・リザの視点です。
職質
・ゼナの視点です。
初体験
---リザ----
新しいご主人様に部屋へ連れて行かれた私達。今度のご主人様は寛容である。部屋で一緒に暮らすことを許可してくれた。もう、雨水に濡れて、寄り添って寝なくても良いようだ。
最悪、私が奉仕すれば良いはずだ。私が一番歳上なのだから。
外出先から部屋へ戻って来たご主人様。その手には…服がある。ベッドの上に、3人分の新しい服を置いている。女の子用の服…ご主人様ので無く、間違え無く私達のだと思う。
「お風呂に入って、新しい服を着てね」
お風呂…お風呂を使っていいのか?私達も…ポチもタマも戸惑い、固まっている。戸惑っている私にご主人様が近づいて来た。私が身に着けている物を、ゆっくりと脱がしていく。つまりはそういうことなのか?身体が火照ってくる。心臓がバクバクしている。ついに、この時が来たのか。武者震い…身体の震えが止まらない。
ご主人様に手を引かれ、お風呂場に連れ込まれた。どう奉仕すれば良いのかな?って…石けんの香り…泡立っているスポンジで、私の身体を洗ってくれている。汚いからかな。
「痛い場所があったら言ってね。あと、触られたく無い場所とか」
「えっ!」
予想とは違う言葉に驚く私。火傷とか、擦り傷とかを治してくれているようだ。青アザも消えている。どうして?奉仕はいいの?そう言えば、ご主人様は服を着られている。それでは奉仕が出来ませんが…
「尻尾と股間は自分で洗ってね。で、泡を流したら、湯船で暖まるんだよ」
えっ!私の身体を玩具にしないんですか?私が頷くと、泡立ったスポンジを私に手渡し、次にポチを洗い始めたご主人様。スポンジからは石けんの良い香りがする。自分でご主人様が洗わなかった場所を洗っていく。そして、蛇口から水を桶に入れて、泡を流す。
え…いいの?冷水ではなく温水だった。身体の緊張がほぐれる。湯船にも恐る恐る入るが、心地良い暖かさである。こんな待遇は初めてである。どうして…こんなことを…ここまでに受け取った恩だけでも、既に返しきれないよ…
「身体が温まったら、湯船から出て、タオルで水気を拭って、新しい服を着て、部屋に戻って寝ていていいから。この奴隷服は処分するからね」
タマを洗い終わったご主人様は、そう言い残して、部屋を出て行かれた。
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タオルで水気を拭って、新しい下着…服を着て、部屋へと戻った私達。
「リザ…夢でない?」
タマに訊かれた。
「現実ですよ」
「かわいい服なのです」
「そうね」
身体から漂う石けんの香り。これだけで、私は幸せです。あのお肉を食べられて、ものスゴく幸せです。このまま死んでも後悔はしないと思います。
ご主人様が分厚い本を抱えて、部屋に戻られた。
「あぁ、もう奴隷じゃないんだから、ベッドで休んでいてもいいんだよ」
そう言い、部屋に備え付けられている机で、分厚い本を読み始めた。ここまでしてくれて、何もしないなんて…もしかして、私の方からするのを待っていらっしゃるのか?
ご主人様に近寄り、声を掛けた。
「あの…よろしいですか…」
「どうした?熱でもあるのか?」
立ち上がり、私の顔を見つめ、頭を抑え付けて、顔が迫ってきた。唇を重ねるんですね…瞼を閉じ、その時を待つ。しかし、予想は間違っていた。私の額にご主人様の額が触れたのだ。
「熱は無いみたいだな。で、何か用かな?」
私の身体を心配してくれているようだ。でも、確認はしておいた方がいいよね。
「いえ…あのですね…私は…ご主人様と…寝れば良いのですか?」
「ベッドが2つだから、誰かと一緒には寝るけど、パジャマを着たままで寝てね。そんなつもりで、奴隷から解放した訳では無いから」
奉仕はしなくても良いみたいだ。ではなんで、私達を…
「え…では…どうして…ですか…」
「三人ともかわいいから。それだけだよ。こんなにかわいい妹がいたらいいなって」
かわいい?私だけでなくポチとタマも尻尾が…嬉しい。そんな言葉を掛けられたことは無かったから。妹…家族にしたいなんて…言われたこと無いです。
「でも、私達は…ご主人様のお役に立ちたいんです」
心からそう伝えた。初めてである。ご主人様に心から役立ちたいと思ったのは。ここまでの恩を返さないとダメだ。もらってばかりではダメである。奉仕でも玩具でもない私達は、何をすれば良いのだろうか?
「ご主人様でなくて、ギルでいいよ」
名前呼びを許可された。これも初めてである。この方の傍にいたい。そう思ったのも初めてである。初体験づくしの私のご主人様♪
「では、ギル様…私達に命じて下さい」
「リザは何が出来るんだ?」
アピールポイントだ。初めて訊かれた♪
「ヤリとナイフが使えます。料理も多少は…後、ギル様のお相手…」
最後のは私の希望というか…
「タマは?」
「石ころ投げ?」
「ポチは?」
「石ころ投げと罠探しなのです」
タマとポチも嬉しそうにアピールポイントを伝えている。
「じゃ、探険するときに、手助けを頼むよ」
「普段はどうすれば良いですか?」
これが大切である。普段はどう接すれば良いのかだ。
「散歩の同伴♪そうだ。まだ日は出ているから、これから街の中でも散歩するか?」
ご主人様に誘われ、奴隷としてでは無く、初めて街の中を見て廻った。屋台から流れてくる食欲をかき立てる香り…尻尾が反応してしまう。その度にギル様が、それを買ってくれた。
「おいしい」
「おいしいのです」
「うんうん♪」
私だけでなく、ポチとタマも満足であり、嬉しそうだ。夢であるなら、醒めないで…そんな感じである。
職質
---ゼナ---
市場の見回り中に、目に付いた一団がいた。亜人娘達と青年なのだけど、亜人娘達に見覚えがあった。奴隷だった亜人娘達だ。胡散臭い集団の奴隷だったはずなのに、目の前の彼女達は、普通の服を着ていて、かわいい感じにまとまっていた。何か有ると、私の直感が言っている。
「ちょっと、身分証はある?」
その一団の目の前に行き、職務質問を掛けた。リーダー格の青年が4人分の身分証明証を提示してきた。彼の名前はギル、職業は旅人なっている。亜人娘達は所属がギルで職業はメイドになっていて、全員処罰歴は無かった。
「違反項目は無いわね」
少し残念そうに言う私。おかしいなぁ。記憶力と勘が鈍ったたのかな。ギルという青年に身分証を返した。この場を去ろうとした私に、彼が声を掛けてきた。
「ちょっと待って!君の名前は?」
「えっ?私?私はゼナ・マリエンテールよ」
後で、何かを申し立てるのか?亜人を見下して、見てしまったかな。少し反省していると、彼から意外な言葉が飛び出して来た。
「ゼナさん、非番の日はいつ?」
サトゥーさんのように非番の日を訊いてきた彼。少し嬉しくなる。顔が熱い…
「え!ナンパ…私よりいい女は一杯いるわよ」
「ゼナさんも充分かわいいよ♪」
彼は素直なのか…それとも、口が上手いのか。私としては、恥ずかしい気持ちで一杯である。人前で言われた事が無い言葉だし。穴があったら入りたいよ~
穴を探すように周囲を見ると、サトゥーさんを見つけた。この場から逃げられる。
「すみません。知り合いがいたので、これで失礼します。サトゥーさぁ~ん♪」
サトゥーさんの元へ走り去る私。
「どうされましたか?」
いつもの優しい眼差しで私をみつめてくれるサトゥーさん。
「いえ…お見かけしたので…」
「そうですか…そうそう、今度の非番の日に、街を案内してくれますか?」
これって、デートかな?デートだよね。デートだといいなぁ♪
「喜んで♪」
その後、仲間達に見付かるまで、サトゥーさんと街中を歩いていた私。