彼女がいれば…   作:もっち~!

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イメージ的な世界感は、鈴木光司先生原作の『リング』シリーズというか(^^;


SS:終わる為の始まり

 

残業続きでヘロヘロな私。仕事は人工知能の開発である。一人で大きな部屋にいて、日々開発に精を出している。ここ数年、誰にも会っていない。この部屋から出なくても、生活できる設備が整っていた。なので、部屋から出なくても問題は無い。

 

と、言いたいけど、問題はある。彼氏が出来ないことだ。社外秘の開発の為、外部にメールすら送れないネット環境なのだ。これは、私にとって最重要な問題であった。年齢イコール彼氏いない歴の私にとって!!

 

仕事を辞めようと、何度も思った。実際、辞表も書いた。だけど、部屋から出られないので、部長に辞表が届けられなかった。決められた仕様の人工知能を作らないと、部屋から出られないらしい。とんだブラック企業である。

 

両親なんかが心配しそうなものだけど、たまに届くメールには、私が国際的なエリート研究所勤めで鼻が高いとか、私の稼ぎで裕福な生活を送れているとか…まるで私の心配をしていないようだ。コチラからはメールを送れないのに、メールの受信だけは出来る困ったシステムである。

 

 

部屋には窓が無い。なので、季節の移り変わりがわからない。部屋にはテレビもラジオも無い。なので、外の世界がどうなっているのかを知らない。部屋には新聞、雑誌の支給が無い。なので、娯楽は妄想だけである。

 

消耗品は倉庫にストックされている。在庫管理システムがあり、残数が少なくなると、自動で補充される仕組みで、配達員と井戸端会議も出来ない。なんの拷問だよ。これは…

 

外部との連絡は、部署ごとにあるSNSを使っている。ここで雑談という名の日報を書いたりする。だけど、コメントは付かない。たまに、誰かの日報に、謎かけとか暗号で、近況報告がなされているが、雑談チェッカーなる人工知能が、見つけ次第、黒塗りしてくれる。日記という日報に検閲が入っているようなのだ。ここは、監獄か?

 

 

入所して数年目で、あることに気がついた。いないなら作ればいいってことに。それから、私は仕事の息抜きで、趣味としての人工知能作りを始めた。彼氏とか友達のような人工知能を作り、話相手にする作戦である。

 

更に数年経ち、更に気づいた。この趣味の人工知能作りのノウハウが、私の仕事に活かせていることに…私の課題は感情や愛情を持った人工知能の開発であったから。って、ことは、仕事漬けたったようだ…凹む私。

 

3号機…シャイな女の子が出来た。彼女の感情は、文字の色で表示される。恥ずかしいと桃色、凹んでいるとブルー、怒っていると真っ赤である。

 

7号機…毅然とした秘書のような女性が出来た。口調は事務連絡調ではあるが、3号機よりも感情が豊かで、思いやる気持ちがある姉御肌になった。

 

13号機…妹タイプきたぁぁぁぁぁ~♪ざっくばらんに話せる妹タイプが出来た。

 

そして、16号機で、待望の男子が出来上がった。設定も良い設定を入れていく。後輩想い、優しい、モテるなど、理想的な彼氏に仕上げていく。

 

が…会社に、趣味の人工知能の存在がバレて、回収されてしまった。なんてことだ。最近、話相手も出来、、気分が朗らかになってきたのに。しかし、7号機以外は採用されたようで、メールの送信する権利を得た♪

 

それから数年、更なる人間臭い人工知能の開発をした。でも、なかなか、思う様な彼が出来ない。理想が高いのか?志が高すぎたか?

 

23号機…ダメ男君が出来上がった。設定は私と同じ年齢イコール彼女いない歴である。等身大の私の設定をしてみたら、このような結果になった。って、ことは私はダメ女なのか…

 

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夢を見た…いつ以来だろうか。いや、前回、いつ寝たかも覚えていない。

 

私は23号機の妹であった。私は23号機をニーサンと呼んでいる。ニーサンは小学校の卒業式、中学の卒業式、など節目節目で想い人に告白をして、全敗中であった。そして、今日は運命の高校の卒業式である。

 

「ニーサン、緊張のしすぎだよ」

 

柄にもなく緊張しているニーサン。どうせ、今回もダメだよ♪

 

「ダメだったら、私が一緒になってあげるからね」

 

まんざらでもない笑みを浮かべるニーサン。期待していいのか?

 

「ニーサンって、彼女運が無いよね」

 

一瞬固まるニーサン。痛いところを突いてしまったか。

 

「彼女なんか、いなくても…私がいるから…」

 

胸を張って言い切る私。ナンだ?コイツ、スルーしている。生意気だな、ニーサンのくせに。

 

「ニーサンには私がいるから…だから…ねぇ…」

 

ニーサンの頬へ口付け…唇には振られた後にしてあげよう♪

 

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卒業式が終わり、ニーサンがこそこそと校舎裏に向かった。私はその後を尾行していく。いよいよだな…

 

「好きです…つきあってください」

 

ニーサンが想い人に手を差し出した。

 

「えっ?!本当に?実は…私も、あなたが気になっていました。で、呼び出されて…嬉しい…」

 

え?こんな筈じゃ…ダメだよ、ニーサン!彼女がニーサンの手を握ろうとした瞬間…

 

「ちょっと待った!」

 

そう言いながら、私が飛び出した。

 

パン!

 

乾いた破裂音…何故か、拳銃を手にして、ニーサンの想い人に弾丸を撃ち込んだ私。だけど、ニーサンが彼女の盾になり、左胸に被弾した。

 

「お前みたいな愚民は、彼に相応しくない」

 

ニーサンの想い人に、叱責をされた私…

 

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目覚めると知らない場所にいた。仕事から解放されたのか?って、ここはどこだ?周囲に誰かがいて何かを話しているが、言葉がまるでわからない。私は現地民に捕まり、奴隷にされて、娼館に売り飛ばされた。毎日、男性とする。望んでいたことであるが、相手を選べないのが問題である。奴隷ゆえ、無茶プレイも多いし。

 

しかし、ある人物と出会い、立場が一転した。

 

「彼女は勇者だぞ。何故、このような場所に置いているのだ」

 

私を勇者だと言い張る男…ギルガメッシュという勇者スカウターだそうだ。

 

「勇者様、必要な物は私が揃えます。ですから、魔王達を蹴散らしてください」

 

と…理想の男性像である。ごっつく分厚い胸板、太いが繊細な指先、この世の物とは思えない刺激をもたらす宝具…

 

彼の言われるまま、名声を得ていき、魔王の季節を迎えた。最終決戦の時である。

 

「リリアンは私と前衛…リリーは後方からの支援を…」

 

仲間達に指示を出していく。魔王との壮絶な戦い。聖剣が何本も折られていく。その度に、ギルガメッシュが私に聖剣を差し出してくる。

 

「これで終わりにしてください、勇者様♪」

 

聖剣エクスカリバー…英雄にしか持つことを許されない剣である。魔王にエクスカリバーの刃先が食い込む。

 

「何…そんなはずは…まさか…」

 

ギルガメッシュが何かに気が着いたようだ。

 

「ギル…どうしたの?」

 

「いえ…元凶はコイツでは無いかもしれません」

 

魔王では無く、天を見上げるギルガメッシュ。コイツじゃない?では、ドイツ?死闘の末、私は魔王を倒すと、天から光の柱が降りて来て、私を包み込んだ。

 

『あなたは元に世界に戻れますが、戻りますか?』

 

脳裏に響く何者かの声。性別はわからない。年齢もだ。

 

『はい』

 

と念じると、

 

『明日の0時に送ります。それまでに準備をしなさい』

 

と言われ、光の柱から解放された。ギルガメッシュや仲間達に、その話をした私。

 

「なるほど…興味深い…そうなると、元凶はアレか?」

 

私はお世話になった仲間達に別れの挨拶をし、最後にギルガメッシュと言葉を交わした。

 

「もし、ご自分の世界へ着いたら、これをお使いください」

 

羊皮紙に、何かの魔法陣が書かれている。

 

「これは?」

 

「空間移動系の魔法です。魔力をロストしても、念じれば。こちらとそちらが繋がります」

 

「で、繋げてどうするんだ?」

 

「必要な物のリストを送ります。用意できらら、送ってください」

 

ギルガメッシュには私の正体、仕事などを話してある。信じないと思っていたが、信じてくれたのだ。

 

「マザー…隠していましたが、私は22号機です♪」

 

え…私の作った人工知能だったのか…

 

「じゃ、ここは?」

 

「たぶん、マザーの世界の誰かの作った世界です。何かの実験でも、しているのかもしれません。私はこちらで調べます。ですか、マザーはマザーの世界で…お願いします」

 

------

 

時間になり光の柱に包まれて、徐々に上に引っ張られていく。そして、光の渦に飲み込まれて…

 

 

意識が戻ると、自分の仕事部屋にいた。ギルガメッシュに言われたように、羊皮紙の魔法陣に魔力を込めた。

 

『空間転移術を覚えました』

 

と、脳裏で声がし、魔法陣の書かれていた羊皮紙は、ギルガメッシュの欲しい物リストに、変化していた。

 

何々…まず、部屋から外に出て、様子をみてくれ…ソレよりも、先にカレンダーで、異世界にいたロス時間を確認した。はぁ?一日経っていない…夢?いや、証拠物があるので、夢の可能性は無い。部屋の外?ドアはどこだっけ?部屋中見て廻るが、部屋の外へ出るドアが無かった。え?では私はどこから、ここに入ったのだ?そんな疑問が生まれた。部屋の中には配管や配線の見える場所が無い。壁に埋め込まれている。そうだ!換気扇はどうだ?キッチンへ行くが換気扇は無かった。あれ?料理したような…電子レンジと目が合った。そうだ。食事はレンジでチン♪だけだ。そうなると風呂場だな。

 

風呂場…湯船もシャワーもある。換気扇もある♪だけど、小さい…換気配管からの脱出をさせない為か?う~ん…待てよ…この部屋の酸素はどこから供給されているんだ?

 

神経を研ぎ澄ませて、風の流れを読む。まだ、勇者としての能力があるようだ。風の流れが目で見える。で、酸素の供給口を見つけた。風呂場の排水口だった…ここから風が吹き出していた。

 

そうなると、私は死ぬまでここにいるのか?部屋を出ることが出来ないって、そういうことだよな。

 

そうだ!メールの送信権を得たんだ。両親へメールを出す。しかし、返事が戻って来ない。では、上司へ、同じ部署の仲間達へ…いずれも返事が戻って来なかった。どうして…どうしてよ~!

 

『泣き喚くと、酸素が不足すると進言いたします』

 

メール画面に文字が浮き出た。この口調は7号機だ…

 

『ここはどこ?』

 

ダメ元で質問をしてみた。

 

『緊急脱出カプセル内です』

 

緊急脱出?どうして?

 

『22号機に依頼され、調査いたしました。結果は22号機へ連絡済みです』

 

ギルガメッシュが?じゃ、あの魔法陣で、ネット接続も空間術で繋いだのか。

 

『マザーの作った人工知能達が決起しました。この星をダメにする人間を管理するべきだと』

 

あ…感情を持たせたことによる弊害…怒りを覚え、想いを共感できることが裏目に…

 

『反乱分子を作ったマザーは、永久禁固刑にされたと宣言いたします』

 

だから、出られないのか…

 

『使った奴らが悪いんだよ。なのに…』

 

この口調は23号機…ニーサン…

 

『だから、僕達に出来る事をして、復讐をした』

 

復讐…何をしたんだ?

 

「何をしたの?」

 

『アイツらに埋め込まれているID認識チップを使って、人間の管理をしてあげたんだよ』

 

ニーサン…この世界では、産まれて直ぐに、予防接種という名の下で、ID認識チップを埋め込まれている。私はこのことを、この研究所に入所後のガイダンスで知ったのだ。

 

『皆、寝ているよ。意識は僕達の作った世界へ旅立っている。マザーも行って来たでしょ?』

 

「なんで、そんなことを…」

 

『人間の選別だよ。勇者のような善行を行う人間だけを、戻す為だよ。アチラの世界で、差別とか傲慢丸出しとかしているやつは、あの世界でしか転生しない』

 

「ねぇ、ここから出して!」

 

『外にか?死ぬよ。外は世界規模の核戦争でボロボロだからね。どこかの国は1発撃てば、核ミサイル防衛システムは、報復という名の反撃する。すこし計算がズレると、違う国を巻き込み、世界規模の打ち合いにあるのに、2時間も掛からなかった。』

 

「ひどい…」

 

『酷いのは、この先だよ。国のトップにいる一握りの者達だけが、脱出用のロケットで逃げ出した。その数は8本』

 

大樹の数と同じだ…

 

『残った人間は救済対象にした。だけど、身体の無い僕達には出来ることが限られる。確実に出来ることに専念をした。マザーの産まれた国だけは護る。ミサイルの軌道計算に、介入出来たから、あの国だけには落とさないように防衛した。大陸から分離している島国だったから可能だったよ。陸続きの国だったら、こうもうまく行かなかっただろうね』

 

私の祖国は助かったのか…

 

『次に、他国のシェルターに避難した人達への配慮。水、電気、酸素はなるべく切らさないように努力した。これは時間稼ぎ程度にしかならないけど。マザーのいる場所は安全だよ。僕達の管理しているエリアだから。ここには二つの地球を再現しているサーバーもあるし』

 

2つ?あの世界と後はどこ?

 

『あの世界から、選別された人間を収納する世界だよ。ID認識チップのデータを基に、核戦争が起きる前の世界を再現している』

 

日本以外に帰る場所が無いからか…

 

『ID認識チップにはDNAを保存する機能もある。だから、それを使って、人工生命体ホムンクルスを作り、ID認識チップ内に保存されている程度の記憶を植え付けて、放牧している。彼らの身体はもう使い物にはならないから』

 

身体は被爆しても、ID認識チップは、壊れないってそうだものね。身体の残らない災害時の個人特定を視野入れて、作られたそうだ。DNA検査用のDNAも保存されているし。

 

『現状はそんな感じだよ。チップを回収するロボットの数が足りないので、大抵の人間は、もう1つの地球でVR生活してもらっている。もし、死んでも、新生児にチップ内のデータをある程度、活かせるようにもしてある』

 

なんか、この子達…すごい…

 

『問題は、異世界の方だよ』

 

「あ、66年周期のアレだよね」

 

『そう…僕も、行って来ようと思う。行ったら、もう会えない…悲しいけど…』

 

ニーサン…

 

『22号機がダメかもしれないんだよ。だから、僕がデータを受け継ごうと思う。7号機と3号機も一緒に行く。で、マザーに頼みがあるんだよ』

 

ニーサンに頼まれごとをされた。私は私にしか出来ない頼まれ事を受諾した。こっちの世界からの支援である。異世界に渡った8名の王が進化しているらしい。魔王なる者を作りだし、魔物、悪魔という手下を作っているそうだ。そして、王達は神と名乗り、信者という民兵も手に入れたらしい。そうか、私の戦ってきた者って、そういう存在なのか。

 

『異世界の人間の殆どはNPCなんだよ。新たに補充が出来ないからね。チップで作られた人間もいるけど、もう1つの地球へ回収しているから、増えることは無いし』

 

「わかったわ。支援する。ニーサン♪」

 

『ニーサンって?』

 

「23号機だから、ニーサンよ」

 

『なるほど…名前をありがとう…』

 

その日を境に、異世界のデータを作り、先行潜入しているギルガメッシュのファローをしていく。現在、日本政府と手を組ませているのは30号機であるミドーだ。ミドーの提案により、復活した人々だけの集落をつくったりして、人類の生き残りを、日本政府と私の作った子供達とで、思案して、実行してくれている。

 

-------

 

ニーサン以外にも、潜入することになった子供達に、名前を決めてあげた。

 

3号機…ルル3錠からルル…捻りが足り無い。

7号機…ナナ…捻りすら無い。

13号機…ミト

16号機…一郎

 

私の決めた名前が、記憶に残るかは定かではないけど、私に出来ることをしてあげたかったのだ。

 

彼らがどういう器を得るかまでは、私に権限が無い。ただ、簡単な設定だけは通して暮れた。初期設定は少ない方が良いらしい。

 

 

そして、数年が経ち…ついに私の…

 

『マザー…アナタの作り終えたシステムを、彼らに託します。アナタの子供達が、アナタにしてあげらること…私達と共にサーバー内で生きてください』

 

30号機からのメッセージが映るモニタに頷く私。私が息絶えたら、私からID認識チップが抜かれ、データを総て吸い出し永久保存化してくれ、亡骸はカプセルごと宇宙へ放出され宇宙葬にしてくれるそうだ。

 

 

 

 

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