ダンガンロンパアンサンブル ~希望の転校生と絶望の学院~ 作:粒餡
「さて、と・・・とりあえず、あそこにいる五人から話かけてみようかな」
そこに壁際に集まっている人たちは、先ほどメガネの人、長い、綺麗な銀色の髪をした人、金髪の長い髪の子、茶色の長い髪をした子・・・この子はどこか、テレビとかじゃないところで見かけたことがあるような・・・まあいいか、そして、ピンク色の長い髪の人だった・・・
「・・・なんというか、カラフルだな・・・」
「だよねー! みんな綺麗な子ばっかりで、お姉さん緊張しちゃうよ!」
「おうわ!?」
「あ、ごめんね、急に話しかけちゃって」
「あ、いえ、大丈夫ですよ、えっと、あなたは・・・」
「あ、私は八雲ちづる、『超高校級の演劇部』って呼ばれてるんだ!」
『超高校級の演劇部』
ヤクモ チヅル
「八雲・・・ちづる・・・まさか、あの?」
「あのって、どのかな? 女優の八雲ちづるのことなら私のことだよ! 知ってるかなあ?」
「いやいや! 知ってるもなにも超がつくレベルの有名人じゃないですか!」
八雲ちづる、数年前に突如として現れ、瞬く間に人気女優にまで上り詰めた人だ。恋愛ドラマによく出演し、その内容に合わせた演技の一つ一つに惹かれるという人は大勢いる。
「あはは、ありがと、だけどここにいる人たちはみんな超がつくレベルの有名人だと思うよ?」
「まあ、確かにそうですね・・・」
「だからさ、そんな緊張しないで、気軽に声をかけてね☆」
本人はこう言ってくれるけど、ぶっちゃけきついよなあ・・・
「さて、と次は・・・あの人かな、あのー」
「・・・」
聞こえなかったのかな?
「あのー!・・・あのー!!」
「・・・うるさい、あんまり大きい声、出さないで」
「あ、すみません」
「・・・何のよう?」
「あ、えっと、名前とか色々聞きに来たんですけど」
「・・・時国そら、『超高校級の天文学部』」
『超高校級の天文学部』
トキクニ ソラ
「超高校級の・・・天文学部?」
「そう、と言っても、新しい惑星を見つけただけだけど」
「新しい惑星を!?」
「・・・うるさい」
「あ、すみません、でもすごいですね、新しい惑星を見つけるなんて」
「別に・・・私はただ、宇宙人を見つけたかっただけ」
「宇宙人を・・・?」
「宇宙人は今まで見つかってない、あなたは何でだと思う?」
「えっと・・・存在してないか――」
「・・・」
話にならない的な目で見られてる・・・!
「ら、なわけなくて!」
「うるさい」
「あ、すみません、まだ、そこまで技術が発達してないから、とかですかね? 宇宙人といっても大きさは様々だと思いますし」
「・・・まあ、ギリギリかな」
「ええ・・・」
「私はそうは思わなかった、私は、まだ見つかってない惑星に宇宙人がいると考えたの」
「・・・もしかして、そのために?」
「うん」
「何でそこまで宇宙人に固執するんですか?」
「・・・私には、宇宙人の声が聞こえるの」
「・・・は?」
「どこかで、一人ぼっちの宇宙人が救いを求めてるの・・・! 待っててねまだ見ぬ宇宙人! きっと私が見つけてあげるからね! ゆんゆん」
俺は自分の世界に入ってしまった時国さんから離れた、やばい人だ、この人
「次は・・・あの人かな、すみません」
「ん、ああ、私の番?」
「はい、あなたは・・・」
「私は湖南やこ、『超高校級の映画監督』とかいう名前で呼ばれてるわ」
『超高校級の映画監督』
コナン ヤコ
「映画監督・・・ですか」
「ぱっとこない、っていう顔してるわね」
「あ、いやそんなわけじゃ!」
「ま、そうよね、特にあんたは今年の入学者の人数すら覚えてないぐらい些細なことは記憶しないタイプのようだし、映画監督の名前なんて気にしないに決まってるわよね」
「あはは・・・すみません」
「これでも『追われる者』で有名になったつもりなんだけどね」
「え、あの映画湖南さんが作ったんですか!?」
「まあね」
『追われる者』、主人公はある日、何者かに追われてるという感覚にとらわれ、その感覚から逃げるためにあちこちに逃げるが、その感覚はどこまでもついてくる。最終的に自殺するが、最後の場面で、主人公が自分の住んでいたアパートを見ている、というところで終わる映画だ。これだけ聞いたら面白さはよくわからないと思うが、実際に見てみると脚本、音響、俳優の演技から何から何までが素晴らしく、全国で上映決定がされたほどの名作だ。
「あれ、わたし的には最低の駄作なんだけど、あんなんで全国で上映決定されるなんて、本当にちょろいわね」
「あれで駄作なんだ・・・」
「当たり前でしょ、あんなありふれた作品、私じゃなくても誰でも作れるわ。まあ、最初は名を売るために試しに脚本とか音響とか全部自分でやってみたんだけど、案外なんとかなるものよ?」
「脚本とか音響もやってるんですか・・・」
「本当は他人に任せたかったんだけど、技能が低い奴らばっかで、結局私がやることになっただけよ。俳優とかも本当はもっとちゃんとしたやつ用意したかったんだけど、結局まともだったのはちづるだけね」
・・・あの俳優さんたち、全員すごい演技だったけど、この人の理想はどんだけ高いんだ・・・
「あ、ちづるさんとは知り合いなんですね」
「まあ、仕事柄よく会うわね、うざいけど、あれは間違いなく天才よ、うざいけど」
「あはは・・・」
「さて次は・・・あの子かな、ちょっといいかな?」
「あ、私の番ですか?」
「うん」
「私は小鳩あずさです! 『超高校級のテニス選手』として、キラキラ笑顔で頑張ってます!」
『超高校級のテニス選手』
コバト アズサ
「超高校級のテニス選手・・・あーっと、確か、『テニス場の天使』だっけ?」
「あ、あはは・・・確かにそう呼ばれてますけど、その名前は恥ずかしいのであんまり呼ばないでくれるとありがたいです!」
『テニス場の天使』――小鳩あずさは、自身のとてつもなく軽い体重を活かし、風に乗りとんでもない角度から打ってきて、その様から『テニス場の天使』・・・って呼ばれるようになったんだっけかな。
「わたし、テニスは実は中学校になってから初めてやったんですよ」
「え、それで大会とかでいつも優勝してんの!?」
「えへへ、そうなんですよ、と言っても、努力してないわけじゃないですよ? あずさは力がないし、体重もあんまりないので、強いのが来ると吹っ飛ばされちゃうこともあるんです! だからそのための練習とかもしっかりしてるんですよ!」
「へー、えらいな」
「ありがとうございます! これから三年間、よろしくお願いしますね! あずさのキラキラ笑顔でよければいつでも貸すので!」
笑顔を貸すってなんだろう・・・だけど、今の笑顔を見る限り、多分ここらへんも『テニス場の天使』って呼ばれる所以なんだろうな
「さて、最後はあの子か」
「あ、やっと私の番? もう遅いよ!」
「え、あ、ご、ごめん?」
何かこの子八雲さんとは別のベクトルで馴れ馴れしいんだけど・・・
「・・・もしかしてその顔、私が誰か忘れちゃったの?」
「・・・ごめん、なさい、全く思い出せないです」
「まあ・・・そうだよね、ごめんね、やっぱりちっちゃい頃の友達のことなんて覚えてないよね・・・」
やばい、落ち込ませてしまった・・・だけど、ちっちゃい頃の友達・・・? そんな時に、超高校級になれるレベルの子のことなんて忘れるわけないと思うんだけど・・・ん?
「・・・もしかして、なつみちゃん?」
「!、思い出してくれたんだね! 新人くん!」
「あはは、ごめん、あの頃から随分とその・・・大きくなってて気付けなかった」
「お、大きくないもん!」
三波なつみ、おれが小学生の高学年ぐらいになるまで仲が良かった女の子だ。残念ながらとちゅうで転校してしまったけど、まさかこんなところで会えるなんて・・・
「えっと、それでなつみちゃん・・・三波は、どんな才能なの?」
「なつみちゃんでもいいのに・・・」
「この歳になって名前でちゃん付けはちょっときつい・・・」
「・・・まあいっか、思い出してくれただけでも嬉しいからね、じゃあ、改めて、私は三波なつみ、才能は、『超高校級のファッションデザイナー』だよ」
『超高校級のファッションデザイナー』
ミナミ ナツミ
「ファッションデザイナー・・・そういえば、子どもの頃そういう職業につきたいとか言ってたね」
「うん! 転校した後も、自分で服をデザインしてみたり、作ってみたりしてたらいつの間にかこんなところまで来ちゃったよ」
「そうなのか・・・でも、すごいね、自分の好きなことでそのまま認められるなんて」
「そんなことないよ、君だって、ちゃんとこうしてここにいるじゃない」
「でも、俺は成り行きでここに来たようなもんだし」
「私も同じようなものだよ、要は気の持ちようだって!」
「あはは、そうかな・・・そう言われてたら、なんだかそんな気がしてきたよ」
「そうそう、何事もポジティブに行かなきゃね!」
三波は子どもの頃と変わらず相変わらず元気だな・・・俺も見習いたいぐらいだ、まじで