ありがとう!嬉し味がすぎる……!
ハジメが武器の整備を始めたので、邪魔にならないようにユエとイヴリールは少し離れた場所にいた。
「ユエ様、その持ち手の付いた筒はなんでしょうか?」
「……ん。あれは銃という種類の遠距離武器。
……今いじっているのはドンナー。近くに置いてあるのはシュラークという名前がついてる。」
「ほう……」
自己紹介時に趣味が首の収集であると答えたところハジメの反応が悪く、この世界には頭のネジがトんだ一部の人しかその趣味は共有出来ないと言われたことで、首の収集は諦めたイヴリール。
……まあ、いつまで続くのかは分からないが。
こういった事情で種の差別が少し軽くなったイヴリールは、ハジメに最も近しい存在であるユエにも敬意を払うようにいた。
その様子はアイドルの親衛隊隊長と隊員のようだった。
イヴリールはハジメの持つ力や、その芯の強さについて。
ユエはハジメのかっこよさや魅力的な部分について語り合い、ハジメ情報を共有する。
それなりに大きな声で話すため、同じ部屋にいるハジメの耳には否が応でも入るわけで。
「…………。」
ハジメの限界値は今にも振り切れそうである。
羞恥に耐えきれずにユエとイヴリールのいない部屋にこもる日も近いかもしれない。
そんなことをした所で空間転移が使えるイヴリールがいる時点で意味は無いが。
整備が終わったハジメはオスカーの住処にあった指輪型の収納用アーティファクト、通称『宝物庫』からいくつかの鉱石を取り出して何かを作り始めた。
「……ハジメ、それは何?」
「ん?ああ。片腕じゃあ色々不便だから義手を作ろうと思ってな」
「ほほう。義手、ですか?」
自分のいた世界の人間は物資も技術も人も時間もなく、なくても生きていけるよう努力している人間ばかりで、無機物で出来た腕、というものに非常に興味が湧いた。
「【注釈】当機の腕のようなもの。【嘲笑】馬鹿。鳥頭。【自賛】絶対当機の腕の方が優秀。」
「…………♡」
イミルエアスタの発言は実際納得出来てしまう部分があるため、余計に腹が立ったイヴリールはにっこりとした笑顔を貼り付けて殺気を撒き散らしながらヒュドラの部屋へクイッと親指を向けた。これの意味するところは、すなわち──────表に出ろ。ぶっ殺してやる。
イミルエアスタ内心、やっべぇ地雷踏んだ。と焦りを覚えた。
その後の怪獣大戦を見てハジメとユエはコイツらどうにかしないと自分達が出ていく前にこの世界滅ぶわ……。と遠い目をした。
イミルエアスタはハジメに謝罪しつつ、義手に組み込めるよう小型化した兵装をいくつか渡すことでイヴリールに許された。
◆◇◆
義手も作り終えて食料、服、その他必要な物を詰め、出発の準備を済ませた。
「さて、いよいよ地上だな……。」
「……ん!楽しみ。」
「早く、本物の『太陽』とやらを拝みたいですねえ♪」
「【同意】製造以来初めての『太陽』。記録領域にしっかり焼き付ける。」
そして四人揃って魔法陣へ乗り、景色が切り替わるとそこには──────また壁があった。
2名と1機は、ブチッという音を聞いた。
イヴリールの右手に光槍が生じる!
ハジメは急いでイヴリールを羽交い締めにした!
ユエはイヴリールの腰にしがみつき、イミルエアスタは『
イミルエアスタが全力でイヴリールを拘束しつつ、ハジメとユエが説得を続けることで何とか事態は収拾がついた。
ハジメは先行きが不安になった。
気を取り直して指輪で隠し扉を開け、外に出る。
辺りは太陽の暖かな光で満たされ、幸先の良さを暗示しているかのようだった。
敵の攻撃によって目を潰される眩しさとは違い、優しさに溢れた柔らかな光の眩しさは誕生してからこの方、1度も太陽を見たことの無い大戦出身の2人に、生まれて初めての感動を与えた。
ひとしきり感動した四人は、次なる目的地へ向けて出発した。
マダ、ガンバル!