無理にとは言わぬ!
暇な時に気が向いたらでいいんだ……。
寂しす。
ーーーイヴリールはイラついていた。
なぜなら、
「キャインキャイン!」ダッ
「キュー!」スタターンッ
生き物がイヴリールに怯えに怯えまくって近づかず、そんな情けない姿を見るのがどうしようもなくストレスを与えていたからである。
最初は二尾狼、蹴り兎達も格下と判断し、襲いかかった。しかし、イヴリールに次々と蒸発させられたため、今ではこうなっている。
誤解なきよう言っておくが、彼等は危機察知能力が低い訳では無い。
挑みかかってくる存在を、イヴリールは煩わしいとは思わず、むしろ好ましく思っているため、威圧感は出ない。
さらに、機械という今まで見たことも触れたことも無いものが混じった気配を察知するのは至難の業である。
故に、襲いかかって来たのだがーーー
「……」ガタガタガタガタ
今では皆こうである。
そんな有様を見ているイヴリールは表面上にっこにっこと笑っているが、その額には青筋が幻視できる。周囲に放つ威圧感はハジメに向けたもの以上である。
ふと、イヴリールが静止する。
(い、嫌な予感が……)
ちらっとハジメは目を後ろに向け、後悔した。
イヴリールは、怒っていた。激怒していた。笑顔の仮面が剥がれ落ち、ストンと表情が抜け落ちたような顔をしていた。その頭に頂く光輪はそのうち軸が外れて(軸なんてないけど)飛んでくのでは?という勢いで回っている。
我慢の限界に達したのだろう。
ハジメが光の膜で包まれた次の瞬間、
奈落の底が光で埋め尽くされた。
「……っ!?」
ハジメは目を庇ってしばらくじっとしていたが、光が収まったので目を開いて辺りを見回した。
そこにあったのは先程までの冷ややかな雰囲気の洞窟ではなく、光に焼かれて溶けた、だだっ広い空間だけだった。
「……嘘だと言ってよママン」
イヴリールはとてもいい笑顔をしていた。ストレスが多少は晴れたようだ。
ハジメはイヴリールを見て思った。今の一撃は汗のひとつもかいていないイヴリールの全力の何パーセント程の攻撃だったのだろうか、と。気になる。気にはなるが、
(き、聞くのが怖い……!)
アレで1割とか言われたらどうしよう……。と思うと聞くのが怖くてたまらないハジメだった。
意を決して聞いてみたハジメは0.1パーセント以下と聞いて乾いた笑みで、聞いたことを後悔した。
◆◇◆
「……あのー、すみませんイヴリールさん。少々席を外して頂けると……」
「……はぁ」
「ご、ごめんなさい……」
天翼種に排泄機能はない。さっさと同じ風景ばかりのつまらないこの場所を抜け出したいイヴリールは、ハジメのこうしたプライベートな時間がとても煩わしいと考えていた。階段も全く見つからないので、不機嫌さもひとしおである。
「
少し離れたイヴリールは思った。娯楽のためにハジメを守ろうと考えたが、このイラつきと、ハジメに関するほんの少しの娯楽では釣り合いがとれない。もういっそのこと放っておけばいいのでは?と。探索範囲が狭いのはハジメが遅いからである訳でーーー
「置いていくが吉、ですね♪」
そう決断を下した。
空間転移を応用し、遠方をぐるりと見渡し下へ続く階段を見つけた。
それからイヴリール階段を降りては
IMH(イヴリール マジ 薄情)
彼女、心は天翼種なの!
他種族見下しウーマンなの!
大目に見てあげて!