元女神たちとのキャンパスライフ 作:シラユキ
遅れた理由は投稿直前に操作ミスでほぼほぼ完成していた話を消しちゃって書き直すはめになったことですね。話の流れもできていたので遅れてでも投稿しようってことで今に至ります。
一つだけ注意です。今回の話はIFなので本編での誕生日に実際にあった話ではありません
季節は秋。木の葉も赤や黄色に色づき世間では紅葉シーズン真っ只中の10月の中旬。俺はとある計画のために真姫と花陽に協力を仰いでいた。
「──てことで、二人に協力して欲しい」
「そこまで言われたら断れないわよ。それにしても、あの雅哉がね」
「あのってなんだ、あのって」
「雅哉がこんなこと言い出すなんて思ってなかったのよ。計画には協力するわよ」
「私も協力するよ。でも、実行するまでちゃんと隠していられるかな?」
「要と七海さんにも口裏合わせを頼んであるし、サークル内のイベントの準備が忙しいってことでなんとか乗りきれる……と信じたい」
サークル内でイベント(ただのデュエル大会)があることは事実だし、存在しないイベントのことを言ってないことがばれるといったアクシデントはないだろう。フラグとかでもなく!
「凛の動物的な勘に引っ掛からないことを願うしかないのか」
今回の計画のターゲットは凛。何事もなく実行日を迎えられるといいけどな。
◇◇◇◇◇
「最近全然雅哉くんと遊べてないにゃー」
「仕方ないわよ。サークルのイベント準備が忙しいって言ってたでしょ?」
「雅哉くん、11月になったら時間が取れるって言ってたよ」
「それはわかってるけど、ちょっとぐらいは凛と遊んでくれてもいいと思うにゃー」
少し不満が滲み出ている凛を宥める花陽が、今自分達のいる場所から少し離れた場所に何かを見つける
「ねえ、真姫ちゃん。あれって……」
「……ほんとタイミングが悪いわね。花陽、メッセージ送って間に合うと思う?」
花陽が指さした先には二人で一緒に店頭の商品を眺めて何かを相談している雅哉と七海の姿があった。真姫と花陽の二人は今日も準備で買い物に出ているのを知っていたが、まさかふらっと立ち寄ったところにいるとは思いもしない。
「無理じゃないかなあ? 今から凛ちゃんにどこか違うところ寄ろうって言っても間に合わないと思うよ」
「何かの間違いであの二人が私たちが通りすぎるまで奥にいてくれることを願うしかないわね」
そんな二人の願いは叶うことなく、完璧と言ってもいいタイミングで店の前で鉢合わせが起こってしまう。
「雅哉くん、今日は忙しいって言ってたよね? なんで今ここにいるにゃ?」
雅哉から花陽と真姫に助けを求める視線が送られるが、この状況ではどうしようもないことがわかっている二人は何もすることができない。
「それはだな……イベントの準備に必要なものを見て回ってたんだよ。俺一人だとわからないこともあるから七海さんに一緒に来てもらってたんだよ」
「それなら、なんでアクセサリーのお店から二人で出てきたにゃ?サークルのイベントには関係ないよね?」
「あたしの荷物持ちさせてただけだから嘘じゃないよ。今日の分は一段落したし、あとは凛ちゃんの好きなようにしていいよ」
「俺のこと物みたいに扱わないでもらえません?」
「あたしの方が立場が上だからいいのよ…………あとは頑張りなさい。貸し増やしとくからね」
「……わかりましたよ」
「二人とも。凛ちゃんどう思う?」
「私は、ありえると思います。凛ちゃん、雅哉くんにあんまり会えてなくてちょっと機嫌悪くなってますし、七海さんと一緒にいるのを見てもっとわかりやすくなりました」
「私も花陽と同意見。あとは雅哉がうまくやるかどうかね」
◇◇◇◇◇
最悪のタイミングで凛との遭遇。七海さんの機転でパスを出してもらえたけど空気がすごく重い。
「なあ、凛」
「……なににゃ?」
「最近遊べてないこと怒ってるか?」
「……怒ってないにゃ。雅哉くんが忙しいのは知ってるから仕方ないにゃ」
言葉では怒ってないと言ってはいるが、返事のしかたと、なにより表情がすごく不機嫌そうだ。
計画の準備で色々なところに行って時間が取れてなかったとはいえ、凛のことを考えてやっていることで凛の機嫌を悪くしてしまっては本末転倒だ。
「最近遊べてなかったお詫びとしてはあれだけど、十一月一日、二人で遊びに行かないか?」
「その日は……ちょっと待ってね」
凛はスマホを操作し始める。おそらく、真姫と花陽に連絡して予定を確認しているのだろうけど、問題ないのは既に把握している。というよりも、そこに凛と出かける予定を入れるために二人に協力を仰いだといっても過言じゃない。
「オッケーにゃ」
「なら決まりだな。凛はどこか行きたいところとかあるか?」
「雅哉くんと遊べるならどこでもいいよー。でも、お詫びなら凛がいっぱい楽しめるところを期待するにゃー!」
「はは。責任重大だな」
何はともあれ、目的通りに凛と二人で出かける予定を入れられたので結果オーライだろう。あとは当日ちゃんと凛を楽しませることができるかどうか、今回準備をしたあれが上手くいくかどうかそれだけだ。
そして迎えた当日。俺は凛にとの待ち合わせで指定した駅へで凛が来るのを待っていた。待ち合わせの場所が駅になった理由は真姫と花陽の二人から強く勧められたからだ。その時の口ぶりから何か考えていることがあってこの提案をしたのだろうということはわかるが、その内容まではわからない。
「……ま、雅哉くん。待った?」
「いや、そんなに待って──」
後ろから聞こえてきた凛の声。いつものような元気いっぱいな声と違って控えめな、というよりは恥ずかしがっているような声。その理由が気になり振り返ると、そこにはいつもと違ってワンピースを着た凛の姿があった。いつもとはかなり印象が違う女の子っぽい雰囲気に思わず言葉を失ってしまう。
「な、何か言ってくれないと恥ずかしいにゃ」
「……いつもの元気な感じと違って、すごくかわいいというか、その……すごく似合ってるぞ」
「……ありがとにゃ」
おい!なんだよこの会話は!俺たちまだ付き合ってすらいないのに付き合いたての初心なカップルの初デートかよ!
「とりあえず移動するか」
「そうだね」
まさに歩き出そうかとしたそのとき、スマホのメッセージアプリの通知音が鳴る。その内容を確認すると真姫と花陽からで、それぞれ簡潔に一文ずつ書かれていた。このタイミング、二人ともここに来てるな?
『お膳立てはしたから、あとはがんばりなさい』
『雅哉くん、頑張ってね。終わってからのことは任せてね』
「はは。これは頑張らないとな」
「雅哉くん、どうかしたの?」
「今日一日凛に楽しんでもらおうって思って気合入れただけだから気にすんな」
「そっか。それなら期待させてもらうにゃ」
電車に乗って目的地へと移動中、凛は俺が準備をしていてあまり会えていなかった期間にあった出来事を楽しそうに話してくれる。その内容は真姫と花陽とどこへい行った、何をしたというものが多く、改めて三人の仲の良さを認識するのと同時に自分がしばらくの間凛と遊んだりしていなかったということを実感する。
「そういえば、なんで今日はワンピースなんだ?」
「真姫ちゃんとかよちんがせっかく二人で出かけるんだからって。雅哉くんはいつもみたいな服のほうが嬉しかった?」
「まさか。普段は見れない凛の恰好が見れて嬉しいぞ。というか、こんだけ可愛いんだから普段大学にも来てくればいいのにって思うぐらいには似合ってるぞ」
「……恥ずかしいにゃ」
「あー、うん。語りすぎちゃったな」
駅前で聞かれたときと違って、会話の中でぽろっと言ってしまったのでさらっとかなり恥ずかしいことを言ってしまった。結局この後、お互いに恥ずかしくなってしまい目的地に着くまでまともに話すことができなかった。
「着いたにゃー!」
というわけで、やってきたのは有名な遊園地。凛の様子を見るとかなりはしゃいでいるようなのでここを選んだのは間違いじゃなかったようだ。
「どう回るかは凛に任せるぞ。今日一日凛の動きたいように動いてくれていいからな」
「ほんとにいいの?」
「しばらく遊べなかったお詫びって言っただろ?それに、今日は凛にとって特別な日だろ?」
「わかったにゃ。それじゃあジェットコースターからにゃ!」
この遊園地はジェットコースターの種類の多さを売りの一つとしていて、落下時の高さが高いものや角度が急なもの、木製のローラーコースターなど色々なものを楽しめるようになっている。それに加え、ジェットコースター以外にもお化け屋敷やコーヒーカップに観覧車などメジャーなものも多くあるので誰もが一日中楽しめるからといつも多くの人が訪れている。
「……俺、全制覇とかいけるぐらい耐性あるのか?」
そんな心配をしながら凛に連れられるがままにジェットコースターを制覇していく。最初のいくつかは純粋に楽しむことができていたがその回数が積み上がっていくにつれて少しずつ辛くなってくる。
「り、凛。そろそろ休憩しようぜ」
「あ、そろそろお昼だもんね! 何があるのか楽しみだにゃー」
「レストランとかはいくつかあるけど、ラーメンがあるところがあるって言ったら?」
「そこにするにゃ!」
何があるのか楽しみと言ってはいたが、ラーメンの誘惑の誘惑に負けて即決するのはほんとに凛らしいと思う。とりあえずジェットコースターをぐるぐると何度も周回するのは終わりを迎えられるようだ。
「暗くなってきたにゃ~」
昼にラーメンを食べた後はお化け屋敷やコーヒーカップなど乗っていないものを中心に色々と買い食いをしながらのんびりと遊園地を歩いて回り、気がつけば陽が落ちはじめて園内のライトの存在を強く認識することができるくらいには暗くなっていた。
「さて、そろそろ移動したほうがいいか?」
「もう帰るにゃ?」
「いや。もうすぐパレードがあるからそれの場所の確保。どうせならいいところで見たいだろ?」
「もちろんにゃ!」
事前にパレードを見るのにお勧めされている場所を調べ、かなり余裕をもって動いていたおかげで行進してくる列をかなり近いところで見ることができた。マスコットキャラクターや仮想している人たちに手を振ってもらったりした凛は終始おおはしゃぎだった。
そんなパレードも終わり、それを区切りとしていたのかある程度の人たちがまとまって出口に向かって歩き始める。俺はその流れに逆らうように凛の手を引いてとある場所を目指す。
「雅哉くん、どこ行くにゃ?」
「秘密って言いたいところだけど、すぐバレるだろうし別にいいか。あれだよ、まだ乗ってないだろ?」
指差す先にあるのは巨大観覧車。一人である程度考えていたときから最後に乗る計画ではあったけど、真姫と花陽に凛が絶対に喜ぶからと念押しされたので確定となった。
「凛なら絶対に最後は観覧車って言うかと思ってな。なんとなくこういう女の子が憧れそうなやつが好きかと思ったんだけど、違ったか?」
「……うん。大正解にゃ!早く行こうよ!!」
俺の言葉に答えた凛はどこか嬉しそうで、さっきまでとは逆に俺の手を引いて駆け出していく。
走って行ったことでそのまますぐに観覧車に到着し、待ち時間もなく乗ることができた。
「わぁ……! すごくきれいだよ!」
ある程度の高さまで上って下を見下ろすとそこには園内のライトや建物の灯りが広がっている。神戸や長崎、札幌といった都市の夜景に比べればスケールはかなり小さいが、今ここにいる俺と凛にとってはこれだけでも十分だった。
「……なあ、凛。今日は楽しかったか?」
「もちろんにゃ!久しぶりに雅哉くんと遊べたからすっごく楽しかったよ!」
「……そうか。それなら色々と調べたり準備したかいがあったな。あとは……これだな」
取り出すのは真姫と花陽、七海さんに何度も相談しながら決めた凛への誕生日プレゼント。ここまで来たら後は覚悟を決めるだけだ。
「凛、今日誕生日だよな。プレゼントを渡す前に少し話を聞いてくれるか?」
「……わかったにゃ」
「凛と出会ったのは入学式の日だったな。あれから7ヶ月、早いもんだよな。その間に東京観光したり、テストのために頑張ったり、夏休みに泊まりで遊びに行ったりほんとに楽しかった。その理由は……凛がいてくれたからだ。いつも楽しそうに見せてくれる笑顔、普段は元気一杯なのに時折見せる女の子っぽいところ、そういうところに惹かれていったいったんだと思う」
「……それって凛のこと──」
ここまで言えば凛は俺の言いたいことがわかったみたいだが、ここから先はきちんと言葉に出して、俺の想いを込めて伝えないといけない。
「俺は…………凛のことが好きだ。俺の恋人になってくれないか?」
凛はギリギリに予想がついたとはいえ、その内容が内容なので顔を真っ赤にして固まってしまっている。
「…………えっと、お返事するからこっち向いてほしいな」
少し考え込んだ後、答えを決めた凛が俺の目をまっすぐに見つめてくる。俺もそれに応えるように凛を見つめる。
「凛の答えは……これだよ」
その答えは凛の口から紡がれることはなく、その代わりに凛の顔が近づいてきてそのままゼロ距離まで到達した。その結果は俺たち二人の唇が触れあう──つまりはキスをしたということだ。
それが何を意味するのかということはすぐに理解したが、それよりも今目の前にいる少女の甘い香りと唇の感触に意識を全て持っていかれてしまっていた。おそらく一分にも満たない短い時間だけのはずだか、永遠にも感じられた幸せな時間はお互いに息が苦しくなってきて離れたことによって終わってしまう。
「……伝わったと思うけど、凛も雅哉くんのことが大好きだよ!! 今日二人で遊びにきて、雅哉くんに告白されてやっと実感したんだ。雅哉くんのことが好きだって。今日着てきたこのワンピース、褒めてもらえてすごく嬉しかったんだよ? 雅哉くん、凛のことちゃんと女の子として見てくれてるんだって思って」
実際、普段の大学でのイメージから凛がワンピースやスカートをはいているイメージがあまりないので今日の格好にはとても驚かされたし、ドキッとさせられる場面が何度もあった。ここはほんとに真姫と花陽に感謝してもしきれない。
「それに、ちょっと前に雅哉くんが買い物してるときに出会ったでしょ?今思うと無意識に嫉妬しちゃって機嫌が悪かったんだと思うよ。何で雅哉くんと一緒に買い物してるのが凛じゃないんだろう、って。…………とにかく、凛もいつの間にか雅哉くんのことが大好きになっちゃってたので、凛を雅哉くんの恋人にしてください!!」
「もちろん。それじゃあ今度こそ誕生日プレゼントを渡さないとな。凛、誕生日おめでとう」
用意していたプレゼントを手渡し、凛がその中身を確認する。
「えっと……イヤリングと、髪留めってことでいいのかにゃ?」
「ああ。俺の案としてはネックレスととかもあったんだけどな、真姫と花陽が凛なら恋人になってお揃いにした方が絶対に喜ぶから今度にしたほうがいいって」
「あはは、二人にはお見通しだにゃ」
「……そろそろ下に着くな。最初ぐらいしか景色見てなかったな」
「今度また来たらいいにゃ。
「ああ。それじゃあ、あとは俺の部屋に戻って真姫と花陽とパーティーだ。料理とかケーキとか、凛の好きなものを揃えるって言ってたぞ」
遊園地を離れ、俺の部屋に帰ってくるとパーティーの準備を既に終えた真姫と花陽が待っていてくれた。どうやら二人とも凛の様子を見て結果がどうだったかは予想できたようだ。
「それで、うまくいったかは……見ればわかるわね」
「おめでとう凛ちゃん、雅哉くん」
「二人とも、ほんとにありがとな」
「そのお礼はあとで今日のデートのことたっぷり話してもらうから別にいいわよ。でも、そうね……せっかくだから凛の今の気持ちくらいは教えてもらおうかしら」
「凛は雅哉くんのこと大好きだから、恋人になれてとっても幸せだにゃ!」
ということで、大遅刻の凛ちゃん誕生日編でした。本編の次の話は今月中には更新予定です。