インフィニット・ストラトス   迷い龍は空を目指す   作:ガクジン

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10 幕間 状況整理

 

 

 医務室で眠っているラウラ・ボーデヴィッヒは、鎮静剤が切れたのかわずかに身じろぎした。どうやらうなされているらしい。

 織斑千冬は、それを見て少し顔をしかめると、何かを求めるようにあげられた手をやさしく握った。

 

「……彼女は、ずいぶんと幼いですが、これであのシュバルツェ・ハーゼの隊長なのですか?」

 

 隣でりんごを剥いている山田真耶は、一つを剥き終わると織斑千冬に聞く。

 

「ああ。ラウラはドイツの遺伝子強化素体だ。その中でも飛び切りの、な」

「……道理で。あの齢なのに、あの戦闘力、不思議に思っていました」

 

 山田真耶が言うのは、おそらく4年前の、あの日。鯉淵龍が死んだというその日だろう。そうあたりをつけて、織斑千冬は言う。

 

「こいつも、戦闘に参加していたのか?」

「……はい。最初は一歩兵として、だったと思うのですが、隊長機を龍君が叩き落としまして。その大破したISを纏って、龍君との戦闘に入ったんです。私は重傷でほとんど動けなかったのですが、それでもしっかりとこの銀髪を見ました」

 

 優しい手つきで、山田真耶はラウラ・ボーデヴィッヒの髪を撫でる。

 

「あの時、戦争と言うものがどれほど狂ったものか、思い知りました。14歳の少年と、それよりも幼く見える少女が、殺し合っている光景を見て」

 

 おそらく、鯉淵龍ほど復讐心を見せない山田真耶は、それを見たから復讐を求めなかったのだろう。

 

「……とはいえ、山田君、君も当時18歳だったはずだが」

 

 織斑千冬の問いに、山田真耶は薄く微笑んでいう。

 

「そう、ですね。本当に狂った時代だと思います」

 

 そう言って、山田真耶は何かを思い出すように言う。

 

「まあ、仕方がない。殺してるんだ、殺されもする……」

 

 その言葉を織斑千冬は聞きとがめる。

 

「……その言葉は?」

 

 山田真耶は思い出すように言った。

 

「あの町で会った、一人の傭兵、その人の言葉ですよ。世界の現実、その一面をまっすぐに見ていた人でした」

 

 あの町で死にました、と山田真耶は続ける。

 

「龍君とはずいぶん気が合っていて、すごく年が離れているのに、戦友のように語り合っていました。あとで聞いたら、どこか他人とは思えない雰囲気を鯉淵龍も持っている、と言っていて。多分、そのせいだったと思うんですが」

 

 懐かしむように山田真耶は言ってから、剥いたリンゴを割って、皿に並べた。

 

「冷たい現実を、突きつけるような言葉だな」

「ええ。龍君も、冷たい現実を見て、その中に飛び込んで、狂って、それでも自分の目的を遂げようとする子ですから、その人と気が合ったんでしょう」

 

 多分、二人とも歪んでいたんだと思います、そう山田真耶は言って、立ち上がった。

 

「……いくのか?」

 

 織斑千冬は思わず言った。山田真耶がどこか遠くに行くような気がしたからだ。

 

「どこへ?私の職場はここですよ、先輩」

 

 そう山田真耶は笑ってから、言う。

 

「ボーデヴィッヒさんが目を覚ましたら、優しくしてあげてください。あの日、あの町にいた人間、その生き残りは敵味方関係なく、みんな引きずっているのですから」

 

 そう言って、山田真耶は病室を去った。

 

 

 

 

 

 

 ラウラ・ボーデヴィッヒの前に広がる、燃える街。そこで焼けていく人間たちを、ラウラ・ボーデヴィッヒは混乱して見つめていた。

 突然下された出撃命令、ISを使用して、新種の疫病が蔓延している街を焼き滅ぼす。

 最初からおかしな命令だったが、疑問を感じることもなく、彼女らはそれを遂行した。

 なぜなら彼女らはドイツが作り出した遺伝子強化素体。

 人を殺すためだけに作られた、人形。

 操り人形に、感情はいらない。

 

 しかし、目の前で燃えてのた打ち回る子供を見たとき、ラウラ・ボーデヴィッヒは自分の中で確かな感情、そう、恐怖がわきあがったのに気が付いた。

 そして、優秀な兵士としての教育を受けた彼女は、前もって与えられた情報と、現状が明らかに食い違っていることに気づいた。

 

『隊長、これは本当に、疫病に侵された町なのですか……?』

『……何も聞くな、ボーデヴィッヒ。与えられた命令をこなせ』

 

 そう言われるが、一度芽生えた疑念は消えない。そして、彼女の頭脳はこの町が疫病になど置かされていないことを確信する。

 そして同時、通りに転がる、死体。そのいくつかは、まぎれもなく彼女自身が銃弾を撃ち込んだことに気が付いたとき、ラウラ・ボーデヴィッヒは悲鳴を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ああ、違う、違うっ!」

 

 ラウラ・ボーデヴィッヒは、そう叫んで目を覚ました。そのまま、跳ね起きて、頭を抱える。

 

「違う、命令だった、仕方がなかったんだ!」

 

 彼女の周りにはあの日殺した亡霊が、今もいる。それを思い出し、許しを請うように、自分は悪くないと叫びながら体を丸めて。

 そこで、暖かな腕に抱えられた。

 

「大丈夫だ、ラウラ。今は」

 

 震えるラウラ・ボーデヴィッヒを、織斑千冬は抱いて、静かに言った。

 

「あ、ああ、教官、私は、ただ、命令で、おかしいと思っていたのに、ただ、ただっ!」

 

 震えながら言う。

 

「ああ、わかっている。そもそも、幼いお前に何ができるわけでも、なかっただろう?」

 

 それに対して、ラウラ・ボーデヴィッヒは首を振る。

 

「違う、違います、教官。私は、与えられた命令通りに、撃ちました。殺しました。何も迷わず、疑問も持たず……人形のように。そして、街を守ろうと上がってきた、あの黒いISを、搭乗者を、あの子供を、殺した」

 

 彼女が砂漠に墜落した黒い全身装甲のISの中をのぞいたとき、中にあったのは彼女の放った銃弾でバラバラになった人間の残骸だった。

 ただ、かろうじて残る体の部位、そして通信の声は、まだ子供だったのだ。

 彼女自身も、それよりも幼い子供だったのだが。

 

「……とにかく、大丈夫なんだ、ラウラ。お前を殺そうとする者は、今はいない。だから、ゆっくりと深呼吸をするんだ」

 

 そう言われても、落ち着くことなどできない。それどころか。

 

「……教官、あの、男は?」

 

 つぶやいたラウラ・ボーデヴィッヒの声に、織斑千冬は返答する。

 

「鯉淵龍。うちのクラスの生徒だ。今は医務室に入院している」

「………鯉淵龍」

 

 ラウラ・ボーデヴィッヒはつぶやく。

 

「どうした?」

 

 落ち着いたように言う、ラウラ・ボーデヴィッヒに、織斑千冬は聞いた。

 

「………あの男には、私を殺す権利と義務が。私にはあの男に殺される義務がある」

 

 うわ言のようにつぶやくラウラ・ボーデヴィッヒ。

 

「何を言ってる?違うぞ、ラウラ。殺される義務など」

「………教官」

 

 初めて織斑千冬をまっすぐに見て、ラウラ・ボーデヴィッヒは静かに言った。

 

「殺したのです。殺されもします」

 

 そう、一言。すべてをあきらめた声で言った。

 

 

 

 

 

 

 寮の談話室では、織斑一夏、篠ノ之箒、セシリア・オルコット、シャルル・デュノアが集まっていた。今日転入のシャルル・デュノアだが、鯉淵龍のことを知っていたらしく一緒に来ていたのだ。

 

「……龍、前に人を殺したことはある、って言ってたんだ。だけど、あんなふうになるなんてな……」

 

 思い出すだけで震える。あの瞬間、すべてを受け入れるしかない、そんな絶望。

 

「わたくしたち、何もできませんでしたわ」

「何もわかっていなかった、というのもある」

 

 セシリア・オルコットと篠ノ之箒がつぶやく。

 

「……しかし、シャルルはなんで龍のことを知ってるんだ?」

 

 織斑一夏は疑問に思っていたことを金髪の少年に告げた。

 

「…………デュノア社と工業連の模擬戦の時に、ちょっとね。彼が極光の操縦者だとは思わなかったけど」

「……やっぱり、龍のことは機密だったのか」

「そりゃそうだよ。現状世界最強のIS、その操縦者が男で、しかも強化人間なんてことになったら、さ」

 

 その中に、効きなれない言葉を聞いて、織斑一夏は訊いた。

 

「強化人間?」

 

 それに驚いたように、シャルル・デュノアは聞き返す。

 

「あれ?知らないの?」

「ああ。なんだ?強化人間って」

 

 すると、シャルル・デュノアは暗い顔になって言った。

 

「………そのままだよ。性能が上がりすぎた戦闘兵器に対応するために、体を強化した人間のこと。龍はその中でも、脳を含める全身を強化した、本物だと思うよ」

 

 その場にいた全員が、信じられないことを聞いたかのように、硬直した。

 

 

 

 

「い、いやまてよ、シャルル。龍は確かに事故に遭って内臓を人工臓器にしたって言ってたが、それ以外は」

 

 最初に硬直を解いた織斑一夏、彼はそう言って異論を呈す。だが。

 

「極光の機動力に対応するには、PICでも無理。そういうことですわね……」

 

 セシリア・オルコットが諦観したように言った。

 

「……セシリア?」

 

 織斑一夏が訊く。

 

「思い出してください、一夏さん。龍さんは言っていました。機体制御にPICの能力全てを使っていると。そうなった場合、搭乗者の保護はできませんわ。そして、0.3秒で時速1800キロ以上に加速する極光、その際発生するGに、人間の体が耐えられるわけありません」

 

 セシリア・オルコットの言葉に、異論を呈する隙間は、なかった。

 

「………でも、体を強化したからと言って、龍は龍だ」

「そうだね。でも、世界はそうは見ないよ。工業連の造った強化人間なら、男でも、ISに乗れる。いや、男をISに乗せるすべを見出した工業連なら、もしかしたらISコアを作れるかもしれない。

 そう、考える人はすでに出てきてる。そして、多分それは正解なんだ」

 

 シャルル・デュノアはそう言ってから、談話室の入口を見た。

 

「そうですよね?ミスタ・R」

 

 そこに立っていたのは、白衣を着た青年。

 

「………RM?龍は、あいつは大丈夫なのか?!」

 

 織斑一夏が血相を変えて立ち上がる。それに続いてほかの皆も立ち上がった。

 

「……落ち着きたまえよ。彼は無事さ。あの程度で死ぬように造ってないからね」

 

 RMは普段の、ふざけたような甲高いしゃべり方ではなく、静かな落ち着いた口調で言った。

 

「造った、って、ふざけんなよ、お前がやったのか?!」

 

 織斑一夏は激昂して、とびかかろうとする。それを篠ノ之箒とセシリア・オルコットが押しとどめた。

 

「ひひ、そうさ、僕が造った。世界最強の強化人間を。人間が使えない極光を制御させるために、彼の才能を極限まで生かす体を作るためにね」

 

 静かに、笑いながらRMは言う。その静かな迫力に、織斑一夏は気圧されて、自然、椅子にへたり込んだ。

 

「……龍の、才能って、なんだよ」

 

 何かを聞かなければ、やってられなかったのだろう、織斑一夏はそうつぶやいた。それにRMは律儀に答える。

 

「脳みその構造だよ。俗に、AMS適性と呼ばれる、ある能力。彼はそれが桁違いに高かったのさ。だから、あの体を作った。その能力を発揮させるためにね」

 

 その言葉は聞き覚えがあったのか、セシリア・オルコットが言った。

 

「AMS……確か、機械を人間に直接接続して制御するシステム、でしたね。医療目的のはずですが、現状は特別な適性を有する人間にしか制御できないと聞いています……ああ、なるほど。貴方がたは、それをISの制御に使用したのですか。男性でもISを使えるように」

 

 RMはニコリと笑った。それは、まるでよくできた生徒をほめる先生のような笑み。

 

「そう、よく知っているね。龍はこの適性が天井知らずなほど高い。希少確率としては、IS適性ランクSよりもはるかに希少かもしれないね。ほとんど奇跡のようなものさ。そして、僕等はこの才能に目をつけた。父親を白騎士に奪われ、2歳年下の妹を抱えていた8歳の鯉淵龍をスカウトした。当時開発中だった轟雷、その制御をおこなうための実験体として。

 龍は恐ろしいほどの結果を出してくれたよ。AMSを使用すれば、限定的ながらISの操縦系統に介入できることが実証された。そして同時、これをうまく使えれば、ISの能力ですら制御不能なものですら、制御可能であることも。

 そのために、コンペに敗れた轟雷のコアを解析、改造し、AMSを受け入れさせ。圧倒的な推力と火力を持たせた極光の試験機を作成。そして、予期せぬ実戦で龍が体をGで引き裂かれたから、それに耐えられるように龍の脳みそを極限まで強化した身体に押し込んだのさ」

 

 すらすらと、身の毛がよだつようなことを言ってのけるRM。それを聞いていた者たちは皆、得体のしれないものを見るような顔でRMを見ていた。

 

「……それを、龍は望んだのか」

 

 一言、織斑一夏はつぶやくように問う。

 

「さてね……君はどうこたえて欲しいんだい?」

 

 そして、RMはにこやかなままで言った。織斑一夏は戸惑ったように言う。

 

「どうって……なんだよ」

「いやね、龍自身が望んで人外になったと聞きたいのか、僕等が無理やりやったという答えがいいのか。どっちなんだい?」

 

 どっちでも僕は構わないんだけどね、そうRMは言う。

 

「……結局自己満足ってことかよ」

「そう斜に考えなくてもいいけどね。君たちは僕が無理やり強化人間を作ったと怒ってもいいし、龍自身が自ら人間をやめると決断したことを恐れてもいい。ただそれだけさ。君たちが何をどう考えようが、僕も、龍も何も変わらないからね」

 

 それくらいで彼が変わるなら、4年前にとっくに変わっている、そうRMは言う。詳しい事情は彼らは知らないが、授業中に鯉淵龍がつぶやいたことに関係があることくらいは察しが付く。だが。

 

「あれで、変わらなかったのか?あれが、龍なのか?」

 

 織斑一夏は信じられない、と言った口調でつぶやいた。

 

「人間、誰だって二面や三面、いろいろな顔を持っているものさ。君たちが見ていた、いい兄貴分としての龍も確かに彼本来の顔。そう、10年前のまま、自らの父親を白騎士事件をきっかけにして失わなければ、ああいう普通の、少し気のいい青年のままだったはずさ。だけど、そうはならなかった」

 

 RMは続ける。

 

「実際は、彼は8歳で誰よりも敬愛していた父親を失い、そのあとを追うと決心して、自らが持つたった一つの才能を極限まで利用することを望んだ。そのために人として本来捨ててはいけない全てを捨てる決意すらしてね。ああ、織斑一夏、先ほどの問いに応えよう。鯉淵龍は自ら望んだよ。人としての全て、そう、過去も現在も未来もすべて捨てて、最強の強化人間へと自らをつくりかえた。人間としての可能性すら捨てて、ただ一点のため、そう、極光に乗って誰もたどり着けない領域を目指す、そんな妄執のために全てを捨てたのさ」

 

 そんな人間だったとしたら、あの鯉淵龍は自然と思えないかい?そうRMは言う。

 

「………それで、なんであの女の子を殺すなんてことになるんだ?」

 

 織斑一夏は自然と問いを出した。

 

「それでも、鯉淵龍がまだ捨てなかったもの、その一つをあの子たちが焼き払ったからさ。自分の全ては捨てたけど、だからこそ龍は大切にしているものを傷つけられると、怒るんだよ。すごく、怒る。そして、そのためなら大抵のことをしてのけるさ。彼にはもう倫理観なんてほとんど残ってないからね」

 

 そんなもの、飛ぶには不要だろう?そうRMは言った。その一言が、鯉淵龍と言う青年を表しているようで、織斑一夏はぞっとした。

 

「ひひ、まあ、彼は同時に第一にしているモノのためなら大抵のことは我慢するからね。今回は前情報がなかったせいで暴走したみたいだけど、これからはあんな暴走は多分ないさ………この先、事故でも起きてラウラ・ボーデヴィッヒが死んだとしても……まあ、証拠は多分ないだろうね」

 

 そう言って、RMは立ち上がった。

 

「もう質問もないみたいだから、僕は失礼するよ。まだ仕事も残ってるんでね………ああ、それから、オルコット君」

 

 最後に、思い出したかのように。

 

「な、なんですの?」

「龍はもうあらかた修復は終わったから、一般病室、A101にいるよ。君がまだ龍のことを好いてくれるんだったら、行ってあげて欲しい」

 

 その時だけ、真摯な声になってRMは言った。セシリア・オルコットは少しためらった後、つぶやく。

 

「………………感謝しますわ」

「ひひっ、いや、いいさ。なかなか幸せ者だね、龍は………。では失礼するよ」

 

 それを最後に、RMは歩き去った。あとに沈黙と、様々な思いだけが残った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一般病室、A101。この頃は頻繁に人を迎え入れているこの病室は、今はたった一人のためにある。

 中央のベッドで、静かに寝ている青年。数時間前に骨がのぞくほどの大けがをしたというのに、そんな痕跡はない。ただ静かに眠っているだけだった。

 

 そして、そのベッドの脇、丸椅子に、一人の少女が座っている。

 腰まで届くほどの美しい金髪。セシリア・オルコットだ。

 

「……いつかと、反対ですわね」

 

 ぽつりと、つぶやく。

 

「あの時は、貴方がこちらに座っていて、わたくしはベッドでした」

 

 返事はない。静かに眠っている、鯉淵龍。その額にかかる髪を払って、セシリア・オルコットは言う。

 

「誰よりも、高く、自由に見えた貴方は、でも、そのために全てを捨てた。そして、わたくしはその結果に憧れた。どこまで強ければ、あそこまで飛べるのか、それが知りたかったから」

 

 いつか口づけた唇を指でなぞる。

 

「でも、貴方が、何を捨てて、何を願っているのか知って、一瞬でも迷いました。恐怖しました」

 

 月明かりの中、少女は告解する。

 

「でも。それでも、貴方が好きです。だから……いつか振り向かせて見せます。それがたとえあの、高く飛ぶ貴方を失うことだとしても、私は貴方に生きていてほしいから」

 

 そっと立ち上がって、扉に向かい。最後に振り向いて言う。

 

「あの時の言葉を、もう一度」

 

 決意を込めて、言う。

 

「次は、わたくしが勝ちます」

 

 そう言って、セシリア・オルコットは去る。残った病室は静かな呼吸の音と、月明かりだけが残り、やがて。

 

 

「…………ああ。俺は敗けない。負けるモノか」

 

 

 

そんな、硬い声が響いた。

 

 

 

 

 




 タイトル通り、状況説明と過去の詳しい詳細編です。
 どこかの古王は、主人公とずいぶん馬が合います。本人の登場はありませんが、台詞単体や主人公の回想などにはこれからも顔を出すでしょう。
 まあ、これ一つとってもずいぶんヤバい主人公を作ったものだと思います。
 では、また次回お付き合い頂けることを願って。
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