らき☆すた〜変わる日常、陵桜学園桜藤祭編~   作:ガイアード

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始まりの前奏曲その2

昨日の奇妙な夢を見た翌日、俺はいつも通りの時間に目を覚ますと、顔を洗いに部屋を出た。

 

そして、顔を洗いながら昨日の夢の事を考えたのだが、不思議な事に、昨日見た夢で語った事、語られた事の1字1句を忘れてはいなかった。

 

普通であるならば、余程印象深い夢でない限りは、大概の夢の内容を忘れてしまうものなのだが、俺は、この奇妙な感覚に戸惑いを覚えた。

 

(パラレルワールド?危機を救う?俺が?夢だよな・・・夢のはず・・・でも、それにしちゃ、どうしてこうもはっきりとあの夢の内容を覚えているんだ?確かに設定は面白そうな感じだったが、所詮は夢だろ?現実にそんな事が起きるはずもない・・・ま、考えてても仕方ないか・・・。)

 

と、心の中でそこまで考えると、俺は学校に行く準備を整えて朝食の準備をしようとしたのだが、その時に異変に気付いた。

 

それは、すでに使い込まれているはずの教科書が、何故か真新しかったのだ。

 

俺がこの教科書をもらってから大分たつはずなのに、俺が手にとり、鞄に詰め込んだ教科書は、もらいたてのほやほやだったのだ。

 

俺は、この奇妙な出来事に首を捻りつつも、とりあえず学校へ向かう準備を済ませ、キッチンへと降りて行った。

 

すでに先程の教科書から、俺の周りの世界は変化してしまっている事に気付きもしないままに、俺はキッチンへと辿り付く。

 

そして、キッチンに入った時、そこには2人の人間がいた。

 

その2人は、俺に気付くと、挨拶をしてきた。

 

「おはよう、慶一。相変わらず早いのね?朝御飯、もう少しで出来るから、座って待ってなさいね?」

「おはよう、慶一。ん?どうした?ボーゼンとこっちを見て。父さんと母さんの顔になにかついてるか?」

 

その言葉、そして、その姿を見た俺は思わず絶句してしまっていた。

 

何故なら、そこにいた2人は、仏壇に飾られているはずの写真の2人。

 

そう、俺の本当の両親である、森村慶子、そして、真一の2人だったからだ。

 

この世には存在しないはずの2人。

 

「・・・ど・・・どうして・・・2人が・・・ここに・・・?」

 

思わず搾り出すようにそう言う俺に、2人は頭にハテナマークを飛ばして

 

「どうして、って・・・ここは私達の住んでる家じゃないの?何を当然な事を言ってるのよ?」

「慶一?お前、体調でも悪いのか?」

 

そう言う2人に俺は思わず

 

「っ!そうじゃない!!俺の両親はすでに亡くなってるはず!!その人間がここにいる事事態がおかしい、って言ってるんだ!!」

 

そう声を荒げたのだが、そんな俺に2人はやれやれと首を振って

 

「亡くなった、って慶一、あなた、おかしな夢でも見たの?」

「だったら、今ここにいる僕達はなんなんだ?慶一、どういうつもりかは知らないが、笑えない冗談は勘弁だぞ?」

 

そんな風に言って来る2人に俺は、なおも納得が行かずに反論しようと口を開こうとした。

 

「っ!!だから!そういう事じゃなくってっ!!(森村さん・・・)ん?」

 

だが、途中まで言いかけた時、俺の頭の中に語りかけてくる声に気付き、俺は思わず

 

「・・・何だ?この声、どこから・・・。」

 

そこまで言いかけた時、俺の頭にさらにはっきりとした声が響いてきた。

 

(私です。昨日の夢に出て来た者です。少しの間だけですが、あなたにアドバイスをする為に話し掛けています。そして、私に答える際には頭の中で言葉を発するようにして下さい。そうする事で話す事が出来ます。)

 

頭の中でそう言われ、俺は両親が奇異なものを見るような顔でこちらを見つめる中、俺は声に従い、話をした。

 

(・・・おい、なんだよ、これ?どうなってるんだ。あれは夢じゃなかったのか?)

 

そう尋ねると、声の主は

 

(そう思い込んでいたのですね?残念ですが、昨日の事は夢ではありません。そして、すでにあなたは私が送り届けたパラレルワールドへと来ているのです。そして、目の前にいるあなたの御両親は紛れもなく本物です。ただし、この世界に於いて、なのですが・・・。そして、あなたの世界では亡くなっている何人かの人もこの世界では健在です。ただ、泉こなたさんの母親のみがこの世界でも亡くなっている、その部分には変化はありません。)

 

そう説明してくれたの聞いて、俺は驚きつつ

 

(え?そ、それじゃ、俺は本当にこの世界に来ちゃったのか?そして、あんたの言う事が本当なら、まさか、瞬やしおんも・・・。)

 

そう尋ねると、声の主は

 

(その通りです。彼らもまた、この世界では健在です。しかし、あなたとの接点はない、この部分が違いです。)

 

その答えに俺は思わず涙ぐみそうになりつつ

 

(・・・そうか・・・この世界ではあいつらはちゃんと・・・俺の世界ではすでにいない人間達だったから、不幸に巻き込まれた人間達だから、健在というのであれば嬉しいかな・・・少し複雑だがな・・・。ともあれ、俺に声をかけてきたという事は、何かある、って言う事だよな?)

 

元の世界では亡くなってる人間の何人かが健在である事に複雑ではあったが、とりあえず喜びつつも俺は、声の主にそう尋ねると、声の主は俺に

 

(そうです。とりあえず今のあなたは、ちゃんとあなたの御両親が健在である世界に来ています。あなたにとっては辛く、やりにくい事かもしれませんが、出来る限り親子として振舞って下さい。出来るだけ不自然にならないように。そして、今日から始まって行きます。とても困難な事ではありますが、今の私達にはあなたに頼る他ありません。どうか、どうかよろしくお願いします。)

 

その言葉に俺は、複雑な思いを持ちつつも気になった事があるので、それを尋ねてみる。

 

(・・・わかったよ。何とかやってみる。それと、1つ気になったんだが、俺がこの世界に来てしまったという事は、元の世界の俺はどうなるんだ?)

 

その質問に、声の主は

 

(そちらの方はご心配なく。私の仲間が向こうで特殊なシステムを使い、向こうにいるあなたの関係者達にはあなたがいなくなっている事がわからないようにしてあります。そして、時間のループがどれだけ繰り返されたとしても、向こうでは時間はほとんど経ちませんので、長い間帰ってはこれない、という事はありません。そして、あなた自身もまた、こちらで施しているシステムの影響で、どれだけ時間のループが繰り返されても年をとる事もないのです。)

 

という説明を聞いて、俺は少しほっとすると共に、改めて自分の使命という奴について思いを巡らせる。

 

(なるほど、良く分かったよ。とりあえずは、この世界で起きる事を何とかしないと、俺は元の世界には帰れないんだな?)

 

そう言うと、声の主は

 

(・・・そうなります。私には、申し訳ないのですが、あなたに頑張って欲しいとしか言う事はできません。そして、こうやって会話が出来るのも、後1日か2日、というところでしょう。それ以降はこちらもあなたへの干渉は出来なくなると思います。その後は、あなたのやり方と判断に委ねる事となるでしょう。)

 

その言葉に俺は、不安を残しつつも

 

(・・・了解した。やれるだけの事はやってみる。ただ、あまり期待はしないでくれよ?俺も確実な事なんて何一つ言えないんだしさ。)

 

そう答えると、声の主は

 

(わかっています。とにかく、今後のコミニュケには注意してください。それではまた、必要な時にあなたとコンタクトをとる事になると思いますが、それまでは、あなたの奮闘を期待しています。)

 

そう結ぶ声の主の言葉に、俺はこの先の行動について考えていた。

 

が、2人には聞こえない声との対話をしている俺を、不安そうな目で見つめていた俺の両親は

 

「・・・慶一。具合が悪いのなら、転校は明日からにする?」

「それがいいかもしれないね。母さん、学校に転校を1日ずらしてもらうように電話を・・・。」

 

母さんがそう言い、父さんがそう言いかけた所で俺は慌てながら

 

「ちょ!待ってよ!!大丈夫、なんでもないから!ちゃんと今日から学校行くから!!ちょっと昨日の夢見がおかしかったから勘違いしてただけだって!!」

 

と、言い訳をしつつ、2人をなだめると、2人はそんな俺を見て

 

「そう?それならいいけど、とにかく、御飯は早く食べなさい。もう時間も大分押し迫ってるはずよ?」

「そうだな。慶一、初日から遅刻だけはしないようにね。」

 

そう言う2人に俺は、苦笑しながらも頷いて

 

「分かってるよ。それじゃ、えと・・・いただきます。」

 

少しだけ、俺の世界では絶対に味わう事のできない、俺の本当の両親の作った料理を目の前にして、複雑な思いを感じつつも、今だけはそれを味わうのもいいだろうと考えた俺は、早速料理に箸をつけた。

 

そして、俺はその料理の味を心に焼き付けようと、ゆっくりと味わって食べた。

 

料理はとても美味しくて、俺は思わず涙が出そうになるのを何とかこらえながら朝食を終えた。

 

「・・・ごちそうさま。それじゃ、行って来ます。」

 

泣きそうになっている自分の顔を見られないように素早く食器を片付けて俺は、足早にキッチンを後にしたが、その時に、そんな俺の態度に頭にハテナマークを飛ばしている両親の姿を一瞬だけ見つつ、玄関へと向かう。

 

その際に母さんは俺に

 

「行ってらっしゃい。気をつけて行くのよ?」

 

そう声をかけてくれたのを受けて、俺はそんな母さんに振り返らず、そのままで

 

「わかってるよ。それじゃ母さん、夕食も期待してるから。」

 

そう告げて、俺は玄関を出た。

 

玄関の外の町並みは、俺が元の世界で見ていた風景と何も変わらなかったが、確実にここが元の世界とは違う世界なのだという確信だけは何故か持つ事ができた。

 

これから向かう学校で起きる事故。

 

今の俺にはその原因がなんなのか、皆目見当もつかなかったが、今確実に、俺は戦いへの第1歩を踏み出した。

 

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