ソレは生きていなかった。しかしながら、ソレ自身らとともに活動していた。自身らの内の自身は、ある生命体に対する対抗策を模索していた。ソレらを率いるモノへある生命体の中に紛れ込むという案がもたらされた。生命体について、より深く情報を得るために。ソレらは今までに犠牲、否、損失が出ることに頓着しなかった。しかし、数を減らされ過ぎた。故に、損失を減らすために、潜入という案が採決された。そのための道具は出来ていた。
「これ以上の損失は我らの存亡にかかっている。失敗は許されない。」
「【了解】【典開】『真典・偽装』」
ソレらは機凱種。それそのものが機械の種族である。理論上、無限に強くなるとされている。
ソレらは、ある生命体―――天翼種の情報を収集するため、半壊したE連結の機体『旧E連結体第二指揮体』、個体識別番号Ec002Bf9O48a2が選ばれた。これは精霊反応でさえも偽装し、彼の天翼種が住まう幻想種『アヴァントヘイム』へと飛び立った。アヴァントヘイムを目前として、イミル・エアスタはある問題に思い至った。彼の大規模破壊生命体兵器には、自分にはない『感情』、『心』がある。これを模倣しなければすぐにバレて破壊されるのは明白であった。
「【報告】 イミルエアスタより、連結へ。天翼種には『心』があると―――?」
何故か連結から廃棄されていた。しかし、イミルエアスタは機凱種である。動揺もなく一瞬で判断を下した。
「万一にも連結を感知されないためであると判断。当機単独で『心』の解析を開始」
■ □ ■
『心』の解析を始めたイミルエアスタは3日ともたず、吐き出される膨大な矛盾によって、ショートを起こし、浮遊地点から墜落。記録喪失をした見た目天翼種のこれは本物に拾われて「イヴリール」と名付けられて、機凱種であることを喪失したまま天翼種として過ごしていた。
「うぅぅぅぅ・・・・・・。イヴにゃ〜ん!ジブちゃんがウチにかまってくれないにゃあ!!」
「あはは・・・。アズリールさんはキモチワルイので仕方ないですよ」
「うわあああ!!なんにゃ?!イヴにゃんはウチがきらいなのかにゃ?!」
「ノーコメントで」
「・・・みんながウチをイジメるにゃ…。」
今は龍精種狩りの最中だけど、あれはあまり他のものより強くなくて、もうそろそろ終わりかな、といったところだ。っと、精霊反応が強まりましたね。崩哮ですかね?
龍精種の視線の先には天撃を撃ち込んで浮くだけでやっとのジブリールがいた。いくら力の絶対値が他とは低いとはいえ、いまの状態で当たれば間違いなく死んでしまうだろう。
「っ!ジブリール!!『空間転移』!」
「イヴリール姉さま!?」
万が一に、ととっておいた『天撃』でもって迎え撃つ。
しかし、意外にもそれは強力だった。天撃は次第に押され始めて、次の瞬間、彼女は光の中に消えた。
■ □ ■
「・・・どこ此処」
気が付くと薄暗い場所にいた。