60人……60人超えたぜぇ……!
ありがとう!愛してる!
イミルエアスタとともに数日間。ここ、オスカー・オルクスの住居で過ごし、イヴリールはふと考えた。
「─────何故私はあの機凱種の首を狩っていないのでしょうか?」
そう。
そのつぶやきを聞いたイミルエアスタは自らの推測を述べる。
「【推測】当機はこうして独立して活動してはいる。けれど、機凱種としての核は天翼種としての核と混ざり合い、ひとつになって貴女の中にある。
故に、当機の意思が貴女に影響を及ぼす可能性がある。
貴女と殺し合いはしたくないという当機の意思が。」
イミルエアスタが漏らした訳のわからない言葉に、イヴリールの思考が停止する。
そして、思った。この目の前にいる
そして、なんだろうこの目の前にいるコレに対する、この暖かな気持────
「【補足】当機は、貴女のことが嫌い」
「…………♡」
─────そんなものはなかった。これは暖かな気持ちではなく熱く激しい怒りの前兆だったのだ、と思い直したイヴリールは
◆◇◆
「【報告】外でまた竜の出現を感知。【疑問】リベンジに行く?」
「現れたということは私達以外の生き物が来たのでしょう。少しばかり観戦しましょう。そして失敗する度に嗤います♪」
「【驚愕】……驚くべき性格の悪さ」
イミルエアスタがジトっとした目でイヴリールを見るが、イヴリールは無視を決め込み空間転移を応用し、壁を越えて遠視を始めた。
「あ、この人間は────」
・
・
・
『 おい!ユエ!しっかりしろ!』
黒頭の首に何らかの攻撃を受けた
2人は思った。そういうのはお前の領分なのに何をやってるんだ、と。
不意にハジメとユエというらしい吸血種が軽くキスをした。
種族を超えた恋という偉業をサラッと成就させているハジメに賞賛を送るとともに、
「【報告】口内に過度な甘味を感知。【提示】当機の
「…………奇遇ですね。私も口の中が甘いように感じます。異常はないのでは?」
甘い雰囲気に自身らの異常を伝え合っていた。
それはさておき、ラブパワーゆえか、魔法の勢いと数が数段増した吸血種の怒涛のラッシュが始まった。
それを見て抗議の声をあげるものが約1名。イヴリールである。
「ちょっと待ちなさい!!強さが全然違うのでは!?納得いきません!!」
してやられたから悔しいのだろう。
そんなイヴリールを無視して遠視越しにイミルエアスタは精霊とは違う力を観測したが、イヴリールの時と今のヒュドラでは力の絶対値が全く違うことがわかった。
「【報告】力の絶対値の違いを確認。イヴリールの戦闘時より弱体化している。【推測】イヴリールを構成する術式が、竜を生成、召喚する魔法陣に影響を及ぼした」
「……ふむ。名前を呼ばないで頂けます?気持ち悪い」
「【絶許】表に出ろ」
ここにもう1つの戦いが少しの間だけ起こった。
◆◇◆
「ふう。おや、まだやっていましたか」
「【報告】戦闘は5分ジャスト。人間があれを攻略するのは弱体化していても困難。5分では攻略不可能」
それもそうである。でなければ天翼種の私がしてやられることもなかっただろう。と考えるイヴリール。
そこでヒュドラの前にハジメ達がいなかった。
よくよく見れば、気絶しているハジメは全身焼けただれ、片目を失っていた。それを助けようとユエが口移しで何かを流し込んでいる。
ヒュドラの浸食毒を覆すほどの回復力をみせるその液体に興味が湧いたイヴリールだったが、戦いの最中に割り込むのは不粋だと判断し、自重した。
そこから吸血種は頑張ったが、5分も経たずに撃沈した。
あわや滅殺といったところでハジメが覚醒した。
ハジメの、生きる
そして確信した。彼も、最強たるものの資格を備えたものであると。彼は必ず、人類最強へと至ると。
最強。それは天翼種であるイヴリールにとって甘美な響きを持っていた。
彼を守るのではなく、支えよう。
最強へと至れるように。
前ではなく、並ぼう。
それが自身が人間にできる最大の敬意であると考えた。
気づけばイヴリールは光輪を後ろへやって跪いていた。
そして遠視に映るハジメを熱心に見つめていた。
「【驚愕】チョロすぎ」
そんなイミルエアスタの言葉を聞いても流せる程に。
感想、待ってるぞ☆