インフィニット・ストラトス 迷い龍は空を目指す 作:ガクジン
ブルー・ティアーズの武装を一部改変しています。また、視点の入れ替わりが激しいため、苦手な方はプラウザバックをお願いします。
オルコットとの決戦の日、一夏は朝から落ち着いていなかった。朝食ではいつもの和風定食ではなくケーキと紅茶を頼んでそれを箸で食べていたり、かと思えば足りないと言って激辛麻婆豆腐を頼んで口から火を噴いていたり。
授業中も心ここに非ずと言った風にそわそわして出席簿を食らっていた。
それを俺は適度に見ながらいつも通りに授業をこなし、そして放課後がやってきた。
IS学園第3アリーナは観客席もある立派なアリーナだ。国際ルールの規格に沿って作られているため、ピットも2つあり、対戦前に選手が対面することはない。
今その第一ピットで俺たちは一夏の専用機、白式の到着を待っている。
「来ましたよ!白式です!」
山田先生がピットに駆け込み、直後、純白の装甲を纏ったISが搬入されてきた。すぐさま整備員が取りつき、一夏も乗り込む。
「初期設定を急げ!まったく、倉持技研め、直前まで待たせるとは……これでは一時移行する時間もないぞ!」
織斑先生が舌打ちする。まったくもってその通りな内容に俺も同意するが。
こんな時間ぎりぎりに到着したところで、一時移行もできなければ、初期設定すら可能かどうかも怪しい。それくらいなら、いっそ。
「一夏、打鉄で出るか?」
俺がそう聞くと、一夏は首を振る。
「いや、こっちで行くよ。それより、少し動かしてもいいか?」
俺が整備員に目をやると、整備員も手早く機体から離れる。その後、一夏は白式を動かして打鉄のそばに寄せ、その頭部に触れた。
その瞬間、膨大な情報が打鉄から白式に流れ込む。それをデータで確認して、俺は納得がいった。
つまり、この一週間一夏の専用機として使われた打鉄には、一夏の戦闘データが蓄積されている。それを白式に移したのだろう。モニター上では打鉄が白式に情報を渡した後、打鉄の専用機指定が解除されている。この打鉄は再び、もとの訓練機に戻ったのだ。
「しかし、欠陥機だな、この白式は」
織斑先生がデータを確認して忌々しくつぶやく。俺も確認すると、それは武装データ画面で、そこにはたった一つしか装備が表示されていない。
「近接ブレード、雪片弐型……だけだと?!」
射撃兵装なし、副兵装なし。おまけにデータで見る限り機動力も防御力も打鉄よりは一回りあがっているものの、特筆するほどではない。おまけに。
「ワン・オフ・アビリティがすでに発現している。零落白夜……先生、これ暮桜の間違いじゃないですか?」
俺が疑問を口にすると、先生も首を振った。
「イカれている。今の一夏に使えるはずがないだろうに……」
普段織斑と呼んでいる一夏を、名前で呼ぶほど混乱しているらしい。
「こいつは……一夏、これは無理だ。おとなしく打鉄で」
俺がそう言いかけた時、目の前で白式が光り、そしてスマートになった姿で現れる。
「……一時移行したのか」
「ああ。これで白式は俺の専用だ」
一夏ははっきりと言う。俺はその眼を見て、言葉をあきらめた。
「行くのか」
「ああ。こいつで出る。いけるさ、千冬姉の刀がある。お前のくれた経験もな。だから」
凄まじい笑みを浮かべて、一夏は宣言する。
「オルコットを超えてくる。そのあとはお前だぜ、龍」
なるほど、俺もお前にとっては壁の一つか。
「捕らぬ狸の皮算用をするなよ。そこまで言うなら、とりあえずオルコットに勝ってこい。だがな、一夏。手ごわいぞ」
「わかってるよ。だけどな……」
一夏は油断も慢心もまったくしていないとばかりに気を張り詰めると、カタパルトに乗った。
「俺も負ける気にはなんねえよ!」
そして、白式が打ち出された。
アリーナの中央で浮かぶブルー・ティアーズの青い装甲を纏った私は、大きく息を吸って、吐く。
医務室から退院できたのは、結局二日前。IS搭乗許可が出たのは、今日が初めて。ブルー・ティアーズは完全に修復されているものの、まともに慣らし運転をする暇すらなかった。
だけど、それでも私より織斑さんの方が不利なはず。前情報では白式が到着したのは15分前。一時移行できたかも怪しい機体で、試験機とはいえ実戦投入されているこの私とブルー・ティアーズに挑むのだ。
でも、慢心はしない。慢心できない。私は勝たなければいけない。私は、龍さんに勝つまで、ほかの人に負けるわけにはいかない。
ゆっくりと息を吸い、吐く。深呼吸で意識を落ち着け、リラックスさせ。手に持ったスターライトMk‐Ⅲと一体化するように。
私の体の感覚がどこか遠くなり、ブルー・ティアーズに混ざり合う。そのブルー・ティアーズも、その手に持つスターライトMk‐Ⅲと一体化していく。
同時、全身に装備される6機のビットにも神経が通う。
私は、BT適性が高い。それは、本来人間の体にないビット兵器まで、神経をつなぐという感覚が明確にイメージできるから。意外と普通の人には難しいという。
神経が通い、全身がただ一つの動作のために最適化する。意識は、呼吸は、手は、目は、耳は、頭は、ただ一つのため。
敵を、撃つ。撃ちぬく。殺す。
引き金を引くために、この身はある。
そして、カタパルトの轟音と共に純白の装甲が目に映る。その瞬間。
「行きなさい、ブルー・ティアーズ」
つぶやくように言って、四基のビットが飛び立ち、円陣を組み。
「ファイア」
つぶやいた瞬間、私が手に持つスターライトMk-Ⅲと、四基のビットが火を噴く。計五本のレーザーは空気を高熱で発光させ、光の奔流となって白式に突き進んだ。
カタパルトから離れ、白式が空を舞う。風になる感覚。圧倒的な全能感。
それに酔った俺の思考。刹那の時間。視界の隅からすさまじい光の奔流がこちらに突き進む。
セシリア・オルコットは本気だ。初手から本気をたたきつけてくる。
凄まじい熱量だ、ハイパーセンサーが直撃すればあとはないと教えてくれる。それに竦む身体、心。
それをねじ伏せるために俺は吼える。
セシリアのブルー・ティアーズの前で下がるとは、死ぬことだ。遠距離で、中距離で白式に、俺に勝ち目はない。
射撃兵装などなく、あるのはただ一振りの刀。だがその刀は世界最強で、扱えれば世界の頂点に立てると証明されたもの。ならば、勝てぬということは俺が扱えぬということ。
そいつは男として許せない。試しもせずに、負けるということが。
俺は、もう二度と。下がりはしない。あきらめもしない。それがどんな結果を持つか、十二分に知っている。
だから。今は、前だけを見ろ。どう狙われ、どういう射線で来るか。この一週間で多少なりとも理解したはずだろう。
ならば、あとはただ進むのみ。手に持つ刀を、授けられた経験を信じて、ただ一心不乱に、致命的な一撃を振り下ろすのみ。
もとより、それが織斑一夏の生き様だ―――――!!!!
今の私に、油断も慢心もない。初手から最大の火力をたたきつける。
もちろん、これで落とせるとは思っていない。だが、牽制にはなる。こちらの火力を警戒させて、思い切った行動をとれないようにすれば、こちらの勝ちだ。
砲撃したのち、ブルー・ティアーズと四基のビットを下げる。範囲を広くし、警戒。そして。
「ォォォオオオオオオアアアアアァァァァッッッッッ!!!!!」
五本の光をかいくぐり、すさまじい雄たけびをあげて白式が巨大な日本刀を振りかぶって突撃してくるのが見えた。なるほど。
「あの攻撃を微塵も恐れませんか……!」
まったく止まらず、警戒もせず。素晴らしい機動で一心不乱に突っ込んできた。なるほど、強敵です。
「チェストオオオォォォッッッッ!!!!!」
白い閃光が、ブースターを全開にしてブルー・ティアーズ、そう、この私セシリア・オルコットの絶対防空圏に突っ込んでくる。大上段に構えた大刀をただ一撃、それに全てを込めて振り下ろす。
ですが。
「ブルー・ティアーズ」
私がつぶやいた瞬間、散開していた4基のビットが火を噴き、白式の突撃進路上に光の雨を降らす。それを装甲で凌ぎきり、さらに肉迫する白式。それに腰に在るビットからミサイルを吐き出させ、さらにスターライトMk‐Ⅲを撃ち放って迎撃する。
「ッッ!!」
さすがにこれは凌げないと判断し、一夏さんが肩部のブースターをふかして進路変更、一気に離脱する。それに追い打ちをかけるべく、ビットから集中砲火。白式がコマのようにまわりながらそれを避けきり、射程距離外まで離脱する。
「甘いですわ。このわたくし、セシリア・オルコットの絶対防空圏、簡単に侵させる訳ありません」
私はそう宣言し、再び突入の機会をうかがう白式に向けてハリネズミのごとき猛火を浴びせかけた。四基のビット、さらに腰に在るビットまで使い、本体のスターライトMk‐Ⅲも連射モードに変更。計7門の砲口から吐き出される猛火が白式に襲いかかる。
「これをかいくぐって突撃できますか?!」
私が挑発すると、一夏さんがにい、と嗤って吼えた。
「零落……ビャクヤアァァァァッッッ!」
それに応えるように手に持った大刀が展開、直視しえないほどの光があふれだし、刀の形に収斂され。
「オォォォォラァァァァァァッッッ!!!!」
その光の刀は白式に迫るエネルギー弾をすべて切り払って消滅する。
「そんなっっ?!」
私は驚愕する。見間違いでなければ、アレは世界最強、織斑千冬の暮桜に在ったワン・オフ・アビリティ、零落白夜。エネルギーを無効化するという破滅的な性能をもつものだ。
まさかそれが、白式にも発現するとは。
一瞬の思考の隙。それをついて白式が突撃をかける。今度こそ零落白夜も起動して迫る。
一撃で落とす気か。
「甘いですわ」
そんなことは不可能だ。何故なら、零落白夜はエネルギーは防げても、実体があるものは防げない。そして、このブルー・ティアーズにはミサイルがある。
腰からミサイルを乱射。対して白式はミサイルに対して直角に進路変更してかいくぐろうとする。しかし、龍さんならともかく普通の人間がそんな機動をすれば凄まじいGにただでは済まない。
案の定、白式は間一髪ミサイルを避けきるが、大きな隙をさらす。その背後から、私はビットの砲火を浴びせかけた。
「ク、そがぁぁっ!」
レーザーが数発直撃、エネルギー兵器故に衝撃こそ少ないが、叩き込まれるダメージは無視できないのだろう。打鉄以上の防御力を誇る白式とて無視できない火力。
さらに、零落白夜は自身のシールドエネルギーをも喰らう諸刃の剣。これ以上の被弾は無視できないはずだ。
「前からしか撃たないと思いまして?残念ながら、この機体の真価は全方位からの攻撃に在るのですわ。そして、止まった貴方はよい的ですわよ……!」
言いながらスターライトMk‐Ⅲの照準をつける。チャージ、バーストモード。砲身が展開し、エネルギーを充填、加速する。
「加粒子砲か!」
「スターライトとはうまい名前だとは思いません?星の光は確かに儚く、鋭く見えます。ですが、その大本はすべてを焼き尽くす熱量ですわ。儚く鋭い光と、すべてを焼き尽くす熱量。この砲にピッタリな名前です」
充填完了、照準。白式は懸命にビットの包囲から逃れようとする。しかし、私はビットを体当たりさせてまで白式を押しとどめる。
もとより、零落白夜がある以上生半可な火力では白式に通用しない。いくら実体兵器のミサイルを装備しているとはいえ、BT兵器の試験機であるブルー・ティアーズのミサイルの弾数は少ない。
余裕な口ぶりでふるまっていても、ここで決めなければ私は敗ける。
「消し飛びなさい……何も残りはしない!」
吼えて、エネルギーを開放。ブルー・ティアーズの残エネルギーの8割を吐き出させる。この火力なら、零落白夜に無効化されたとしても少なからずダメージを与えられる。何故なら、零落白夜は使えば使うほど自らのシールドエネルギーを消費する、つまり自分にダメージを蓄積する。しかも、その燃費は恐ろしく悪い。さっきからビットの攻撃を少なからず被弾し、先の突撃でもかなりのダメージを受けた白式にそれができるとは思えない。
そう、私の誤算は、一夏さんが零落白夜でこれをしのぐと考えたこと。まさか。
「うそ、でしょう?!」
一夏さんが零落白夜を発現させていない、雪片の刀身でバスターライフルを迎え撃つなど、考えもしなかった。
凄まじい砲火が俺に迫る。必死にビットの包囲から逃げようとしていた俺だが、もはや逃げ切れない。
これを零落白夜で切り払っても、それと引き換えに白式のエネルギーが底をつく。それくらいの計算はできる。
しかし、別に零落白夜を使えなくても、雪片も十二分に名刀だ。それに、今の俺なら、ハイパーセンサーと全身の推進器、装甲、強化された力を手に入れた俺なら、銃弾すら切り払える。
なら、この凄まじい光の奔流も、凌ぎ生きることはできるはずだ。
もとより、それ以外に活路はない。凌ぎきった時に、白式に零落白夜を刹那の時間でもいい、展開できるだけのエネルギーが残ればそれだけでいい。
「オオオオオオォォォォォッッッ!!!!!!!!」
雄叫びと同時、突撃した俺の構える雪片に、光の奔流がなだれ込んだ。
「ッ、ガァァァッッッッ!」
重い。凄まじい熱量、密度。それを切り開く雪片の刀身が押し戻されるのを感じる。だが、ここで下がれば冗談抜きに死が見える。
推進器全開、パワーアシスト全開。渾身の、それこそ白式と俺の全力をかけてこの奔流を斬り裂く。
もとより刀の凄まじい切れ味は、振り下ろすと同時、引くという力を加えることによって実現される。リミッターを吹き飛ばし、規定以上の力をたたき出して振り切った雪片の刀身。それは光の奔流を斬り、凄まじいダメージを受けながらも最後の一撃を加えるだけの余力を白式に残す。
「取ったぞ、セシリア・オルコットォォォッッ!!!」
最後のエネルギーを推進器に押し込み、飛ぶ。目の前に見える青い装甲。その青い機体が宙より取り出した刺突直剣。それを叩き切り、零落白夜を起動させ、ブルー・ティアーズに叩き込んだ。
バスターライフルの砲撃を斬り裂いて、白式が現れる。飛び出してくる。まさに最後の突撃。
「スターライトは、間に合わない……」
つぶやきながら、近距離戦では重しにしかならないスターライトMk‐Ⅲを放棄。虚空より刺突直剣、インターセプターを引き抜く。それを眼前に構え、剣戟を受け流そうとして、白式の大刀に一撃で叩き折られた。
そういえば、接近戦最強兵器である日本刀、それがなぜ強いかって、その切れ味もさることながら、凄まじい強度故にほかの剣で打ち合おうものなら、防ごうとしても折られてしまうからだと聞いたことがある。
なら、直剣とはいえ刺突目的に細く、硬く作られたインターセプターが日本刀の一撃に耐えられるわけもない。
それを冷静に考えながら、次に叩き込まれるであろう零落白夜の一撃をどう防ぐか思案。
「手は、ありませんわね」
素手でリーチが長い刀に立ち向かえるか。否。ならば。
「手がなければ……足があります!」
つぶやいて、今まさに打ち込んできた白式、その脇腹に、推進器や装甲などで大型化したブルー・ティアーズの左足を、推進器を全開にして振りぬく。
「うおぉぉぉぉぉっっっ?!」
直撃を受けた一夏さんが驚いて叫ぶ。ソレはそうだろう。だれがISで回し蹴りを食らうなどと思うだろうか。
だが、この接近戦、おまけに装甲、推進器などで大型化した脚は普段の私よりもリーチが長く、重い。ならば、その結果は。
「ちくしょぉぉぉっっっ!!!」
零落白夜の刃が届くより早く、重さ400キロの鈍器と化した左足は白式の右わき腹に直撃。白式を吹き飛ばす。吹き飛ばされた白式はアリーナの床で2回、3回とバウンドしながらアリーナの壁までとび、壁にめり込んで沈黙した。
『………しょ、勝者、セシリア・オルコット!』
審判がやや唖然とした声で告げる。それを聞いて、私はようやく安堵の息を漏らすと、アリーナの床に降りて一夏さんのそばへと向かう。白式が解除され、激突の衝撃のせいか、ぼやっと宙を見ていた一夏さんは近づいてきた私を認めて、つぶやくように言った。
「決まり手、回し蹴りか」
「秘技、ブーストチャージですわ」
「ただの回し蹴りじゃないのか」
「……推進器とパワーアシストを全開にした回し蹴りです」
私が認めると、一夏さんはふう、と息を吐いて言った。
「……大口たたいて敗けた、んだが」
「わたくしも同じです。お互い様ですわ」
「……まあ、本気で戦ってくれて感謝するよ」
おかげであまり悔しくない、と語る一夏さん。勝負の後だというのに、どこかすっきりとした表情。それはおそらく私もだろう。
全力でお互いに戦って、その結果勝敗が付いた。それを素直に受け入れる。それだけですっきりした気持ちになれる。
「ま、次やるときは俺が勝つけどな」
「それはどうでしょう。わたくしとて黙ってやられるわけにはいきませんわ」
軽口をたたき合い、私たちは笑いあった。
アリーナの中央で一夏とオルコットが笑い合っている。それを見ながら俺はゆっくりと息を吐いた。
「どうした、鯉淵。ため息などついて」
「いえ、織斑先生。まあ、これでよかったんだろうと思いまして」
二人とも全力を出して戦い、その結果がこうしてきちんと出た。勝負と言うのはこうでなければならない。
「しかし一夏を良くあそこまで鍛え上げたな、鯉淵。この短期間に」
「センスと才能はずば抜けてますからね。それに剣術にも昔やっていたとかで親和性があるようですし。あとは銃と言うものを教え込んだだけです。あそこまで戦えるとは正直思っていませんでしたが」
刀一本の白式でよくやったものだ。零落白夜の特性もすぐさま活かした戦い方をしていたし。
「オルコットが零落白夜の一撃を警戒していたというのもあるでしょうが、オルコットの射撃を適切に見極めて、押し込むところでは容赦なく攻める。それに最後の砲撃をしのいだ判断力と度胸は、並ならぬ物を感じますね」
ビームを斬るなど、漫画の中の話だと思っていた。
「戦国の剣豪などは、火縄銃の銃撃を刀一本で切り抜けるなどと言う技も持っていたらしいしな。ビームと言ってもその実態は電磁場で集束した高温高圧超高速の粒子弾だ、机上なら確かに刀で切ることも可能だろうが……」
「ISの能力をフルに使った一夏の力でしょうね。零落白夜を使えば確実に防げるが敗北が決まる。一夏は勝つことしか考えていなかったから、雪片で防ぐことを選択したんでしょう」
先生の感心したような声に合わせる。実際あそこまで無茶をやって、なおかつやり通した一夏には驚いているし感心している。
「まあ、個人的にはオルコットの回し蹴りも十分衝撃的でしたが」
「ブーストチャージか。アレはな……」
先生も苦笑。
「まあ、確かにリーチで劣る接近戦に持ち込まれたオルコットに打てる手はあれだけだったが、実に鮮やかな回し蹴りだった。アレはかなり放ちなれていると見た」
「そうですね……昔は意外とお転婆だったのでは?」
「かもしれんな」
先生が苦笑してから、ピットを出ていく。どうやら一夏をむかえに行くらしい。意外と過保護だ、と思ってからそれも無理はないと思いなおす。
唯一の肉親だ、それくらいは当然だろう。
そこまで考えたところで、俺にもまだ妹が残っていたことを思い出す。
「アレはな……」
保護する必要などないだろう。俺よりよっぽどぶっ飛んでいる。と、いうかなんでああなった、と言うのが正しいだろう。
昔はおにーちゃんと慕ってくれたものだが。
「あの阿呆、今度は何作る気なんだろうな……」
今度そちらに行く、と書かれたメールの文面と、そこに添付されていた恐ろしく物騒な得物の設計図を思い出し、俺は軽く鬱になってから一夏のところに行くために歩き出した。
どうも、今回もご覧いただきありがとうございます。まともな戦闘シーンとしては実質初回となりましたが、どうもうまく構成しきれていない……精進あるのみですね。
今回、ブルー・ティアーズの兵装、スターライトMk―Ⅲの設定を変更したのは、個人的な趣味からです。
展開、高火力モードに変形する武器って格好よくないですか?!
ちなみにイメージはトールギスのバスターライフルです。無駄に凝った機構とか一つの武器に二つの特性持たせようとするとこが英国っぽいと思ったのもありますが。たぶん間違ってます。
あと、AC世界で物騒な獲物といえばもう気が付いている方いらっしゃると思います。登場は少し先の予定ですが、ご期待ください。最高に派手にするつもりです。
仕事が忙しいのとACVDがおもしろすぎて少々遅筆になっています。すみません。スナイパーライフルとカルサワ積んだ黒い重逆、開幕一番に堕ちていたらたぶん私です。
たくさんのコメント、ありがとうございます。返信は時間がないのでなかなかできませんが、見捨てないでコメント書いていただけると嬉しいです。
では、次回もおつきあいいただけることを願って。