fate/cage   作:雨宮

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DAY1 PM9:00

「気がついた?大浦君。」

聞いたことのある声がした。そこには数時間前に話した女生徒がいた。

「あなたあの後倒れたのよ、覚えてる?」

椿はすべて覚えていた。ランサーという男に殺されかけたこと、天草四郎と名乗る男に意識をのっとられたこと。

だが椿にはそれ以上に気になることがあった。

「何でお前がいるんだよ、九条。」

そこにはうちのクラスの学級委員長こと九条柊がいた。

「何でって、ここが私の家だからよ。」

そういわれて改めてあたりを見渡した。そこは椿の家の部屋ではなかった。椿の家はもっと狭いし、日当たりも悪いし、物もこんなに散乱していない。

おそらく物置だろう。今椿が寝ているのが昔使われていたベットで、周りには大きいものはタンスや鏡から始まり、カーペットやアクセサリーなど色々ある。ほこりがかぶっていない物が多いのを見ると最近移動させたものが多いのだろう。

というか奥にある、あのなんともいえない奇妙なぬいぐるみは何だろうと椿は思った。

「そんなにじろじろ見ないでよ。物置とはいえ私の私物だったのもいくつかあるんだから。」

柊は少し頬をそめていた。しかしこういうとき椿は空気を読めない。

「なぁ、あのお世辞でもかわいいといえないクマとキリンがくっついたようなぬいぐるみはなんだよ。」

柊はむっとした表情になる。外の扉から笑い声が聞こえた。

「あんた、本当に失礼なやつ。そういうことは思っても口に出さないんだよ。バカ!あとキャスター扉の外で聞き耳立てないで。」

そういって柊は椿に怒った。柊が椿に半年ぶりに素の表情を見せた。

「うるさいわね、昔お母様からもらったのよ。ずっと使ってたけど今日こっちにうつしたのよ。私はああいうの好きなの。何か悪い、大浦君。」

椿は首を振る。人の趣味に文句を言う気はない。

照れ隠しなのか柊は少し髪をいじった。そしておもむろに口を開いた。

「おほん、まぁ混乱していると思うけど私の話を聞いて頂戴。

まずあなたには謝らないといけないの。あなたがランサーに襲われる原因を作ったのは私なの。というのもあいつら現場を見られてたとか言ってたでしょう。それが私。

朝の様子からあいつがマスターだと思って帰りに尾行してたら尻尾を出したの。

でものぞいてるのがばれちゃってね。その時はキャスターもいなかったし、とっさに隠れたら、運悪くあそこにいたあなたをのぞいたやつだと勘違いしたみたい。本当にごめんなさい。」

柊は頭を下げた。しかし椿はそれを聞いて別のことに関心がむいた。

「なぁ、何を見たんだ。」

そう問う椿の顔はなにかに勘付いたようであった。

「聞かないほうがいいわ。」

そう言った柊の顔はこわばっていた。椿はそれだけでなんとなく理解し、こぶしを強く握り締めた。

パンと手をたたく。柊は話を切り替えた。

「ところであなたは今大浦君でいいのね。さっきまでのルーラーはどこにいったの?」

「分からない。たぶんだけど俺が表面に出ている間はあいつは表面に出てこないんじゃないか。」

椿は正直に答え柊は彼の言葉を信じた。

「じゃあ、あともう一つ聞かせて。あなたは聖杯戦争について何か知ってるの?」

椿は首を振った。

「分かった、じゃあすべてを一から説明する。頑張って理解して。」

柊は椿が落ち着くのを待ってゆっくりと聖杯戦争について説明しはじめた。

こうして大浦椿は、彼にとっては不本意ではあるが白城の聖杯戦争巻き込まれていくことになったのである。そう重要な主要人物の一人として。

 

PM8:30

その時その場にいたのは、ランサー、ルーラー、キャスター、三騎のサーヴァントだけではなかった。もう一騎そこにいたのである。それはセイバーである。

彼はどこからも見てもちょうど死角になる位置で状況を俯瞰していた。

「ルーラーですか。厄介ですね。」

セイバーは自分に語りかけるように言った。セイバーという最優のクラスで現界した彼は気配遮断のスキルもなぜか有していた。そのため彼は誰にも気づかれること無くすべての現場を目撃していた。

「接触したくない相手ですね。となるとやはりそうそうに聖杯戦争を片付ける必要があります。」

そう言ってルーラーを危険視していた。

マスターのリリーは今いない。やっと連絡がついた聖堂教会から派遣されたとマスターとどう接していくかを監督官の凜と話し合っている。

「やはりマスターとの打ち合わせどおりあのプランを実行しますか。」

そういってセイバーは闇夜のなかマスターの元へ帰って言った。

聖杯戦争は既に大きなうねりを見せ始めていたのである。

 

 

 

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