彼女がいれば…   作:もっち~!

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ゼナの視点です。


SS:正義の立ち位置

 

---ゼナ---

 

ギルさんに会いに行ったサトゥーさん達が戻って来た。その顔は、皆険しい。いや、リザ達がサトゥーさんを睨み付けている。何かをしたのか?

 

「気づいていなかったんだ…」

 

サトゥーさんの奴隷のアリサが、サトゥーさんに言葉を掛けた。

 

「アリサは知っていたのか?」

 

頷く彼女。

 

「何で…言ってくれなかったんだ?」

 

「奴隷である私が、そういうことを言える立場じゃないわよ」

 

どういうこと?

 

「サトゥーさん…どうしたんですか?」

 

「知らない間に…リザ達が俺の奴隷になっていた…」

 

知らない間に?有り得ない…だから、彼女達はサトゥーさんを睨んでいるのか。やっと会えた待ちわびていた者との再会…でも、サトゥーさんの奴隷では、その者とは一緒には行けない…

 

「知らないって…有り得ないでしょ?ねぇ、サトゥーさん…」

 

「あの時だと思います。広場での悪魔騒動の時…助けた奴隷商人が…手柄を上げたリザを俺の奴隷兵にしたんですよ。助けたお礼に…だから、それを知っていた子爵は、俺の手柄だと風潮して廻ったんだ。リザを俺の奴隷として、街の者達に認知させる為に…」

 

そんな…確かに、あの時の手柄は、サトゥーさんに成っている。だから、サトゥーさんはせーリュー市の名誉市民にもなったのだった。

 

「クソっ!舞い上がっていた。今更、反省しても遅いですが…」

 

サトゥーさんの顔は、悔しさが滲みでていた。

 

「でも、次の機会に、リザさん達をお返しすれば…」

 

「ダメです…アイツ…以前、リザ達を解放する為に、元々の所有者を殺していますから」

 

それって…犯罪行為である。奴隷を強奪する行為は、許されない行為である。奴隷は物と同じって扱いであるから。

 

「アイツはアイツの正義で動いています。アイツは俺に宣言をした。いつか俺を殺して、リザ達を解放するとね」

 

軍兵である私は、ギルを速やかに拘束して、死刑に近い厳罰を与える立場にいる。だけど…リザ達は無理ヤリ奴隷にされ、ギルは彼女達をその立場から解放しただけなのに…どっちが正義なんだ?今まで信じてきた正義が揺らいでいく。

 

「罪人であるアイツは、正規に奴隷を持つことは出来ない。だから、名義変更は出来ないんです…普通の方法では、もう…俺が死ぬまで…」

 

彼の悔しさの原因はそこであった。サトゥーさんが死なない限り、リザ達はギルの元へ帰れないのが現実であるから。

 

「私達は、旦那様を恨みます」

 

リザ達の冷たい視線が、サトゥーさんを貫いていく。

 

「すまない…」

 

リザ達に謝るサトゥーさん。

 

「謝られても…許しません。恨み続けます。でも、私達は、旦那様の奴隷です。命じられれば、ギル様を殺してきます」

 

リザが無表情で言い切った。たぶん、ギルと再会して、ギルの手で命を絶って欲しいのだろう。

 

「そんなことは命じない。いつか、返せる方法を見つける。だから、待ってくれ…」

 

ギルがサトゥーさんを毛嫌いする理由…わかった気がする。

 

 

 

 

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