---アーゼ---
幻想の森の魔女様の回復薬を服用して、どうにか動けるようになった。そこに、ダーリンが転移してきた。顔色は土色であった。
「マズい状態だな。イネニマアナ、増血剤を作りなさい」
ダーリンの意識は無い。でも、手が微かに動き、持っている薬剤を魔女様に手渡していく。
「わかった。修復薬だな」
傷が深い。貫通しているようだ。ダーリンのお腹に、肉のトンネルがある。
「う~ん…足り無い…修復薬をもっと出しておくれ」
手が微かに動き、薬瓶を幾つも出す。だけど…
「ハイエルフ様…最悪な事態も想定していてくだされ」
と、ダーリンの容体の悪さを告げられた。ミーアが魔法の本を取り出し、呪文を唱えている。修復魔法か?私に出来る事…ミーアにエネルギーを譲渡することだけだ。ナナもエネルギーを譲渡していく。だけど、ミーアの体力は削られていく。エルフは体力が元々少ない生き物だから。そして、ミーアとナナが意識を飛ばした。エネルギー不足によるマインドロスト状態のようだ。二人をベッドへ運び、休ませる。
「ギル…帰って来い!」
「ギル様…」
魔女様と魔女様の弟子が、ダーリンに声を掛けるが、反応は無い。どうすればいいんだ?
「おまたせ♪」
ミトとセーラがやって来た。二人が魔女様から状況を訊き、青ざめていく。
「マズいんだね。セーラ、回復魔法を掛けて。私は修復魔法を掛けるから」
「はい」
二人の懸命な救命作業。
「修復が効果無いなぁ。何が悪いんだろ?」
ミトが嘆き始めた。その時、ダーリンの手が微かに動き、何かの書物を取り出した。
「これは…人体再生の書かぁ…そうか…ギル…まだ、生きたいんだね」
書物に目を通すミト。
「そうか…修復魔法って、部位ごとに修復するのか…まずは骨格の再生、そして、神経、血管、内臓、筋肉、皮膚の順か」
書物を理解すると、徐々にダーリンの身体は再生されて行った。セーラの回復術で、体力、生命力の低下を抑えている。でも、このままではセーラが…
「遅くなりました。クハノウ伯爵から、回復薬を頂いていきました」
リザ達が回復薬を大量に持って来た。これで、生命力の低下を抑えられるはず。
治療2日目…ミトが限界に達してきた。
「代わる」
ミーアが復活して、ミトから方法を習っている。これで持ち堪えてくれるかな。私は、神楽を舞う。音は無いが、舞を舞って邪気を祓っていく。
治療3日目…セーラが鬼気迫る表情で、回復魔法を掛けていた。
「こんな大変な作業を、一人でしてくれたんですね」
そうだった。セーラの身体の修復は、ダーリンが一人で熟したんだ。たった、一人で…大罪を犯しながら…そして、今回、私を助ける為に、また大罪を犯したダーリン…お願いです。生き残ってください。こんな別れはイヤです。
「到着♪」
アリサの声。サトゥーさんもいる。
「おい!兄ぃ、ありったけの回復薬を出しな。謝罪はその後、みっちりと聞くからな」
ミトも鬼気迫る表情で、サトゥーさんに、薬を出させた。
そして治療4日目…ダーリンの顔色に血の気が…喜ぶみんな。
「もう一息だわ。油断しないで」
ミトの声が皆を引き締めた。