「もう無理ゾ……」
公園のベンチで天を仰ぎ呟く。もう秋になってると言うのに、一向に涼しくなる気配は無い。ちなみに今は平日の真昼間。横にはホームレスのおっちゃんが気持ちよさそうに寝ている。
地球に飛来してから早1週間が過ぎ去った。きて早々人間に擬態し、いつでも活動出来るようにしたのはいいものの、怪獣が一向に現れない。拍子抜けだと思う反面、少し安心している。
え?その間食費をどうしてたって?ずっと光吸収してたよ!(全ギレ)うまいと名高い地球の料理が食えると思ったらこれだよ。泣きそう。
君たちには手の届く範囲に美味い飯があるのに植物の横で光合成しなければいけない奴の気持ちが分かるか!?
「ど゛う゛し゛て゛な゛ん゛だ゛よ゛お゛お゛ぉ゛お゛!゛!゛ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
茹だるような暑さの中、その声は町中に響きわたった。
横にいたおっちゃんに白い目で見られる。なんとなく居づらくなって足早にそこを後にした。
▽▲▽▲▽
翌日の話である。昨日の公園に行くのも少し気が引けるし、なんとなく街をぶらついている。もう秋になると言うのに、外はちっとも涼しくなる気配はない。
涼しさを求めて海の近くまで来た。そこで一番目立っているのはやはりUDF【地球防衛連合】の精鋭チーム、DASHの基地だ。彼らはこの星で怪獣と戦っている組織であり、そこにマックスが合体した人間も所属していた筈である。確かトウマカイトといっただろうか。なにしろ遠い昔の記憶なので殆ど覚えていないのだ。今では前世の記憶は知識として少し覚えてる程度で、生前自分がどんな事を考えていたか、どんな職に就こうとしていたかは殆ど覚えていない。
話が逸れた。海を見て思考に没頭していた私の前を一人の女性が通っていったのだ。オシャレでシックな若い人だ。浴衣を着ているが今日は祭りでもあるのだろうか?ふと目で追ってくと、彼女はDASHの応接室がある建物へ入っていった。ふむ、物語に関係する人物だろうか。
まあ、私には関係ないんだけどね。
ストーリーとか関わらないでも怪獣倒せばいいだけだし、ヘーキヘーキ。
そんな楽観的な思考をしている私の耳に声が入って来た。超人的な聴覚を持っているがゆえに聞こえてしまったのである。
『ウルトラマンゼノンが殺されるんです』
!?!!??!?
急いで光の姿になり進入、声の発信源から部屋を特定。目立つとアレなので通気口から様子を伺う。ここまで1秒もたってない。いま人生で最速の動きだったと思う。
『ゼノン......?』
『ゼノンって誰だよ...』
ほら、隊員の皆も困惑してるじゃないか。名前間違えはいけないなぁ。
『マックスじゃないの?』
そうだよ。ナイスだ!女隊員!君の名前わからんけど!
『ゼノンと言っていました。宇宙からゼットン怪獣が送り込まれてくるって』
ワーオ!聞き間違いじゃなかった...もう許せるぞオイ!飽くまで神妙な面持ちで、マジトーンで彼女は言うのだ。なんでこんな事になったんだ...
『でも、誰がそんな事言ったの?』
白衣を着たおば...ゲフンゲフン!お姉さんが問いただす。
『私の父、ゼットン星人です』
「この人頭おかしい...」
ついつい小声で言ってしまった。いや、疲れてるだけさ。きっと何かの間違いだ(超楽観的観測)めげないしょげないドラゲナイだ。取り敢えず家に帰ろう。うん。
家、無いんだった。
▽▲▽▲▽
結局また街をぶらついてる訳だが、つい先ほどゼットン星人からテレパシーがあった。内容はこうだ。
『間も無くゼットン怪獣が地球に降り立つ。積年の恨みを晴らす時が来た。首を洗ってまて』
積年の恨みってなんなんですかねぇ...?疑問はあるがまずは家探しが先である。しかし金がない。
だが悲しむ事なかれ!家探しは3秒で終了したのである。途方に暮れているとちょうど良さげな廃工場があったので借りさせてもらう事にする。
まずは地下にいい感じのスペースをつくり、廃材でそこに秘密基地を作らせてもらった。少し深いところに作ったので、バレることはまずないだろう。だが素材が素材なので強度はお察しである。しかしこの材料で作ったにしては立派なもので、少し気に入った。
その直後である。大きな地響きがなり秘密基地が全壊した。慌てて地上に出て地震の発生源を見る。聳え立つソレは火球を繰り出し町を蹂躙していく。おそらくあれがゼットン怪獣だろう。
ウルトラマンの姿へ戻ろうとしたその瞬間、火球がこちらに向かって放たれた。大きな爆発とともに廃工場が完全に壊される。もう許さねえからなぁ?
今度こそと変身しようとした瞬間、街が赤い光に包まれた。ウルトラマンマックスの登場である。マックスはゼットンに対して攻撃を繰り出していく。パンチ、キック、手刀。しかしそのどれもがその黒い装甲により跳ね返される。相手の攻撃が自分に効かないことを確認したゼットンは、嘲笑うように鳴いた。それに呼応するかのように、顔と胸にある発光体は不気味に輝く。
それならばと使われたマクシウムソードによる攻撃もゼットンシャッターで防がれる。なるほどゼットン星人が自慢する程のことはある...あるのだが...なんと言うか、こう、しなびている。
ずんぐりむっくりの体型にフニャっとしたツノ。少しばかり薄くなっている体色。どれを取っても弱そうなのである。強いけど弱そうだった(小並感)
最後の手段だと放たれた、今まで何体もの怪獣を葬った正真正銘の必殺技、マクシウムカノンもついにはヒビを入れることしかできなかった。
これは流石にまずい展開になって来た。急いで元の姿へと変身する。怪獣に手を向け指を折りたたんでいく。人差し指から順に、中指、薬指、小指......そして親指。グッと拳を握り締めると、体が赤い光に包まれる。そして、徐々に体が巨大化し、ウルトラマンゼノンへと変身を遂げた。
そう、スク◯イドである。カ◯マである。だってカッコいいじゃん。前世で好きだったけどこの世界にもあって安心した。
「ゼァァアー」
お馴染みの渋ボイスで爽快に登場。そのまま一気にゼノニウムカノンを照射。狙いは今マックスがヒビを割ったところだ。光線は一気にゼットンシャッターを破り直撃。ゼットンは吹き飛ばされ起き上がれなくなっている。
案外あっけなくシャッターが破れ拍子抜けしたが、すぐにマックスにエネルギーを分け与える。
『無事か?』
『あ、ああ。君はウルトラマンゼノン...?』
『話は後で。どうやら奴さんはお怒りのようだ』
「ぶもぉぉおお!ゼットゥォォオオン」
逆上した様子でゼットンは突進してくる。光の刃を飛ばし牽制してみるがゼットンシャッターは復活しているらしく攻撃が届かない。
こんな時のためにゼノンギャラクシー(仮)をいつでも出せるようにしておいたのだ。すぐさまゼノンギャラクシー(仮)を展開、今回の私は宅配員などではない!やっぱり、私も主人公なんで...
その時不思議な事が起こった!
なんとゼットンが急速に加速。ゼノンに向かってすてみタックル(威力120命中100)を喰らわせたのである!
きゅうしょにあたった。
ゼノンは怯んでわざがだせない!
本来ならすてみタックルにそんな効果は無いのだが、それはまあいいだろう。
油断したところにあたった一撃はゼノンを大きく吹き飛ばし、ゼノンの手に嵌るところだったゼノン(以下略)はなんとマックスの手にスッポリと嵌った。この瞬間、ゼノンギャラクシーはマックスギャラクシーへと昇華したのである。
あれぇ!?丘people!?なんでこうなるのぉ!?
『それを使え!私は奴を引き止めておく!』
それを聞くとすぐにマックスはエネルギーのチャージを開始。マックスギャラクシーは金色に輝いている。ゼットンがその莫大なエネルギーに気がつき、攻撃を仕掛けようとするがすかさず蹴りを入れる。
『お前の相手は私だ』
手をクイクイと振り挑発する。奴はすぐに逆上しラリアットをかけてこようとした。それをかわし後ろから右ストレートを当てる。奴の体勢は崩れる事なくまた太い腕を大きく振るい攻撃してくる。
反応できずに食らってしまい吹っ飛ばされてしまった。立ち上がろうとするも先ほどの攻撃をもろにくらったせいでバランスが取れない。頭がぐわんぐわんする。
これ幸いとばかりにゼットンは火球を連射してきた。慌てて回避しながらエネルギーの刃を撃ち込む。ゼットンシャッターを展開する事でそれは塞がれてしまう。だが本命はこれじゃない。
『今だ!やれ!』
「ハァアアアア!」
ゼットンは見事に粉砕された。それはもう跡形もなく。
マックスギャラクシーが光に包まれ消える。異空間にしまったのだろう。それを確認するとマックスに向かってテレパシーを飛ばした。
『ウルトラマンゼノン』
『光の国からサポートに来た。今地球に正体不明の戦闘機が迫っている。敵は4機。これから宜しく頼む』
『ああ、君がいれば心強い。ありがとう』
変身を解き街に降り立つ。光のエネルギーに包まれターミネーターポーズで佇む。住む場所どうしようか。にしても深夜の街は意外と寒いな。暑いのか寒いのかはっきりしてほしい。頼むぜ。
しかしやばい。久しぶりに元の姿に戻ったせいか負担が大きすぎる。調子乗って内臓まで再現したせいで飯を食わなきゃダメなのだ。光を吸収することで最低限のエネルギーは確保できているが、やはり負担が大きかった。体の節々が痛む。しかも尋常じゃないほど眠い。
睡魔に襲われ結局その日はそのまま廃工場跡地で寝た。
全然筆が進まない。助けて誰か!