフルな髪をしていてその上全員可愛くてレベルが高い。
たしかにあれなら囲まれたりするのも納得がいく。おそらくはアイドルグループか何かなのだろうがあいにく、中学高校と部活と野郎との付き合いしかしてこなかった俺にそんな知識は存在しない。
「願わくば平和な大学生活になりますように、っと」
あの有名人たちと関わらなければ騒ぎに巻き込まれることはないだろう、そう考えながら入学式の会場を後にする。
その中の一人が俺のことを見ていたなどとは気づくことなく。
━━━━━━━━━━
「さーて、どうすんだこの状況」
俺の脳内のプランでは今ごろなら飯を食べながらゲームでもしている筈だったのだが、いまだに部屋へと帰りつくことはできず、その上さっき見た有名人さんたち、μ'sというグループに囲まれていた。
事の発端、というかこうなってしまった原因は今朝の迷子にあった。どうやらスマホを取り出す前に叫び出したのを聞かれていたらしい。そんなやつが自分の大学の入学式にギリギリにやってきたら覚える、というのが俺を見て「あ、迷子の人だにゃー!」と言った星空凛さんの言葉だ。
この子、語尾ににゃーってつけてるけどネコ科じゃないよね?
「えっと、
「スポーツ学部です」
「凛と一緒だにゃー!」
「すごいね!きっとこれも何かの運命だよ!!」
「穂乃香、運命はそんな簡単なものではありませんよ」
「そんなことないもん!私たち9人の出会いが運命だったんだからこれも運命だよ!!」
「ことりも、運命かどうかはわからないけどきっとこれは何かの縁だと思うよ」
俺に話を振ってきたのが絢瀬絵里さん。そこから話を広げていっているのが高坂穂乃果さん、園田海未さん、南ことりさん。特に南さんの声は聞いているだけで幸せになるというかとろけてしまいそうになる。目覚ましとかなら最高だと思う、というかもうずっと聞いてたい。
「ちょっと、変なこと考るんじゃないわよ」
「そ、そんなことないけど?」
「えっと、声出ちゃってたから誤魔化すのはむりじゃないかな?」
「なんで私のにっこにっこにーには無反応で普通に話してることりにはそんな反応なのよ!」
「ウチはにこっちのあれは人を選ぶからやと思うけどな~」
そして、今話しているのが小泉花陽さんに西木野真姫さん、矢澤にこさんに東條希さん。小泉さんと西木野さんは同じ大学の文学部と医学部らしい。
それはそうとこの4人、誰と誰とは言わないしどこがとは言わないけど大きな差が……これが胸囲の格差しゃ
「あんた、それ以上考えたら殺すわよ?」
「にこちゃん、とりあえずここは半殺しにしておくべきよ」
「スイマセンデシタ。モウカンガエマセン」
どうやら視線でバレていたらしい。ここが人通りのない場所なら確実に土下座をしていた、というよりやらされていた気がする。
「雅哉くん」
「は、はい。何でしょう?」
「あなた、大学で凛と仲良くしてもらえないかしら?」
「それはいいですけど、初対面の男にそんなこと頼んで大丈夫なんですか?」
「大学で暮らせば周りは初対面ばかりでしょう?それなら多少でも話したことのある相手のほうが安心でしょ?それに、凛を一人にするのはなんだか不安なのよね……」
突然の絢瀬さんのお願いに驚くが、最後の言葉ですぐに納得してしまう。星空さんはなんというか思ったらすぐ行動!みたいなイメージがあり、それで知り合いのいない大学での暮らし……うん、不安になるのもわかる。
「そうね。私も不安だわ」
「か、かよちんは凛の味方だよね?」
「わ、私もちょっと不安、かな……」
「みんなひどいにゃー!!」
他の人も言葉に出してはいないが表情と庇う人がいないあたり少しはそういう認識があるんだろう。
「そういうことなのよ。お願いできるかしら?」
「わかりました。俺も知り合いがいるほうがありがたしですし。そういうで、あらためてよろしく。星空さん」
「よろしくにゃー!」
こうして元女神との大学生活がはじまった。
俺の大学生活はいったいどんな風になるのだろうか?
三人との絡みが書きたかったのですが、さすがに三人が同じ学部は無理がある気がしたのでバラバラに。凛ちゃんと同じ学部になった理由?一年生のなかで一番好きだからです。
ある程度やりたいことは決まってますが、基本的には思いつくがまま、キャラの動くのに任せて気まぐれ投稿の予定です。