機凱種はありふれた世界をゆく   作:興梠 すずむし

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すまんやで


メモリー復活機凱種?

イヴリールのキャラクターデザイン

 

【挿絵表示】

 

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イヴリールは崩哮(ファークライ)に飲み込まれ、目覚めると薄暗い洞窟にいた。まあ、頭の光輪で照らされており、暗さはあまり感じないが。

崩哮に直撃したため、吹き飛ばされたと判断し、ジブリール達の所へ空間転移しよ(とぼ)うとしてはたと気づいた。

 

「……既知の場所へ、空間転移()べない……?」

 

まさかあの崩哮には封術効果でもあったのか、と思い、短距離転移を試みた結果、転移は成功した。

 

はて、と小首を傾げるイヴリール。術が封じられているわけではなさそうである。しかし、既知の場所へ転移出来ないのも事実。何かしらの原因があるのだろう。

その原因を調べるべく、イヴリールは移動を開始した。

 

しばらくの移動の後、滝が多数流れている水辺を見つけた。

 

「……外的変化が原因かもですし。少し湖面で容姿を確認しましょうか」

 

水辺に近づき、水面を覗き込んで驚愕した。

 

イヴリールはうぐいす色の髪が外にはね、瞳の色は黄金(こがね)色で十字の紋様がある天翼種であったはずだ。

はずだった。

しかし、頭部の右側は今、艶やかな漆黒の少し毛先に癖があるストレートの髪が生え、その下の目は、どう考えても天翼種のものではないサファイアブルーの瞳の、機凱種(スクラップ)のものであった。

信じられない、と目を見開いたイヴリール。

その時、右頭部に紫電が走り記憶、否、記録が蘇った。

しばし、唐突に蘇った記録を整理するため、呆然としていたが、次第に、意識をハッキリさせた。

 

「……ええ。そうでしたね。……ふふっ。あっはは!」

 

イヴリールは笑った。

 

「我ながら無能(バカ)ですねぇ!損失を減らすために潜入したにもかかわらず!むしろ損失を増やしているとは!

あぁ、可笑しいっ!」

 

感情が生まれたことで生じた自責の念ではなく、天翼種らしい感性で、機凱種(れっとうしゅ)を嗤うように。

記録を喪失し、機凱種よりも天翼種として長く過ごした彼女は、機凱種(それ)らしい価値観など無きに等しい。

イヴリールは笑った。爆笑した。笑い続けた。息をしなくとも長く保つ天翼種が苦しいと思うほどに。

 

そして酸欠に陥って、過呼吸になっていた。

 

「……うっ、く……カヒュ……っ!」

 

薄れゆく意識の中、水辺に流れ着いた黒い毛の生えた何かを見た気がした。

 

◆ ◇ ◆

 

「ーの!ーーじょーぶーーか!」

 

何かが呼びかけている。からだを揺さぶられるのを感じる。

イヴリールは何故か頭が痛むため、反応を示すのが面倒だった。

 

「大丈夫ですか!ど、どうしよう……全く反応がない。息はしてるみたいだけど……。! そうだ!」

 

普段は必要ないが、少し眠ろう。そう考え、落ち着くために少し息を深く吸った瞬間、イヴリールの顔に水がかけられた。それはイヴリールの、すっと通った形のいい鼻に吸い込まれーーー

 

「ーーーフッ!ンンッ?!」

 

鼻から頭頂部にかけて激痛が襲った。横になったままぎゅっと縮こまる。

「フクっ!フクっ!」と鼻から息を出して水を追い出す。

 

痛みが引いたので、痛みの原因をもたらした生き物を抹殺すべく、手を後方へ振るい、圧倒的な破壊を起こした。

 

「……はぁ。全く、思わぬダメージを負いました」

 

「うわぁ……」

 

「おや、まだ生きていましたか♡」

 

振り返ったイヴリールから莫大な殺気が放たれる!

それを見て、黒髪の生き物、もとい言葉を話す猿こと人間は芸術的とも言える土下座を披露した。

 

「すみませんでしたああああああああああああっ!」




ハジメくん初登場!
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