主人公が先生やってる中、俺達はアウトローだった   作:クレマ

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アウトロー、出会いの相。

学園に潜入した日から、しばらく経った。

まあ、しばらくと言うのも俺自身の認識状のもので、実際には昼夜を問わず本を読み続けていてロクに外に出ないものだから、どれだけ日にちが経っているのか分からないのが現状なのだが。

 

俺達は今、図書館内の一つのエリアに拠点を作り、そこで生活していた。

ただ、そのエリアが実に奇妙な場所で。

 

一つ、なぜかデカい滝がある。

二つ、なぜかビーチがある。

三つ、なぜかビーチの水に本棚が浸かっている。

 

図書館として「お前ちょっとそれはどうかと思う」といった感じのツッコミどころが満載なのだが、なぜか本がまったく傷んでないのでその辺は眼をつぶる事にする。

 

それはそれとして、今日も絶好の読書日和である。

 

「……心が折れそうだ」

「あきらめんなアホ犬」

 

——ワケねえだろッ!!

 

「無理だ! 俺いいかげん太陽が恋しい!」

「チッ、軟弱な…………えー、ごほん。…そんな。てつだって、くれないの……?」

「うる目で上目遣いしたって『えー、ごほん。』とかやってる奴に騙されるワケねえだろ!」

 

く、首をこてん、と傾けたって騙されないんだからな!

まったく、白々しい奴である。

 

「ともかく俺は地上にでる! 土産に何か買ってくるから楽しみに待ってやがれ!」

 

そう吐き捨てて、俺は(なぜか滝の裏にある出口を抜けた所にある)エレベーターを使い、太陽溢れる外の世界へと脱出したのであった。

 

が。

 

「ほう、お前が例の侵入者か」

「マスター、ご友人ですか?」

 

外に出て開始数秒、日の光を眩しく感じていた所に、なんかやたらと偉そうな幼女とロボがからんできた。

 

「何この幼女……?」

「誰が幼女だ! それを言うならお前だ、って……」

「ハイ残念ですが幼女の対義語は存在しません〜。お前はうまい切り返しが思いつかないモヤモヤで眠りが浅くなって毎朝目をしょぼしょぼさせれば良い」

「……ええい茶々丸! 何か無いか!」

「ネットスラングに“幼男”というものがあります」

「語呂ワルッ」

「うがあああああっ!」

 

しかしこいつ、どこかで見た事があるな。

たしか、なんか凄い吸血鬼の賞金首だった様な?

ええと、名前は——

 

「で、なんつったか。エヴァンゲリヲン•AKB•マクドナルドだっけ?」

「どこもかしこも全部違う!」

「ああ、マスターがこんなに楽しそうに……」

「耳腐ってるのかボケロボ! この——」

「あああ、マスターそんなに巻かれては……」

 

エヴァがデカいゼンマイを取り出し、茶々丸とかいうロボの後ろに回り込んで後頭部にねじ込む。

なんかもう二人の世界に入ってるみたいだし、俺もう行ってもいいかな。

 

「じゃ、じゃあ、あばよー!」

 

ヒートアップし出した二人を置いて、早々に立ち去る事にした。

うわ、なんつーか激しいっつーか……エロい。

……やっぱ長く生きてると趣味も歪むのかなあ。

 

——

 

それからしばらく町中をぶらぶら歩いていると、もう空も茜色に。

 

「あー……もう暮れてきやがったか」

 

そろそろ図書館島に戻るべきかと考えていると、土産をまだ買ってなかったことを思い出した。

 

(なんにしようか……ん?)

 

なにやら良い匂いがする。

なんだなんだと辺りを見回すと、出店を発見。

 

「超包子……? おお、うまそうな肉まん」

「あや、お客さん? 肉まんなら一つ百円ネ」

 

匂いにつられてフラフラと近づいていくと、すこしイントネーションが怪しい、中学生くらいの女性店員に話しかけられた。

 

「じゃあ二つ貰おうかね。所でお姉さん、留学生かなんか?」

「その通りヨ、やっぱり日本語は難しいネ。漢字カタカナひらがなって三つに分かれてるとか意味不明ヨ。はい、肉まん二つ。二百円ネ」

「まあ気持ちは分からないでも無いけどよ……はい、二百円」

「そういえばお客さん初めての人ネ? ワタシは超鈴音ていうヨ。超包子をまたよろしくネ〜」

 

……という会話を経て、土産を確保する事に成功したのだった。

それにしてもこの肉まん、ホカホカと湯気が立っており実にうまそうである。

 

「……いかんいかん。これを喰うのはアジトに戻ってからだ」

 

土産は二つのうちの一つで、俺の分をここで喰ってしまったら図書館に戻ってからフランが肉まんを食う様をまざまざと見せつけられる事になる。

あいつの事だからもうイヤミなくらいうまそうに喰うに決まっている。

 

そうなったら俺もまた食べたくなるに決まっているので、つまりここで喰ってしまうわけにはいかないのだ。

 

「っつーか今はまだ熱すぎて舌ヤケドしそうだもんなぁ」

 

そんなことをつぶやきながら図書館島へと戻り、そのまま裏手へ回った所の、いかにも頑丈そうな大きな門の前で、今度は中学生くらいだろうか? 学生服を着た女子の一団と出くわした。

 

「なんか俺、女とよく会うな……おーい! あんたら何やってんだ〜?」

「む、子供ですか……図書館内の探検ですよ、もう終わった所ですが。たしか初等部の学生の入部は出来なかったはずですが、聞いた事がありませんか?」

 

気になって聞いてみると、無表情系の女子が答えてくれた。

 

「ああ、探検か。まあたしかにこの図書館ってゲームかなんかのダンジョンみたいだもんな。どおりでヘッドライトなんか付けてるわけだ」

「ええ、内部は暗くて足下が見えづらい様な所もありますから。……ところであなたはなぜここに? というか、なぜアナタが内部の事を知っているんですか?」

「え、ああ〜……なんつーか、趣味? まあ、探検がんばってくれよ。じゃな」

 

そう言って逃げる様に話を切り上げ、先の頑丈そうな門の近くの、少し小さめの古びた印象を受ける扉を開く。

俺は腹芸はあまり得意ではない。変に質問されるとボロが出る可能性がある。

 

アジトには例のダンジョンみたいな所を通っていっても辿り着けるのだが、この扉から階段で下っていけば時間の節約が出来るのだ。

ちなみに図書館内から出る時に使ったエレベーターは、一度乗ると自動的に元の階に戻ってしまううえ、上の階から呼び出せない為に使えないのだ。よくも悪くも緊急脱出用の設備というわけか。

 

……と、その時。

 

「ま、待って下さい! なんですかそれ!」

「……は? それって?」

「その扉です!」

 

なにやらこの無表情系、扉が気になるらしい。

 

「この古くせえ扉がどうしたよ?」

「……その古くさい扉は通称、「開かずの扉」と言いまして、これまでに我が部活が“何かある”と思いどうにか開こうと挑戦してきて、まだ一度として開いた事の無い扉なのです。それをこんな簡単に……どうやったんですか?」

 

どうしよう。

まあ適当にはぐらかしておけば良いか?

 

「え〜っと……なんつーか、そうだ。どうやら俺は封印されし闇の扉を開いてしまった様だな……だがその答えは単純。俺が光の勇者だからさ。俺はここから根の国に降りていって桃代わりの肉まんでイザナミをぶっ殺しにいくんだ。説明めんどくさいしそういうことでアデュー!」

「ちょっ! 三文小説と日本神話が混ざって——」

 

バタン! と扉が閉まり、無表情系の声が完全にシャットアウトされる。

 

「……ふう、見事に切り抜けてやったぜ」

「ええ、すごいごまかし方でしたよ」

「ん? アルさんか」

「もうこんばんは、ですね。実はその扉、私が許可を出した者でないと開けられない様になっているんですよ」

「へえ…結構簡単な作りになってそうだけどな」

「ええ、施錠呪文をすこし改良しただけですから。それはそうと、読書家のイザナミがあなたが遅いとご立腹ですよ」

 

そいつはまずい。すぐさま行くとしよう。

桃代わりの肉まんは足りるかと不安になりながら、下りの階段を急ぐのだった。

 

 

 

 

 

——おせえッ!! オラァ!

——うおおッ!? 魔法の矢(サギタ•マギカ)はやめろって! 肉まん崩れる!




エヴァさんをイジるのに色々使ったけど、めちゃくちゃ心配だよ!(泣)

あと、「肉まん」って打つのに打ち間違いで「みくまん」ってなった。

みくまん……

ミクまん…

ミクまん、ちょっと食べてみたいと思った。
皆さんはどう思います?
アンケートってわけじゃないけど聞いてみたいネ!



10月13日 一部イイ感じに訂正。
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