fate/cage 作:雨宮
親愛なるおば様へ。
あたしが生まれたのは魔術師中でも名家といわれるペトレリ家。だけどあたしはこの一族に生まれてよかったと思った事は生まれてこの方一度もない。なぜかって?そんなものあたしに魔術の才能がないからに決まってるじゃない。
あたしはペトレリ家の中でも本家筋だった。それならいいの。でもうちの家は本家と分家でいっつも喧嘩してたから、本家としては人に自慢できるような優秀な後継者が必要なわけよ。でもあたしは基礎的なことしか出来ないし魔力も小さい。あたしに物心ついたころにはうちの両親はあたしのことを見捨てたよ。
あぁ今でも覚えてる、うちのママに「あんた何で生まれてきたの?」って言われたこと。そんでねぇ、あたし以外の姉弟はみんな人並み以上に魔術がつかえたの。そのことが余計に惨めだった。
あたしペトレリ家でどんな風に扱われてきたか知ってる?一族の集まりがあったときは家で一人でお留守番。もし家に人が来たら押入れに閉じ込められた。だってそうでしょ。あたしみたいな無能、よそさまには見せられないでしょ。でもねいつしか噂が立つの、あそこにはもう一人娘がいるって。そういったときうちの両親、なんて言ってたと思う?「あの子は使用人の子です」って言ったのよ。
めでたくあたしの地位は使用人になりました。もちろん学校には生かせてもらえたわよ。世間体もあるし。でもあたしに敬意と関心を持ってくれる人はいなかった。下の弟たちはあたしに命令口調で話すし上の人たちはあたしをいないように扱かった。だからあたしいつか復讐してやりたいっていつも思ってた。絶対見返してやりたかった。
だから今回白城市で聖杯戦争っていうのがあると聞いて嬉しかったわ。
聖杯を求める七人のマスターと、彼らと契約した七騎のサーヴァントがその覇権を競いあう。他の六組を排除して、最後に残った一組に対してどんな願いでも叶えてくれるっていう聖杯。あたしはそれがなんとしても欲しかった。サーヴァンを召喚しての殺し合いでもかまわない。死ぬのはぜんぜん怖くないわ。
運のいいことに魔術協会からの応募がまだ残ってたし参加希望を出したの。もちろん両親には大反対されたけど。お前が表に出たら一族の恥さらしだとかいわれて。でもまぁ実家に今までのこと全部ばらすわよって言ったら快く協力してくれたわ。
それだけでなく参加費用とか書類も全部やっといてくれたの。もちろん去り際にママに「おまえなんて生き残れるわけないでしょ」って言われたけど。お姉ちゃんが影で「生きて帰ってこないようにっ」って笑いながら弟と話してるのも聞いたけど。
ペトレリ家で唯一私に親切に接してくれたおば様へ。あたしは必ずや聖杯戦争に勝ちペトレリ家の人々にあたしの存在意義を知らしめてやろうと思っています。
Ps あたしがおば様って言うたびにムスってするの良くないと思いますよ。あと一つ気になることがあったの。監督役がーー凛って言う人なのよ。この人っておば様がよく言ってた日本人?もしそうだったら馬鹿にされないようにがんばるね。
リリー・ペトレリより、愛をこめて