主人公が先生やってる中、俺達はアウトローだった   作:クレマ

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ファンタシースター感謝祭2014に行ってきました。

クレマはあれですね、イオとクラリスクレイスが好きですね。
イオは撫で回したくなる可愛さでクラリスクレイスは腹パンかましたくなる可愛さですね。

遅くなりましたが18回目です。もうそろそろ数少ないファンの方々も「こいつもうエタったんじゃねえか?」って思い始めた頃ではないでしょうか。

サブタイはタロット的な感じで考えてください。


Fifteen devil

 橋の外に放り投げた茶々丸さんが氷漬けになった。

 

「…………」

 

 場の空気も凍り付いた。

 

「…………」

「…………」

「……あー、っと…………」

 

 なんか、すっごいシラけた……

 と、その時。

 

「お、おのれ! よくも我が従者を!」

「!?」

 

 いきなりそれっぽい演技をし出すエヴァンジェリンさん。

 

「え!? あ、よ、よし! これで四対一だ! この戦い、勝てるぞ!」

 

 それに応じてか、優勢を喜ぶような演技をし出すネギ。

 

 両者ともにとてつもない棒読みである。

 う、嘘でしょ!? まさかこの空気のまま続行する気!?

 

「ラス•テル•マ•スキル•マギステル!」

「リク•ラク•ラ•ライラック!」

 

 そして詠唱を繋げて魔法と成す。

 その刹那―――

 

 

 

―――

 

 

 

 弛緩した空気の中。

 おそらく、気付けたのは俺一人だったはず。

 

「―――ッ!」

 

 全力で駆け出して―――

 

「オラァッ!」

「わっ!? っと、何を―――!」

 

 ネギを押し飛ばす。

 そして―――

 

パンッ

 

 銃声が響いた。

 

 

 

―――

 

 

 

「―――え?」

 

 小太郎君に押し飛ばされたかと思いきや。

 突如、鳴り響く銃声。

 

「なん―――?」

 

 この場で銃を持っているのはアダム先生一人だけ。もしかしたら茶々丸さんは機体の中に内蔵していたかもしれないけど、あいにく彼女は今氷漬けだ。

 

 だからここで銃を撃てるとしたらアダム先生だけで、だけどアダム先生は味方だから心配する必要は無くて。

 

 でも。

 

 だったらどうして―――小太郎君が血を流しているんだ?

 

「小太郎君!?」

 

 すぐに駆け寄って傷を確かめる。

 

「心配すんな、カスっただけだ……」

 

 そう、僕の心配に軽く返してくるが……どう見ても、脇腹を抉られている。

 

「思いっきり命中してるじゃないか!?」

「うるせえな! 俺からしたらこれくらいはグレイズの範囲内ですぅー!」

「なにがグレイズだよ……ってやばっ!」

 

 視界の隅にニヤリと笑うエヴァンジェリンさんの姿。

 ハッとなって小太郎君を抱きかかえる。

 ええと、確か足に魔力を溜めて、ガッと地面を掴むようにして……

 

「“闇の吹雪(ニウィス•テンペスタース•オブスクランス)”!」

 

 思いっきり蹴り出す!

 

「“瞬動”ッ!」

 

 びゅごう、と吹き荒れる闇の吹雪。

 間一髪で躱した僕は減速に失敗して氷で滑り易くなった路面に転んでしまった。

 

「ってて……あ、明日菜さんは……?」

 

 そうだ、僕らはまだマシだけど明日菜さんは今どうなってる?

 もう三分はとっくに過ぎてるから身体強化も消えてるし、今はもうただの女子中学生でしかな……い、わけでもないか。素で自動車と同じくらいの速度を出せるし。

 

(いや、その程度じゃあこの場では役に立たない。

 役に立たないんだからどうか見逃しておいてほしいけど……ああ、クソ、どうして巻き込んでしまったんだ僕は!)

 

 見れば明日菜さんはアダム先生に殴り掛かっている所だ。

 しかしそれも軽く躱され、その手に持った銃が明日菜さんへと向けられ―――

 

「明日菜さ……ッ!」

 

 その引き金が引かれる、その刹那。

 

「“今だ。来い”」

 

 明日菜さんの影が暴れ出した。

 

「きゃっ……!?」

 

 影の一部が盛り上がり、黒い犬の姿となって凄まじい速度で僕らの……いや、小太郎君の下へと向かってくる。

 明日菜さんを引きずりながら。

 

「た……ただいま」

「おう、おかえりバカ」

 

 そして小太郎君と明日菜さんは簡単な挨拶を交わし―――って。

 

「今の何小太郎君!?」

「誰がバカよ誰が!?」

「うるせえバカ共! 今それどころじゃねぇだろうが!」

 

 あ……ああ、そうだった! 何故かわからないけど敵に回ってしまったアダム先生への対応を考えないと……!

 

「ええと、じゃあチーム変更! 小太郎君が一人でアダム先生を押さえてる間に僕と明日菜さんでエヴァンジェリンさんを倒す! 問題があったらその場で臨機応変に対応! 以上!」

「作戦じゃねぇな!?」

「ほら小太郎頑張って! 頼りにしてるわよ!」

「クソァ! 染まってきやがったなお前ら!?」

 

 そうして僕らは一度別れる。また無事に出会うために!

 

「オラ行くぞ色男! そのツラめちゃくちゃにしてやる!」

「え、めちゃくちゃに? なんか卑猥なカンジ……!」

「もうなんなんだこの変態!?」

 

 うしろでは小太郎君が頑張ってくれている。

 

「ふん、貴様ら程度でこの私に勝てるとでも?」

「勝てる勝てないじゃない、勝たなきゃいけないんです!」

「だから、勝たせてもらうわよっ!」

「良い度胸だ! その希望を打ち砕かれて絶望しろ!」

 

 駆け出すのは、同じだった。

 

 

 

―――

 

 

 

 さあ。

 先ほどと相手は変わったが、やるべき事は変わらない。

 

「ぶっ飛ばす……!」

「出来るかな?」

「ほざいてろ!」

 

 だが、まっすぐ突っ込んで行っても勝てる訳が無い。

 相手は格上だ。

 まずは盛大に引っ掻き回そう。

 

「“狗神”ッ!」

 

 総数千の狗神をアダムを中心として円周状に配置。

 相手の実力は未知数だが、これならある程度は測れるだろう。

 

「おお! 壮観だねぇ!」

「“行け”!」

 

 号令と共に並べた内の7割が一斉に、2割が一拍置いてから、一匹だけ頭上から襲いかかり、残りは罠として地面に潜らせる。

 

 しかし。

 

「“即射術式(クイックショット)――トルネード”!」

 

 アダムの持つ、銃口を下に向けられた銃の引き金が引かれると、突如としてアダムを中心とした猛烈な竜巻が巻き起こる。

 

 襲いかかって行った狗神たちは竜巻に触れると同時に風の刃に切り裂かれて無効化されていった。

 唯一頭上から行った狗神は竜巻の目に居るからか、風に切り裂かれる事はなかったようだが、それもたかが一匹にすぎない。すぐに撃墜されるのを感じた。

 

(いや、この程度どうってことはない! 地上は風に守られているっていうのなら、地中から仕掛けるだけだ!)

「“串刺せ”!」

 

 号令を下すと地面に潜らせた狗神たちが竜巻の下へと集まっていき、それから幾つもの巨大な黒い棘のような形で地上に突き出た。

 ちょっとアロエっぽい。

 

 現出した棘は巻き上がる竜巻を突き破り、吹き飛ばすが―――

 

「……いない? いや―――」

 

 ―――上か!

 

 巻き上がる竜巻に乗ったのだろう、上を見上げればアダムが落ちてくる。

 こちらが気付いたのを見て、アダムが虚空瞬動。重力加速度に因らない速度を伴って、流星が如き力で接近するアダムを俺は―――

 

(迎え撃つか? いや無理だ、真っ正面から行ったって勝てないのは理解してる!)

 

 もちろん逃げる事にする。

 さっきまで自分がいた場所がアダムのカカト落としによってコナゴナに砕けるのを見て、背筋が寒くなる。

 飛んできた大きめのレンガの欠片をキャッチし、投げ返すが牽制以上の効果はないだろう。

 

「なあ、オイ……」

「ん?」

 

 アダムは俺の投げたレンガの欠片を上体を捻って躱すと、戦闘中だというのにまるでなんでもないかのように答える。

 いや、本当にこの程度、戦いでもなんでもないのだろう。

 

「何で俺たちを……いや、いつから俺たちを裏切ってた?」

「いつから? その言い方には少し誤解があるかな。そもそも君たちの味方になった覚えはないよ?」

「ハナっからスパイだったって事かよ!」

「情報を流してたわけじゃないけどね。じゃあ再開しようか!」

 

 そう言って銃の引き金を引くアダム。

 発射された銃弾は魔法の関わらない一般的なもの。障壁を無効化するような細工が施されている可能性も無くはないが、回避に徹する俺にはどのみち意味が無い。

 むしろ、脅威なのはそれよりも、その連射力だ。

 

「くっそ、マシンガンじゃねえだろうが! 何発撃つ気だ、リロードはいつしてんだ!?」

 

 アダムの使う銃は最初に見せてもらったときと同じデリンジャー。

 非常に小型で、護身や暗殺用に使われるものであって、少なくともメインアームとして使うものではない。

 だというのにその連射はまさにマシンガンが如く、排莢も装填も一切していないように見える。

 

「実は銃身に細工がしてあってね、高速で空薬莢の送還と弾丸の召還魔法を繰り返してるだけだよ」

「簡単に言ってくれやがって……!」

 

 送還に召喚。

 アダムの言った魔法はいずれも空間系に属する魔法だが、そのどれも非常に難易度の高い魔法だ。

 以前ネギと明日菜との手合わせの時にネギが使っていたが、あれはパクティオーカードの効果によるものであって、ネギの技量とは一切関係がない。

 パクティオーカードは未だ解析が出来ておらず、そもそもなぜ出てくるのか、誰が作っているのかも判明していない。

 アダムは銃身に細工がしてあると言っていたが、仮にそれが魔法の発動を助けるものだったとしても、例え補助を受けていたとしてもこれほどの魔法行使は出来るものではないし、仮に自動的に発動するタイプの細工だったとすれば、それだけのことが出来る道具師だということになる。

 その細工がどんなものであったとしても、アダムがそこらの術師とは隔絶された実力を持っているということになる。

 

(最悪なのは、その両方とも兼ね備えている場合だが……考えても埒があかねえな)

 

 焼けた鉄ゴテをあてられているかのように脇腹がズキズキと痛み、目の前がチカチカしてきた。

 時間を稼ぐにしても、そもそもの時間が俺に残されていないようだ。

 ネギ達は未だ戦闘中で援護は期待できそうにない。

 

(まさにジリ貧。……しょうがねえ、仕掛けるか)

 

「あはは、いやあ、よく避けるねえ! ……そろそろ当たってくれないと僕もう弾代で今月ピンチなんだけど……!」

「俺が知るか! 破産しろ! “狗神”ッ!」

 

 再度号令を掛ける。

 溢れるように現れた狗神達は、小太郎の頭上に掲げた手のひらの先で一つに集まると今度は巨大な球体へとすがたを変えた。

 目算で直径8m。一戸建て住宅よりも尚巨大なそれは先ほどエヴァンジェリンが使用した魔法、“氷神の戦槌(マレウス•アクィローニス)”に酷似していた。

 

「―――パクリかい?」

「死ね」

 

 つぶやき。

 宣告し。

 夜の闇よりもなお漆黒を主張しているそれを叩き付けた。




うまく行けばこのバトルはあと二話くらいで終わる感じです。
うまく行けば……
うまく行けば……!

桜通りの吸血鬼編でここまで長引いているのはクレマくらいのもんですね。

誤字脱字や“文章がキモイ”とかありましたら指摘お願いします。
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