彼女がいれば…   作:もっち~!

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壊れし鳥居に導かれ

無事にテニオン神殿に到着した。ミト、サトゥー、ルル、アリサ、ゼナ隊は、オーユゴック公爵に挨拶に向かった。表舞台はミト達に任せ、僕達はリリーの元へ挨拶に。

 

「元気そうね、ギル、セーラ」

 

巫女長が優しく出迎えてくれた。

 

「巫女長様もお元気そうでなによりです」

 

「で、ギル。私に訊きたいことでもあるのかしら?」

 

頷く僕。仕入れてきた情報をリリーにぶつけた。

 

「う~ん…7つの欠片と、七人の勇者?心当たりがないわ。ごめんなさい」

 

リリーの表情は、言おうかどうかを迷っているように見えた。

 

「何か情報でもありますか?」

 

「不確かな情報なの。遺跡…建造物だと思うのだけど、石で出来た門が倒壊している場所があるのよ」

 

場所を訊くと曖昧であった。セダム市とセーリュー市の間くらいだと言う。戻るか…

 

「リザさん、馬車を準備してください」

 

僕が決断するより早く、セーラが動いた。

 

「わかりました」

 

リザが、出発の準備をする為に、馬車へと向かった。

 

「ギル様、まいりましょう♪」

 

「そうだな。リリー、また来ます」

 

「えぇ、いつでもいらしてね。ギル達なら大歓迎よ」

 

っと。

 

-------

 

馬車に乗り込み、出発をした。そうだ、ミトへ連絡をしないと、むくれるよな。

 

『遺跡の情報を得た。出発する』

 

と、ミトだけへメッセージを飛ばした。

 

『えっ?夕食会を誘われたんだけど…』

 

『ミト・ミツクニ公爵におまかせします。僕達は平民だから♪』

 

『ダウト~!』

 

なメッセージをヤリトリした。

 

『どこに向かっているの?』

 

ミトに訊かれた。

 

『セダム市とセーリュー市の間を目指す』

 

『何があるの?』

 

『石の門だって…』

 

しばらく間が開き、

 

『兄ぃから情報だよ。石で出来た3基の鳥居が倒れているそうだよ』

 

サトゥー達は見つけていたのか。すると、リザ達も見ているのかな。

 

「リザ、石の建造物が倒れている場所は見たのか?」

 

「記憶にうっすらと有ります。ですので、そこへ向かっております」

 

笑顔で言葉を返してきたリザ。

 

「見つけた時、周辺を捜索したのか?」

 

「していません」

 

していないのか…そういや、その辺りなら、ユーヤの迷路が近いか?それとも幻想の森か?

 

「リザ、幻想の森に寄って、、魔女様に話を訊こう」

 

「了解です」

 

-------

 

幻想の森の魔女様の元に着いた。

 

「ギル、どうしたのじゃ」

 

早速、倒壊した石の門のことを訊いたのだが、

 

「この森から、あまり出ないのじゃ。なので、よくわからないのぅ」

 

そうか…魔女様の元を立つ僕達。現物を見てみようと思ったのだ。

 

で、石の鳥居は確かにあった。幻想の森と迷路の中間辺りだろうか?確かに3基が倒壊している。探査をすると、『壊れた 転移門 ( トラベル・ゲート ) 』と表示された。転移門…どこと繋がっているんだ?そもそも、どうして倒壊しているんだ?地震か?役目を終えたのか?判らない。付近を探索する。何かのゲームでは祠が転移のゲートだったよな。って、探すが祠は見付からない。そうなると、鳥居だけで転移門の役目なのか?

 

「ナナとリザだけ着いてきて。後はそこにいて」

 

何が起こるかわからないので、二人だけを連れて、鳥居のあった地面に降りた。魔法陣の類いは無いようだ。折り重なるように3基共に倒れている。そうなるとストーンヘンジのような円周上に立っていた訳でも無いようだ。

 

「マイマスター。この石の建造物は、微量ですが魔力を帯びていると報告します」

 

ナナから報告が上がってきた。魔力を帯びる石?魔力を通すと、起動するのかな?

 

「リザ、セーラ達の護衛を頼む」

 

「ギル様は?」

 

「もう少し、ナナと調べて見る」

 

「わかりました」

 

後を振り返り、セーラ達の元へ行くリザ。その後姿に、何か違和感を感じた。何だろうか?あぁ、今は石の鳥居かぁ。魔力を通して見ると…

 

-------

 

場面が暗転した。ここは?ゆっくりと瞼を開くと、3基の石の鳥居が連続して立っている参道にいた。転移したのかな?周囲を見回すと、どこかの神社のようだ。社があると思われる石段を昇っていく。神楽殿がある立派な神社のようだ。

 

説明板には、天之水花比売という神を祀っているとある。この神様は竜神様であり女神だそうだ。女性の竜神様?想像が付かない。竜の性別ってどうやって判るんだろうか?

 

「そこに王子が現れ、悪い竜を剣の一振りで倒してしまったのです」

 

「その話、嫌い。竜は悪く無いもん」

 

突然、耳に入ってきた少年と少女の会話。少女の髪は光の当たり具合で、黒くなったり、青くなったり見える。不思議な髪の毛である。そんな少女の髪の毛に見とれていると、

 

「この神社は、竜の神様を祭っているのよ。水花姫っていうの神様よ」

 

って、少年に説明している。今度は、光の当たっている箇所が橙色に見える。虹色ヘアなのか?とても不思議で神秘的である。

 

「そいでね、そいでね。水花姫は虹を渡ってやってきたの。この神社のある山の上で舞っているところを村の若者に見られて怒っちゃうの」

 

「どうして怒るの?」

 

「誰にも見られてはいけないから。それでね、怒った女神様は、竜に変身して空に昇って行って、3日3晩雨を降らせ続けたの」

 

3発の流星雨なら、どこかで聞いたような。どこだっけかな?

 

「でね、舞を見ちゃった若者は、この山の上で女神様に必死で謝ったの。それで、女神様は許してくれて若者と結婚するんだよ」

 

高い場所で舞う…結婚…どこかで聞いたような聞かないような。記憶が混濁している。どうしたんだ僕は…

 

「ねぇねぇ、知ってる?一郎君、この神社の祭神の天之水花比売はね。昔一人の人間の若者と結婚していたの。でも相手は人間だから先に死んでしまうのよ。彼は死ぬときに水花比売に約束したの。『いつか再び生まれ変わって貴方の下に帰ってきます』ってロマンチックだと思わない?」

 

僕は目を見張った。小学生くらいだった少年と少女が、中学生くらいになっていた。時間が飛んだのか?一郎?どこかで訊いたような名前だな。で、女神と若者の結婚って、さっきの話の続きか?

 

「生まれ変わりってあるのかな?」

 

「あるわよ」

 

断言している少女の髪の毛は蒼い。不思議な髪の毛だ。

 

「でもね、生まれ変わるだけじゃダメなの。神と人では寿命が違うから、また離れ離れになってしまうのよ」

 

だからハイエルフなのか…ふと、脳裏に浮かんだ。だから、なんだろうか?

 

「好きな人を神様にしちゃえばいいんじゃないのか?」

 

「好きに神格を与えられるほど神様も万能じゃないのよ。それに、一人分の魂じゃ足りないの…幾つも縁り合わせないと、ダメらしいのよ」

 

だから、転生を繰り返し、魂を幾つも縁り合わせるのか…って、誰のことだ?僕の中に残るギルガメッシュの意識が納得しているようだ。

 

『その為に作られた世界だよ』

 

って、ギルガメッシュがメッセージを送ってきた。どうやって?

 

『僕は君、君は僕。僕の名前を受け継ぐってそういうことだよ、ニイサン』

 

どうして…僕の名前を…これも縁り合わせの御業か?って、少女の髪が藍色に染まっている。どうして?

 

『虹色の髪なんだろう。七つの色を持っている。もしかすると、七人の人格かな』

 

七人…勇者?まさか…勇者は女性なのか?

 

「これはね、RPGって言うゲームでね、弱いキャラが雑魚を倒して強くなって、最後に魔王を倒すゲームなんだよ」

 

高校生くらいになった二人。今度はゲームの話をしている。

 

「おお、魔王を倒すのか!すごいのう!ところで、魔神は倒せんのか?」

 

「このゲームは隠しボスが、何種類かいるんだけど、神様や魔神も確かいたはずだから倒せるよ」

 

「それはいい! さあ、やるぞサトゥー! はやく起動するのじゃ!」

 

少女の口調が変わっている。少年は…一郎でなくて、サトゥーになっている…って、あのサトゥーか?ミトはイチロー兄ぃって呼んでいたような。まさか、虹色の少女はミトなのか?ギルガメッシュは沈黙している。ミスリードなのか?

 

「今日は何を読んでいるの?」

 

ゲームをしていたはずなのに、少女は分厚い本を読んでいた。僕が時間移動していると言うより、目の前の二人の場面が、暗転して変化しているように思える。

 

「うむ、『神は死んだ』とか、寝ぼけた事が書いてあったので、興味を引かれたのじゃが」

 

「へー、神様って死ぬの?」

 

「うむ、死ぬぞ。じゃが、死ぬだけだ。放って置けば勝手に蘇る。神は不滅じゃからな」

 

 

「それは死ぬって言うのか? 単に仮死状態なんじゃ?」

 

「いや肉体的には死ぬのじゃ。一度死んだ後で、精神体になった神が、己の魂を作り、新しい体を作り上げて復活を果たすのじゃ。もっとも、上位の神であれば、そんな面倒な手順を踏まんでも、あまねく世界に遍在する故、死んでも一瞬の後に、復活を果たすのじゃ」

 

サトゥーという青年を見ながら、少女がクスクス笑っている。死んでも一瞬で復活?死に戻りか?

 

「まるでお主のようじゃな。お主はどの世界でも、どの時代でも、いつもイチローじゃ。まるで時空を超えて遍在するように、我がいかに変わろうと同じように友になり、接してくれる」

 

「光子、練習の時間よ!」

 

遠くから大人の女性の声が聞こえる。

 

「ふむ、時間だな」

 

髪の毛の色が黒く染まっていき、彼女の口調に変化が現れた。

 

「ねえ、鈴木君。良かったら私のカグラ舞いを見ていかない?」

 

鈴木一郎って言うのか、あの青年は…サトゥーでは無かったのか?う~ん…

 

二人の後を付いていく。神楽殿に巫女姿の少女が現れた。赤い袴に白い衣、額には白い鉢巻きが巻かれていた。どこかで見たような。どこだっけかな?

 

「ヒカルの舞いも上手くなってきたでしょ?」

 

少女の母親らしき者が、鈴木青年に話し掛けた。あれ?少女って、光子じゃないのか?ヒカル?まさか、ミトか?

 

「はい、本職の巫女さんみたいです」

 

「うふふ、お金を貰っていないから職じゃないかもしれないけど、あの子は本物の巫女よ。舞は神をその身に降ろすためのモノなの。よく見て目に焼き付けておきなさい、サトゥー。いつか貴方の役に立つ日がくるわ」

 

鈴木青年をサトゥー呼びする母親。僕の記憶が混濁しているせいか?う~ん…

 

-------

 

遠くで誰かの声が聞こえる。今度は僕の場面が暗転したようだ。ここは?

 

「ギル…大丈夫?」

 

「ギル様…」

 

「ギルさん…目覚めてください」

 

ここはどこだ?ボンヤリと周囲を見る。倒壊している石の鳥居…彼女達は誰だ?記憶が渦巻いている。

 

「ダーリン…」

 

誰かが唇を重ねて来た。恐る恐る舌が入って来た。僕の舌に触れ、舐めている。彼女の手に誘導され、彼女の胸に触れた。柔らかい…誰だっけ?

 

「おっ♪胸が揉まれているわ♪生きている証拠ね」

 

「さすが、廃エロフ様ですね。やることがエグい」

 

「こんなマネは、ちっぱいな元勇者様には無理ですわよね♪」

 

「まぁまぁ、お二人とも…今はギル様のことを、お考え下さい」

 

手を彼女の頬へ伸ばし、頬に触れた。

 

「ギル様…おかえりなさい」

 

思い出した…ありがとう…

 

「リザ…ただいま…」

 

僕に泣きながら抱きついて来たリザ。

 

-------

 

意識の戻った僕は、ナナに背負われて、馬車まで連れて行かれた。そこで、少し休んで、みんなに訊いた。

 

「で、僕はどうなっていたんだ?」

 

「一瞬消えて、再び現れたと報告します」

 

ナナは、消えなかったらしい。もしかすると、魔力を通した者だけが、転移するのかもしれない。

 

「何があったんだよ?」

 

ミトに訊かれた。混濁した記憶から、少しずつ思い出して、見て来たことを話した。その話を聞いて、固まるミトとサトゥー。どうしたんだ?

 

「そういうことなのか…だとすると、兄ぃが召喚されて、役目を終えて倒壊したんじゃ…」

 

「そうなるのか…」

 

「何がどうなるんだ?」

 

二人だけ納得しているんだけど…

 

「どこから話せばいいかな。実は私も混乱しているんだよ」

 

ミトだけで無く、サトゥーも珍しく瞼を閉じて、何かを考え込んでいた。

 

 

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