機凱種はありふれた世界をゆく   作:興梠 すずむし

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滅殺の光撒き散らす六頭、機凱種というもの

ーーーイヴリールは困惑していた。

今まで、二尾狼、蹴り兎、タールザメに花の生えた肉食系爬虫類、それを操る人型の植物(ざっそう)など、様々な生物を消し飛ばしてきたが、自身に傷を付けられる生き物などいなかった。それは元いた世界においても同じだ。あそこで傷を付けられるのは龍精種(ドラゴニア)巨人種(ギガント)、種族の頂点、神霊種(オールドデウス)などの少数の強大な力を持った生命体だけであった。それなのにーーー

 

「クルアアアアアァァァァアアン!」

 

この六頭()()()竜が新たに生えた頭で放った極光はイヴリールを焼いたのだ。それも行動不能一歩手前まで。

最初は良かった。いつもの通り消し飛ばした。ただし、全部ではなく首だけ。クビオイテケ種族の天翼種(フリューゲル)の精神を持ったイヴリールはそこそこ強力な力を持つ物珍しいトカゲの首が欲しかったのだ。

 

「油断……しましたね……」

 

『 【肯定】現在の負傷は自業自得』

 

「!?」

 

呟きに対する答えがあったことにも驚いた。しかしそれ以上にーーー

 

『 【推奨】機体の主導権を当機へ譲渡。当機が確実に仕留める。【嘲笑】鳥頭は引っ込んでて』

 

頭の中に響くのは記憶の中にある機凱種(かつてのじぶん)の声だからだ。このまま体がを渡してしまったが最後、天翼種(いまのじぶん)が消えてしまいそうな気がしてならない。しかし、自分が今、動けないのは事実。

イヴリールはーーー

 

「ーーーとても腹立たしいですが、機凱種(あなた)に代われば、確実に勝てるのですよね?」

 

『 【肯定】』

 

その言葉を聞き、目を閉じーーー

 

「ーーー機体の譲渡を確認。戦闘を開始する」

 

身体を渡すことにした。

光輪が、電子的な多数の弧となった。

大規模破壊生物兵器は眠り、ここに理論上、永久に成長し続ける機凱種(きかい)が再臨した。

 

◆◇◆

 

「【偽典】『空間転移』」

 

戦闘が始まってから、イミルエアスタは敵の行動パターンの把握を始めた。

極光、2分、光散弾、1分、光散弾、1分、光散弾、1分、極光。

警戒すべきは極光のみ。

極光から次の極光までは5分間。

力を溜めつつ、節約した光散弾で牽制。

溜まれば極光。しかし、節約をする脳があるなら隠し玉を持っている可能性、大。接近と同時に極光の連射があると予想する。

規則的な行動からこの生物は創造されたモノと考えられるが、戦闘には関係ないと思考から追い出す。

 

「攻撃開始」

 

イミルエアスタは蹂躙を開始した。

イミルエアスタは首を集中的に攻撃し、極光を避け、奥の手の連射も避け、3分で死に体の元六

頭が出来上がった。

さしものイミルエアスタも、最後の最後で攻撃の時間の間隔が短くなるとは予想できなかったが、そこはそれ。デタラメ種族の為せる業である。

最後の一撃は、念には念を入れて体ごと消し飛ばすと同時に、天翼種への当てつけにあの技を模倣した兵器を展開するーーー

 

「【典開(レーゼン)】『 偽典・ 天ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇい♡」

 

ーーー前に消し飛んだ。

 

いきなりの出来事にイミルエアスタは呆然とした。

控え目だった表情が、素晴らしく恍惚とした笑顔へと変わっていく。

 

「うへへぇ〜♪とても気持ちがいぃですねぇ〜♡」

 

両手を頬に添え、ゾクゾクと震えながら笑みを浮かべるイヴリールがそこにいた。

頭の上には光輪が浮かんでいる。

 

そこで、右手が勝手に動き出し、前方へと向けられる。

それは光を照射し、かつての自分を作り出した。

その機凱種は両手で固い拳を作り、プルプルと震えている。表情は髪に隠れて見えないが、機械部品の至る所から蒸気を吹き出している。

 

「【憤怒】っ……!!【典開】『 偽典・天撃』!!」

 

空間転移でサラッと避けたイヴリールはとても嬉しそうである。

わざわざ地面に降り立ってスキップまでしている。

 

「嗚呼っ!楽しい!こんなにスッキリ爽快いい気分は初めて位階上殺し(ジャイアントキリング)した時以来です♪」

 

「〜〜〜〜〜っ!【典開】っ!【典開】っ!!」

 

「あっはぁ♪クセになりそうですねぇ♡」

 

「きぃ〜〜っ!」

 

機械部品からブシーッ!と蒸気をあげながらイヴリールを追いかけ回したが、イヴリールの方が空間転移の扱いは格段に上である。

 

追いかけっこはこの後、一日中続いた。




デデドン!
機凱種が仲間に加わった(?)!

※やっべー……。ヒュドラの頭の数間違えてた……。
五頭→六頭
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