元女神たちとのキャンパスライフ 作:シラユキ
今回の東京観光、一話で終わる予定だったのですが気がついたら長くなっていたので分割しました。
4話
「東京観光?」
歓迎会から日が経ち、四月もそろそろ終わりを迎えようとしていた。桜もすっかり散ってしまい
、日によってはほんとに春かと疑いたくなるような暑さになることも増えてきた。
「せっかくのGWで身近に東京出身がいるし案内してほしいなーと思って」
「凛は別にいいよ?」
「私も大丈夫、かな」
「私もいいけど、日程とかは決めてるのかしら?」
「んー、土日がいいな。一応連休だし始めの方は帰省しようかと思ってる」
「それなら……土曜日なら大丈夫ね」
何か予定があるかの口ぶりが気になったのでそこのことを尋ねてみる。
「せっかくの休みだし九人で集まろうってことになってるのよ」
「雅哉くんも来るかにゃ?」
「さすがにそれは遠慮しとく。」
凛たち以外の六人は入学式の日に会ったきりだし、なによりそんな仲のいい集団の中に男一人で行く度胸なんてものは俺にはない!
「行きたいところって、あるの?」
「スカイツリーとか浅草寺みたいなこれぞ観光名所みたいなところは行ってみたいな。あ、あとは秋葉原。ここは絶対行きたい」
「秋葉原ね…………それならゲストに来てもらおうかしら」
何か思い付いたのか、真姫は花陽と凛を呼んで少し離れたところで俺に聞こえないように話を始めてしまう。俺には時折凛からのそれいいにゃー!という声しか聞こえてこない。
それから数分、話がまとまったのか凛たちが戻ってくる。
「観光プランは凛たちに任せるにゃー!」
「ずいぶんと乗り気だな。頼んだ俺からすればありがたい限りだけども」
「楽しみにしててね」
「絶対に驚かせてあげるわ」
「変な方面で驚かせにこないことを願っとくよ」
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「眠い……」
帰省中の田植えの手伝いという重労働?を乗り越え交通費の節約のために夜行バスを使って帰ってきたので現在午前六時。現在地から荷物を置きに部屋へ帰っても七時にもならない。帰ってから寝てしまうと寝坊して真姫に怒鳴られる未来しか見えない。
「……適当に時間潰すか」
部屋へと帰り、気分でパソコンを起動する。普段やっているゲームの攻略動画や有名なゲームのプレイ動画などをボーッと見ている途中で気まぐれに検索欄に文字を打ち込む──μ's、と。
画面に表示されたものから適当に一つ選び再生する。
「……こうして見ると、やっぱちゃんとしたアイドルだよなぁ」
前に真姫に言われてから気が向いたときにμ'sの曲を聞いてはいたが、それよりも普段の凛たちと会って話しているときのイメージが頭にあるので見る度に改めてアイドルだったことを認識させられる。
特に普段の花陽はおとなしい印象が強く、動画のように楽しそうに歌って踊っているのは初めて見たときはほんとに驚かされた。
「こんな面もいつか見れるのかね……」
彼女たちと知り合ってまだ一月ほど、知らない部分がほとんどなのは当たり前だろう。俺がほとんど知らないのと同じように向こうも俺のことをほとんど知らない。
まあ、話せるようなこともそんなにないんだけども。
「μ'sのことは知ってかなくちゃいけないか」
本人たち以外から見たμ'sは要辺りから聞けばいいとして、今はとりあえず彼女たちの曲を聞こう。
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「はぁ、はぁ……なんとか間に合った」
二度寝して寝坊しないように動画を見てたのに、それを見ながら寝落ちするというバカなことをしてしまったので走るハメになったが、なんとか時間までには集合場所に着くことができた。
「あ、雅哉くんもういるよー!」
息を整えている最中に聞きなれた声が聞こえてくる。その方向を見てみると凛に手を引かれてこっちに向かって走ってくる真姫と花陽の姿があった。
「三人とも朝から元気だな」
「ここまで元気なのは凛だけよ」
「雅哉くんはちょっと疲れてそうだけど、大丈夫?」
「慣れないバスにちょっと疲れただけだから大丈夫だって」
言えない。バスは問題なかったし寝坊しかけて走ったからとか言えない。
「そう。私はてっきり寝坊して走ったのかと思ったわ」
「……そんなことはない。にしても、そんなに距離はなかったとはいえ息切れした様子もないのはさすが元アイドルってところだな。凛以外」
「なんで凛は違うにゃー!」
「いや、凛は普段から元気だからこれぐらい余裕だろ?」
実際、凛の運動能力はかなり高い方だと思う。俺なんて凛が気まぐれに体育授業中にやってるアクロバットな動きなんて全然できないし。
「たしかにそうだけど、なんか納得いかないよー」
「雅哉。その思ったことすぐ口に出すのやめた方がいいわよ。シュークリームのこと忘れたの?」
「……善処する。あんなのはもうこりごりだ」
脳裏をよぎるのは花見の時の惨劇。段々と舌の感覚が麻痺していって最終的には気絶。その後数日間体調不良に悩まされる経験なんて今後一切したくない。
「ほら、凛ちゃんも雅哉くんも。今日は東京観光だよ?」
「それもそうだな。で、どこに連れてってもらえるんだ?」
「それは着いてからのお楽しみだにゃー!」
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「さすが、世界一だな」
俺の視線の先にあるのは超巨大建築物。周囲の建物と比べてけた違いの大きさで空へと延びる高さ634メートルの世界一高いタワー──そう。東京スカイツリーだ。
「ほら、行くわよ」
エレベーターに乗り、展望台へと向かう。時間にしてわずか五十秒。それだけで地上から高さ350メートルへと到達する。
「……すげぇな」
東京を一望できる景色に加え、眼下に広がるのは普段見上げるばかりの高層ビル群。今まで見たことのない景色に思わず言葉を失ってしまう。
「雅哉くん。高いところ大丈夫なの?」
「特に苦手ではないな。ここからバンジーやれとか言われたら話は別だけど」
「それならこれも大丈夫よね?」
真姫が手に持っているのは展望デッキへのチケット。そこに何があるかまでは知らないがろくなものでさなさそうだ。
「たぶんな」
「それじゃあ行くにゃー!」
凛の先導のもとエレベーターに乗りさらに上へと昇る。
「前言撤回。やっぱなしでいい?」
連れていかれた先には透明な床。どういう意図で設置されているのかは一目瞭然。この高さから真下を見るとか考えたくない。
「だめにゃ」
「大丈夫なんでしょ? 早く乗りなさいよ」
「雅哉くん。私は無理だけど、頑張ってね」
誰も許してはくれないようだ。唯一心配してくれる花陽の優しさが心に染みる……それに比べて残りの二人ときたら。
「もういいや……パッと行ってパッと離れよう」
結論──何も考えずにしゃべるとろくなことにならないらしい。もう二度とあそこには立ちたくないな!
スカイツリーから下りてやってきたのは浅草、かの有名な浅草寺だ。
「これが雷門か」
今目の前にあるのは『雷門』と書かれた巨大提灯。超次元サッカーが始まったりはしないよな?そして、その先にある仲見世は多くの人で溢れかえっている。
「凛お腹すいたよー!」
「適当に何か買いながら進むか?ちょっとぐらいなら奢るぞ?」
「大賛成にゃ―!いっぱい食べるよー!」
「そうね。雅哉の奢りなら遠慮する必要もないわね」
「わ、私は別に……」
「花陽は遠慮せずに言ってくれていいからな。後、そっちの二人はちょっとぐらい遠慮しろよ」
「かよちんだけずるいにゃー!」
「自分の言動を振り返ってから言ってくれ。ほら、行くぞ」
そんなこんなで出発し、誰かが食べたいものを見つけてはそこに立ち寄るのを繰り返していく。俺ならだいたいのものを一人で食べきれるが、量が多いものは凛たちが食べきるにはきついようで三人でわけあいながら食べている。
「──?雅哉くんも食べたいの?」
要にこの様子話したら羨ましがりつつ、怒るんだろうなーなんて凛たちを見ながらボーッと考えていたら凛が手に持っていた食べ物を差し出してきた。どうやら食べたくて見ていたと勘違いされてしまったらしい。
「いや、別…………せっかくだしもらうか」
断ろうとしてとあることに気がついてしまう。今のこの状況って凛に食べさせてもらう、俗に言うあーんというやつでは? 凛は普通に可愛いし、というかレベルは高いほうだと断言できる。
となれば、こんなチャンス逃す手はない。
「どう?おいしい?」
「もちろん。ここに来てよかったわ」
味も美味しいし、経験的な意味でもおいしいです。今度要に自慢してやろう。
「雅哉、また変なこと考えてるわね」
「な、何言ってんだ?」
「あなた色々と分かりやすいのよ。今だって動揺したでしょ?」
どうやら俺は自分が思ってる以上に隠し事ができないらしい。今後は変なこと考えないように気をつけないとな。……どうせ無理だろうけど。
「真姫ちゃん、着いたよ?」
花陽の言葉を受けて視線を前へと向けると、そこには大勢の参拝客がいた。写真で見たことがあるし、ここが浅草寺の本堂のようだ。
「とりあえず並ぶか」
参拝客の列に並び順番が回ってくるのを待つ。凛と今出されている課題の話して、花陽や真姫の自分の知らない学部の話を聞くだけでかなりの時間が潰せた。
そして順番が回ってくる。四人並んでお賽銭を入れて一礼。お願いする内容は……そうだな。凛たちのことをもっと知れて仲良くなれますように、これでいいだろ。あ、単位も無事にお願いします。
頭を上げて横を見れば三人と同じくらいに終わったようで図らずに顔を見合わせてしまう。
「とりあえず移動だな」
参拝場所を離れて少し歩くと、神社や寺によく置いてあるものがあった
「お。おみくじあるのか」
「皆で引くにゃー!」
率先して凛が筒を手に取り、そのまま振る。これだけの動作なのにすごく楽しそうだ。
振った結果は10番。凛はその番号の引き出しを開けて中に入っている紙を取り出す。
「やったー!大吉だにゃー!!」
凛はかなり嬉しかったのかその場で跳びはね始めてしまう。凛さん?あなた一応大学生ですよ?
「つぎはかよちんだよー」
凛は筒を花陽へと手渡す。花陽は凛と違って普通に筒を振り棒を取り出す。結果は99番。
「わ、私も大吉だよ……」
「やったねかよちん!お揃いだよ!」
「うん。よかったね凛ちゃん」
「真姫、先引けよ」
「そう?なら私から引かせてもらうわ」
真姫も筒を手にとって振り、棒を取り出す。結果は88番。今回こんな番号ばっかだな
「私は……大吉ね」
「三人とも大吉、だと?」
「次は雅哉くんだよー!雅哉くんも大吉かなー?」
「そうだといいね」
「まあいいや。気楽にいこう」
凛から渡された筒を上下に振って棒を取り出す。ここでバーテンダーがやるみたいにかっこよく振ったりしてみたいところだが、あいにくとそんなに器用じゃない。
「66……ここか」
紙を取りだしそこに書かれている結果を見る。一番上にあった文字は大吉──ではなく、凶だった。なあ、ここは大吉の流れじゃないの?
「凛たちの勝ちだにゃ―!」
おみくじに勝ち負けとかないだろと突っ込みたいところだが、結果だけを見ると何も言えない。おかしくね?なんで俺だけ凶なの?
「こんなおみくじはあれだ。とっとと結んじまおう」
「雅哉くん、あそこで結べるよ」
花陽が指差した先にはよく見るおみくじを結んでおくスペースがあるのだが、どう見ても結ばれている紙の量が少ない。普通は結ぶ場所がないくらいに付いてる気がする。
「雅哉、ここのおみくじは
真姫さん。わざわざそこだけ強調しなくてもいいでしょ。なんか余計に悔しくなってくる。
「まあ出たのはしゃーない。とっとと結んでくるか。……そういや、ここって他に何かする予定あるのか?」
「ここは終わりだよ」
「ここからは私たちの見てほしいところを巡るわ。安心して、秋葉原はちゃんと行くわよ」
「楽しみにしててねー!」
東京観光の続きは一週間以内には投稿したいなーと思ってます。後半は真面目?よりな話になる予定です。
あと、今回地味にネタを仕込んだりしてるんですが、気づいた人はいたのかな?