思いがけず始まった異世界での生活。
そして、俺は、この世界では転校生としてやってきた。
初日にこなたと出会い、そして、俺をこの世界へと送った声の主の仲間らしいやまととも出会い、更には、やまとが俺と同じ学年として、俺と同じように転校をしてきた事に驚きつつ、とりあえずのクラスの人達に転校の挨拶をした。
彼ら?の言う事故の原因というものがなんなのか、今の俺には皆目見当もつかず、だったが、とりあえずは動き回れる時には校内を見回って、その原因の特定に繋がる手掛かりを探すしかないな、と心の中で考えつつ、最初のHRが終わってから俺はこなたと自己紹介を交わしたが、そのすぐ後に、俺も知る俺の世界では俺を知っている旋律達からの自己紹介を受ける事となったが、そこに更に2人の知り合いの顔を見る事になるとは思っていない俺だった。
「それじゃ早速私の友達も紹介するね?はいはい、つかさ、みゆきさん、こっちに来てー?」
そう言ってこなたは、つかさとみゆきの2人を俺の方へと招き寄せると、2人に自己紹介を促したのだが、その時に俺達も気付かぬうちに、3人の生徒が教室に入って来ていた事に気付かなかった。
「え、えと・・・柊つかさです。よろしくね?」
おずおずとそう自己紹介するつかさに、俺も頷いて「うん。よろしく。」と、そう言うと、その横からつかさにいきなり声をかける女生徒にちょっと驚く俺。
「やけに短いわね、もう少し何か話したら?」
その女生徒の言葉につかさもあたふたしつつ
「え、えっと・・・双子です。そっちがおねえちゃんで私は妹です。こ、これでいいかな?」
その言葉に俺は今、声をかけてきた女生徒が、かがみである事を認識した。
そんな俺の心の動きを知らないかがみは、つかさにつっこみを入れつつ挨拶してくる。
「よくはないけど・・・まあ、いいわ。私は柊かがみ。つかさの双子の姉よ。よろしくね。」
そんな2人のやりとりに苦笑しつつも、俺はかがみに「こちらこそ、よろしく。」と言って挨拶を返したが、そんな俺達のやりとりを見ていたこなたが
「なんでかがみが自己紹介するの?隣のクラスでしょ?」
と、かがみをからかうと、かがみは顔を真っ赤にして
「う、うっさい!手間を省いただけよ!!いいじゃない!そのくらい!!」
そんな風に激昂するかがみに、こなたはそんなかがみをあしらいつつ
「ふふーん、うそつきー。ハブられるのが怖いかがみ萌え♪」
そのこなたの言葉に更に慌てるかがみは「なっ!?違うわよっ!!」と反論するが、こなたはそんなかがみのつっこみもどこ吹く風で
「はいはーい、そーですねー。みゆきさん、次どうぞー。」
そう言うと、みゆきはつかさ同様におずおずと俺の前に来て
「高良みゆきともうします。このクラスでは学級委員長も務めさせてもらっていますので、何かわからない事などおありでしたら、遠慮なく頼って下さい。」
そう言ってにっこり笑うみゆきに俺も頷いて「ああ。その時にはよろしく頼むよ。」と返すと、みゆきも心なしかほっとしたような顔をしていた。
俺もまた、そんな風に自己紹介してくれる3人に、胸中複雑な思いを巡らせつつ見ていたが、その時に俺が感じていた事は、この世界ではかがみは別のクラスだったんだな、という事だった。
俺はそんな事を考えつつ、お互いに自己紹介を済ませていたのだがが、そこに更に俺達に声をかけてくる2人の生徒がいた。
「お?かがみ、こんな所にいたのか。ん?そいつ、見ない顔だな?そいつが噂の転校生か?」
「もう、牧村君、だめよ?いきなり割って入ってみんなの邪魔したら。」
と言う声を聞いた瞬間、俺は弾かれるようにその声のした方へと顔を向ける。
そして、そこに居たのは・・・陵桜の制服を着た瞬としおんの2人だった。
俺は2人の顔を凝視して絶句する。
そんな俺の様子を不思議に思った2人は俺に
「ん?どうしたんだ?俺達の顔をじっと見つめて。俺達の顔がそんなに珍しいか?」
「なんだか鳩が豆鉄砲食らったような顔してるわね?本当に大丈夫?」
そう聞いて来る2人だったが、その言葉を聞くのが限界だった。
俺は俺の世界に居た、今は亡き親友と、彼女になったかもしれない人の姿を見て、俺の意思とは裏腹に顔が歪み、そんな顔を見せてはいけないと思いつつも自分が抑えられなくて、俺は皆が見ているのを知りながらも流れ出る涙を止められなかった。
そんな俺を見て慌てる6人は俺側に慌てて寄って来て
「ちょ!慶一君、どうしたの?大丈夫?」
「慶一くん、どこか痛いの?それとも気分悪いとか?」
「けいいちくん、どうしたの?はわわわ、どうしよう~。」
「慶一さん、ご気分が優れないようでしたら保健室に案内しますよ?」
「おいおい、一体どうなってんだ?何でこいつ急に泣き出したんだ?大丈夫かよ、お前。」
「うーん・・・本当にどうなってるのかしらね?森村くんだっけ?大丈夫?」
そう言う皆の、かたや心配してくれるような言葉を、かたや少し呆れ気味に言う言葉を聞きつつ、俺は
「だ、大丈夫。なんでもない・・・なんでもないから・・・ごめん、瞬、しおん、俺は平気だから・・・。」
と言ったのだが、俺はこの時あまりにも気が動転していた為に、言ってはならない言葉を発した事に気付いていなかった。
そして、ちょっと落ち着いた俺は、涙を拭ってから皆の方へと顔を向けたのだが、俺は皆の訝しげな視線にちょっと怯みつつ
「え?あれ?皆、どうしたんだ?何でそんな目で俺を見るのかな?」
そう聞きつつも俺は心の中で(あれ?俺、また何かやっちゃったかな?)と内心焦りつつ聞いてみると、瞬としおんは俺に疑惑の目を向けつつ
「・・・どういう事だ?俺はまだお前には自己紹介をしてはいないぞ?何でお前は俺の名前を知っているんだ?」
「そうね、そこの所、詳しく聞きたいものね。あなたは牧村君の名前だけでなく私の名前も知っていた。これはどういう事なのかしら?それに、どうして私達の顔を見て涙を流したりしたのかしら?」
その言葉に俺は、冷や汗をだらだらと流しつつ、2人の問いかけにどう返答すべきか悩んでいたのだが、そこに更にこなたが
「私も気になるなー。それに、私の事も名前で呼んでいいって言ったけどさ、何かこう、慶一君は私の事を呼びなれている感があるよね?妙にその呼び方が自然だったしさー。」
と言う追い討ちに加え、かがみ、つかさ、みゆきにも俺の事を不思議な物を見るような表情で見つめられ、更に頭の中をパニックにしていたが、俺は一度ぶんぶんと左右に頭を振ってパニックになっている頭の中を整理すると、3人にとっさに思いついた言い訳をする。
「・・・あー、えっと、それはだな・・・俺がこの学校に来る前に居た学校に親友が居た訳だが、そいつらとはかなりの仲良しだったんだよ。で、そいつ等の名前が瞬介としおんって言う名前でな、雰囲気や話し方もお前等にそっくりだったんだ。で、涙を流したのは、俺がそいつ等とはなればなれになる時にはお互いに涙を流すほどの悲しい別れだった事を、2人の顔を見て思い出して、それで、つい涙を流してしまったと言う訳だ。こなたの方についてはそう呼んでいいと言われると、俺はその時から名前を普通に呼べるくらいのフランクな人間だ、という事だよ。」
と、身振り手振りを交えて、必死にでっち上げた言い訳を説明する俺。
そんな俺を訝しげな態度で見ていた3人だったが、とりあえず納得してくれたみたいだった。
「・・・うーん、何となく白々しい気がしないでもないが、まあいいだろ。それに、お前は悪い奴じゃなさそうだしな。」
「そうね。人を騙すような悪い人が流すような涙には見えなかったわ。さっきのはね。とりあえず信じてあげる。」
「ふむ。話しやすいのはいいよね。慶一君がそういう人だと分かったら、なおさらやりやすいしね。」
と、3人はそう言い、ふとかがみ達の方に視線を向けると、3人共さっきのような視線ではなくなっていた事に俺は心の中で(あー・・・やばかった・・・ほんとに気をつけないとなー・・・ついついボロを出しそうになるよ・・・なんにしても信じてくれてよかった・・・)と考え、ほっと胸を撫で下ろしていた。
そして、2人もまた改めて俺に自己紹介をしてくれた。
「ま、とりあえずだ。改めて自己紹介させてくれ。俺は牧村瞬一、これでも一応格闘技の道場の長男だ。よろしくな?えっと、森村慶一でいいんだっけ?」
「私は篠原しおん。よろしくね?森村くん。」
そう言う2人に俺も頷いて
「森村慶一だ、よろしくな?牧村。それと、篠原さん。俺の事は名前で呼んでくれても構わないよ。」
そう言うと、2人共俺に
「おう、よろしくな。それと、俺の事も名前で呼んでくれて構わないぞ?」
「そう?ならそうさせてもらうわね。慶一君も私の事も名前で呼んでくれていいわ。」
そう言ってくれたので、俺もその言葉に頷いて「よろしく。瞬、しおん。」と言うと同時に俺達は握手を交わしたのだった。
そうこうしているうちに、昼休みが終了する時間が近づいてきたのだが、こなたはまだ1つチョココロネを残していたらしく、昼休み終了のチャイムが鳴ってもその一個を消化しきれずに、黒井先生に見つかって注意を受けていたのだった。
そして、その日の放課後、皆で集まって桜藤祭の手伝いの事について話を聞く事となった。
「・・・という訳で、学園祭の準備のお手伝いをお願いしたいのですが。それと、これはその資料ですので、後で一通り目を通していただけるとありがたいです。」
そう言って、俺にかなりの枚数で分厚くなっている学園祭に関する資料をみゆきが渡してくれた。
俺はその枚数に弱冠引き気味になりつつも、それを受け取って
「あ、ああ。でも、凄い量だな。これ全部関係資料なのか。」
そう言うと、みゆきも苦笑しながら
「は、はい。要点のみに絞ったのですがそれでも・・・。」
そう言うみゆきにこなたが
「えー?私、この半分位しか読んでないよ?」
と言う言葉をきっかけに、6人のやりとりが始まった。
「資料はお渡ししましたよね?」
「記憶のかなたに消えてるかも・・・。」
「部屋のどこかに、でしょ?慶一くん、この馬鹿を見習っちゃだめよ?」
「ははは・・・でも、俺にも手伝える事あるかな?」
「うん。一杯あるよ~?今は人手が足りてなくて困ってるんだ~。」
「私の方も色々兼任している物がありますので、助けてくれる方がいてくださるとありがたいですね。」
「まあ、高良は確かに大変だよな?学園祭の実行委員に俺達と泉達と合同でやる劇の進行兼監督もやってる訳だしな。」
「高良さんには負担を強いている事は悪いと思っているわ。その分私達も裏方などでフォローはするつもりだけど・・・」
「なるほどね・・・かなり大変な状況である、って事は理解したよ。それで?今日から手伝っていけば?いいのかな?」
「いえ、今日はこのまま解散になります。」
「体育館が使えないんだよね?」
「ええ。今日は他のクラスの方が使う事になってましたから。」
「なら、今日は久々に早く帰れそうね。皆、私帰りにコンビニに寄ろうって思ってるけど、皆はどうする?」
「賛成ー。漫画の立ち読みもしたいしね。」
「わたしもお腹すいちゃったからお菓子買おうかな~?」
「俺もつきあうかな。買い物もあるし。」
「私も一緒に行くわ。頼まれているものもあるからね。」
「では、私もお付き合いしますね。慶一さんはどうされますか?」
と、最後にみゆきが話しを振って来たので、俺はとりあえず少し考えてから
「コンビニって近くにある奴だろ?皆がすぐに帰るつもりがないのなら、そこで少し待ってて欲しいけど、いいかな?」
そう答えると、こなたは俺に「ん?何か用事でもあるの?」と聞いて来たので、俺は適当に
「ああ、ちょっと黒井先生に用事があってさ。それを済ませたらすぐ俺も合流するからさ。」
そう言うと、こなたも納得したようで
「なるほどねー。わかったよ。それじゃコンビニで待ってるから早く来てよね。皆、そういう事だから先に行こっかー。」
そう言うと、他の皆も「それじゃ、先行ってるわね?」「けいいちくん、ごめんね~。」「んじゃ先行ってるぞー。」「私も行くわ。それじゃ後でね?」
そう言って出て行ったのだが、みゆきだけは俺の側に来て
「私も先に行きます。あの、慶一さん。永森さんの方にも慶一さんからも声をかけてもらってもかまわないでしょうか?永森さんにもご協力いただきたいのですが、私達も、永森さんには中々話し掛けるチャンスがないもので困っているんです。慶一さんは永森さんと一緒に転校してこられた事もあり、私達よりは言葉を交わされているのでは?と思いましたので、出来ればそちらの方もご協力お願いできますか?」
と言うみゆきに俺も頷くと
「ん?そういう事なら協力するよ。でも、あれからも話すチャンスって結構なかったか?休み時間なんかもあったよな?そういう機会ってさ。」
そう言いつつも、みゆきに話すチャンスについて指摘すると、みゆきは困ったような表情で
「・・・実は、あの後何度か永森さんに話し掛けてみようと思ったのですが、何故か少し目を離した隙にいなくなってしまっていて、話す事ができなかったんです。私達も極力話し掛けるようにはしてみますが、慶一さんもどうか、よろしくお願いします。」
その言葉に俺は、少し妙な感覚を覚えつつも頷くと
「わかったよ。とりあえず、今日はコンビニに寄ってから帰宅だな。じゃあ、俺は用事を済ませてくるから。」
そう言うとみゆきもにっこりと笑って
「はい。それでは私は先に皆さんの所へ行きますので。では、後ほど。」
そう言って教室を出て行くみゆきに手を振ると、俺は、やまとの事を気にしつつも、皆が待っていてくれるであろう時間内で校舎内等をうろついて、手掛かりを見つけようと走り回った。
だが、色々回ってみたが、この日は結局何も見つける事ができなかった。
最後に星桜の樹がある場所へとやって来た時、そこには樹を見上げてたたずむやまとの姿があった。
俺は、そんなやまとの姿を見て声をかけてみようと思い、やまとの側に近づいていった。
そして、極力やまとを脅かさないように気をつけつつ、声をかけたのだった。
「よう。皆ももう帰っちゃったけど、お前は帰らないのか?」
そう声をかけると、やまとは俺の方に振り向いて
「・・・もう少ししたら帰るわ。私に何か用?」
そう聞いて来たので、俺はとりあえず
「色々聞きたい事はあるが、とりあえず、朝に聞いたこと覚えておくようにするよ。それと、文化祭の手伝いの件でみゆきから頼まれているからな。その件に関しても、明日話せるのなら皆と話して欲しいってとこだ。」
そう言うと、やまとは少しの間無言で俺の顔をじっと見つめてから
「・・・意味がないのに?その先に進みはしないのに?」
そう言ってくるやまとに俺は
「それは、時間のループの事を言ってる、って解釈していいんだな?何にしても、お前の仲間が言う原因とやらを取り除く事が出来れば、この世界の時間は先へと進んで行くって事だよな?」
そう言うと、やまとは俺を見て
「・・・ある程度の事は知っている、という事ね?けど、私にはその原因をあなたに教える事はできない・・・その原因はあなた自身の力で気付くしかないわ。今言える事はそれだけ・・・でも、もしも出来るのなら・・・この世界を救う為に力を貸して欲しい・・・。」
そう言ってくるやまとに俺は頷いて
「わかってる。俺の出来る事なら協力は惜しまないつもりだ。だから、やまとの中にいる誰か。あんたも決して諦めないでくれ。俺も諦めない。皆を助けたいからな。」
そう言う俺に、やまとはふっと薄い笑みを浮かべると
「・・・そうね。今はあなたに頼る以外には方法もないみたいだし、僅かでも希望は持ちたいものね・・・森村君、もしもあなたに何かを伝える事が出来そうな時は、おそらくは私の方からコンタクトはとるようにはしてみる。けれど、あまり期待も出来ない可能性もある、という事だけは頭に置いておいて欲しい。私からは今はそれだけ・・・。」
そう言って、再び星桜の方へと視線を向けるやまとに俺は
「わかった。んじゃ、俺はそろそろ行くよ。やまとも遅くならないうちに帰れよ?じゃあな。」
そう言って俺は、皆の待つコンビニに向かう為にその場を後にした。
そして、コンビニに向かいながら俺はやまとの仲間への交信を試みる。
(聞こえるか?聞こえたら返事をしてくれ。)
そう頭の中で呼びかけると、少しして返答が帰ってきた。
(はい。聞こえています。何か御用ですか?)
その言葉に俺は
(お前等の仲間って奴に会ったぞ?なあ、どうしてお前等の仲間はやまとの姿をしてたんだ?)
そう尋ねると、やまとの仲間は
(・・・それは、彼女が、この世界で起きる事故の被害者だったからです。)
そう答えるやまとの仲間に俺は驚きつつ、更に問い掛ける
(どういう事だよ、事故の被害者って・・・)
その言葉にやまとの仲間はしばしの間をあけつつ
(・・・分かりました。お話しましょう。実は彼女は桜藤祭の当日に八坂さんと約束をし、星桜の樹の所で待ち合わせをしていました。しかし、時間になっても八坂さんは現れず、仕方なく彼女は1人で桜藤祭を見て回ろうと動こうとしましたが、その時に事故が起き、たまたま一番近くにいた彼女を巻き込む事になってしまったのです。今彼女の中に入っている私の仲間はそんな彼女の命を救う為に彼女に同化し、彼女を生き長らえさせている状態なのです。)
という説明を聞いた俺はやまとの仲間に
(その話が本当だとしたら、事故の原因を取り除いたらあんたの仲間はやまとの体から離れる事になる訳だよな?生命の維持の為に同化しているのなら、あんたの仲間がやまとから離れたらやまとは・・・生命維持が出来なくなるんじゃないのか?)
そう頭の中で強い口調でやまとの仲間に尋ねるとやまとの仲間は
(それは安心して下さい。今の時点ですでに彼女の傷は完治しています。もし、私の仲間が彼女から離れたとしても彼女が死ぬ事はありません。ただし、ループ中に彼女が体験している記憶は消えてしまいますが、それ以外は、元に戻った時には彼女も今まで通りに過ごしていけます。)
そう説明された俺はほっと胸を撫で下ろしつつ
(そうか・・・それなら安心だな・・・。それと、後1つ、聞いておきたい事があるんだが、この世界に俺の両親も、そして、瞬やしおんも、更に他の皆も存在している事はわかった。でも、もしもこの世界が俺の元いた世界とは存在する人達、いない人達が逆になっているとしたら・・・この世界にも俺は居たんじゃないのか?なのに、どうしてこの世界では俺だけが存在してないんだ?」
そう尋ねると、やまとの仲間は少し言いにくそうにしつつも、その俺の疑問に答えてくれた。
(・・・少し申し上げにくい事ではありますが、お話しておきます。あなたをこの世界へと呼ぶ前に私が森村さんにした説明は覚えていますよね?)
そう確認してくるやまとの仲間に俺は(ああ。ちゃんと覚えてるよ。)と答えると、やまとの仲間は、それを確認してから更に話を続ける。
(その中で、あなたが私に質問した、この世界にも世界を救う為に動こうとする人間がいなかったのか?という問いに私は、トラブルがあって、その人物とはコンタクトを取れなくなってしまったと言いました。実は、それが、この世界のあなただったのです。)
その言葉に俺は驚きつつ(え?どういう事だ?それって・・・)と言うと、やまとの仲間は続きを話してくれた。
(実は、この世界ではあなたも確かに存在していました。しかし、その時も言ったようにこの世界はあなたの居た世界とは合わせ鏡のような世界。その世界において、あなたのご両親も、そして、あなたの親友や彼女になったかもしれない人が生きています。ですが・・・あなたの世界では、あなたが幼い頃にご両親が亡くなられていますが、この世界においてはそれが逆となっていたのです。つまり・・・この世界のあなたは、この世界に生まれて1年程度で病気によって亡くなっているのですよ。だから、あなたのみがこの世界には、そして、今のこの世界を救う為に、動いて欲しい時間に存在していなかったのです。)
その言葉にかなりのショックを受ける俺。
そして、俺は、やまとの仲間に苦しげにうめきつつ
(だから、なのか?だから、こなた達も、瞬もしおんも・・・俺と出会ってもいなかったから、交流を持たなかったから、皆は俺の事を知らなかった、って事なのか・・・。)
そう言葉を搾り出す俺に、やまとの仲間はしばし無言で間を開け、少ししてから
(・・・残念ですが、そういう事です。だから、この世界では、牧村さんが死ぬ事もなく、そして、しおんさんも生きて、そして、普通に何の事故にも巻き込まれる事もなく、今まで過ごして来れたのです。そして、彼らはこなたさん達に出会った。本来なら、あなたが出会うべき人達に。)
そう言うやまとの仲間に俺は、少し落ち込みつつ
(そういう・・・事だったんだな・・・とりあえず俺の中で渦巻いていた疑問は解けたよ・・・。)
そう言うと、やまとの仲間は俺に
(・・・申し訳ありません・・・このような事をお伝えする事はとても心苦しい事ですが・・・。)
そう声のトーンを落としながらそう伝えてくるやまとの仲間に俺は
(構わないさ。それでも、この世界では瞬もしおんもちゃんと生きてるんだしな。俺がいない事は少し残念だったけど、それでもあいつ等の姿を見れたからそれでいいさ。さて、そうなると俺が頑張る理由がまた1つ増えたな。俺がどこまで出来るかわからないが・・・頑張らせてもらうよ。)
そう言うと、やまとの仲間はほっとしたような声で
(・・・私にはあなたに頑張って下さいとしか言う事はできませんが・・・どうかよろしくお願いします。)
そう言うやまとの仲間に俺は気を取り直して(ああ、やってみる。)と短く言って、今回の交信を終えた。
そして、もうすぐコンビニに辿り付く所まで来ていた俺だったが、その時、こなた達の居るコンビニでちょっとしたトラブルが起きていた事に、その時の俺は気付いていなかった。